山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
今日は、古屋(衆院総務)委員長、坂本、武内(同左)委員長代理、ありがとうございます。
今回の法案は、郵便局ネットワークを維持する費用として、先ほどご説明があったように、関連銀行及び関連保険会社に拠出金の支払を義務付ける制度を導入するものであって、郵政事業のユニバーサルサービスの維持に資すると考えるもので、私たちも賛成であります。しかし、本法案によって将来にわたって郵便局のネットワークあるいは郵政事業のユニバーサルサービスが維持できるのか不安な点もありますので、その点ただしていきたいと思います。
まず、法案提案者にうかがいますが、金融2社が拠出金を負担することを理由にして、もう拠出金出しているんだから窓口業務委託手数料は下げてほしいと、引下げになる心配はないでしょうか。
坂本哲志 衆議院議員(総務委員長代理) 現在、日本郵便株式会社は、日本郵便株式会社法の規定に基づきまして、関連銀行でございます株式会社ゆうちょ銀行との間で銀行窓口業務契約を、関連保険会社でございます株式会社かんぽ生命保険との間で保険窓口業務契約を締結しているところであります。これらの業務契約に係る手数料の額につきましては、法令上の規制は存在せず、あくまでも民民の契約に委ねられております。
もっとも、現行の日本郵便株式会社法におきまして、銀行・保険窓口業務契約の届出制、これは第7条でございます、や日本郵便株式会社の事業計画の認可制、第10条でございます、そして事業の収支の状況の報告、第14条でございますけれども、これらが定められており、法改正後も、委託手数料が適切かどうか、委託手数料が過剰に引き下げられていないかについて、行政として必要に応じてチェックすることが期待されているところであります。
山下よしき ありがとうございました。期待されているところというご答弁でありました。この期待が本当に現実になるのかが心配なんですね。
法律7条言われました、銀行・保険窓口業務契約の問題は、あくまで届出制でありますので、これは受理するだけということになります。それから、10条言われました、日本郵便株式会社の事業計画の認可制、これはあくまで日本郵便に対するものでありまして、金融二社には掛かりません。
総務省にうかがいますが、これで本当に委託手数料が引き下がることはないという担保になるんでしょうか。
巻口英司 総務省情報流通行政局郵政行政部長 お答えいたします。
先ほどご答弁もございましたけれども、総務省といたしましては、銀行・保険窓口業務契約の届出、第7条でございますが、を通じて業務委託手数料の規定について、また、日本郵便株式会社の事業計画の認可、第10条を通じまして毎事業年度の収支予算について、また、事業収支の状況の報告、これは第14条でございますが、これを通じまして銀行窓口業務及び保険窓口業務の収支の状況について確認することというふうにしております。
業務委託手数料が不当に引き下げられることのないように適時適切に監督することは可能であると考えております。
山下よしき そう言うんですが、しかし、12年改正の郵政民営化法は、金融二社の株式処分について、その全部を処分するということになっております。ですから、将来にわたってもう全く民間会社になった金融二社、まあこれはゆうちょ、かんぽかどうかもまだ分かりませんけれども、そういうところにその期待が及ぶのかどうか。
そう言いますと、総務省からの答えは、いやいや、ゆうちょ、かんぽ、現在の金融二社は郵便局のネットワーク以外に店舗網持っていないから離れることはないんですと、こうおっしゃるんですが、本当にそうなのかということで、今日資料を3枚付けておりますけれども、資料1、見ていただきたいんですが、コンビニエンスストアと完全に民営化された金融2社が提携、合併するようなことになれば、別に郵便局のネットワークに頼らなくても金融2社は営業できるんですね。これ仮定の話ですけれども、そういうインフラはあるということなんです。
全国のコンビニは、フランチャイズチェーン協会に加盟しているコンビニだけでも5万5465店舗あります。これ、こういうところと提携したら、ゆうちょ、かんぽ、郵便局ネットワークから離れることもあるんじゃないでしょうか。総務省。
巻口 部長 現在、郵便貯金、ゆうちょ、かんぽにつきましては、やはり郵便局のネットワークを活用してそのサービスを提供するということを行っておりまして、郵便局のネットワークを維持してそこで提供することが一種の経営戦略、あるいは郵便局のブランドを利用してサービスを提供するという経営方針だというふうに理解しておりますので、現時点でコンビニエンスストアと合併するというような検討がなされているというふうには聞いておりません。
山下よしき だから、それは現在の状況なんですよ。完全に株式を売却するというのが法律にもう決定されているんですからね。完全民営化されたら、そんな期待は通らないじゃないですか。もっといい条件のあるところに行く自由はあるわけですよ。そのときに、コンビニがそういう受皿になるんじゃないのと言っているのに、明確なお答えはありません。
そういうことがあり得るんですよ。あり得るということを背景に、委託手数料を引き下げるという要求をしてくることは当然あり得るわけですね。そのときに、郵便事業会社が、いや駄目だと言えますか、言えないことになるわけです。
それから、民営化法では、先ほどの古屋委員長のご説明でもあったように、ゆうちょ、かんぽがずっと関連銀行、関連保険会社であるという前提には立っておりません。ゆうちょ、かんぽではない別の金融機関や保険会社になる可能性もこれは認めているわけですね。
そうなりますと、コンビニと提携しようとするゆうちょ、かんぽ、かたや別の金融機関との競合になるわけですよ。どことこの郵便会社がユニバーサルサービスを義務付けられている金融サービスをやることになるのかということは、ゆうちょ、かんぽの側から見ても、郵便事業会社の方から見ても選択の余地は広がるかもしれないけれども、金融機関の側から見てもいろいろ競争条件を要求することはできるわけですね。そうすると、結局、手数料が引き下がっていく要因にやっぱりこれはなると私は思いますね。
で、委託手数料は、今現在、聞きますと、窓口業務委託手数料、ゆうちょ、かんぽ合わせて約1兆円です。今回の法案が成立すれば、そのうち約2900億円が民民ではなくて拠出金、交付金になるということです。しかし、あと7000億円はやっぱり窓口委託の手数料で支払われることになるわけで、そっちの方が大きいんですね、倍ぐらい。その委託手数料がぐうっと下がっていくというふうになったらネットワークの維持が困難になるおそれがあるというふうに思うんですが、もう時間が来ていますので、ちょっと余りもう聞けないので。
そうなってきたときに、10条というのは、そうなった上でも総務省が郵便事業会社の事業計画を承認するわけです。委託手数料がどんどんどんどん下がっていく中で、それでも経営をちゃんとせいよというこの承認を受けようと思ったら、一番私が心配するのは、労働者の人減らし、あるいはリストラ、非正規化ということに拍車が掛かっていくんじゃないかということなんですね。
もう今でも大変な非正規雇用の職場になっておりますけれども、そういうことが、ますますこの委託手数料が下げられることが株式が売却されればされるほど進むことによって、なるのではないかということを心配するんですが、これは野田総務大臣に、その点の危惧、いかがでしょうか。
野田聖子 総務大臣 山下委員にお答えいたします。
ご心配をしていただけることは大変いいことだと思います。やはり、国民、利用者が安心して使える拠点である郵便局に万が一のことがあってはならないということを常に意識をして、より良い郵便局づくりに努めていくことがとても大切なことだと思っています。
平成24年の改正郵政民営化法によりまして、郵便局において、郵便に加えて貯金、保険の基本的なサービスをユニバーサルサービスとして一体的に提供することが制度的に担保されているところです。今回の法案については、郵便局で郵便、貯金、保険の3事業のユニバーサルサービスの一体的な提供が安定的、継続的にできるよう、郵便局ネットワーク維持に要する基礎的費用について制度的に担保しようとするものであると私は考えているところです。
先ほど来のご懸念があります。今後、民営化が進むにつれて、それはもうしっかりその都度、今からそういうご心配をいただきつつ、特に郵便局はコンビニのないところで大変多くの利用者にとって喜ばれている場所であります。今後、人口減少によって、必ずしも、コンビニを含めとして、民間企業がありとあらゆるところに市場を拡大することが難しいという現状を踏まえて、そういうことがあっても郵便局がしっかりと公的な役割を果たせるために何をするべきかということは、まあ今回の法律もそうですけれども、みんなで力を合わせて考えていかなければならないなと常に思っています。
総務省としては、日本郵便株式会社法に基づき、業務委託手数料が不当に引き下げられることがないか確認することが可能であります。今後とも、山下委員ご懸念のような事態が起こらないように、しっかりと注視していくことが大切だと思います。
山下よしき もう時間来ましたのでまとめますけれども、資料2枚目見ていただきたいんですけど、郵便局は国内銀行よりも自宅からの平均距離は短いです。コンビニよりはちょっと遠いですけどね。それから、資料3を見ていただきたいんですが、先ほど大臣がおっしゃいました、コンビニゼロの過疎地の市町村が全国に150市区町村あるんですが、その150市区町村に郵便局は609局もあると。コンビニゼロの1市区町村当たり、郵便局四局平均すれば存在することになっているわけですね。全国のコンビニの数は5万5000と言いました。郵便局は2万4000です。どっちかというと郵便局の方が半分ぐらいしかないのにもかかわらず、過疎地においてはコンビニよりも圧倒的に郵便局が過疎地の生活、経済を支えているわけですね。年金の受取はもう郵便局しかないという地域いっぱいあるわけですから。
そういう点では、これ、私が言いたいのは、銀行、コンビニに取って代わられるんじゃないかということ。取って代わられたらいいということを言っているんじゃないんです、代わられてはならないということを言いたいわけです。代わられたらえらいことに過疎地はなると。
私は、大臣が郵政民営化に政治生命懸けて反対されたというのは、そういう意味では、三事業一体で、税金1円も投入しないで、給料も出しながら、国庫に何千億円という納付金を出していた、最も合理的な経営形態であったと、そういう方向にまた近づけることも真剣に検討するべきではないかということを申し上げて、終わります。