「異質の危険」=橋下「維新」政治に共同の力でさよならを 
「さよなら維新政治10・29府民大集合」でのあいさつ

 大阪府知事・大阪市長ダブル選(11月22日投票)へむけ29日、大阪市で開かれた「さよなら維新政治10・29府民大集合」でのあいさつ(要旨)です。


なぜ立場の違いを超えて共同するのか

photo この集会に、関西学院大学の冨田宏治教授、日本商工連盟大阪地区代表世話人の小池俊二さん、住之江区医師会会長の松嶋三夫さん、前大阪市長の平松邦夫さん、自民党大阪府連特別顧問の柳本卓治参議院議員と立場を超えたみなさんが、勢ぞろいしてくださいました。(拍手)

 なぜ一緒にやるのか。いま、自民党が好きとか嫌いとか、共産党が好きとか嫌いとか言ってる場合ではないからです(「そうだ」の声、拍手)。橋下「維新」の政治はそれほど危ない政治です。みんなで力を合わせてどうしても終わらせなければならない。(拍手)

橋下「維新」が大阪でやったことは

 橋下「維新」が大阪でやったことは何だったか。3万人の大阪市職員全員に「思想調査」を行いました(「ひどすぎる」の声)。特定の政治家の街頭演説を聞きに行ったことはあるか、正直に言わなければ処分の対象にする。しかし、業務が終わった後、政治家の街頭演説に行くのも行かないのも、憲法に保障された政治活動の自由です。しかも、誘ったのは誰かと一般市民の名前を書けという。恐ろしい監視社会をつくろうとしたのが橋下「維新」です。大阪地裁で職員の憲法上の権利を踏みにじったと、きっぱり断罪されました。(拍手)

 橋下市長が連れてきた府立高校の民間人校長が、卒業式や入学式で「君が代」斉唱をしているか教職員の口元チェックをした。背筋が寒くなる光景です。松井知事がこの校長を府の教育長に任命しましたが、パワーハラスメントで辞任せざるを得なくなりました。

 きわめつけが「大阪都」構想です。126年の歴史を持つ大阪市を廃止・解体する。大阪市民の誰も考えてなかったことを、橋下「維新」が勝手に持ち込んだ。大阪市民は真剣に考えました。日本初の市営地下鉄や美しい景観を誇る御堂筋など統一した街づくりも、文化の発信もできなくなるのではないか。大阪に核がなくなり、大阪全体が沈没してしまうのではないか。政令市である大阪市が持つ豊かな財源、税収の4分の3が「大阪府」に吸い上げられ、住民サービスが切り下げられ、国保料の値上がりや、子どもの医療費助成が切り縮められるのではないか。自分たちが納めた税金を、自分たちで使い道を決めることができなくなる。地方自治の大幅な後退ではないか。みんなが真剣に考えて、住民投票できっぱりノーを突きつけたのではないでしょうか(「そうだ」の声)。橋下「維新」が持ち込んだ不毛な対立と分断を、理性と良識の共同で打ち破ったことは、私たちみんなの誇りです。(拍手)

 橋下「維新」による民主主義と住民自治の破壊は、他の県にはみられない「異質の危険」です。府民、市民、司法によってたびたび断罪されました。それなのに橋下市長はダブル選挙に勝ったら「大阪都」構想をもう一度やるという。みんなの力で終止符を打とうではありませんか。(拍手)

 

くらしと経済も台無し

 「維新」府政8年間で、くらしと大阪経済も台無しになりました。

 雇用者報酬、家計消費支出、府内総生産の三つそろって、全国の落ち込み以上に大阪経済は落ち込んでいます。7年間で特別養護老人ホーム待機者が1・4倍に増え、介護保険料は1・3倍にはね上がりました。子ども医療費助成は全国ワーストクラスで、府は小学校入学前まで。大阪は経済もくらしも停滞・後退したのが真実です。

 ですから、ダブル選挙は「自民党候補を応援する」たたかいではありません。私たち自身のたたかいです。大阪を「維新」政治の「異質の危険」から守り、くらし・経済を立て直すためのたたかいです。みんなで力を合わせるのはあたり前です。(拍手)

共同こそ大阪の未来を開く新しい力

 もう一つ、私たちが立場の違いを超えて共同する理由があります。この共同こそ大阪の未来を開く新しい力だからです。

 共同を通じてさまざまな新しい出会いがあり、一緒に目指す方向が広がり、発展してきました。5月の住民投票で、反対する大阪市議会の自民、公明、民主、共産4会派が一緒につくった公報に「りんくうゲートタワーとWTCは、バブル期の政策の失敗」「(『都』構想では)市民サービスが大きく低下」と書かれた。自民党市議選公約には「カジノより、まずは中小企業対策を」。「都」構想反対の一点での共同が、大阪をどうよくしていくかの共通認識にまで広がり発展した。これが私たちの確信です。(拍手)

 今回のダブル選挙にむけても共同の発展の芽が表れています。知事候補の栗原貴子さんは、松井知事との討論会で、3人の子どもを育てた経験から「一人ひとりの子どもに寄り添い、すべての子どもたちの学力向上を目指す」と語りました。府立高校の学区撤廃や、学力テストの結果を内申点に反映させるなど毎年のように変わる入試制度で現場も子どもも疲弊し混乱していると指摘。その結果、小中学生の不登校が激増、暴力行為件数も全国平均の2・5倍で全国1位だとして、「子どもたちのための入試制度に」と主張。私たちと同じように心配して、変えると言っています。(拍手)

 市長候補の柳本顕さんは「敬老パスの1回50円の負担は見直していく」と掲げています(拍手)。討論会で、「維新」候補が、日本共産党が柳本さんを自主的支援していることに「理念も考え方もまったく違う政党が一緒にやるのはいかがなものか」とかみついた。これに柳本さんは「住民投票の結果も受けて、これからの大阪について考える大事な選挙。大阪党として賛同いただける方には大同団結していただきたい」とはっきり答えています。(拍手)

 私たちと栗原さんや柳本さんの考えや政策はすべて同じではありません。知事、市長になられたら、賛成できることは全力で後押しし、意見の違いは議会で堂々と議論したい。議論ができることが大事です(拍手)。意見の違う者を排除するのが橋下「維新」政治。民主主義の土台を破壊する独裁政治です(「そうだ」の声)。「維新」政治を終わらせ、立場や意見の違いがあっても議論を通じて進むべき方向を見いだすまっとうな政治をつくる選挙にしようではありませんか。(拍手)

新しい日本をつくる流れを促進

 この共同は新しい日本をつくる流れを前に進める力にもなります。

 沖縄では、安保条約に賛成・反対の違い、保守と革新の垣根も越えて、辺野古への「米軍新基地建設反対」の一点での「オール沖縄」の共同で翁長雄志知事が誕生しました。翁長県政は沖縄を「戦争と基地の島」から「平和で豊かな島」へ前進させようとしています。

 国政でも、憲法の解釈を勝手に変更し、海外で戦争する国にする企てに対し、改憲・護憲の違いを超えて、立憲主義・民主主義を守ろうという国民的共同が進んだことは大きな希望です(拍手)。たたかいの先頭に若いみなさんが立ち、国会前に何千、何万、十数万もの人が集まりました。橋下さんは、国会前行動を揶揄(やゆ)しましたが、法律強行後も共同のたたかいは発展し新しい政治をつくる力になりつつあります。

 21世紀の新しい、希望ある政治の流れを、大阪の住民投票勝利に続く、ダブル選挙の勝利でさらに前に進めようではありませんか(拍手)。主権者の声、大阪府民・市民の声で動く新しい日本と大阪を、みんなの力でつくろうではありませんか。(長く続く大きな拍手)

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日本共産党参議院議員。香川県善通寺市出身。県立善通寺第一高校、鳥取大学農学部農業工学科卒業。市民生協職員、民主青年同盟北河内地区委員長・大阪府副委員長。95年大阪府選挙区から参議院議員初当選。13年参議院議員選挙で比例区に立候補3期目当選。14年1月より党書記局長。2016年4月より党副委員長に就任。2019年7月参議院議員4期目に。参議院環境委員会に所属。日本共産党副委員長・筆頭(2020年1月から)、党参議院議員団長。