地方交付税の拡充を 法定率引き上げ求める 
2017年3月10日 参議院本会議

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 地方財政計画及び地方税法、地方交付税法改定案について質問します。
 地方自治に関わって、まずお聞きします。
 安倍政権は、2月6日、沖縄県名護市辺野古で米軍新基地建設の工事を再開し、大浦湾のちゅら海に連日、巨大なコンクリートブロックを投げ込んでいます。断じて許されません。
 沖縄では、2014年の名護市長選挙、県知事選挙、総選挙、そして2016年の参議院選挙と、辺野古が争点となった全ての選挙で新基地建設反対を掲げたオール沖縄が勝利するなど、県民の意思は明白です。この圧倒的な民意を踏みにじり、新基地建設を強行することなど、民主主義と地方自治を掲げる国としてあってはなりません。
 昨日、沖縄県民の民意尊重と基地負担押し付け撤回を求める全国統一署名の国会提出行動が取り組まれ、全国から121万筆もの署名が届けられました。これは沖縄だけの問題ではありません。
 高市総務大臣、今政府が沖縄で進めていることと、地域の在り方は地域に住む住民の意思によって決めるという地方自治の根本との関係について、大臣はどのように考えていますか。沖縄県民と国民が理解できるよう説明してください。
 さて、地方の財源不足が22年間も続いています。政府はこの間、財源不足は国と地方の折半で負担するとして、自治体に対し、地方交付税の代替財源として位置付けた臨時財政対策債の発行を認めてきました。しかし、臨時財政対策債は、自治体からすれば新たな借金にほかなりません。この間、臨財債発行の延長が繰り返され、残高は52円にも膨らんでいます。今や、総務省が認めた発行可能額よりも実際の臨財債発行を抑制する自治体が二割に上るなど、この仕組みが自治体の歳出抑制、住民サービス低下を招いています。
 総務大臣、臨時といいながら16年も続いてきた、地方に負担を肩代わりさせるやり方はそろそろやめるべきではありませんか。財源不足が続いたときは地方交付税の法定率を引き上げるとしている地方交付税法の原則に従って、今こそ法定率を引き上げるべきではありませんか。
 我が党は、大企業や富裕層に対する優遇税制を改め、能力に応じて負担する公平公正な税制に改革することで、国と地方の財源を確保し、自治体が住民福祉の増進という本来の役割を果たせるよう、地方交付税を拡充することを強く求めます。財務大臣、総務大臣の見解を求めます。
 今年も、保育園落ちたの悲鳴が子育て世代から噴き出しています。一体いつになったら、幼い子供を抱えながら、入園先を幾つも探し回る保活のしんどさや職場復帰を諦めざるを得ない苦しみから解放されるのでしょうか。
 保育需要を見越した大幅な保育所増設が必要にもかかわらず、この5年間に公立保育所が1,222か所も減らされています。その一方で、保育士配置の基準を2分の1でよしとする企業主導型保育施設など認可外の規制緩和施設に多額の補助金が支出され、こうした施設が急速に増加しています。
 昨年、大阪で、認可保育所に入れず、1歳4か月の子供を認可外の施設で預けた僅か2時間後に失った母親は、なぜあの子が死んでしまったのか、保育の量も質も大事にしてほしいと訴えています。同じく、昨年、東京の企業内保育施設で亡くなった1歳2か月の子供の母親は、保育は子供のためという原点に返り、一人も死なせないように取り組んでほしいと切に望んでいます。
 厚生労働大臣、認可外保育施設で多発する死亡事故をどのように解決するつもりですか。また、公立保育所のみ施設整備と運営費の補助を一般財源化したのはなぜですか。
 その後、施設整備に対する当該自治体への交付税措置は100%でなく七割に抑えられ、公立保育所が大幅に減少していることをどのようにお考えですか。厚労大臣、総務大臣、お答えください。
 加えて、公共施設等の適正管理の名の下に、財政誘導による公立保育所の統廃合が進められています。総務大臣、この公共施設等最適化事業の3割が保育所の統廃合に活用されている事実をどう受け止めますか。
 我が子が保育施設で亡くなるという悲しい出来事を二度と繰り返さないためにも、地域の保育の質を担保する上で大きな役割を果たしている公立保育所の増設へ、総務、厚労両大臣が緊急対応に乗り出すことを強く求めるものであります。答弁を求めます。
 トップランナー方式と称して、既に16業務で民間委託された水準によって交付税を算定するやり方で基準財政需要額が削減されています。17年度からは、新たに青少年教育施設の管理や公立大学の運営が対象にされようとしています。住民サービス低下と人件費抑制、官製ワーキングプアの温床となるトップランナー方式は、地方交付税制度を著しくゆがめるものであり、やめるべきであります。
 1兆円のまち・ひと・しごと創生事業のうち、6,000億円になる人口減少等特別対策事業費の配分を、成果を上げた自治体に段階的にシフトすることも、交付税制度をゆがめます。人口減少に悩む中山間地の自治体にとって不利な成果を求めるようなことは本末転倒であり、課題に真剣に取り組もうとしている自治体にこそ厚く支援すべきです。総務大臣の答弁を求めます。
 最後に、明日3月11日、東日本大震災から6年目を迎えます。いまだ仮設住宅などで避難生活を送っている人は12万3,000人、何年たっても被災者の暮らしの再建には大きな困難が横たわっています。
 とりわけ心が痛むのは、福島の自主避難者とされた方たちへの住宅無償提供がこの3月で打ち切られようとしていることです。避難指示解除区域に戻れと言われても、病院が復活していないので帰ることができないなどの状況もあります。
 自主避難者への住宅支援の打切りは見直すべきではありませんか。
 避難先となっている全国各地の自治体が支援を継続できるように特別の対応を強く求めます。
 防災大臣、復興大臣、総務大臣の答弁を求めて、質問を終わります。

関係大臣の答弁

高市早苗総務大臣 山下議員から私には、まず、沖縄における米軍基地移設についてお尋ねがございました。
 国と地方公共団体の役割分担の下、国の施策に関して意見が対立する場合には、両者の関係を定めた地方自治法などの各種法令の規定に沿って解決が図られているものと認識をしております。
 次に、臨時財政対策債と地方交付税法定率の引上げについてお尋ねがございました。
 地方財政の健全な運営のためには、本来的には、臨時財政対策債のような特例債による対応ではなく、法定率の引上げにより地方交付税を安定的に確保することが望ましい方向であるというのは、山下議員御指摘のとおりでございます。しかしながら、国、地方とも巨額の債務残高や財源不足を抱えていることなどから、平成29年度地方財政対策においては、法定率の引上げによらず、折半ルールを3年間延長した上で、国は一般会計からの地方交付税の特例加算、地方は臨時財政対策債の発行により対処することとしました。
 国、地方とも厳しい財政状況でありますことから、法定率の更なる引上げが容易に実現できるものであるとは考えませんが、でも、今後とも諦めずに、法定率の見直し等による交付税総額の安定的な確保について、政府内で粘り強く主張し、十分に議論もしてまいります。
 次に、税制の在り方と地方交付税の拡充についてお尋ねがございました。
 税制につきましては、グローバル化、少子高齢化の進行等の経済社会構造の変化に対応して、国税、地方税を通じて、各税目が果たすべき役割を見据えながら、その在り方を検討することが重要でございます。特に地方税につきましては、行政サービスの対価を広く公平に分かち合うという応益課税の考え方を重視しつつ、その充実確保を図ることが必要です。
 今後とも、地方団体が地域に必要な行政サービスを確実に提供しながら安定的な財政運営を行えるよう、地方交付税を含む地方の一般財源総額を適切に確保してまいります。
 次に、公立保育所の施設整備に係る地方債の交付税措置についてお尋ねがありました。
 一般財源化された公立保育所の施設整備に対する補助に係る地方財政措置については、全額を地方債の対象とし、その元利償還金について、事業費補正により70%、単位費用により30%、合わせて100%の地方交付税措置を講じています。その上で、保育の供給体制整備については、それぞれの地方団体において、地域の実情などを踏まえて適切に判断されているものと認識をしています。
 次に、公立保育所の統廃合についてお尋ねがありました。
 公共施設の老朽化が進む中、計画的な施設管理を行うことで、財政負担の軽減、平準化や施設配置の最適化を図ることが重要でございます。施設の集約化や複合化に当たっては公共施設最適化事業債が活用できますが、これは公立保育所といった特定の施設の廃止や統合を進めようとするものではございません。各団体においては、保育所などの子育て施設をどのように配置することが地域において必要とされる保育サービスの要請にかなうのかということも含めて議会や住民の皆様と議論し、検討をしていただきたいと存じます。
 次に、公立保育所の増設についてお尋ねがありました。
 公立保育所の整備については、一般財源化による影響が生じないよう適切に地方財政措置を講じておりますが、地域において良質な保育サービスが確保されるよう、今後も厚生労働省と連携しながら対応してまいります。
 次に、トップランナー方式についてお尋ねがありました。
 トップランナー方式においては、既に多くの団体が民間委託等に取り組んでいる業務について、その経費水準を基準財政需要額の算定基礎としています。また、導入に当たっては、地方団体への影響等を考慮し、複数年掛けて段階的に反映するとともに、小規模団体において民間委託等が進んでいない状況を踏まえて算定を行っており、地方交付税制度をゆがめるものではございません。
 次に、人口減少等特別対策事業費についてお尋ねがございました。
 人口減少等特別対策事業費においては、地方創生の取組の成果が現れつつあることを踏まえ、段階的に、取組の必要度に応じた算定から取組の成果に応じた算定にシフトすることとしています。また、その際、財政力が低く過疎法などの対象となっている団体について算定額の割増しを行うなど、条件不利地域に配慮した算定を行うこととしています。
 最後に、自主避難者への住宅支援についてお尋ねがございました。
 避難指示区域外からの避難者への応急仮設住宅の供与の取扱いについては、福島県において、災害公営住宅の整備状況などを踏まえ、災害救助法を所管する内閣府と協議の上で決定されたものと承知をしています。また、住宅確保に関しては、福島県において、自主避難者に対する仮設住宅の供与終了後の支援策を策定し、取り組まれることと承知しています。
 総務省では、引き続き、人的、財政面での支援を始めとして、被災自治体が必要な復旧・復興事業を確実に実施できるよう万全を期してまいります。
 以上でございます。

麻生太郎財務大臣 山下議員から、公正公平な税制の在り方や地方交付税について一問お尋ねがあっております。
 税制につきましては、所得税の最高税率の引上げ、金融所得課税の見直し、法人税改革におきます大企業を中心とした課税ベースの拡大など、現政権におきましても担税力に応じた税負担となるよう見直しに取り組んできており、大企業や富裕層に対する優遇課税との御指摘は当たらないと存じます。
 地方交付税につきましては、地方による必要な行政サービスの安定的な実施を勘案しながら、毎年度の地方財政対策において、総務省と十分に協議してまいりたいと考えております。

塩崎恭久厚労大臣 山下芳生議員にお答えを申し上げます。
 認可外保育施設での死亡事故と公立保育園の費用の一般財源化についてのお尋ねがございました。
 認可外保育施設に対しましては、事故防止ガイドラインによる取組の徹底、都道府県等による年1回以上の立入調査に加え、平成29年度予算案では新たに指導員による巡回指導を支援することとしており、これにより重大事故の発生を防止していきたいと考えております。
 また、公立保育園につきましては、平成16年度に運営費が、平成18年度に施設整備費がそれぞれ一般財源化されました。これは地方6団体の提案による三位一体改革によりなされたものでございます。
 公立保育園の減少に対する見解とその増設についてのお尋ねがございました。
 公立保育園の数は全体では減少しておりますけれども、各市区町村がどのような形で保育の受皿を整備をしていくかということにつきましては、地域が抱える諸事情を踏まえ、各市区町村において適切に判断されているものと考えます。
 各市区町村においては、公立や私立を問わず、質を確保しつつ、地域の保育ニーズに対応した保育園の整備を進めており、厚生労働省としては、こうした市区町村の取組をしっかりと支援をしてまいります。

松本純防災大臣 山下議員より、いわゆる自主避難者の方への住宅支援の見直しについて御質問をいただきました。
 東日本大震災における応急仮設住宅の提供については、発災当初から災害救助法に基づく応急救助として実施することとしたものであり、地震、津波、原子力災害を別なく一律に取り扱ってきたところでございます。
 福島県におきましては、これまで、避難指示解除、災害公営住宅の整備状況などを勘案し、国の同意を得て、各市町村を一律に6年目まで応急仮設住宅の提供を延長してまいりました。今般の7年目の延長決定に際しては、災害公営住宅の整備等がおおむね完了し、各市町村の復旧・復興状況に応じたきめ細やかな対応が可能であると福島県において判断されたところでございます。そのため、福島県において個々の市町村の状況を確認し、延長の方針を検討、判断され、国に協議し、その同意を得た上で決定されたものでございます。
 具体的に、平成29年4月以降については、避難指示区域以外の市町村は、災害公営住宅が十分に整備等されていない市町村を除き、災害救助法に基づく応急仮設住宅の供与から、福島県により策定された帰還・生活再建に向けた総合的な支援策に移行することとなります。
 内閣府としては、引き続き、関係省庁や福島県と連携し、避難者の方々の安心して生活を営むことができるよう努めてまいりたいと考えております。

今村雅弘復興大臣 福島の自主避難者への住宅支援についてお尋ねがありました。
 この度の応急仮設住宅の供与の取扱いについては、福島県が、復興公営住宅の整備、住居の確保の市町村ごとの状況を踏まえて判断し、災害救助法に基づいて内閣府に協議がなされ、決定されたものでございます。
 応急仮設住宅の供与終了に当たり、福島県においては、自主避難者に対する仮設住宅の供与終了後の支援策を策定し、民間賃貸住宅の家賃補助、公営住宅等の確保、県内帰還時の移転補助を行うものと認識しております。
 復興庁としましては、住宅確保に関して、雇用促進住宅での受入れを関係団体に協力要請し、住宅の一部提供が行われることとなったほか、国土交通省とも連携しながら、公営住宅への入居円滑化の支援を行っているところでございます。また、避難者への相談支援などを通じ、福島県の支援策が円滑に進むように支援してまいりたいと考えております。
 福島県に対しては、個々の避難者の方の事情をよく伺って丁寧に対応していただくようお願いしており、県においてそのように対応されているものと認識しております。

連帯で無法打ち破ろう ブロック投入許さず 
沖縄・海上パレードに参加

photo 13・14日は、参院総務委員会の視察で福島へ。16~19日は、調査のため沖縄へ。

 安倍政権が沖縄県名護市辺野古の新基地建設に向けた海上工事を強行する中、18日、海を壊すコンクリートブロックの投入は許さないと、辺野古に隣接する大浦湾と瀬嵩(せだけ)の浜で海上パレード・抗議集会を開かれました。「ヘリ基地反対協議会」などが主催したもので、県内外からの参加者約400人が参加。 続きを読む

国民に向き合わない安倍政権打倒の大運動をまき起こそう! 
【議事録】2014年10月2日 参議院本会議代表質問

○山下よしき 私は、日本共産党を代表して、総理に質問します。
 初めに、御嶽山噴火による犠牲者、負傷者の皆様に心からの哀悼とお見舞いを申し上げます。引き続き、捜索、救出に全力を挙げることを求めます。
 また、広島市での甚大な土砂災害を始め、この夏、全国で相次いだ集中豪雨や台風による犠牲者、被災者の皆様にも心からの哀悼とお見舞いを申し上げます。
 土砂や瓦れきの撤去、当面の住宅の確保など緊急の要求に応えるとともに、被災者生活再建支援法に基づく支給限度額を少なくとも500万円に引き上げること、その対象を、浸水被害を受けた被災者、商店や小規模事業所など、なりわいに被害を受けた被災者まで拡充することを求めます。
 7月1日、安倍政権は、集団的自衛権行使を容認する閣議決定を強行しました。集団的自衛権の行使とは、日本に対する武力攻撃がなくても、他国のために武力の行使をするということ、すなわち、日本が海外で戦争する国になるということです。
 勝手な決め付けではありません。アメリカが、2001年にアフガニスタン戦争、2003年にイラク戦争を起こした際、日本は自衛隊を派兵しましたが、派兵のための特別措置法には、武力の行使をしてはならない、戦闘地域に行ってはならないという歯止めが明記されていました。しかし、今回の閣議決定では、その歯止めが外されました。自衛隊が活動する地域を非戦闘地域に限るという枠組みを廃止し、これまで戦闘地域とされた場所であっても支援活動ができるとされたのです。
 それが何を意味するでしょうか。アフガニスタン戦争で、物資の補給や輸送など後方支援を当初の任務として派兵した国は数10か国ありました。その結果どうなったか。
 ドイツは、アフガニスタンから撤退するまでに55人の犠牲者を出しました。後方支援として開始した派兵でしたが、戦闘に巻き込まれてたくさんの犠牲者が出たのです。総理、戦闘地域で軍事活動を行えば、相手から攻撃され犠牲者が出る、この事実をお認めになりますか。
 もう一つ。カナダも、アフガニスタンから撤退するまでに158人の犠牲者を出しています。このうち、20代が98人、30代が45人、合わせて全体の9割を占めたと報告されています。戦争で真っ先に犠牲となるのは未来ある若者たちだということを総理は認めますか。
 はっきりしました。集団的自衛権の行使とは、アメリカの戦争のために、日本の若者の血を流す、殺し殺される国になるということにほかなりません。
 私は心から訴えたい。若い皆さん、あなたは海外の戦場で血を流しますか。女性の皆さん、あなたは恋人や夫や息子や娘たちを海外の戦場に送り出し、殺し殺されることを望みますかと。
 国民は誰もそんなことを望んではいません。
 8月6日、広島で、被爆者団体代表は、総理に閣議決定の撤回を求める要望書を手渡し、次のように訴えました。平和記念公園の記念碑に「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と刻まれている。閣議決定は碑文の誓いを破り、過ちを繰り返すものだ。
 重い言葉です。しかし、総理は、平和国家の歩みは変わらないと強弁するだけで、この訴えに真剣に向き合おうとはしませんでした。いいのでしょうか。
 69年前、広島に投下された原子爆弾は、一瞬のうちに広島の町を焼き尽くし、多くの尊い命を奪い、放射能によって人々を後々まで苦しめています。こうした原爆のむごさ、戦争の悲惨さを体験した中から、私たちは戦争放棄を明記した憲法9条を手にしたのです。
 総理、戦後の日本の歩みの原点ともいうべき被爆者の訴えに真っすぐ耳を傾けることこそ、被爆国の総理の務めではありませんか。被爆者が、過ちを繰り返すと厳しく指摘している集団的自衛権行使容認の閣議決定は撤回すべきではありませんか。
 被爆者だけではありません。どの世論調査を見ても、集団的自衛権行使容認に反対する声は5割から6割に上ります。20代、30代では、反対が7割に達しています。若者を海外の戦場に送る政治を若者たちが強く拒否しているのです。総理はこれをどう受け止めますか。
 では、国民が望む安全保障とはどういうものでしょう。
 NHKが7月に実施した平和観についての世論調査では、日本の平和を守っていくために今最も重視すべきことは何かとの問いに、武力に頼らない外交が53.4%、民間レベルでの経済的・文化的交流が26.0%であったのに対し、武力を背景にした抑止力は僅か9.4%でした。
 また、日本の平和を守るために世界に対して日本の立場をどのようにアピールしていくことが大切かとの問いには、戦争放棄を掲げていることを世界に訴えるが27.0%、経済などの交流によって世界の国々との関係を強化するが26.8%だったのに対し、自衛のための防衛力を強化するは12.5%にすぎません。
 国民が外交と交流を重視した安全保障を強く求めていることは明らかではありませんか。
 外交、交流重視の安全保障は、決して理想論ではありません。
 東南アジア諸国連合、ASEANは、1976年に東南アジア友好協力条約、TACを締結し、武力行使の放棄と紛争の平和解決などを掲げ、ASEAN域内諸国の関係を律する平和のルールとして機能させています。ここでは、国々の間で年間1,000回を超える会合を開くなど、徹底的な対話によって信頼を醸成させています。
 TACは、1987年以降、国際条約として東南アジア地域以外にも開かれ、ユーラシア大陸のほぼ全域とアメリカ大陸にまで及ぶ57か国に広がり、世界人口の72%が参加する巨大な平和の流れとなっています。
 日本もTACに調印しています。総理、東南アジアから世界に広がる地域の平和協力の枠組みから日本が学ぶことは少なくないと思いますが、いかがですか。
 日本共産党は、TACのような、あらゆる紛争を平和的に解決する枠組みを私たちの住む北東アジアでも構築するために、次の4つの目標と原則に立った北東アジア平和協力構想を提唱しています。
 具体的には、一つ、紛争の平和解決のルールを定めた北東アジア規模の友好協力条約を締結すること。二つ、北朝鮮問題を6か国協議で解決し、この枠組みを地域の平和と安定の枠組みに発展させること。三つ、領土問題の外交的解決を目指し、紛争をエスカレートさせない行動規範を結ぶこと。四つ、日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は不可欠の土台になるということであります。この方向こそ、北東アジア地域に平和と安定をもたらす方策であり、国民が望む安全保障の方策であると考えますが、総理の見解を求めます。
 世界に広がる平和の流れに真っ向からの逆流となるのが、沖縄県名護市辺野古での米軍新基地建設の強行です。
 希少なジュゴンやサンゴが生息するちゅら海を埋め立てて造る新基地は、普天間基地の単なる移設ではありません。1,800メートル級のV字形滑走路を2本建設してオスプレイを配備し、F35戦闘機を運用する。普天間基地にはない200メートル級の埠頭を持つ軍港を建設して強襲揚陸艦を配備する。そして、普天間には置くことができなかった広大な弾薬搭載エリアを建設する。このように、辺野古の新基地は、普天間の単なる移設ではなく、その機能を一変させる海兵隊の最新鋭出撃基地の建設にほかなりません。
 これのどこが総理の言う負担軽減なんですか。むしろ、沖縄の基地負担を著しく増大させ、紛争の平和解決という世界の流れにも逆行するものではありませんか。だからこそ、沖縄県民の8割が反対しているのです。
 昨年1月、沖縄県内全ての市町村の首長と議会議長、県議会議長などがサインした建白書を総理は直接受け取られました。建白書は、米軍基地の県内移設を断念すること、米軍普天間基地を閉鎖、撤去すること、そしてオスプレイの配備を直ちにやめることを求めています。これこそオール沖縄の声であります。
 新基地が押し付けられようとしている名護市民の意思も明白です。この4年半の間に名護市では市長選挙と市議会議員選挙が2回ずつ行われましたが、その全てにおいて新基地建設反対を貫く稲嶺市長が勝利し、市長与党の市議が過半数を占める結果を出しました。
 総理は、こうした沖縄の声をどう受け止めているのですか。沖縄の方々の気持ちに寄り添うと言うのなら、新基地建設は断念すべきではありませんか。答弁を求めます。
 次に、国民の暮らしと日本経済について質問します。
 アベノミクスの円安政策による物価の上昇、原材料費の高騰が国民生活と中小企業の経営を苦しめています。その上、消費税増税が強行されました。その結果どうなったか。4―6月期のGDPは年率マイナス7.1%も落ち込みました。これは東日本大震災による落ち込みを上回っています。とりわけ、家計消費はマイナス19.5%と、1973年のオイルショック直後に匹敵する落ち込みとなりました。
 総理は、多くの企業で賃金がアップしたと繰り返しますが、それではなぜ消費がこんなに落ち込んだのですか。アベノミクスによる物価上昇とそれに続く消費税増税が賃上げ分を奪い取り、給料を目減りさせたからではありませんか。実際、働く人の実質賃金は14か月連続で前年比マイナスとなっています。
 総理は、こうした実質賃金の低下が家計消費の落ち込みの根本にあることを認めないのですか。この上、消費税を10%に引き上げたらどうなるか。更なる実質所得の減少、消費の底割れで、日本経済の土台を崩壊させることになるのは明らかではありませんか。
 そもそも、消費税増税には一かけらの道理もありません。社会保障のためといって増税しながら、医療では病床数を大幅に削減して患者を病院から追い出す、介護でも要支援者を介護保険から締め出すなど、社会保障が次々切り捨てられています。財政健全化のためと言いながら、大企業減税と公共事業に巨額のお金をばらまこうとしています。
 総理、暮らしと経済に大打撃を与え、増税の根拠も総崩れとなっている消費税10%への増税はきっぱり中止すべきではありませんか。
 日本共産党は、既に消費税の増税なしに社会保障を立て直す道を提案しています。
 第一は、税金は負担能力に応じてという応能負担の原則に立った税制改革を行い、社会保障の財源を確保することです。富裕層と大企業への優遇税制を改めて、応分の負担を求めます。
 第二は、大企業に眠っている内部留保285兆円の一部を活用して大幅賃上げと安定した雇用を実現し、景気を回復させて税収を増やすことです。
 日本共産党は、消費税増税に頼らない別の道を示しながら、国民とともに消費税増税にストップを掛けるために奮闘するものであります。
 国民の暮らしと地域経済を支える重要な役割を担っている雇用、中小企業、農業について質問します。
 まず、雇用の問題です。
 総理は有効求人倍率がバブル崩壊後最高になったと言いますが、増えているのは非正規雇用の求人だけです。第2次安倍内閣成立後の1年半で雇用者数は94万人増えましたが、内訳を見ると、非正規雇用が125万人増え、正社員は逆に31万人も減っています。
 にもかかわらず、総理は労働者派遣法の大改悪案を今国会に再提出しました。これは、派遣期間は最大3年という枠をなくし、生涯派遣を強いるものです。正社員から非正規雇用への置き換えもますます加速するでしょう。
 今でも若者の多くは非正規雇用で、低賃金と不安定な暮らしに苦しんでいます。結婚することができない、子供を産み育てることができない、親の老後を支えられないという事態が広がっています。総理は所信表明で、若者が将来に夢や希望を持てる地方の創生と述べながら、なぜ若者から夢と希望を奪う非正規雇用を増やそうとするのですか。派遣法の大改悪は中止すべきであります。
 一方で、正社員には、残業代ゼロで働かせるホワイトカラーエグゼンプションの導入や裁量労働制の拡大が検討されています。過労死を生み出している異常な長時間労働を更にはびこらせるつもりですか。
 今必要なのは、労働者の命と健康を脅かし、まともな家庭生活の障害にもなっている長時間労働を是正することです。日本共産党は、さきの通常国会で継続審議となったブラック企業規制法案を成立させるために力を尽くします。
 次に、中小企業の問題です。
 日本の中小企業は、企業数の99%を占め、勤労者の7割を雇用しています。地域経済や物づくり技術の重要な担い手となっています。しかし、多くの中小企業は赤字です。また、円安による原材料費の値上がり、消費税増税に多くの中小企業が苦しんでいます。一方、大企業は史上空前の利益を上げています。トヨタ自動車の4―6月期の営業利益は、リーマン・ショック前を上回り、過去最高を更新しています。
 にもかかわらず、大企業に法人税の減税を行うために、その財源として、赤字の中小企業にも負担を強いる外形標準課税の拡大が検討されています。黒字の大企業の減税のために赤字の中小企業に新たな課税を行う。総理、全くの逆立ちではありませんか。
 今求められているのは、中小企業の経営の安定と、そこで働く労働者の賃上げのための支援です。
 アメリカでは、最低賃金を引き上げるために、2007年から5年間で880億円規模の中小企業支援を行いました。その結果、消費の底上げに成功し、その後も最低賃金引上げに力を入れています。一方、日本では、最低賃金を引き上げるための中小企業支援は年間僅か30億円程度です。抜本的に増額すべきではありませんか。
 次に、農業の問題です。
 収穫の秋に米価の大暴落が全国の農家を襲っています。生産者が受け取る米価の目安となる概算金は前年より60キロ当たり3,000円前後下落し、史上最低の8,000円ないし7,000円台の銘柄が続出しています。全国平均の米の生産費16,000円の半分以下という異常事態です。米作って飯食えねえと悲痛な叫びが上がっています。
 価格は市場に任せるという姿勢を転換し、暴落の要因となっている過剰な2013年産米を政府が買い上げるなど、緊急の価格安定策を取るよう強く求めます。
 昨年まで米農家に10アール当たり15,000円出ていた米直接支払交付金を安倍政権が半減させ、4年後に廃止すると決めたことで、大規模稲作農家の方が先の見通しが立たないと悩み、自殺するという痛ましい事態が起きています。半減措置を撤回し、農家の経営安定策を取るべきではありませんか。
 4月7日に基本合意した日豪経済連携協定、EPAは、オーストラリア産牛肉の関税を、締結後2年間で、冷凍は10%、冷蔵は7%引き下げるものとなっています。乳製品でも、例えばナチュラルチーズの輸入を20年間で4,000トンから20,000トンに増やすものとなっています。これは日本の国内の生産量に匹敵する量です。EPAは日本の畜産や酪農に大打撃になると、総理、考えないのですか。
 日豪EPAの合意は、重要農産物を関税撤廃、削減の対象から除外するとした2006年の国会決議に違反しています。皆さん、日本の農業を守るために国会の責任を果たそうではありませんか。また、日豪EPA以上に農業と地域を破壊する環太平洋連携協定、TPPからの撤退を強く求めます。
 最後に、原発問題について質問します。
 東京電力福島第一原発事故による避難中に自死に追い込まれた女性への賠償命令を下した8月の福島地裁判決が確定しました。判決は、被告東京電力は、原子力発電所が仮に事故を起こせば、核燃料物質等が広範囲に飛散し、当該地域の居住者が避難を余儀なくされる可能性を予見することが可能であった、そして、避難者が様々なストレスを受け、その中には、うつ病を始めとする精神障害を発病する者、さらには自死に至る者が出現するであろうことについても予見することが可能であったと述べています。東京電力はこの判決を受け入れました。総理は東京電力と同じ立場に立つのですか、お答えください。
 加えて、今年の夏は、商業用原発が電力供給を開始した1966年以来、初めて稼働原発ゼロの夏となりました。それでも電力が足りなくなることはありませんでした。総理、原発再稼働・推進路線を中止し、今こそ原発ゼロへの政治決断をすべきではありませんか。
 集団的自衛権、米軍基地、暮らしと経済、原発、安倍政権の政治は、どの分野でも国民多数の願いに逆行しています。しかも、異なる意見を切り捨てる強権政治です。
 安倍政権打倒の国民的大運動を起こし、国民が主人公の新しい政治を開くために奮闘する決意を述べて、質問を終わります。(拍手)


《安倍晋三総理の答弁》

○安倍総理 山下芳生議員にお答えをいたします。
 御嶽山の噴火への対応についてお尋ねがありました。
 御嶽山の現場では、噴火活動が続く中、警察、消防、自衛隊による懸命の捜索・救出活動が行われています。
 政府としては、二次災害に留意しつつ、引き続き、関係機関が一体となって捜索・救出活動に全力を尽くしてまいります。今後の噴火活動に最大限の警戒を行い、国民生活の影響にも万全の対策を講じてまいります。
 豪雨や土砂災害の対応や被災者生活再建支援制度の拡充についてのお尋ねがありました。
 今夏、各地で相次いだ豪雨や土砂災害については、引き続き、土砂や瓦れきの撤去、当面の住宅の確保など、1日も早い被災者の生活再建に向け、関係機関が一体となって取り組んでまいります。
 被災者生活再建支援制度の拡充については、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して、慎重に検討すべきものと考えます。
 7月1日の閣議決定と戦闘地域における活動についてお尋ねがありました。
 先般の閣議決定においては、今後、我が国が行う支援活動については、現に戦闘行為を行っている現場では実施しないこととしております。したがって、戦闘地域とされた場所であっても支援活動ができるとされたとの御指摘は全く当たりません。また、いかなる場所で活動する場合であっても、これまでと同様、自衛隊の安全を確保しつつ行うことは言うまでもないと考えています。
 なお、アフガニスタンにおけるISAFに参加している各国の活動は、閣議決定で述べている支援活動、すなわち、物資の輸送、給油、医療活動といった、いわゆる後方支援と言われる支援活動とは全く異なるものであると考えています。
 集団的自衛権に関する閣議決定についてのお尋ねがありました。
 先般の閣議決定については、衆参両院の予算委員会における閉会中の集中審議を始め、国会審議や記者会見などで累次にわたって丁寧に説明し、国民の皆様の御理解を得るよう努めてまいりました。閣議決定を実施に移すためには、今後、国会に法案を提出し御審議いただくことが必要となりますが、野党の皆様との真摯な議論を通じ、分かりやすく説明し、国民の一層の御理解を得られるよう努めてまいります。
 集団的自衛権に関する世論調査についてのお尋ねがありました。
 平和国家としての日本の歩みはこれからも決して変わらず、紛争を平和的に解決するため最大限の外交努力を尽くすことは当然であります。専ら軍事のみで構えているとの批判は的外れであります。
 先般の閣議決定において、憲法第9条の下で許容されるのは、あくまで我が国の存立を全うし、国民の平和な暮らしを守るため、すなわち我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置としての武力行使のみです。海外派兵は一般に許されないという従来からの原則も全く変わりません。また、他国の防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使を認めるものでもありません。徴兵制は憲法違反であり、徴兵制につながるのではないかといった批判は全く的外れであります。
 引き続き、国民の皆様に、より一層の御理解を得られるよう、丁寧に説明しながら法整備を進めてまいります。
 東南アジア友好協力条約及び北東アジアの平和と安定に関する共産党の構想についてお尋ねがありました。
 東南アジア友好協力条約は、ASEANが軸となって地域の平和と安定の促進に向けた協力の原則を定めたものであり、有意義なものと考えています。北東アジアの平和と安定については、日本は必要な防衛力、抑止力を維持すべきと考えますが、専ら軍事で構えているという批判は当たっていません。
 この地域の平和と安定のためには、まず法の支配を遵守し、問題があれば話合いを通じて平和的に解決していくことが必要です。近隣諸国同士がお互いに意思疎通を図り、関係改善に向けて努力を重ねていくことも地域の平和と安定にとって有益です。そして、大局的な観点から未来志向の関係を築いていくことが重要と考えます。
 普天間飛行場の代替施設についてお尋ねがありました。
 普天間飛行場の移設は、現在の施設を単純に辺野古に移設するものではなく、沖縄の負担軽減に十分資するものと考えています。この際、具体的に分かりやすく説明をさせていただきたいと思います。
 現在の普天間飛行場は、まず第一にオスプレイなどの運用機能、そして次に空中給油機の運用機能、3番目に緊急時に外部から多数の航空機を受け入れる基地機能という3つの機能を有しています。これに対し、辺野古に移る機能はオスプレイなどの運用機能のみであり、他の2つの機能は本土に移転されます。また、辺野古において埋め立てる面積は、全面返還される普天間飛行場の面積と比べて3分の1以下であり、大幅に縮小されます。
 さらに、訓練等で日常的に使用する飛行経路については、現在は市街地の上空です。これが、移設後は周辺の集落から数百メートル離れた海上へと変更されます。このため、騒音も大幅に軽減されます。現在は、住宅防音が必要となる地域に1万数1千世帯の方々が居住しているのに対し、移設後はこのような世帯はゼロとなり、騒音の値は居住専用地域に適用される環境基準を満たすこととなります。これに加え、万が一航空機に不測の事態が生じた場合は、海上へと回避することで地上の安全性が確保されます。
 最も大切なことは、住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないということです。これが大前提であり、かつ政府と地元の皆様の共通の認識であると思います。
 1日も早い普天間の返還を実現するため、沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、目に見える形で負担軽減を図ることができるよう、政府を挙げて全力で取り組んでまいります。
 家計消費と賃金についてのお尋ねがありました。
 1人当たり名目賃金に雇用者数を乗じた国民全体の所得、賃金である雇用者所得は、昨年4月以降、上昇基調にあります。しかしながら、今般の物価上昇により、まだ賃金の上昇を実感しづらい状況であることも事実です。
 また、消費税率の引上げに伴う駆け込み需要の反動の継続や天候不順といったことを要因として、家計消費は確かに足踏みが見られます。このため、物価上昇や天候不順などによる景気への影響にも慎重に目配りしつつ、成長戦略の確実な実行等により、景気回復の実感を全国津々浦々にまで届けてまいりたいと考えています。
 消費税率の10%への引上げの中止についてお尋ねがありました。
 足下の経済状況については先ほど申し上げたとおりですが、今般の消費税率の引上げは、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡し、子育て支援を充実していくためのものであり、その増収分は全額社会保障の充実、安定化に充てられ、国民に還元されます。
 他方、引上げにより景気が悪化して税収も増加しないという事態に陥ることは絶対に避けなければなりません。経済再生と財政健全化の両立、この道しかありません。消費税率の10%への引上げについては、経済状況等を総合的に勘案しながら本年中に適切に判断してまいります。
 なお、法人税改革については、経済の好循環を通じて国民生活の向上につながっていくものであり、また、公共事業については、防災・減災対策などに重点化していることから、ばらまきを行っているとの御指摘は当たらないと考えます。
 労働者派遣法改正案及び労働時間制度の見直しについてお尋ねがありました。
 労働者派遣法改正案は、キャリアコンサルティングや計画的な教育訓練等の実施を派遣会社に義務付けるなど、派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップを支援するものであります。非正規雇用を増やそうとするものではなく、労働者派遣法の大改悪というレッテル貼りは不適当と考えます。
 新たな労働時間制度の創設や裁量労働制の見直しに当たっては、当然、長時間労働を強いられることがあってはならないと考えており、企業等に対する監督指導など、働き過ぎ防止のための取組の強化を図ることとしています。この新たな労働時間制度は、ホワイトカラーの方々を広く対象とする、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションとは異なるものであり、その導入は考えておりません。
 以上のように、安倍内閣としては、全ての人々が生きがいを持って働くことができ、何度でもチャンスを与えられる環境をつくっていくことが重要と考えており、頑張る人たちの雇用の安定や処遇の改善に力を尽くしてまいります。
 法人税改革と法人事業税の外形標準課税の対象拡大についてのお尋ねがありました。
 法人税改革については、日本の競争力を高める観点から、法人税を成長志向型に変革していくことで、経済の好循環を通じ、国民生活の向上につながっていくものと考えています。
 また、外形標準課税の在り方については、地方経済を支える中小企業・小規模事業者への配慮の観点も含め検討していくこととしており、大企業に減税し、中小企業に増税するとの指摘は当たりません。
 中小企業支援についてのお尋ねがありました。
 ふるさと名物の販路開拓支援など、あらゆる施策を総動員して中小・小規模事業者の支援に0全を期してまいります。
 また、事業場内の最低賃金を引き上げた中小企業等への助成など、最低賃金を引き上げる環境整備に必要な対策を講じていきます。
 さらに、中小・小規模事業者がいたずらに不利な環境に陥ることのないよう、独占禁止法や下請法の厳正な執行、金融機関による円滑な資金供給の促進など、実効ある取組を進めてまいります。
 米価の下落と農業経営対策についてお尋ねがありました。
 昨年取りまとめた農政改革の中では、米の直接支払交付金について、全ての販売農家を対象にし、担い手への農地集積のペースを遅らす面があったことなどから、意欲と能力ある担い手に集中した経営所得安定対策に見直したところであります。
 その上で、安倍内閣においては、農業の成長産業化を図るため、農地集積バンクによる農地集積、輸出促進、六次産業化の推進などを精力的に図り、さらに、米の生産調整を見直し、農業者がマーケットを見ながら自らの経営判断で作物を作れるようにするなどの改革を進めています。
 なお、米の価格は、需給動向などを反映して民間取引の中で決定されますが、急激に価格が変動した場合には、生産者の収入減少の影響を緩和する対策など、セーフティーネット措置を講じているところであります。
 いずれにせよ、こうした改革を進め、農業を若者に魅力ある成長産業としていくことが重要だと考えております。
 日豪EPA及びTPPについてお尋ねがありました。
 日豪EPAについては、国内産業の存立及び健全な発展を図っていける内容で合意したと考えており、国益にかない、全体として我が国にとって利益になる協定を実現する成果を得たいと考えています。
 TPP交渉については、交渉が最終段階を迎えている中、交渉からの脱退について言及することは不適切と考えます。
 いずれにせよ、守るべきは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求していく考えです。
 原子力発電についてのお尋ねがありました。
 この夏の電力の需給については、電力不足は何とか回避できたものの、これは国民各層や企業の皆様の節電への御協力や老朽火力をフル稼働させている結果であり、予断を許さない状態にあったと認識しています。
 他方、原発が全て止まった結果、海外の化石燃料への依存度が石油ショックの頃よりも高くなるとともに、エネルギー価格の高騰は、中小・小規模事業者の皆様を始め、国民生活に深刻な影響を与えています。また、我が国の電力分野の温室効果ガスの排出量は大幅に増加しています。
 このため、いかなる事情よりも安全性を最優先させる前提の下、独立した原子力規制委員会により、世界で最も厳しいレベルの規制基準に適合すると認められた原発については、その科学的、技術的な判断を尊重し、再稼働を進めていく方針です。
 国が当事者でない個別の裁判事案についてコメントすることは差し控えますが、東京電力には、引き続き、被害者の方に寄り添った公平かつ適切な賠償を行うよう指導してまいります。(拍手)