消費税増税 地方財政を悪化 代表質問 
2019年3月13日 参議院本会議

山下よしき 日本共産党を代表して、安倍総理並びに関係大臣に質問します。
 東日本大震災、東京電力福島第1原発事故から8年がたちました。改めて、犠牲となられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、今も避難生活を強いられている方を始め、被災された方々にお見舞いを申し上げます。政府が被災者支援に最後まで全力を尽くすこととともに、東電が最後のお1人まで誠実に誠意ある賠償を行うことを求めます。
 震災の教訓を生かすために、野党は、津波で根こそぎ住まいを失うなど、被災された方々への支援金の上限をせめて500万円に引き上げる被災者生活再建支援法改正案、いまだ4万人を超える方がふるさとに戻れない福島の現実を踏まえた原発ゼロ基本法案を提出しています。
 総理、二法案を真剣に検討すること、与党が審議に応じるようイニシアチブを発揮することを強く求めます。

 地方自治に関わって2点聞きます。
 沖縄で辺野古埋立ての是非を問う県民投票が行われました。全市町村で反対が賛成を上回り、全県で反対が七割を超えました。昨年の県知事選挙で玉城デニー知事が得た過去最高の得票をも上回っています。
 総理、投票結果を真摯に受け止めるというのなら、直ちに土砂投入を中止して、沖縄と誠実に対話すべきではありませんか。
 ところが、総理は、3月5日の予算委員会で、わが党の小池議員に、県民投票の結果が示す沖縄の民意は辺野古基地建設反対だということを認めるかと何度問われても、結果について評価は差し控えたいとしか答えず、辺野古基地反対が沖縄の民意であることを最後まで認めませんでした。
 総理、なぜ認めないのですか。自分の気に入らない民意は認めないということですか。
 岩屋防衛大臣の、県民投票の結果に関わりなく、あらかじめ埋立事業を続けることは決めていたとの答弁にも驚きました。菅官房長官も同様の考えだと語っています。総理、安倍政権には民主主義も地方自治も関係ないということですか、お答えください。
 総理は国会答弁で、6割以上の自治体から自衛隊員募集の協力が得られていない、誠に残念だ、このような状況に終止符を打つためにも自衛隊の存在を憲法上明確に位置付けることが必要と述べました。しかし、自衛隊施行令には、防衛大臣は、自衛官募集に関し、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な資料の提出を求めることができるとあるだけで、自治体に応じる義務はありません。だから、多くの自治体は、募集対象者情報の提出、すなわち若者の氏名、生年月日、男女の別及び住所を名簿にして提出することを求められても、個人情報保護、プライバシー保護などの観点から提出していないのです。これは、地方自治の原則からも当然のことであります。
 歴代の防衛庁長官、防衛大臣も、私どもが依頼しても自治体は応える義務というのは必ずしもございません、石破防衛庁長官、地方公共団体が実施し得る可能な範囲での協力をお願いいたしております、中谷防衛大臣、と繰り返し答弁しています。防衛大臣、政府はこうした立場を変えたのですか。
 このような自治体の対応に終止符を打つとして、憲法に自衛隊を書き込むと言い出した総理の狙いは何か。若者の名簿の提出をお願いすることしかできない現状に終止符を打ち、自治体に強制的に名簿を提出させるようにすること以外ないのではありませんか、答弁を求めます。

 厚生労働省の統計不正を調査する特別監察委員会の樋口委員長が、2001年以降、同省の審議会や研究会など32の会議で、会長、座長、委員などの役職を務めていたことが明らかになりました。これでは、特別監察委員会の第3者性は到底確保できません。現に、同委員会の追加報告書に対し、国の統計を所管する総務省の統計委員会から、分析も評価もなく、再発防止を考える際に必要な情報が著しく不足していると厳しい意見が出ています。
 総理、統計に対する国民の信頼を取り戻すためには、真に第三者性が確立された体制で調査をやり直すことが必要だと考えますが、いかがですか。

 地方財政について質問します。
 国と地方を合わせた支出のうち、地方の支出の割合は六割を占めるのに、税収全体に占める地方税の割合は四割しかなく、10年前より後退しています。全国知事会など地方六団体は、巨額の財源不足が解消されていない、地方交付税の法定率の引上げなど特例措置に依存しない持続可能な制度の確立をと求めています。
 総理、毎年出されるこの要請に、政府として、いつ、どのように応えるつもりですか。
 来年度の地方財政計画は、10月からの消費税増税を前提に、地方税収が大幅に増えると見込んでいます。しかし、消費税を3%から5%に引き上げた際、上向いていた景気が急速に悪化し、地方の税収総額は減りました。家計消費も実質賃金も落ち込んでいる今、消費税10%への増税が地方財政を悪化させないという保証はどこにあるのですか。総理、お答えください。

 安倍政権は、自治体の様々な業務にトップランナー方式を導入し、基準財政需要額の単位費用を、民間委託などを前提に削減してきました。導入された18業務での削減額は1632億円にも上ります。
 政府はさらに、自治体の窓口業務にまで導入しようとしていますが、窓口業務は、住民のニーズを直接つかみ、新たな政策につなぐ最前線です。総務委員会で意見陳述された富山市の森市長は、職員がフェース・ツー・フェースで様々な相談に対応でき、市民に安心感が生まれると、窓口業務の民間委託に反対されました。
 石田総務大臣、この声をどう受け止めますか。窓口業務の民間委託を進めるための財政誘導は断念すべきではありませんか。

 次に、女性と子どもの貧困の問題です。
 現在、税制上の寡婦控除は、婚姻歴のない非婚、未婚のひとり親には適用されません。そのために、税や保育料などの支払が年間10万円ないし数10万円も高くなるなど、非婚のシングルマザーは大きな不利益を受けてきました。同じシングルマザーでも婚姻歴があるかないかで差別される、これは憲法14条の平等原則にも子どもの権利条約にも反する事態だと言わなければなりません。
 総理、余りに理不尽であり、不合理だと思いませんか。

 世論と運動によって、公営住宅の入居資格や賃料、保育料などについては、非婚のひとり親世帯に対しても寡婦控除のみなし適用がされるようになりました。地方税においても本法案で2021年から住民税への非課税措置が適用されます。しかし、所得税については、与党内で検討するとしながら数年にわたってストップが掛かったままです。
 総理並びに麻生財務大臣、所得税における非婚のひとり親世帯に対する寡婦控除の適用を直ちに決断すべきではありませんか。
 虐待によって子どもの命が脅かされることがあってはなりません。児童相談所に付設される一時保護所は、心も体も傷つけられた幼い子どもに24時間体制で丁寧に対応する大事な役割を果たしています。ところが、全国に137か所しかない一時保護所では、定員を超えて子どもを保護する事態や受入れを断らねばならない事態が広がっています。背景には、施設整備の補助単価が低く、自治体負担が重いことがあります。
 子どもの命を守り抜くために、児童相談所とともに一時保護所の整備と職員配置への十分な財政措置を急ぐべきです。
 総理の見解を求めて、質問を終わります。

安倍晋三内閣総理大臣 山下芳生議員にお答えをいたします。

 野党提出法案の審議についてお尋ねがありました。
 被災者生活再建支援制度は、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた方に対し、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により最大300万円の支援金を支給するものです。支援額の引上げについては、国や都道府県の財政負担等の課題があり、慎重に検討すべきものと考えます。
 また、いわゆる原発ゼロ基本法案に関しては、現在、多くの原発が停止する中で、震災前と比較して一般家庭で平均約16%電気代が上昇し、国民の皆さんに経済的に大きな御負担をいただいている現実があります。
 資源に乏しい我が国にとって、こうした経済的なコストに加え、気候変動問題への対応、エネルギーの海外依存度を考えれば、原発ゼロということは責任あるエネルギー政策とは言えないと考えます。
 いずれにせよ、御指摘の両法案については、議員立法によるものであり、その取扱いについては国会において御判断いただくものと考えています。

 沖縄の県民投票、その結果の評価、辺野古移設についてお尋ねがありました。
 沖縄に米軍基地が集中する現状は、到底是認できません。沖縄の負担軽減は、政府の大きな責任です。今回の県民投票の結果を真摯に受け止め、これからも政府として基地負担の軽減に全力で取り組んでまいります。
 住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場が、固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければなりません。これは地元の皆様の共通認識であると思います。普天間の全面返還を日米で合意してから20年を超えた今もなお返還が実現しておらず、もはや先送りは許されないと思います。
 先日、沖縄県玉城知事にお目にかかり、知事とは今後とも様々な形で意見交換を行っていくことで一致したところです。長年にわたる地元の皆様との対話の積み重ねの上に、これからも御理解を得る努力を続け、普天間飛行場の1日も早い全面返還の実現に向けて全力で取り組んでいく考えです。
 県民投票は地方自治体における独自の条例に関わる事柄であり、その結果について政府として評価を加えるようなことは差し控えたいと思います。
 安倍政権においては、普天間飛行場の1日も早い全面返還を実現するという基本方針で取り組んでおり、この方針の下、移設工事については防衛大臣が適時適切に判断しているところです。いずれにせよ、民主主義も地方自治も関係ないとの御指摘は当たりません。
 政府としては、今後とも沖縄の基地負担軽減に全力を尽くし、一つ一つ着実に結果を出してまいります。

 憲法に自衛隊を書き込む狙いについてお尋ねがありました。
 憲法改正の内容について、内閣総理大臣としてこの場でお答えすることは差し控えるべきものと思いますが、お尋ねであるため、あえて申し上げれば、近年の調査でも自衛隊は合憲と言い切る憲法学者は二割にとどまります。かねてから申し上げているとおり、君たちは憲法違反かもしれないが、何かあれば命を張ってくれというのは余りにも無責任ではないでしょうか。
 私は、国民のため命を賭して任務を遂行する自衛隊員の諸君の正統性を憲法上明文化し、明確化することは、国防の根幹に関わることだと考えています。このような状況に終止符を打つためにも、自衛隊の存在を憲法上明確に位置付けることが必要ではないか、このような私の考えを申し上げているものであります。
 なお、自衛官募集については、自衛隊法第97条において、都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官の募集に関する事務の一部を行うと規定されており、法律上、自衛官募集は自治体が行う事務とされています。一般論として申し上げれば、行政機関に対して法律に基づいて与えられた事務について、行政機関はこれを適切に遂行すべきものと考えられます。
 いずれにせよ、法令に基づき自治体の事務とされている事項について、六割以上の自治体が求めに応じていないことは事実であり、残念であると申し上げているものであります。

 統計問題についてお尋ねがありました。
 特別監察委員会の樋口委員長は統計や労働経済研究の専門家であること等から、その個人の資質に着目して委員長をお務めいただいているものと承知しています。また、委員会の下に元最高検検事の方を事務局長に迎え、独立性を強めた上で、先般、追加報告書が取りまとめられたところであり、その内容については、中立性、客観的な立場から検証作業を行っていただいた結果であると考えています。

 特例措置に依存しない地方財政制度の確立についてお尋ねがありました。
 アベノミクスの政策により来年度の地方税収や地方交付税の法定率分が増加となったことに伴い、平成31年度の地方財政対策では、財源不足が大幅に縮小し、臨時財政対策債の発行額を7000億円減と大幅に抑制しました。その上で、地方交付税を始めとした一般財源総額を前年度から6000億円増となる62.7兆円確保しております。これらの内容については、地方六団体からも高い評価をいただいているところであります。
 今後とも、法定率の見直しなど制度的な対応の議論も行いつつ、歳入面では、地域経済の好循環を全国津々浦々で一層拡大することなどにより地方税等の更なる増収を図るとともに、歳出面では、めり張りを付けて歳出構造を見直すことで、臨時財政対策債のような特例債に頼らないよう、財務体質の強化を図ってまいります。

 消費税の増税に伴う地方財政への影響についてお尋ねがありました。
 家計消費について、世帯当たりの消費を捉える家計調査の家計消費支出は、世帯人員の減少などから長期的に減少傾向となっています。一方で、一国全体の消費を捉えるGDPベースで見ると、2016年後半以降、増加傾向で推移しており、持ち直しています。
 消費を取り巻く環境を見ると、生産人口が減少する中でも雇用が大幅に増加し、国民みんなの稼ぎである総雇用者所得は名目でも実質でも増加が続くなど、雇用・所得環境は着実に改善しており、消費は持ち直しが続くことが期待されます。
 その上で、今回の消費税率の引上げに当たっては、前回の8%への引上げの際に耐久財を中心に駆け込み需要と反動減といった大きな需要変動が生じた経験を踏まえ、いただいた消費税を全て還元する規模の12分な対策を講ずることとしています。これにより消費を下支えし、景気の回復軌道を確かなものとして、地方税収の確保も図ってまいります。
 なお、御指摘の実質賃金については、毎勤統計では、アベノミクスによる雇用拡大で女性や高齢者などが新たに雇用された場合は平均賃金の伸びも抑制され、さらに、デフレではない状況もつくり出す中で物価が上昇すれば一層抑えられるという特徴があることに留意が必要だと考えています。

 未婚のひとり親に対する税制上の対応についてお尋ねがありました。
 ひとり親家庭の自立を支援し、子どもたちの未来が家庭の経済状況によって左右されることのないよう、これまでも児童扶養手当の増額など積極的な支援を実施してきました。さらに、子どもの貧困に対応するため、平成31年度与党税制改正大綱を踏まえ、児童扶養手当の支給を受けており、所得が一定以下のひとり親に対し、個人住民税を非課税とする措置を今回の法案に盛り込んだところです。
 未婚のひとり親に対する更なる税制上の対応の要否等については、与党において、平成32年度税制改正において検討し、結論を得ることとされており、政府としては、こうした議論も踏まえつつ適切に対応してまいります。

 一時保護所への財政措置についてお尋ねがありました。
 一時保護は、子どもの安全確保のため、個々の子どもの状況に応じ適切に行われることが重要です。このため、適切な環境で一時保護を行うことができるよう、来年度予算においては、施設整備に関する補助単価を加算するほか、一時保護を実施するための専用施設に対する補助などを行うこととしています。
 御指摘の一時保護所の整備と職員配置への財政措置の拡充については、実情を踏まえた適切な対応を検討してまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。

石田真敏総務大臣 山下議員にお答えをいたします。

 まず、窓口業務の役割についてお尋ねがございました。
 住民の多様な相談を受け住民のニーズを把握することは、地方公共団体の重要な役割の一つであります。他方、質の高い公共サービスを効率的、効果的に提供する観点から、外部資源を活用しながら業務改革を進め、そこで捻出された人的資源を職員が自ら対応すべき分野に集中することも重要であると認識いたしております。
 このため、例えば窓口業務のうち定型的な申請、届出等は民間委託の対象としつつ、住民からの相談については職員が担当することにより、職員が住民ニーズを直接把握しながら業務改革を行うことが可能であると考えています。
 いずれにいたしましても、窓口業務の民間委託を含め、どのように業務改革を進めるかについては、各地方公共団体において地域の実情に応じて適切に判断されるべきものと考えております。

 次に、窓口業務へのトップランナー方式の導入についてお尋ねがございました。
 トップランナー方式は、多くの団体が民間委託等の業務改革に取り組んでいる業務について、その経費水準を単位費用の積算基礎とするものであります。窓口業務へのトップランナー方式の導入につきましては、現時点におきまして多くの団体が民間委託を導入している状況にないため、平成31年度においては導入を見送ることとしております。
 今後、窓口業務の委託につきまして、委託が進んでいない理由を踏まえた上で、地方独立行政法人の活用や標準委託仕様書の拡充、全国展開などの取組を強化し、その状況を踏まえ、トップランナー方式の導入を検討することとしています。
 なお、地方交付税は使途が制限されない一般財源であり、トップランナー方式の対象業務をどのような手法で実施するかは各地方団体において自主的に判断されるものであります。(拍手)

岩屋毅防衛大臣 山下芳生議員にお答えいたします。

 自衛隊員の募集に対する自治体の協力についてお尋ねがありました。
 自衛隊法第97条において、都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官等の募集に関する事務の一部を行うと規定されております。また、自衛隊法施行令第120条により、防衛大臣は、自衛官の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができると定められており、これらの法令上、自衛官等の募集は、法定受託事務として自治体の行う事務であります。
 防衛省としては、自治体から募集に必要な資料を当然に提供いただけるという前提で、丁寧に依頼を行っているところであります。
 御指摘の答弁におきまして、当時の防衛大臣が、私どもが依頼しても応える義務というのは必ずしもございません、あるいは、地方公共団体が実施し得る可能な範囲での協力をお願いいたしておりますと答弁したのは、自治体に対し、法令に基づく事務として資料の提出を求める一方、これを強制することはできないことを述べたものであります。この意味において、御指摘の答弁の趣旨は現在も変わるものではありません。
 今後とも、より多くの自治体から資料の提出をいただくべく、丁寧に働きかけてまいります。

麻生太郎財務大臣 山下議員から、未婚のひとり親に対する税制上の対応について、一問お尋ねがあっております。
 未婚のひとり親に対する税制上の対応につきましては、先ほど総理から既に答弁がありましたとおり、今回の地方税法の改正法案におきまして、子どもの貧困に対応するため、一定のひとり親に対し個人住民税を非課税とする措置を講ずることとしているところであります。
 平成31年度与党税制改正大綱では、更なる税制上の対応の要否等につきましては、平成32年度税制改正において検討し、結論を得ることとされております。
 政府といたしましては、与党における議論を踏まえ、適切に対応してまいります。

小中校のエアコン電気代–総務相が「適切に措置」 と答弁 法治主義に反する–辺野古「執行停止」批判 
2018年11月22日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。

 昨日の質問通告と順番変えまして、まず、民主主義と地方自治に関わる重大問題について質問します。

 9月30日、沖縄県知事選挙で辺野古新基地建設反対を掲げる玉城デニー氏が、相手候補に8万票の大差を付けて勝利いたしました。沖縄県民の揺るがぬ民意があらためてしめされる結果となりました。

 ところが、その直後、沖縄防衛局は、沖縄県による埋立承認撤回の処分に対し執行停止を申し立て、10月30日、国土交通大臣は、行政不服審査法の規定によりその効力を停止すると決定いたしました。玉城知事は強い憤りを禁じ得ないとコメントされましたが、そもそも行政不服審査制度をこのように用いていいのかということが問われております。

 資料1枚目に行政不服審査法の抜粋を載せておきました。第1条、この法律は、行政庁の処分に関し、国民が簡易迅速に不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図ることを目的とするとあります。要するに、国民、すなわち一般私人が行政に対して裁判を起こすにはお金も時間も労力も必要となり、泣き寝入りとなりかねないので、簡易迅速に国民の権利を救済するためにこの制度があるということであります。

 したがって、これ本来、国の機関がこの制度を用いることはできないはずです。適用除外にするべきなんです。ただ、国の機関なら全ての場合この制度の適用除外になるかというとそうではないと。

 この法律7条2項にどういう場合適用除外となるかについて明記されてあります。傍線引いたところですが、国の機関がその固有の資格において当該処分の相手方となるものについては、この法律の規定は、適用しない。つまり、国の機関が固有の資格において行った事務事業に対する行政処分については、行政不服審査制度の適用はされないということであります。

 そこで問題になるのが、この行審法のいう国の、固有の資格とは何かということなんですが、資料2枚目に、「逐条解説 行政不服審査法」、2016年4月総務省行政管理局発行より当該部分を抜粋いたしました。傍線引っ張っています。

 固有の資格の概念は、一般私人が立ち得ないような立場にある状態を指すものとされる。なお、どの処分について固有の資格を認めることができるかどうかの判断はおおむね①及び②のようなメルクマールで判断されることになるとして、①は処分の相手方に着目したメルクマール、基準が述べられております。処分の相手方が国の機関等に限られているケースは、固有の資格に当たるものと考えられる。例えば、地方公共団体による地方債の発行はこのケースに当たり、該当し、固有の資格に当たると総務省は説明しております。

 一方、公有水面の埋立ては、国又は地方公共団体に限らず民間事業者も行う場合があるのでこのケースに該当しないと国交省は判断していると思われます。

 そこで、②は事務事業の性格に着目した基準を示しております。傍線引っ張ってあります。処分の相手方が、国の機関等に限られていない場合であっても、当該法令上、当該処分の相手方に係る事務事業について、国の機関等が自らの責務として処理すべきこととされている又は原則的な担い手として予定されているケースについては、当該法令に定める制度において国の機関等は、その行政主体たる地位が特に着目されているものと考えることができ、一般私人が行う場合が排除されていないといっても、一般私人が任意に行う場合とは事務事業を実施する背景が異なることから、一般には固有の資格に当たるものと考えられるとしております。大変大事な基準だと思いますが。

 そこで、今日は国土交通副大臣に来ていただいておりますが、この②の基準に照らして、防衛省沖縄防衛局が米軍新基地を建設するために公有水面を埋め立てる事業が固有の資格に当たるものではないと判断した理由を述べてください。

大塚高司国土交通副大臣 お答えをいたします。

 行政不服審査法第2条におきまして、審査請求をすることができる者については、「行政庁の処分に不服がある者」と規定をしておるところでございます。

 沖縄防衛局のような国の機関であっても、こういう処分を受けたものと言える場合におきましては、一般私人と同様の立場で処分を受けたものであって、固有の資格、すなわち一般私人が立ち得ないような立場で撤回を受けたものではないと認められることから、審査請求をすることができると解釈をされます。

 この点、前回の承認取消しの違法性が判断されました平成28年の最高裁裁判におきまして、判決におきまして、承認の取消しが行政不服法第2条の処分であることを踏まえた判断を行っております。今回の承認の撤回も、埋立てをなし得る法的地位を失わせる点で承認の取消しを何ら変わらないことなどから、沖縄防衛局は行政不服審査法第2条の処分を受けたものと言えます。

 したがって、沖縄防衛局は、一般私人と同様に、今回の承認の撤回については審査請求ができるということで判断をいたしました。

山下よしき 答えていないんですよ。

 最高裁の判決は、処分に当たると言っているだけなんですよ。しかし、処分に当たっても、それが固有の資格に当たるかどうかの基準に照らして判断しなければなりません。その処分の相手方、つまり沖縄防衛局の行った事務事業の性格が固有の資格に当たるかどうか判断しなければならないんですね。

 この②の基準に照らして、そう判断、当たらないと、固有の資格に当たらないと判断した理由を聞いているんですが、処分に当たるとしか今言っていないんですよ。もう1回言ってください。

林俊行(国土交通省水管理・国土保全局次長) お答えいたします。

 今ほど大塚副大臣の方からご答弁をさせていただいたとおりでございますけれども、平成28年の最高裁判決におきましては、前回問題になりました辺野古の埋立承認の取消しにつきまして違法性が判断をされておりますけれども、その際には、この埋立承認の取消しが行政不服審査法2条の処分であるということを踏まえた判断を行っております。そのために、今回の承認の撤回も埋立てをなし得る法的地位を失わせる点では承認の取消しと何ら変わらないということですので、沖縄防衛局は行政不服審査法第2条の処分を受けたものと解釈をしております。

 したがいまして、沖縄防衛局については、一般私人と同様に、今回の承認の撤回について審査請求ができると判断をいたしました。

山下よしき 7条2項を私、しめして、7条2項の判断が求められる、その基準はメルクマールに逐条解説で書いていますよと。じゃ、このメルクマールにのっとって、なぜこれが固有の資格に当たらないと判断したのかを聞いているんです。その答えはありません。

林次長 委員ご指摘のメルクマールについて申し上げますと、②の事務事業の性格ということでございますけれども、公有水面埋立法の免許あるいは承認の対象にしておりますのはあくまでもその公有水面の埋立てでございまして、このことにつきましては、国でも、あるいは地方公共団体など行政機関でありましても、また一般私人におきましても、免許なり承認を取らないと埋立てを行うことができないという意味では同様であると考えております。

山下よしき 答えになっていないです。それは①なんですよ。国だけではなくて、一般私人、民間事業者も埋め立てることができる、取り消されれば埋め立てることができなくなる、それは同様だという場合は①なんですよ、固有の資格じゃないと言うんだったらね。しかし、その上に、処分の相手方が国の機関に限られていない場合であっても、その事業、事務の性質が国の機関等が自らの責務として処理すべきこととされているということであれば、これは固有の資格に当たると考えるべきであると、こう書いてあるんですよ。その判断していない。

 元々この今回の埋立予定水域は、キャンプ・シュワブに隣接した水域ですので、日米安保条約6条に基づく地位協定により米軍に提供された水域なんですよね。米軍提供水域です。ここを埋め立てるには日米両政府の合意が必要でありまして、その合意を前提に沖縄防衛局は公水法上の埋立申請を行って、一連の基地建設のための事業を遂行しております。

 日米両政府の合意を得て、そして米軍提供水域を米軍基地を建設するために埋め立てるなどという行為が、この性格が一般私人にできるはずないじゃありませんか。国以外にできるはずないじゃありませんか。だから、当然そういう内容に照らして、性格に照らしてこの②の判断基準にのっとれば、私は、これは明らかに固有の資格に当たるとならなければいけないと思うんですが、当たらないとした理由を言ってください。

林次長 繰り返しになって恐縮でございますけれども、私ども、辺野古の基地云々というのはちょっと所管外でございますので、お答えをする立場にはございません。

 公有水面埋立法の対象にしております行為、これはあくまでも公有水面の埋立てという行為でございますので、その点につきましては、特定の事業者が、責務であったり、あるいは特定されている、この人しかできないといったようなものではないというふうに考えておりまして、そういう意味でお答えをさせていただきました。

山下よしき 結局、この②を無視しているということですよ。全く無視している、形式上だけ判断してね。違いますよ。事の性格からいうと、これは固有の資格に絶対当たると。

 その判断を、じゃ、米軍基地のために公有水面埋め立てるという事業、民間事業やったことありますか。そんな申請出ましたか。

林次長 これまでそういったケースはないと思います。

山下よしき ないんですよ。

 だから、これはしっかり、私が言いたいのは、行政不服審査法によって執行停止を決定したと言いながら、行政不服審査法の判断基準を全く無視している。これは法治主義に反しますよ、こんなことは。こんな無法な国交大臣の決定は、私は取り消すべきだと思います。

 委員長に一つ提案いたしますが、今回の執行停止に対しては、多数の行政法学者が異議を唱えておられます。委員会として、そうした方の意見を聞く機会を設けるよう提案いたしたいと思いますが、ご検討ください。

秋野公造総務委員長 後刻理事会にて協議いたします。

山下よしき 次に、この夏の猛暑により児童生徒が熱中症で亡くなりました。あってはならないと、小中学校の教室や体育館に来年の夏までにエアコン設置を求める声と運動が高まって、補正予算に設置のための特例交付金が盛り込まれました。

 この問題で、長年運動してきた新日本婦人の会の皆さんが、この特例交付金を活用してエアコン設置をと全国各地の自治体に要請したところ、多くの自治体が歓迎し、積極的にエアコン設置の申請がされております。

 同時に、設置に伴う不安も出ております。その一つがランニングコスト、電気料金の問題です。既にエアコンを設置している学校でも、節約のために室温が三十度を超えることがあるとか、電気使用量が一定量を超え、料金が上がることを知らせるデマンド警報が鳴ると、校長先生が各教室の冷房を切って回っているという実態があります。

 総務大臣、せっかくエアコンが設置されても、これでは子どもたちの命を守り切ることはできません。勉強に集中できる環境をつくり切ることもできません。

 2点、提案いたします。一つは、エアコンの運用に伴う電気料金の増額分、普通交付税で措置すべきではないか。二つ目、その際、既設の電気料金を調査することになると思いますが、先ほど述べたような、節約のために不10分なエアコン運用となっている学校もあることを踏まえ、必要な料金を正確に反映すべきではないか。以上、いかがでしょうか。

石田真敏総務大臣 今まで公立小中学校の学校運営に要する経費につきましては、光熱水費を含め、普通交付税において措置をしています。しかしながら、冷房設備に係る電気代については、冷房設備の設置率が低かったことから、これまでは光熱水費に積算されていなかったわけでございます。

 この平成30年度の補正予算におきまして、全ての公立小中学校に冷房設備を設置するためブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金が計上されたことを踏まえまして、平成31年度より、冷房設備に係る電気代について、普通交付税により措置をすることを検討いたしております。

 続きまして、その普通交付税措置の検討に当たって調査をするかというお話でございました。

 公立小中学校のうち標準的な規模の学校で冷房設備設置率が70%以上の学校約千五百校を抽出し、冷房設備に係る電気代をただいま調査をいたしているところでございます。この調査結果を踏まえまして、全国の冷房設備に係る電気代の所要額を見込み、普通交付税により適切に措置してまいりたいと考えております。

山下よしき 先ほどの質疑でもありましたけれども、来年度は、そういう意味ではエアコンの設置費用あるいはランニングコストで自治体の必要経費はかなり増えると思われます。先ほどの自治体訪問でも、もう結局、交付税の総額は変わらないから自治体の中での予算の奪い合いになってしまうという声も出されておりました。

 そこで、総務大臣、一般財源の総額、交付税の総額、増額する必要があるんじゃないかと。自治体の首長さんも経験されている大臣の決意を伺いたいと思います。

石田総務相 来年度の地方歳出につきましては、国の歳出の取組と基調を合わせつつ、適切に地方財政計画に計上することといたしております。

 その上で、学校の冷房設備への対応も含めまして、地方団体が様々な地域課題に取り組めるよう、新経済・財政再生計画に沿って安定的な財政運営に必要な一般財源総額をしっかりと確保してまいりたいと思っております。

山下よしき やはり必要経費は増えるんですからね、増額を図るべきだと思っております。

 エアコン設置の特例交付金は体育館にも活用できると聞いておりますが、文科省さん、今、体育館の申請、採択の状況、どうなっていますか。

山崎雅男(文部科学大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官) お答え申し上げます。

 公立小中学校等は児童生徒の学習の場であり、その学習環境の安全性を確保することは重要であるというふうに考えております。

 今般の補正予算においては、児童生徒の日々の学習に際して、熱中症を予防し安全を確保する観点からエアコン設置に取り組むこととしているため、まずは児童生徒が最も長時間を過ごす普通教室への設置が最優先というふうに考えております。

 その上で、普通教室以外へのエアコン設置は、執行状況を勘案しつつ、各地方自治体からの要望も踏まえながら、今後状況を見極めていきたいというふうに思っておりますが、現在、各地方自治体の事業量を把握するための調査を取りまとめ、その内容を精査しているところであり、今後、早期の内示に努めてまいりたいと考えております。

山下よしき 何で体育館にエアコンが必要かということですが、猛暑日には子どもたちを外で遊ばせることはできません。したがって、体育の授業は体育館でやることになります。それから、始業式、終業式などの全体行事も体育館で行われますし、もちろん災害のときには体育館が避難所になります。

 総務省に伺いますが、補正予算の特例交付金の枠の大半は、私、文科省に聞きましたら、普通教室で埋まってしまうんじゃないかというふうに聞きました。放置できないんじゃないでしょうか。

林崎理(総務省自治財政局長) お答え申し上げます。

 ただいまの交付金の対象にならないような体育館につきまして、関連する財政措置、私どもの方で一定ございますのでご説明申し上げたいと思いますが、避難所の指定を受けている小中学校の体育館におきましては、避難者の生活環境の改善のために空調設備を整備する場合には、緊急防災・減災事業債というものがございまして、これの活用が可能でございます。

 この緊急防災・減災事業債につきましては、地方債の充当率を100%といたしておりまして、その元利償還金の70%を交付税措置をすると、こういう仕組みでございまして、今年度、30年度の地方債計画におきましては五千億を計上しているところでございますけれども、更なる活用が可能でございますので、防災・減災対策に取り組む自治体におきましては、是非この制度も積極的にご活用いただきたいと私どもとしても考えているところでございます。

山下よしき そちらで付いたとしても、体育の授業にも使いますからね、エアコンは。

 文科省、特例交付金で体育館へのエアコン設置の申請をしたけれども採択されなかった自治体には、今の緊防債が活用できることを周知すべきだと思いますが、いかがですか。

山崎参事官 お答え申し上げます。

 制度を所管する総務省とも連携しつつ、緊急防災・減災事業債を活用して体育館へのエアコンを設置することも可能であるということについて、自治体の周知に努めてまいりたいというふうに考えております。

山下よしき 11月9日、全国知事会が、被災者生活再建支援制度の充実と安定を図るための提言を発表されました。その土台となったワーキンググループの見直し検討結果報告を見ますと、同制度適用開始20年を迎え、同制度において支障となった事例が出てきている、そのため支援対象を拡大する検討を行ったとあります。

 この支援制度というのは、ご存じのとおり、1995年阪神・淡路大震災以来の被災者の皆さんの粘り強い運動と時々の政治の決断によって法制度が設立され、拡充されてきたものであります。したがって、そういう点で今回の知事会の検討も大変重要な意義を持っていると思いますが、石田大臣、どういうご認識でしょうか。

石田総務相 被災者生活再建支援制度は、阪神・淡路大震災を踏まえて、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、住宅に全壊や大規模半壊等の重大な被害を受けた世帯に対しまして、全都道府県の相互扶助及び国の財政支援を行うため、平成10年度に議員立法により制定されたと承知いたしておりまして、制度創設から20年を迎えまして、近年大規模災害が続いている状況を受けて、被災者支援に向き合う都道府県が制度を運用する立場から、本制度の現状と課題について検討を行い、貴重な提言を行ったものと考えております。

山下よしき 時間参りましたので。

 これまでも、私有財産の再建には支援しないとか過去の災害被災者とのバランスとかいうことが壁になりましたけれども、それを打ち破ってきたのはやはり被災者の実態であります。そういう点で、今回の知事会の調査、提言にはそういう実態がたくさんありまして、それに基づいた新しい制度発展の提言もされております。もう時間が参りましたので、その点については引き続きまた議論したいと思います。

 ありがとうございました。

地方交付税の拡充を 法定率引き上げ求める 
2017年3月10日 参議院本会議

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 地方財政計画及び地方税法、地方交付税法改定案について質問します。
 地方自治に関わって、まずお聞きします。
 安倍政権は、2月6日、沖縄県名護市辺野古で米軍新基地建設の工事を再開し、大浦湾のちゅら海に連日、巨大なコンクリートブロックを投げ込んでいます。断じて許されません。
 沖縄では、2014年の名護市長選挙、県知事選挙、総選挙、そして2016年の参議院選挙と、辺野古が争点となった全ての選挙で新基地建設反対を掲げたオール沖縄が勝利するなど、県民の意思は明白です。この圧倒的な民意を踏みにじり、新基地建設を強行することなど、民主主義と地方自治を掲げる国としてあってはなりません。
 昨日、沖縄県民の民意尊重と基地負担押し付け撤回を求める全国統一署名の国会提出行動が取り組まれ、全国から121万筆もの署名が届けられました。これは沖縄だけの問題ではありません。
 高市総務大臣、今政府が沖縄で進めていることと、地域の在り方は地域に住む住民の意思によって決めるという地方自治の根本との関係について、大臣はどのように考えていますか。沖縄県民と国民が理解できるよう説明してください。
 さて、地方の財源不足が22年間も続いています。政府はこの間、財源不足は国と地方の折半で負担するとして、自治体に対し、地方交付税の代替財源として位置付けた臨時財政対策債の発行を認めてきました。しかし、臨時財政対策債は、自治体からすれば新たな借金にほかなりません。この間、臨財債発行の延長が繰り返され、残高は52円にも膨らんでいます。今や、総務省が認めた発行可能額よりも実際の臨財債発行を抑制する自治体が二割に上るなど、この仕組みが自治体の歳出抑制、住民サービス低下を招いています。
 総務大臣、臨時といいながら16年も続いてきた、地方に負担を肩代わりさせるやり方はそろそろやめるべきではありませんか。財源不足が続いたときは地方交付税の法定率を引き上げるとしている地方交付税法の原則に従って、今こそ法定率を引き上げるべきではありませんか。
 我が党は、大企業や富裕層に対する優遇税制を改め、能力に応じて負担する公平公正な税制に改革することで、国と地方の財源を確保し、自治体が住民福祉の増進という本来の役割を果たせるよう、地方交付税を拡充することを強く求めます。財務大臣、総務大臣の見解を求めます。
 今年も、保育園落ちたの悲鳴が子育て世代から噴き出しています。一体いつになったら、幼い子供を抱えながら、入園先を幾つも探し回る保活のしんどさや職場復帰を諦めざるを得ない苦しみから解放されるのでしょうか。
 保育需要を見越した大幅な保育所増設が必要にもかかわらず、この5年間に公立保育所が1,222か所も減らされています。その一方で、保育士配置の基準を2分の1でよしとする企業主導型保育施設など認可外の規制緩和施設に多額の補助金が支出され、こうした施設が急速に増加しています。
 昨年、大阪で、認可保育所に入れず、1歳4か月の子供を認可外の施設で預けた僅か2時間後に失った母親は、なぜあの子が死んでしまったのか、保育の量も質も大事にしてほしいと訴えています。同じく、昨年、東京の企業内保育施設で亡くなった1歳2か月の子供の母親は、保育は子供のためという原点に返り、一人も死なせないように取り組んでほしいと切に望んでいます。
 厚生労働大臣、認可外保育施設で多発する死亡事故をどのように解決するつもりですか。また、公立保育所のみ施設整備と運営費の補助を一般財源化したのはなぜですか。
 その後、施設整備に対する当該自治体への交付税措置は100%でなく七割に抑えられ、公立保育所が大幅に減少していることをどのようにお考えですか。厚労大臣、総務大臣、お答えください。
 加えて、公共施設等の適正管理の名の下に、財政誘導による公立保育所の統廃合が進められています。総務大臣、この公共施設等最適化事業の3割が保育所の統廃合に活用されている事実をどう受け止めますか。
 我が子が保育施設で亡くなるという悲しい出来事を二度と繰り返さないためにも、地域の保育の質を担保する上で大きな役割を果たしている公立保育所の増設へ、総務、厚労両大臣が緊急対応に乗り出すことを強く求めるものであります。答弁を求めます。
 トップランナー方式と称して、既に16業務で民間委託された水準によって交付税を算定するやり方で基準財政需要額が削減されています。17年度からは、新たに青少年教育施設の管理や公立大学の運営が対象にされようとしています。住民サービス低下と人件費抑制、官製ワーキングプアの温床となるトップランナー方式は、地方交付税制度を著しくゆがめるものであり、やめるべきであります。
 1兆円のまち・ひと・しごと創生事業のうち、6,000億円になる人口減少等特別対策事業費の配分を、成果を上げた自治体に段階的にシフトすることも、交付税制度をゆがめます。人口減少に悩む中山間地の自治体にとって不利な成果を求めるようなことは本末転倒であり、課題に真剣に取り組もうとしている自治体にこそ厚く支援すべきです。総務大臣の答弁を求めます。
 最後に、明日3月11日、東日本大震災から6年目を迎えます。いまだ仮設住宅などで避難生活を送っている人は12万3,000人、何年たっても被災者の暮らしの再建には大きな困難が横たわっています。
 とりわけ心が痛むのは、福島の自主避難者とされた方たちへの住宅無償提供がこの3月で打ち切られようとしていることです。避難指示解除区域に戻れと言われても、病院が復活していないので帰ることができないなどの状況もあります。
 自主避難者への住宅支援の打切りは見直すべきではありませんか。
 避難先となっている全国各地の自治体が支援を継続できるように特別の対応を強く求めます。
 防災大臣、復興大臣、総務大臣の答弁を求めて、質問を終わります。

関係大臣の答弁

高市早苗総務大臣 山下議員から私には、まず、沖縄における米軍基地移設についてお尋ねがございました。
 国と地方公共団体の役割分担の下、国の施策に関して意見が対立する場合には、両者の関係を定めた地方自治法などの各種法令の規定に沿って解決が図られているものと認識をしております。
 次に、臨時財政対策債と地方交付税法定率の引上げについてお尋ねがございました。
 地方財政の健全な運営のためには、本来的には、臨時財政対策債のような特例債による対応ではなく、法定率の引上げにより地方交付税を安定的に確保することが望ましい方向であるというのは、山下議員御指摘のとおりでございます。しかしながら、国、地方とも巨額の債務残高や財源不足を抱えていることなどから、平成29年度地方財政対策においては、法定率の引上げによらず、折半ルールを3年間延長した上で、国は一般会計からの地方交付税の特例加算、地方は臨時財政対策債の発行により対処することとしました。
 国、地方とも厳しい財政状況でありますことから、法定率の更なる引上げが容易に実現できるものであるとは考えませんが、でも、今後とも諦めずに、法定率の見直し等による交付税総額の安定的な確保について、政府内で粘り強く主張し、十分に議論もしてまいります。
 次に、税制の在り方と地方交付税の拡充についてお尋ねがございました。
 税制につきましては、グローバル化、少子高齢化の進行等の経済社会構造の変化に対応して、国税、地方税を通じて、各税目が果たすべき役割を見据えながら、その在り方を検討することが重要でございます。特に地方税につきましては、行政サービスの対価を広く公平に分かち合うという応益課税の考え方を重視しつつ、その充実確保を図ることが必要です。
 今後とも、地方団体が地域に必要な行政サービスを確実に提供しながら安定的な財政運営を行えるよう、地方交付税を含む地方の一般財源総額を適切に確保してまいります。
 次に、公立保育所の施設整備に係る地方債の交付税措置についてお尋ねがありました。
 一般財源化された公立保育所の施設整備に対する補助に係る地方財政措置については、全額を地方債の対象とし、その元利償還金について、事業費補正により70%、単位費用により30%、合わせて100%の地方交付税措置を講じています。その上で、保育の供給体制整備については、それぞれの地方団体において、地域の実情などを踏まえて適切に判断されているものと認識をしています。
 次に、公立保育所の統廃合についてお尋ねがありました。
 公共施設の老朽化が進む中、計画的な施設管理を行うことで、財政負担の軽減、平準化や施設配置の最適化を図ることが重要でございます。施設の集約化や複合化に当たっては公共施設最適化事業債が活用できますが、これは公立保育所といった特定の施設の廃止や統合を進めようとするものではございません。各団体においては、保育所などの子育て施設をどのように配置することが地域において必要とされる保育サービスの要請にかなうのかということも含めて議会や住民の皆様と議論し、検討をしていただきたいと存じます。
 次に、公立保育所の増設についてお尋ねがありました。
 公立保育所の整備については、一般財源化による影響が生じないよう適切に地方財政措置を講じておりますが、地域において良質な保育サービスが確保されるよう、今後も厚生労働省と連携しながら対応してまいります。
 次に、トップランナー方式についてお尋ねがありました。
 トップランナー方式においては、既に多くの団体が民間委託等に取り組んでいる業務について、その経費水準を基準財政需要額の算定基礎としています。また、導入に当たっては、地方団体への影響等を考慮し、複数年掛けて段階的に反映するとともに、小規模団体において民間委託等が進んでいない状況を踏まえて算定を行っており、地方交付税制度をゆがめるものではございません。
 次に、人口減少等特別対策事業費についてお尋ねがございました。
 人口減少等特別対策事業費においては、地方創生の取組の成果が現れつつあることを踏まえ、段階的に、取組の必要度に応じた算定から取組の成果に応じた算定にシフトすることとしています。また、その際、財政力が低く過疎法などの対象となっている団体について算定額の割増しを行うなど、条件不利地域に配慮した算定を行うこととしています。
 最後に、自主避難者への住宅支援についてお尋ねがございました。
 避難指示区域外からの避難者への応急仮設住宅の供与の取扱いについては、福島県において、災害公営住宅の整備状況などを踏まえ、災害救助法を所管する内閣府と協議の上で決定されたものと承知をしています。また、住宅確保に関しては、福島県において、自主避難者に対する仮設住宅の供与終了後の支援策を策定し、取り組まれることと承知しています。
 総務省では、引き続き、人的、財政面での支援を始めとして、被災自治体が必要な復旧・復興事業を確実に実施できるよう万全を期してまいります。
 以上でございます。

麻生太郎財務大臣 山下議員から、公正公平な税制の在り方や地方交付税について一問お尋ねがあっております。
 税制につきましては、所得税の最高税率の引上げ、金融所得課税の見直し、法人税改革におきます大企業を中心とした課税ベースの拡大など、現政権におきましても担税力に応じた税負担となるよう見直しに取り組んできており、大企業や富裕層に対する優遇課税との御指摘は当たらないと存じます。
 地方交付税につきましては、地方による必要な行政サービスの安定的な実施を勘案しながら、毎年度の地方財政対策において、総務省と十分に協議してまいりたいと考えております。

塩崎恭久厚労大臣 山下芳生議員にお答えを申し上げます。
 認可外保育施設での死亡事故と公立保育園の費用の一般財源化についてのお尋ねがございました。
 認可外保育施設に対しましては、事故防止ガイドラインによる取組の徹底、都道府県等による年1回以上の立入調査に加え、平成29年度予算案では新たに指導員による巡回指導を支援することとしており、これにより重大事故の発生を防止していきたいと考えております。
 また、公立保育園につきましては、平成16年度に運営費が、平成18年度に施設整備費がそれぞれ一般財源化されました。これは地方6団体の提案による三位一体改革によりなされたものでございます。
 公立保育園の減少に対する見解とその増設についてのお尋ねがございました。
 公立保育園の数は全体では減少しておりますけれども、各市区町村がどのような形で保育の受皿を整備をしていくかということにつきましては、地域が抱える諸事情を踏まえ、各市区町村において適切に判断されているものと考えます。
 各市区町村においては、公立や私立を問わず、質を確保しつつ、地域の保育ニーズに対応した保育園の整備を進めており、厚生労働省としては、こうした市区町村の取組をしっかりと支援をしてまいります。

松本純防災大臣 山下議員より、いわゆる自主避難者の方への住宅支援の見直しについて御質問をいただきました。
 東日本大震災における応急仮設住宅の提供については、発災当初から災害救助法に基づく応急救助として実施することとしたものであり、地震、津波、原子力災害を別なく一律に取り扱ってきたところでございます。
 福島県におきましては、これまで、避難指示解除、災害公営住宅の整備状況などを勘案し、国の同意を得て、各市町村を一律に6年目まで応急仮設住宅の提供を延長してまいりました。今般の7年目の延長決定に際しては、災害公営住宅の整備等がおおむね完了し、各市町村の復旧・復興状況に応じたきめ細やかな対応が可能であると福島県において判断されたところでございます。そのため、福島県において個々の市町村の状況を確認し、延長の方針を検討、判断され、国に協議し、その同意を得た上で決定されたものでございます。
 具体的に、平成29年4月以降については、避難指示区域以外の市町村は、災害公営住宅が十分に整備等されていない市町村を除き、災害救助法に基づく応急仮設住宅の供与から、福島県により策定された帰還・生活再建に向けた総合的な支援策に移行することとなります。
 内閣府としては、引き続き、関係省庁や福島県と連携し、避難者の方々の安心して生活を営むことができるよう努めてまいりたいと考えております。

今村雅弘復興大臣 福島の自主避難者への住宅支援についてお尋ねがありました。
 この度の応急仮設住宅の供与の取扱いについては、福島県が、復興公営住宅の整備、住居の確保の市町村ごとの状況を踏まえて判断し、災害救助法に基づいて内閣府に協議がなされ、決定されたものでございます。
 応急仮設住宅の供与終了に当たり、福島県においては、自主避難者に対する仮設住宅の供与終了後の支援策を策定し、民間賃貸住宅の家賃補助、公営住宅等の確保、県内帰還時の移転補助を行うものと認識しております。
 復興庁としましては、住宅確保に関して、雇用促進住宅での受入れを関係団体に協力要請し、住宅の一部提供が行われることとなったほか、国土交通省とも連携しながら、公営住宅への入居円滑化の支援を行っているところでございます。また、避難者への相談支援などを通じ、福島県の支援策が円滑に進むように支援してまいりたいと考えております。
 福島県に対しては、個々の避難者の方の事情をよく伺って丁寧に対応していただくようお願いしており、県においてそのように対応されているものと認識しております。

連帯で無法打ち破ろう ブロック投入許さず 
沖縄・海上パレードに参加

photo 13・14日は、参院総務委員会の視察で福島へ。16~19日は、調査のため沖縄へ。

 安倍政権が沖縄県名護市辺野古の新基地建設に向けた海上工事を強行する中、18日、海を壊すコンクリートブロックの投入は許さないと、辺野古に隣接する大浦湾と瀬嵩(せだけ)の浜で海上パレード・抗議集会を開かれました。「ヘリ基地反対協議会」などが主催したもので、県内外からの参加者約400人が参加。 続きを読む

国民に向き合わない安倍政権打倒の大運動をまき起こそう! 
【議事録】2014年10月2日 参議院本会議代表質問

○山下よしき 私は、日本共産党を代表して、総理に質問します。
 初めに、御嶽山噴火による犠牲者、負傷者の皆様に心からの哀悼とお見舞いを申し上げます。引き続き、捜索、救出に全力を挙げることを求めます。
 また、広島市での甚大な土砂災害を始め、この夏、全国で相次いだ集中豪雨や台風による犠牲者、被災者の皆様にも心からの哀悼とお見舞いを申し上げます。
 土砂や瓦れきの撤去、当面の住宅の確保など緊急の要求に応えるとともに、被災者生活再建支援法に基づく支給限度額を少なくとも500万円に引き上げること、その対象を、浸水被害を受けた被災者、商店や小規模事業所など、なりわいに被害を受けた被災者まで拡充することを求めます。
 7月1日、安倍政権は、集団的自衛権行使を容認する閣議決定を強行しました。集団的自衛権の行使とは、日本に対する武力攻撃がなくても、他国のために武力の行使をするということ、すなわち、日本が海外で戦争する国になるということです。
 勝手な決め付けではありません。アメリカが、2001年にアフガニスタン戦争、2003年にイラク戦争を起こした際、日本は自衛隊を派兵しましたが、派兵のための特別措置法には、武力の行使をしてはならない、戦闘地域に行ってはならないという歯止めが明記されていました。しかし、今回の閣議決定では、その歯止めが外されました。自衛隊が活動する地域を非戦闘地域に限るという枠組みを廃止し、これまで戦闘地域とされた場所であっても支援活動ができるとされたのです。
 それが何を意味するでしょうか。アフガニスタン戦争で、物資の補給や輸送など後方支援を当初の任務として派兵した国は数10か国ありました。その結果どうなったか。
 ドイツは、アフガニスタンから撤退するまでに55人の犠牲者を出しました。後方支援として開始した派兵でしたが、戦闘に巻き込まれてたくさんの犠牲者が出たのです。総理、戦闘地域で軍事活動を行えば、相手から攻撃され犠牲者が出る、この事実をお認めになりますか。
 もう一つ。カナダも、アフガニスタンから撤退するまでに158人の犠牲者を出しています。このうち、20代が98人、30代が45人、合わせて全体の9割を占めたと報告されています。戦争で真っ先に犠牲となるのは未来ある若者たちだということを総理は認めますか。
 はっきりしました。集団的自衛権の行使とは、アメリカの戦争のために、日本の若者の血を流す、殺し殺される国になるということにほかなりません。
 私は心から訴えたい。若い皆さん、あなたは海外の戦場で血を流しますか。女性の皆さん、あなたは恋人や夫や息子や娘たちを海外の戦場に送り出し、殺し殺されることを望みますかと。
 国民は誰もそんなことを望んではいません。
 8月6日、広島で、被爆者団体代表は、総理に閣議決定の撤回を求める要望書を手渡し、次のように訴えました。平和記念公園の記念碑に「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と刻まれている。閣議決定は碑文の誓いを破り、過ちを繰り返すものだ。
 重い言葉です。しかし、総理は、平和国家の歩みは変わらないと強弁するだけで、この訴えに真剣に向き合おうとはしませんでした。いいのでしょうか。
 69年前、広島に投下された原子爆弾は、一瞬のうちに広島の町を焼き尽くし、多くの尊い命を奪い、放射能によって人々を後々まで苦しめています。こうした原爆のむごさ、戦争の悲惨さを体験した中から、私たちは戦争放棄を明記した憲法9条を手にしたのです。
 総理、戦後の日本の歩みの原点ともいうべき被爆者の訴えに真っすぐ耳を傾けることこそ、被爆国の総理の務めではありませんか。被爆者が、過ちを繰り返すと厳しく指摘している集団的自衛権行使容認の閣議決定は撤回すべきではありませんか。
 被爆者だけではありません。どの世論調査を見ても、集団的自衛権行使容認に反対する声は5割から6割に上ります。20代、30代では、反対が7割に達しています。若者を海外の戦場に送る政治を若者たちが強く拒否しているのです。総理はこれをどう受け止めますか。
 では、国民が望む安全保障とはどういうものでしょう。
 NHKが7月に実施した平和観についての世論調査では、日本の平和を守っていくために今最も重視すべきことは何かとの問いに、武力に頼らない外交が53.4%、民間レベルでの経済的・文化的交流が26.0%であったのに対し、武力を背景にした抑止力は僅か9.4%でした。
 また、日本の平和を守るために世界に対して日本の立場をどのようにアピールしていくことが大切かとの問いには、戦争放棄を掲げていることを世界に訴えるが27.0%、経済などの交流によって世界の国々との関係を強化するが26.8%だったのに対し、自衛のための防衛力を強化するは12.5%にすぎません。
 国民が外交と交流を重視した安全保障を強く求めていることは明らかではありませんか。
 外交、交流重視の安全保障は、決して理想論ではありません。
 東南アジア諸国連合、ASEANは、1976年に東南アジア友好協力条約、TACを締結し、武力行使の放棄と紛争の平和解決などを掲げ、ASEAN域内諸国の関係を律する平和のルールとして機能させています。ここでは、国々の間で年間1,000回を超える会合を開くなど、徹底的な対話によって信頼を醸成させています。
 TACは、1987年以降、国際条約として東南アジア地域以外にも開かれ、ユーラシア大陸のほぼ全域とアメリカ大陸にまで及ぶ57か国に広がり、世界人口の72%が参加する巨大な平和の流れとなっています。
 日本もTACに調印しています。総理、東南アジアから世界に広がる地域の平和協力の枠組みから日本が学ぶことは少なくないと思いますが、いかがですか。
 日本共産党は、TACのような、あらゆる紛争を平和的に解決する枠組みを私たちの住む北東アジアでも構築するために、次の4つの目標と原則に立った北東アジア平和協力構想を提唱しています。
 具体的には、一つ、紛争の平和解決のルールを定めた北東アジア規模の友好協力条約を締結すること。二つ、北朝鮮問題を6か国協議で解決し、この枠組みを地域の平和と安定の枠組みに発展させること。三つ、領土問題の外交的解決を目指し、紛争をエスカレートさせない行動規範を結ぶこと。四つ、日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は不可欠の土台になるということであります。この方向こそ、北東アジア地域に平和と安定をもたらす方策であり、国民が望む安全保障の方策であると考えますが、総理の見解を求めます。
 世界に広がる平和の流れに真っ向からの逆流となるのが、沖縄県名護市辺野古での米軍新基地建設の強行です。
 希少なジュゴンやサンゴが生息するちゅら海を埋め立てて造る新基地は、普天間基地の単なる移設ではありません。1,800メートル級のV字形滑走路を2本建設してオスプレイを配備し、F35戦闘機を運用する。普天間基地にはない200メートル級の埠頭を持つ軍港を建設して強襲揚陸艦を配備する。そして、普天間には置くことができなかった広大な弾薬搭載エリアを建設する。このように、辺野古の新基地は、普天間の単なる移設ではなく、その機能を一変させる海兵隊の最新鋭出撃基地の建設にほかなりません。
 これのどこが総理の言う負担軽減なんですか。むしろ、沖縄の基地負担を著しく増大させ、紛争の平和解決という世界の流れにも逆行するものではありませんか。だからこそ、沖縄県民の8割が反対しているのです。
 昨年1月、沖縄県内全ての市町村の首長と議会議長、県議会議長などがサインした建白書を総理は直接受け取られました。建白書は、米軍基地の県内移設を断念すること、米軍普天間基地を閉鎖、撤去すること、そしてオスプレイの配備を直ちにやめることを求めています。これこそオール沖縄の声であります。
 新基地が押し付けられようとしている名護市民の意思も明白です。この4年半の間に名護市では市長選挙と市議会議員選挙が2回ずつ行われましたが、その全てにおいて新基地建設反対を貫く稲嶺市長が勝利し、市長与党の市議が過半数を占める結果を出しました。
 総理は、こうした沖縄の声をどう受け止めているのですか。沖縄の方々の気持ちに寄り添うと言うのなら、新基地建設は断念すべきではありませんか。答弁を求めます。
 次に、国民の暮らしと日本経済について質問します。
 アベノミクスの円安政策による物価の上昇、原材料費の高騰が国民生活と中小企業の経営を苦しめています。その上、消費税増税が強行されました。その結果どうなったか。4―6月期のGDPは年率マイナス7.1%も落ち込みました。これは東日本大震災による落ち込みを上回っています。とりわけ、家計消費はマイナス19.5%と、1973年のオイルショック直後に匹敵する落ち込みとなりました。
 総理は、多くの企業で賃金がアップしたと繰り返しますが、それではなぜ消費がこんなに落ち込んだのですか。アベノミクスによる物価上昇とそれに続く消費税増税が賃上げ分を奪い取り、給料を目減りさせたからではありませんか。実際、働く人の実質賃金は14か月連続で前年比マイナスとなっています。
 総理は、こうした実質賃金の低下が家計消費の落ち込みの根本にあることを認めないのですか。この上、消費税を10%に引き上げたらどうなるか。更なる実質所得の減少、消費の底割れで、日本経済の土台を崩壊させることになるのは明らかではありませんか。
 そもそも、消費税増税には一かけらの道理もありません。社会保障のためといって増税しながら、医療では病床数を大幅に削減して患者を病院から追い出す、介護でも要支援者を介護保険から締め出すなど、社会保障が次々切り捨てられています。財政健全化のためと言いながら、大企業減税と公共事業に巨額のお金をばらまこうとしています。
 総理、暮らしと経済に大打撃を与え、増税の根拠も総崩れとなっている消費税10%への増税はきっぱり中止すべきではありませんか。
 日本共産党は、既に消費税の増税なしに社会保障を立て直す道を提案しています。
 第一は、税金は負担能力に応じてという応能負担の原則に立った税制改革を行い、社会保障の財源を確保することです。富裕層と大企業への優遇税制を改めて、応分の負担を求めます。
 第二は、大企業に眠っている内部留保285兆円の一部を活用して大幅賃上げと安定した雇用を実現し、景気を回復させて税収を増やすことです。
 日本共産党は、消費税増税に頼らない別の道を示しながら、国民とともに消費税増税にストップを掛けるために奮闘するものであります。
 国民の暮らしと地域経済を支える重要な役割を担っている雇用、中小企業、農業について質問します。
 まず、雇用の問題です。
 総理は有効求人倍率がバブル崩壊後最高になったと言いますが、増えているのは非正規雇用の求人だけです。第2次安倍内閣成立後の1年半で雇用者数は94万人増えましたが、内訳を見ると、非正規雇用が125万人増え、正社員は逆に31万人も減っています。
 にもかかわらず、総理は労働者派遣法の大改悪案を今国会に再提出しました。これは、派遣期間は最大3年という枠をなくし、生涯派遣を強いるものです。正社員から非正規雇用への置き換えもますます加速するでしょう。
 今でも若者の多くは非正規雇用で、低賃金と不安定な暮らしに苦しんでいます。結婚することができない、子供を産み育てることができない、親の老後を支えられないという事態が広がっています。総理は所信表明で、若者が将来に夢や希望を持てる地方の創生と述べながら、なぜ若者から夢と希望を奪う非正規雇用を増やそうとするのですか。派遣法の大改悪は中止すべきであります。
 一方で、正社員には、残業代ゼロで働かせるホワイトカラーエグゼンプションの導入や裁量労働制の拡大が検討されています。過労死を生み出している異常な長時間労働を更にはびこらせるつもりですか。
 今必要なのは、労働者の命と健康を脅かし、まともな家庭生活の障害にもなっている長時間労働を是正することです。日本共産党は、さきの通常国会で継続審議となったブラック企業規制法案を成立させるために力を尽くします。
 次に、中小企業の問題です。
 日本の中小企業は、企業数の99%を占め、勤労者の7割を雇用しています。地域経済や物づくり技術の重要な担い手となっています。しかし、多くの中小企業は赤字です。また、円安による原材料費の値上がり、消費税増税に多くの中小企業が苦しんでいます。一方、大企業は史上空前の利益を上げています。トヨタ自動車の4―6月期の営業利益は、リーマン・ショック前を上回り、過去最高を更新しています。
 にもかかわらず、大企業に法人税の減税を行うために、その財源として、赤字の中小企業にも負担を強いる外形標準課税の拡大が検討されています。黒字の大企業の減税のために赤字の中小企業に新たな課税を行う。総理、全くの逆立ちではありませんか。
 今求められているのは、中小企業の経営の安定と、そこで働く労働者の賃上げのための支援です。
 アメリカでは、最低賃金を引き上げるために、2007年から5年間で880億円規模の中小企業支援を行いました。その結果、消費の底上げに成功し、その後も最低賃金引上げに力を入れています。一方、日本では、最低賃金を引き上げるための中小企業支援は年間僅か30億円程度です。抜本的に増額すべきではありませんか。
 次に、農業の問題です。
 収穫の秋に米価の大暴落が全国の農家を襲っています。生産者が受け取る米価の目安となる概算金は前年より60キロ当たり3,000円前後下落し、史上最低の8,000円ないし7,000円台の銘柄が続出しています。全国平均の米の生産費16,000円の半分以下という異常事態です。米作って飯食えねえと悲痛な叫びが上がっています。
 価格は市場に任せるという姿勢を転換し、暴落の要因となっている過剰な2013年産米を政府が買い上げるなど、緊急の価格安定策を取るよう強く求めます。
 昨年まで米農家に10アール当たり15,000円出ていた米直接支払交付金を安倍政権が半減させ、4年後に廃止すると決めたことで、大規模稲作農家の方が先の見通しが立たないと悩み、自殺するという痛ましい事態が起きています。半減措置を撤回し、農家の経営安定策を取るべきではありませんか。
 4月7日に基本合意した日豪経済連携協定、EPAは、オーストラリア産牛肉の関税を、締結後2年間で、冷凍は10%、冷蔵は7%引き下げるものとなっています。乳製品でも、例えばナチュラルチーズの輸入を20年間で4,000トンから20,000トンに増やすものとなっています。これは日本の国内の生産量に匹敵する量です。EPAは日本の畜産や酪農に大打撃になると、総理、考えないのですか。
 日豪EPAの合意は、重要農産物を関税撤廃、削減の対象から除外するとした2006年の国会決議に違反しています。皆さん、日本の農業を守るために国会の責任を果たそうではありませんか。また、日豪EPA以上に農業と地域を破壊する環太平洋連携協定、TPPからの撤退を強く求めます。
 最後に、原発問題について質問します。
 東京電力福島第一原発事故による避難中に自死に追い込まれた女性への賠償命令を下した8月の福島地裁判決が確定しました。判決は、被告東京電力は、原子力発電所が仮に事故を起こせば、核燃料物質等が広範囲に飛散し、当該地域の居住者が避難を余儀なくされる可能性を予見することが可能であった、そして、避難者が様々なストレスを受け、その中には、うつ病を始めとする精神障害を発病する者、さらには自死に至る者が出現するであろうことについても予見することが可能であったと述べています。東京電力はこの判決を受け入れました。総理は東京電力と同じ立場に立つのですか、お答えください。
 加えて、今年の夏は、商業用原発が電力供給を開始した1966年以来、初めて稼働原発ゼロの夏となりました。それでも電力が足りなくなることはありませんでした。総理、原発再稼働・推進路線を中止し、今こそ原発ゼロへの政治決断をすべきではありませんか。
 集団的自衛権、米軍基地、暮らしと経済、原発、安倍政権の政治は、どの分野でも国民多数の願いに逆行しています。しかも、異なる意見を切り捨てる強権政治です。
 安倍政権打倒の国民的大運動を起こし、国民が主人公の新しい政治を開くために奮闘する決意を述べて、質問を終わります。(拍手)


《安倍晋三総理の答弁》

○安倍総理 山下芳生議員にお答えをいたします。
 御嶽山の噴火への対応についてお尋ねがありました。
 御嶽山の現場では、噴火活動が続く中、警察、消防、自衛隊による懸命の捜索・救出活動が行われています。
 政府としては、二次災害に留意しつつ、引き続き、関係機関が一体となって捜索・救出活動に全力を尽くしてまいります。今後の噴火活動に最大限の警戒を行い、国民生活の影響にも万全の対策を講じてまいります。
 豪雨や土砂災害の対応や被災者生活再建支援制度の拡充についてのお尋ねがありました。
 今夏、各地で相次いだ豪雨や土砂災害については、引き続き、土砂や瓦れきの撤去、当面の住宅の確保など、1日も早い被災者の生活再建に向け、関係機関が一体となって取り組んでまいります。
 被災者生活再建支援制度の拡充については、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して、慎重に検討すべきものと考えます。
 7月1日の閣議決定と戦闘地域における活動についてお尋ねがありました。
 先般の閣議決定においては、今後、我が国が行う支援活動については、現に戦闘行為を行っている現場では実施しないこととしております。したがって、戦闘地域とされた場所であっても支援活動ができるとされたとの御指摘は全く当たりません。また、いかなる場所で活動する場合であっても、これまでと同様、自衛隊の安全を確保しつつ行うことは言うまでもないと考えています。
 なお、アフガニスタンにおけるISAFに参加している各国の活動は、閣議決定で述べている支援活動、すなわち、物資の輸送、給油、医療活動といった、いわゆる後方支援と言われる支援活動とは全く異なるものであると考えています。
 集団的自衛権に関する閣議決定についてのお尋ねがありました。
 先般の閣議決定については、衆参両院の予算委員会における閉会中の集中審議を始め、国会審議や記者会見などで累次にわたって丁寧に説明し、国民の皆様の御理解を得るよう努めてまいりました。閣議決定を実施に移すためには、今後、国会に法案を提出し御審議いただくことが必要となりますが、野党の皆様との真摯な議論を通じ、分かりやすく説明し、国民の一層の御理解を得られるよう努めてまいります。
 集団的自衛権に関する世論調査についてのお尋ねがありました。
 平和国家としての日本の歩みはこれからも決して変わらず、紛争を平和的に解決するため最大限の外交努力を尽くすことは当然であります。専ら軍事のみで構えているとの批判は的外れであります。
 先般の閣議決定において、憲法第9条の下で許容されるのは、あくまで我が国の存立を全うし、国民の平和な暮らしを守るため、すなわち我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置としての武力行使のみです。海外派兵は一般に許されないという従来からの原則も全く変わりません。また、他国の防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使を認めるものでもありません。徴兵制は憲法違反であり、徴兵制につながるのではないかといった批判は全く的外れであります。
 引き続き、国民の皆様に、より一層の御理解を得られるよう、丁寧に説明しながら法整備を進めてまいります。
 東南アジア友好協力条約及び北東アジアの平和と安定に関する共産党の構想についてお尋ねがありました。
 東南アジア友好協力条約は、ASEANが軸となって地域の平和と安定の促進に向けた協力の原則を定めたものであり、有意義なものと考えています。北東アジアの平和と安定については、日本は必要な防衛力、抑止力を維持すべきと考えますが、専ら軍事で構えているという批判は当たっていません。
 この地域の平和と安定のためには、まず法の支配を遵守し、問題があれば話合いを通じて平和的に解決していくことが必要です。近隣諸国同士がお互いに意思疎通を図り、関係改善に向けて努力を重ねていくことも地域の平和と安定にとって有益です。そして、大局的な観点から未来志向の関係を築いていくことが重要と考えます。
 普天間飛行場の代替施設についてお尋ねがありました。
 普天間飛行場の移設は、現在の施設を単純に辺野古に移設するものではなく、沖縄の負担軽減に十分資するものと考えています。この際、具体的に分かりやすく説明をさせていただきたいと思います。
 現在の普天間飛行場は、まず第一にオスプレイなどの運用機能、そして次に空中給油機の運用機能、3番目に緊急時に外部から多数の航空機を受け入れる基地機能という3つの機能を有しています。これに対し、辺野古に移る機能はオスプレイなどの運用機能のみであり、他の2つの機能は本土に移転されます。また、辺野古において埋め立てる面積は、全面返還される普天間飛行場の面積と比べて3分の1以下であり、大幅に縮小されます。
 さらに、訓練等で日常的に使用する飛行経路については、現在は市街地の上空です。これが、移設後は周辺の集落から数百メートル離れた海上へと変更されます。このため、騒音も大幅に軽減されます。現在は、住宅防音が必要となる地域に1万数1千世帯の方々が居住しているのに対し、移設後はこのような世帯はゼロとなり、騒音の値は居住専用地域に適用される環境基準を満たすこととなります。これに加え、万が一航空機に不測の事態が生じた場合は、海上へと回避することで地上の安全性が確保されます。
 最も大切なことは、住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないということです。これが大前提であり、かつ政府と地元の皆様の共通の認識であると思います。
 1日も早い普天間の返還を実現するため、沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、目に見える形で負担軽減を図ることができるよう、政府を挙げて全力で取り組んでまいります。
 家計消費と賃金についてのお尋ねがありました。
 1人当たり名目賃金に雇用者数を乗じた国民全体の所得、賃金である雇用者所得は、昨年4月以降、上昇基調にあります。しかしながら、今般の物価上昇により、まだ賃金の上昇を実感しづらい状況であることも事実です。
 また、消費税率の引上げに伴う駆け込み需要の反動の継続や天候不順といったことを要因として、家計消費は確かに足踏みが見られます。このため、物価上昇や天候不順などによる景気への影響にも慎重に目配りしつつ、成長戦略の確実な実行等により、景気回復の実感を全国津々浦々にまで届けてまいりたいと考えています。
 消費税率の10%への引上げの中止についてお尋ねがありました。
 足下の経済状況については先ほど申し上げたとおりですが、今般の消費税率の引上げは、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡し、子育て支援を充実していくためのものであり、その増収分は全額社会保障の充実、安定化に充てられ、国民に還元されます。
 他方、引上げにより景気が悪化して税収も増加しないという事態に陥ることは絶対に避けなければなりません。経済再生と財政健全化の両立、この道しかありません。消費税率の10%への引上げについては、経済状況等を総合的に勘案しながら本年中に適切に判断してまいります。
 なお、法人税改革については、経済の好循環を通じて国民生活の向上につながっていくものであり、また、公共事業については、防災・減災対策などに重点化していることから、ばらまきを行っているとの御指摘は当たらないと考えます。
 労働者派遣法改正案及び労働時間制度の見直しについてお尋ねがありました。
 労働者派遣法改正案は、キャリアコンサルティングや計画的な教育訓練等の実施を派遣会社に義務付けるなど、派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップを支援するものであります。非正規雇用を増やそうとするものではなく、労働者派遣法の大改悪というレッテル貼りは不適当と考えます。
 新たな労働時間制度の創設や裁量労働制の見直しに当たっては、当然、長時間労働を強いられることがあってはならないと考えており、企業等に対する監督指導など、働き過ぎ防止のための取組の強化を図ることとしています。この新たな労働時間制度は、ホワイトカラーの方々を広く対象とする、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションとは異なるものであり、その導入は考えておりません。
 以上のように、安倍内閣としては、全ての人々が生きがいを持って働くことができ、何度でもチャンスを与えられる環境をつくっていくことが重要と考えており、頑張る人たちの雇用の安定や処遇の改善に力を尽くしてまいります。
 法人税改革と法人事業税の外形標準課税の対象拡大についてのお尋ねがありました。
 法人税改革については、日本の競争力を高める観点から、法人税を成長志向型に変革していくことで、経済の好循環を通じ、国民生活の向上につながっていくものと考えています。
 また、外形標準課税の在り方については、地方経済を支える中小企業・小規模事業者への配慮の観点も含め検討していくこととしており、大企業に減税し、中小企業に増税するとの指摘は当たりません。
 中小企業支援についてのお尋ねがありました。
 ふるさと名物の販路開拓支援など、あらゆる施策を総動員して中小・小規模事業者の支援に0全を期してまいります。
 また、事業場内の最低賃金を引き上げた中小企業等への助成など、最低賃金を引き上げる環境整備に必要な対策を講じていきます。
 さらに、中小・小規模事業者がいたずらに不利な環境に陥ることのないよう、独占禁止法や下請法の厳正な執行、金融機関による円滑な資金供給の促進など、実効ある取組を進めてまいります。
 米価の下落と農業経営対策についてお尋ねがありました。
 昨年取りまとめた農政改革の中では、米の直接支払交付金について、全ての販売農家を対象にし、担い手への農地集積のペースを遅らす面があったことなどから、意欲と能力ある担い手に集中した経営所得安定対策に見直したところであります。
 その上で、安倍内閣においては、農業の成長産業化を図るため、農地集積バンクによる農地集積、輸出促進、六次産業化の推進などを精力的に図り、さらに、米の生産調整を見直し、農業者がマーケットを見ながら自らの経営判断で作物を作れるようにするなどの改革を進めています。
 なお、米の価格は、需給動向などを反映して民間取引の中で決定されますが、急激に価格が変動した場合には、生産者の収入減少の影響を緩和する対策など、セーフティーネット措置を講じているところであります。
 いずれにせよ、こうした改革を進め、農業を若者に魅力ある成長産業としていくことが重要だと考えております。
 日豪EPA及びTPPについてお尋ねがありました。
 日豪EPAについては、国内産業の存立及び健全な発展を図っていける内容で合意したと考えており、国益にかない、全体として我が国にとって利益になる協定を実現する成果を得たいと考えています。
 TPP交渉については、交渉が最終段階を迎えている中、交渉からの脱退について言及することは不適切と考えます。
 いずれにせよ、守るべきは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求していく考えです。
 原子力発電についてのお尋ねがありました。
 この夏の電力の需給については、電力不足は何とか回避できたものの、これは国民各層や企業の皆様の節電への御協力や老朽火力をフル稼働させている結果であり、予断を許さない状態にあったと認識しています。
 他方、原発が全て止まった結果、海外の化石燃料への依存度が石油ショックの頃よりも高くなるとともに、エネルギー価格の高騰は、中小・小規模事業者の皆様を始め、国民生活に深刻な影響を与えています。また、我が国の電力分野の温室効果ガスの排出量は大幅に増加しています。
 このため、いかなる事情よりも安全性を最優先させる前提の下、独立した原子力規制委員会により、世界で最も厳しいレベルの規制基準に適合すると認められた原発については、その科学的、技術的な判断を尊重し、再稼働を進めていく方針です。
 国が当事者でない個別の裁判事案についてコメントすることは差し控えますが、東京電力には、引き続き、被害者の方に寄り添った公平かつ適切な賠償を行うよう指導してまいります。(拍手)