安倍政治根本からただす 対案示し転換訴え 
2018年11月01日 参議院本会議

 安倍首相に対する私の代表質問の全文です。代表質問は、党の英知を集め、衆参のコンビネーションで臨みます。志位委員長が15分間で取り上げられなかったテーマも質問しています。



災害から国民守るのは政治の要
防災対策のあり方の転換が必要


住宅・生業再建の問題点の緊急把握、支援金引き上げと対象拡大を

photo 私は、日本共産党を代表して安倍総理に質問します。

 この間、大阪北部地震、西日本豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震など大規模な自然災害が連続しました。亡くなられた方、被災された方々に、お悔やみとお見舞いを申し上げます。

 災害から国民の命と財産を守ることは政治の要です。その立場から2点提案します。

 ひとつは、被災者の住宅と生業(なりわい)をどう再建するかです。

 東日本大震災では、いまだに5万7千人(政府把握分)もの被災者が避難生活を強いられています。7年半もたつのに、なぜ住宅の再建ができないのか――インフラの点検だけでなく、被災者の住宅と生業の再建にかかわる問題点の把握こそ緊急に行うべきです。被災者生活再建支援法の支援金を500万円に引き上げ、支援対象を半壊や一部損壊に拡大することも決断すべきです。

ブロック塀倒壊・堤防決壊―徹底検証と防災対策の転換を

 もうひとつは、被害を拡大させず、命を守るための防災対策です。

 大阪で9歳の児童らが犠牲となったブロック塀の倒壊も、倉敷市真備町で高齢者の多くが自宅1階で溺死した堤防の決壊も、その危険が早くから予測されていたにもかかわらず、危険を最小化する対策がとられてこなかったことが共通しています。なにが原因なのか、どうすれば命を守り抜くことができるのか――底をついた検証を行い、防災対策のあり方を転換することが必要です。

 以上2点、総理の答弁を求めます。

電力安定供給・再生エネの妨げ
原発依存エネルギー政策見直せ


全道停電の教訓に学び、大規模集中発電から分散型へ

 北海道胆振東部地震では、全道の295万戸が停電するブラックアウトが起こり、道民生活に大きな打撃を与えました。大手電力会社の全エリアが停電したのは初めてのことです。

 地震発生時、電力需要量の半分を苫東厚真石炭火力発電所の3基が一手に供給していました。その3基が停止し電力の半分を失ったことが全道停電の決定的な要因となりました。

 総理、電力の安定供給のためには、大規模集中発電から分散型への転換が必要――これが、北海道大停電が示した重大な教訓だと考えますが、いかがですか。

世論に逆行する原発固執やめ再生エネルギー普及推進を

 この分散型の電力供給の対極にあるのが原発です。原発の特徴は、大出力かつ出力の調整ができないこと、そして震度5程度の地震で自動停止することです。もし北海道電力が泊原発を稼働していたら、その出力は電力需要量の7割近くを占めることになり、全道停電が起こるリスクはいっそう大きかったでしょう。

 総理、原発に固執することが、分散型への転換を阻む最大の障害になっているとの認識はありますか。

 九州電力は10月、4回にわたって、一部の事業者が持つ太陽光発電からの電力の受け入れを一時停止しました。九電は「秋は電力の需要が減り、需給バランスが崩れると大規模停電を起こすおそれがある。それを回避するための措置だ」と主張しています。しかし、原発4基を動かし続ける一方で太陽光発電を抑えるやり方は、「再生可能エネルギー普及のブレーキになる」との懸念と批判が広がっています。

 総理、今回の事態は、原発再稼働を続ける限り、再生可能エネルギーの普及はすすまないことを明らかにしたと考えますが、いかがですか。

 安倍政権は、エネルギー基本計画で、2030年度に電力の20~22%を原発から供給することを目標としていますが、これは既存の原発と建設中の原発、あわせて37基をすべて稼働させるものです。国民の75%が「原発ゼロ」を求めていることに逆行します。 

 いまも多くの住民がふるさとの家に戻れずにいる東京電力福島第1原発事故の教訓にくわえ、原発が、電力の安定供給のリスクとなり、再生可能エネルギー普及のブレーキとなっている点からも、原発頼みのエネルギー政策を根本から転換すべきです。日本共産党は、他の野党のみなさんと共同して「原発ゼロ基本法案」を提出していますが、その真剣な検討を求めるものです。

消費税10%で景気悪化は明らか
大企業・富裕層に応分負担求めよ


 総理は、来年10月から予定通り消費税を10%に増税すると宣言しました。

 しかし、4年半前、消費税を5%から8%に増税したことによって、家計消費は「一時的」どころか、いまだに落ち込んだままで、2人以上世帯の実質消費支出は年25万円も減っています。総理、こんなときに増税を強行すれば、消費がいっそう冷え込み、景気がますます悪くなることは火を見るよりも明らかなのではありませんか。

 政府は、消費税増税は「社会保障のため」と言います。しかし、所得の少ない人ほど負担が重くのしかかる“弱い者いじめ”の税金である消費税を、立場の弱い方々を支える社会保障の財源にするほど本末転倒はありません。

 しかも、現実はどうでしょうか。消費税が導入された1989年度から2018年度までの30年間で、国民のみなさんから集めた消費税の税収を累計すると372兆円にのぼります。ところが、社会保障は充実どころか、年金は削られ、医療費の窓口負担は増やされ、介護保険の利用料は上げられるなど、改悪の一途をたどりました。

 どうしてこんなことになったのか。調べてみると、同じ時期に、法人3税の税収は累計で291兆円も減っています。つまり、消費税税収の約8割が社会保障のためでなく、結果的に大企業を中心とした法人税減収の穴埋めにまわされたことになります。これでは社会保障がよくなるわけがありません。


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「社会保障のため」と称し大削減する“だまし討ち”やめよ

 安倍政権は、今回の増税も「全世代型社会保障」をつくるためだと言っています。しかし、財務省が財政制度等審議会などに示しているのは、後期高齢者医療制度の窓口負担の1割から2割への引き上げ、介護保険の利用料の1割から2割への引き上げ、要介護1・2の生活援助の保険給付外し、そして児童手当の給付対象から多くの共働き世帯を除外することなど、全世代にわたって社会保障を大削減する計画です。

 国民には、「社会保障のため」の増税といいながら、実際は、社会保障に削減の大ナタをふるう――国民をだまし討ちにするようなやり方はもうやめるべきではありませんか。財源というのなら、アベノミクスで純利益が2・3倍に増えた大企業、保有資産が大きくふくらんだ富裕層にこそ応分の負担を求めるべきではありませんか。

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中小零細業者排除のインボイス制度――増税は直ちに中止せよ

 今回の消費税増税にともなって導入されるインボイス制度は、中小零細事業者にとって深刻な問題です。年間の売り上げが1000万円以下の免税業者はインボイス(適格請求書)を発行できません。しかし、納入先はインボイスがなければ仕入れ税額控除ができなくなり過大な税負担を強いられます。そのために、500万ともいわれる免税業者が取引から排除されてしまうことになります。だからこそ日本商工会議所など中小企業団体がこぞって反対しているのです。

 総理は、インボイスの導入によって中小零細事業者が取引から排除されることを認識しているのですか。消費者だけでなく、中小零細事業者にも致命的な打撃を与える消費税10%への増税は、ただちに中止すべきです。

入管法改定案は政府「白紙委任」
人権保障される受け入れ制度に


 政府が検討している入管法改定案は、128万人にのぼる現状の外国人労働者の人権侵害をそのままに、どの分野にどれだけ受け入れるかなど、重要な問題を法制定後、政府に全て委ねてしまう「白紙委任」立法です。このまま閣議決定するなど断じて許されません。

 現在の技能実習生制度は、(1)職業選択の自由、居住の自由など個人の尊厳と基本的人権を制度として奪っている、(2)「労働者として保護する」といいながら、実際には労働基準法や最低賃金法すら守られていないという重大な問題を抱えています。背後にブローカーが暗躍する実態もあります。

 総理、こうした現状をたださないまま、なし崩し的に外国人労働者の受け入れ対象を拡大するなら、「世界から尊敬される」どころか、人権後進国として軽蔑されることになるのではありませんか。まずやるべきは、外国人の人権を制限している制度を根本から見直し、現にある人権侵害をなくすことではありませんか。

 わが党は、外国人労働者の基本的人権が保障される受け入れ制度を整えて、秩序ある受け入れを進めていくべきであり、そうしてこそ日本人の労働者の権利と労働条件を守ることにもつながっていくと考えるものです。

政治モラルを問う―LGBT差別と森友・加計問題


 自民党衆院議員が、LGBT(性的少数者)のカップルは「生産性がない」などとした暴言を雑誌に寄稿しました。LGBTの人たちへの偏見をあおる差別発言であり、憲法に保障された個人の尊厳を冒とくする人権侵害の発言です。ところが総理は、「まだ若いから」と擁護し不問に付す許しがたい態度をとっています。

 総理は、この発言で傷ついた人たちの気持ちをどう考えているのですか。

 政治家のモラルがもっとも問われなければならないのは安倍総理、あなた自身です。森友・加計学園問題では、「安倍総理の説明に納得していない」国民が7割にのぼるなど、国民の多くは総理がウソをついていると思っています。その総理のウソを隠すために、公文書が改ざん・隠ぺいされ、国会で虚偽答弁が繰り返された。

 違うというのなら、カギを握る安倍昭恵氏、加計孝太郎氏の国会招致と証人喚問を堂々と行うべきではありませんか。

「TAG」の実態は「日米FTA」
ごまかさず国民に正直に説明を


 9月26日に行われた日米首脳会談について、総理は、合意した日米交渉は「TAG」(物品貿易協定)であって、「包括的なFTA(自由貿易協定)とは全く異なる」と弁明しています。しかし、首脳会談で合意した日米共同声明の英文の正文を見ると、「TAG」という言葉はどこにもなく、FTA交渉開始の合意そのものであることは明らかです。

 総理、合意したのはFTAそのものではないのですか。ごまかしはやめて、国民に正直に説明すべきではありませんか。

 日本の食料主権と経済主権を身ぐるみ米国に売り渡すことになるFTA交渉開始に合意しながら、外交文書の翻訳までねつ造し、ウソで国民を欺く――こんな卑怯(ひきょう)、卑劣なやり方は断じて許されません。

「辺野古新基地ノー」の民意明確
普天間閉鎖撤去へ対米交渉せよ


 9月30日に行われた沖縄県知事選挙で、「沖縄に新たな米軍基地はつくらせない」と命燃え尽きる瞬間までたたかいぬかれた翁長雄志前知事の遺志を継ぐ玉城デニー候補が、過去最多の得票を得て大差で勝利しました。

 沖縄県民は「辺野古新基地建設ノー」の民意を明確に示した――総理はそう受け止めないのですか。

 当選したデニー知事との会談で、総理は「県民の気持ちに寄り添う」と述べながら、そのわずか5日後、沖縄県の埋め立て承認撤回に対し、効力停止を申し立てる「対抗措置」に乗り出し、昨日、国土交通大臣は不当にも、埋め立て承認撤回の執行停止を決定しました。安倍政権は、“沖縄県民の声を聞く耳は持たない”ということですか。

 そもそも国民の権利を守るためにある行政不服審査制度をねじ曲げて、防衛省沖縄防衛局が国土交通大臣に不服審査を申し立てるなどというのは自作自演の茶番劇と言わなければなりません。

 この決定に対し、玉城デニー沖縄県知事は、「結論ありきで、法治国家にあるまじき態度だ。公平性、中立性を欠く判断に強い憤りを禁じ得ない」と抗議しています。県民は、「翁長さんの命がけの『撤回』を、わずか数枚のペーパーで無きものとするのか」と怒りに震えています。

 総理、民主主義も、地方自治も、法治主義も破壊する国交大臣による無法な決定は取り下げるべきです。沖縄の揺るがぬ民意を尊重し、辺野古新基地建設の中止、普天間基地の即時閉鎖・撤去をかかげ、米国と交渉することこそ、日本の総理のやるべきことではありませんか。

北朝鮮情勢転換に逆行の大軍拡
陸上イージスの配備は中止せよ


 これまで安倍政権は、辺野古新基地建設をはじめ安保法制、軍備拡大などをすすめるうえで、北朝鮮の「脅威」を最大の口実にしてきました。しかし、朝鮮半島で、対立から対話への歴史的な転換が起こっています。3回に及ぶ南北首脳会談、初の米朝首脳会談によって、朝鮮半島の非核化と平和に向けた歴史的合意がかわされました。

 総理も所信表明演説で「歴史的な米朝首脳会談によって北朝鮮をめぐる情勢は、大きく動き出しています。この流れにさらなる弾みをつけ……朝鮮半島の完全な非核化を目指します」と述べました。

 しかし、国際社会が、北朝鮮の核・ミサイル問題の対話による平和的解決の流れを促進するさまざまな外交努力をしているなか、「流れに弾みをつける」どころか、逆行しているのが日本です。

 今年の防衛白書では、北朝鮮問題について「これまでにない重大かつ差し迫った脅威」だと述べ、引き続き日米軍事一体化を強め、大軍拡を進める口実としています。

 総理、この防衛白書の認識は、対決から対話への歴史的転換をまったく無視しているのではありませんか。

 先の日米首脳会談後の会見で、トランプ大統領は、「私が『日本はわれわれの思いを受け入れなければならない。巨額の貿易赤字は嫌だ』と言うと、日本はすごい量の防衛装備品を買うことになった」と述べました。

 総理、トランプ大統領とのこのやりとりはどの場で行われたのですか。具体的にどのような武器をどれだけ買うことが話し合われたのですか。お答えください。

 防衛省の来年度概算要求には、陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」本体を2基導入するために2352億円もの関連経費が計上されています。しかし、配備候補地としている秋田県や山口県では、電磁波の影響やテロ攻撃の標的になることへの不安とともに、「北朝鮮情勢が変わっているのになぜ必要か」という批判が噴出しています。

 地元や住民の合意なしに計画を進めることなどあってはなりません。米側の武器購入要求に唯々諾々と応じ、朝鮮半島の平和と安定に背を向け、逆に情勢を悪化させることになるイージス・アショアの配備は中止することを強く求めます。

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平和外交こそ9条持つ国の責務
安倍改憲許さない共同広げ奮闘


 総理は、国連総会での首脳会談で、「(韓国の)文(在寅=ムン・ジェイン)大統領の強いリーダーシップに対し敬意を表する」と述べました。文氏は、「朝鮮半島で絶対に、二度と戦争は起こしてはならない」「対話しか解決の道はない」との信念で、南北、米朝首脳会談を実現し、画期的な外交イニシアチブを発揮しました。軍事ではなく、対話の平和外交でこそ、事態の解決が進む――まさにこれは、憲法9条が指し示すものであります。

 にもかかわらず、総理は9条改定に執念を燃やしています。今ある自衛隊をそのまま書き込むだけで、自衛隊の任務も権限も変わらないといいますが、9条に自衛隊を明記すれば、9条2項の空文化=死文化に道を開き、海外での武力行使が無制限になってしまいます。

 いま、日本に求められているのは、平和の激動に逆らい、9条を変えて「戦争する国づくり」を進めることでは断じてありません。北東アジアに生きる国として、この地域に平和体制を構築するための外交的イニシアチブを発揮することこそ、憲法9条を持つ国の政府がなすべきことだと考えますが、総理の見解を求めます。

 日本共産党は、安倍政権による9条改憲を許さない一点で、立場を超えた共同を広げ奮闘する決意であることを述べて質問を終わります。
 

山下副委員長の代表質問への安倍首相の答弁(要旨)


 安倍晋三首相が31日の参院本会議で行った日本共産党の山下芳生副委員長の代表質問への答弁の要旨は次の通りです。
  ◇
 【災害対策】
 災害の被災者が一日も早く安心できる生活を取り戻せるよう、被災自治体と連携して地域の課題やニーズの把握に努め、被災者に寄り添いながら、住宅、生活再建に向けた支援や生業の再建に向け全力で取り組んでいく。

 被災者生活再建支援制度は、自然災害で生活基盤に著しい被害を受けた方に、全都道府県の相互扶助と国の財政支援で支援金を支給する制度の趣旨からすれば、支給対象拡大や支給額引き上げは財政負担等の課題があり、慎重に検討すべきだ。

 ブロック塀等は、安全点検のチェックポイントを公表、周知し、避難路に面するものは耐震診断の義務づけや撤去費用等への支援を検討している。
 7月豪雨では、小田川等が越水等で堤防決壊し、甚大な被害が生じた。被害を踏まえ、抜本的な治水対策を進めるため、事業を集中的に実施し、再度の災害を防止する。

 一連の災害の復旧・復興の進捗(しんちょく)等に応じて必要な財政措置を講ずるため、2018年度補正予算案に9356億円を計上したので、早期成立への理解と協力をお願いする。
 被災者の命を守り、安心を確保できるよう引き続き検証を行い、防災対策をしっかりと進めていく。

 【全道停電】
 ブラックアウトを繰り返さないため、電力インフラの総点検を実施しており、11月中に対策パッケージをまとめ、災害に強い電力供給体制を構築する。

 【原発】
 多くの原発が停止し、東日本大震災前に比べ、一般家庭で平均約16%電気代が上昇し、国民に大きな負担をいただいている。気候変動問題への対応、エネルギーの海外依存度も考えれば、原発ゼロは責任あるエネルギー政策とはいえない。ベストミックスを追求するなかで、電力の安定供給を維持するには、それぞれの電源の特性を踏まえ、決められたルールに基づく出力制御が必要だ。議員提出法案(原発ゼロ基本法案)の扱いは国会が決めることだ。

 【消費税増税】
 前回14年4月の消費税率引き上げの際、駆け込み需要と反動減といった大きな需要変動が生じ、景気の回復力が弱まった。この間、われわれはしっかりと「3本の矢」の政策を進めてきた結果、消費はGDP(国内総生産)べースで実質で16年以降、前期比プラス傾向で推移し、13年の水準を上回るなど持ち直した。来年10月予定の消費税率引き上げでは、前回引き上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応していく。

 【社会保障】
 社会保障充実については、消費税率引き上げに伴う増収により、持続可能性を確保しながら、待機児童解消や低所得者医療、介護保険料の軽減などを実施してきた。来年10月予定の消費税率引き上げでは、使い道を見直し、半分を国民に還元する。少子高齢化という国難に正面から取り組むため、お年よりも若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと大きく転換していく。

 【インボイス制度】
 インボイス制度導入で免税事業者が取引から排除されるとの懸念がある。免税事業者が課税事業者への転換の要否を見極めながら対応を決めてもらうよう、インボイス制度導入までに4年間の準備期間を設け、そこからさらに6年間、免税事業者からの仕入れに一定の税額控除を認める。

 【外国人労働者】
 技能実習制度では労働関係法令違反や人権侵害が起きているとの指摘があるため、制度を見直し、制度の適正化を図っている。
 新たな制度は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的・技術的分野における外国人の受け入れ制度を拡充し、真に必要な業種に限り、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れるものだ。日本人と同等の報酬をしっかり確保し、社会の一員としての生活環境を確保するため、検討中の外国人材受け入れ・共生の総合的対策をしっかり実行に移し、在住環境整備について関連施策を積極推進する。

 【政治モラル】
 行政プロセスが公正公平に行われたかについては、政府が引き続きしっかりと説明責任を果たしていく。(証人喚問など)国会運営は国会で決めるものだ。

 【日米FTA】
 今回の日米共同声明ではサービス全般の自由化や幅広いルールまで盛り込むことは想定しておらず、これまでわが国が結んできた包括的なFTA(自由貿易協定)とは異なる。

 FTAには国際的に確立した定義が存在しない。言葉遣いの問題として、今回の交渉がFTAの一種だとの意見があることは承知している。私かこれまでFFR(自由、公平かつ相互利益)協議について、FTA交渉でも、FTA予備交渉でもないと言ってきた最大の理由は、農林漁業者にTPP以上の関税引き下げが行われるとの懸念があったためで、農林水産業は必ず守り抜くとの思いから言ってきたものだ。

 今回は日米共同声明で、農林水産品については過去の経済連携協定で約束した内容が最大限であるとの大前提を米国と合意した。この点が最大のポイントであり、この前提の上で今後、米国と交渉し、わが国の基である農林水産業を必ずや守り抜く決意だ。

 【沖縄米軍新基地】
 選挙結果は真摯(しんし)に受け止めている。その上で、地方自治体の首長選の結果に政府の立場で見解を述べることは控えたい。

 沖縄防衛局の行政不服審査請求と執行停止申し立てには、公有水面埋立法の所管大臣である国土交通大臣により、法令にのっとり執行停止の決定が行われた。法治国家として必要な法的手続きが行われたと認識しており、これを尊重すべきだ。

 【北朝鮮情勢の激変】
 「防衛白書」の安全保障環境に関する記述は、さまざまな情報を総合的に分析・評価した上で、極力、客観的な記述に努めたものだ。また、(北朝鮮の)金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が朝鮮半島の完全な非核化に向けた意思を改めて文書で明確に約束した意義は大きいとも記述している。「歴史的転換を無視している」とのご指摘は当たらない。

 【米国製装備品導入】
 9月の日米首脳会談で米国製防衛装備品を含む高性能な装備品を導入することが、わが国の防衛力強化のために重要だとトランプ大統領に説明した。やりとりの一つひとつを答えるのは差し控えたいが、中期防衛力整備計画に基づき、米国製防衛装備品を含め計画的に取得しており、今後ともわが国の主体的判断のもと、防衛力強化を行っていく。

 【イージス・アショア配備】
 わが国を射程におさめる数百発の弾道ミサイルが現実に存在する事実から目を背けることはできない。防衛装備品の取得には数年間を要する。国民の命と平和な暮らしを守ることは、政府のもっとも重要な責務であり、平素から万全の備えをとることは当然だ。イージス・アショアはわが国の主体的な判断により導入を進めている。

 純粋に防御的なシステムでありへ周辺諸国に脅威を与えず、情勢を悪化させるとのご指摘は当たらず、導入を中止することは考えていない。イージスーアショア配備にあたっては、地元の理解をいただくことが大前提だ。

 【憲法改定】
 憲法改正の内容について内閣総理大臣としてここで答えるのは差し控えたい。お尋ねなので、あえて私は自民党総裁として一石を投じた考えをあらためて言うと、たとえば現行の憲法第9条の第1項、第2項の規定を残したうえで自衛隊の存在を憲法に明記することで、自衛隊の任務や権限に変更は生じない。
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日本共産党参議院議員。香川県善通寺市出身。県立善通寺第一高校、鳥取大学農学部農業工学科卒業。市民生協職員、民主青年同盟北河内地区委員長・大阪府副委員長。95年大阪府選挙区から参議院議員初当選。13年参議院議員選挙で比例区に立候補3期目当選。14年1月より党書記局長。2016年4月より党副委員長に就任。2019年7月参議院議員4期目に。参議院環境委員会に所属。日本共産党副委員長・筆頭(2020年1月から)、党参議院議員団長。