中央教育審議会(文科相の諮問機関)の初等中等教育分科会は28日、今後の初等中等教育のあり方に関する「中間まとめ」を公表しました。比較的重い障害の子どもが通う特別支援学校について、これまでなかった設置基準の策定や、不足教室の解消に向けた施設整備の推進を国に求めました。
特別支援学校の在籍数はこの10年間で1・23倍に急増する一方、学校数は1・11倍にとどまっています。各地で学校の過大化・過密化が進み、一つの教室をカーテンなどで仕切って二つにしたり、図書室や音楽室などの特別教室を普通教室に転用したりする事態がまん延。文科省の19年度調査で不足教室は全国で3162に上ります。
背景には、学校教育法で定められた学校のなかで唯一、特別支援学校だけ国が設置基準を設けず、教室不足になっても法令違反とならないことから、都道府県が積極的に学校を整備しない問題があります。
「中間まとめ」は「国として特別支援学校に備えるべき施設等を定めた設置基準を策定する」と明記。教室不足については、特別支援学校の新設や増築、他の学校の余裕教室を特別支援学校の教室として確保するなどの施設整備を求めました。
日本共産党の山下芳生副委員長は、19年3月の参院予算委員会で特別支援学校の教室不足の深刻な実態を具体的に告発。安倍晋三首相(当時)は「現状を放置する考え方は全くない」と答えていました。
教職員・保護者 長年の要求
全日本教職員組合の佐竹葉子障害児教育部長の話 特別支援学校の設置基準の策定は、教職員と父母・保護者の切なる願いであり、私たちが長年にわたって求め続けてきたことです。特別支援学校の過大・過密の解消につながるものとして期待できます。
そのためには、策定される設置基準が現状を追認するような基準では意味がありません。設置基準に児童生徒数や学級数の上限、在籍数や学級数に応じて必要な校舎等の面積を示すことが必要です。また、必要な特別教室や障害種に合わせた施設設備を示すこと、過密になっているスクールバスの改善、1時間以上の長時間通学の解消も必要です。
「中間まとめ」には、「他の学校の余裕教室を特別支援学校の教室として確保」することが教室不足解消の方法としてあげられていますが、余裕教室の利用では抜本的な改善にはつながりません。設置基準の策定と合わせて、国として、特別支援学校の新設増設に対する十分な予算措置を行うことが求められます。