戦争法案阻止へ 共産党論戦 自公政権徹底追及 
安倍首相の問責決議案に対する賛成討論(要旨) 参院本会議

 戦争法案をめぐり、18日の参院本会議で行った安倍晋三首相問責決議案への賛成討論の要旨は次の通りです。


 写真安倍晋三首相の問責決議案に賛成する第1の理由は、安倍晋三首相が憲法99条の「憲法を尊重し擁護する義務」をないがしろにし、憲法を憲法でなくする暴挙にひた走るからです。戦争法案の中身は「戦闘地域」での米軍への兵たん、戦乱が続く地域での治安維持活動、地球上のどこであれ米軍を守るための武器使用、集団的自衛権の行使など、全て「憲法違反」であることは明白です。 続きを読む

風営外すも許可制飲食店 
ダンス規制法改定が成立 共産党は反対

 ダンス規制法(風営法)改定が17日の参院本会議で採決され、自民、民主、公明、維新などの賛成多数で可決成立しました。私を含め日本共産党は反対しました。

 改定法は、クラブ摘発の根拠とされた「ダンス」が「風俗営業」から削除されましたが、新たに「特定遊興飲食店営業」を設け、ダンスを含む広範な行為を対象として許可制とすることが打ち出されています。私は16日の参院内閣委員会で「警察の恣意(しい)的な介入、権力の乱用を招くおそれがある」と指摘しています。

国民に向き合わない安倍政権打倒の大運動をまき起こそう! 
【議事録】2014年10月2日 参議院本会議代表質問

○山下よしき 私は、日本共産党を代表して、総理に質問します。
 初めに、御嶽山噴火による犠牲者、負傷者の皆様に心からの哀悼とお見舞いを申し上げます。引き続き、捜索、救出に全力を挙げることを求めます。
 また、広島市での甚大な土砂災害を始め、この夏、全国で相次いだ集中豪雨や台風による犠牲者、被災者の皆様にも心からの哀悼とお見舞いを申し上げます。
 土砂や瓦れきの撤去、当面の住宅の確保など緊急の要求に応えるとともに、被災者生活再建支援法に基づく支給限度額を少なくとも500万円に引き上げること、その対象を、浸水被害を受けた被災者、商店や小規模事業所など、なりわいに被害を受けた被災者まで拡充することを求めます。
 7月1日、安倍政権は、集団的自衛権行使を容認する閣議決定を強行しました。集団的自衛権の行使とは、日本に対する武力攻撃がなくても、他国のために武力の行使をするということ、すなわち、日本が海外で戦争する国になるということです。
 勝手な決め付けではありません。アメリカが、2001年にアフガニスタン戦争、2003年にイラク戦争を起こした際、日本は自衛隊を派兵しましたが、派兵のための特別措置法には、武力の行使をしてはならない、戦闘地域に行ってはならないという歯止めが明記されていました。しかし、今回の閣議決定では、その歯止めが外されました。自衛隊が活動する地域を非戦闘地域に限るという枠組みを廃止し、これまで戦闘地域とされた場所であっても支援活動ができるとされたのです。
 それが何を意味するでしょうか。アフガニスタン戦争で、物資の補給や輸送など後方支援を当初の任務として派兵した国は数10か国ありました。その結果どうなったか。
 ドイツは、アフガニスタンから撤退するまでに55人の犠牲者を出しました。後方支援として開始した派兵でしたが、戦闘に巻き込まれてたくさんの犠牲者が出たのです。総理、戦闘地域で軍事活動を行えば、相手から攻撃され犠牲者が出る、この事実をお認めになりますか。
 もう一つ。カナダも、アフガニスタンから撤退するまでに158人の犠牲者を出しています。このうち、20代が98人、30代が45人、合わせて全体の9割を占めたと報告されています。戦争で真っ先に犠牲となるのは未来ある若者たちだということを総理は認めますか。
 はっきりしました。集団的自衛権の行使とは、アメリカの戦争のために、日本の若者の血を流す、殺し殺される国になるということにほかなりません。
 私は心から訴えたい。若い皆さん、あなたは海外の戦場で血を流しますか。女性の皆さん、あなたは恋人や夫や息子や娘たちを海外の戦場に送り出し、殺し殺されることを望みますかと。
 国民は誰もそんなことを望んではいません。
 8月6日、広島で、被爆者団体代表は、総理に閣議決定の撤回を求める要望書を手渡し、次のように訴えました。平和記念公園の記念碑に「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と刻まれている。閣議決定は碑文の誓いを破り、過ちを繰り返すものだ。
 重い言葉です。しかし、総理は、平和国家の歩みは変わらないと強弁するだけで、この訴えに真剣に向き合おうとはしませんでした。いいのでしょうか。
 69年前、広島に投下された原子爆弾は、一瞬のうちに広島の町を焼き尽くし、多くの尊い命を奪い、放射能によって人々を後々まで苦しめています。こうした原爆のむごさ、戦争の悲惨さを体験した中から、私たちは戦争放棄を明記した憲法9条を手にしたのです。
 総理、戦後の日本の歩みの原点ともいうべき被爆者の訴えに真っすぐ耳を傾けることこそ、被爆国の総理の務めではありませんか。被爆者が、過ちを繰り返すと厳しく指摘している集団的自衛権行使容認の閣議決定は撤回すべきではありませんか。
 被爆者だけではありません。どの世論調査を見ても、集団的自衛権行使容認に反対する声は5割から6割に上ります。20代、30代では、反対が7割に達しています。若者を海外の戦場に送る政治を若者たちが強く拒否しているのです。総理はこれをどう受け止めますか。
 では、国民が望む安全保障とはどういうものでしょう。
 NHKが7月に実施した平和観についての世論調査では、日本の平和を守っていくために今最も重視すべきことは何かとの問いに、武力に頼らない外交が53.4%、民間レベルでの経済的・文化的交流が26.0%であったのに対し、武力を背景にした抑止力は僅か9.4%でした。
 また、日本の平和を守るために世界に対して日本の立場をどのようにアピールしていくことが大切かとの問いには、戦争放棄を掲げていることを世界に訴えるが27.0%、経済などの交流によって世界の国々との関係を強化するが26.8%だったのに対し、自衛のための防衛力を強化するは12.5%にすぎません。
 国民が外交と交流を重視した安全保障を強く求めていることは明らかではありませんか。
 外交、交流重視の安全保障は、決して理想論ではありません。
 東南アジア諸国連合、ASEANは、1976年に東南アジア友好協力条約、TACを締結し、武力行使の放棄と紛争の平和解決などを掲げ、ASEAN域内諸国の関係を律する平和のルールとして機能させています。ここでは、国々の間で年間1,000回を超える会合を開くなど、徹底的な対話によって信頼を醸成させています。
 TACは、1987年以降、国際条約として東南アジア地域以外にも開かれ、ユーラシア大陸のほぼ全域とアメリカ大陸にまで及ぶ57か国に広がり、世界人口の72%が参加する巨大な平和の流れとなっています。
 日本もTACに調印しています。総理、東南アジアから世界に広がる地域の平和協力の枠組みから日本が学ぶことは少なくないと思いますが、いかがですか。
 日本共産党は、TACのような、あらゆる紛争を平和的に解決する枠組みを私たちの住む北東アジアでも構築するために、次の4つの目標と原則に立った北東アジア平和協力構想を提唱しています。
 具体的には、一つ、紛争の平和解決のルールを定めた北東アジア規模の友好協力条約を締結すること。二つ、北朝鮮問題を6か国協議で解決し、この枠組みを地域の平和と安定の枠組みに発展させること。三つ、領土問題の外交的解決を目指し、紛争をエスカレートさせない行動規範を結ぶこと。四つ、日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は不可欠の土台になるということであります。この方向こそ、北東アジア地域に平和と安定をもたらす方策であり、国民が望む安全保障の方策であると考えますが、総理の見解を求めます。
 世界に広がる平和の流れに真っ向からの逆流となるのが、沖縄県名護市辺野古での米軍新基地建設の強行です。
 希少なジュゴンやサンゴが生息するちゅら海を埋め立てて造る新基地は、普天間基地の単なる移設ではありません。1,800メートル級のV字形滑走路を2本建設してオスプレイを配備し、F35戦闘機を運用する。普天間基地にはない200メートル級の埠頭を持つ軍港を建設して強襲揚陸艦を配備する。そして、普天間には置くことができなかった広大な弾薬搭載エリアを建設する。このように、辺野古の新基地は、普天間の単なる移設ではなく、その機能を一変させる海兵隊の最新鋭出撃基地の建設にほかなりません。
 これのどこが総理の言う負担軽減なんですか。むしろ、沖縄の基地負担を著しく増大させ、紛争の平和解決という世界の流れにも逆行するものではありませんか。だからこそ、沖縄県民の8割が反対しているのです。
 昨年1月、沖縄県内全ての市町村の首長と議会議長、県議会議長などがサインした建白書を総理は直接受け取られました。建白書は、米軍基地の県内移設を断念すること、米軍普天間基地を閉鎖、撤去すること、そしてオスプレイの配備を直ちにやめることを求めています。これこそオール沖縄の声であります。
 新基地が押し付けられようとしている名護市民の意思も明白です。この4年半の間に名護市では市長選挙と市議会議員選挙が2回ずつ行われましたが、その全てにおいて新基地建設反対を貫く稲嶺市長が勝利し、市長与党の市議が過半数を占める結果を出しました。
 総理は、こうした沖縄の声をどう受け止めているのですか。沖縄の方々の気持ちに寄り添うと言うのなら、新基地建設は断念すべきではありませんか。答弁を求めます。
 次に、国民の暮らしと日本経済について質問します。
 アベノミクスの円安政策による物価の上昇、原材料費の高騰が国民生活と中小企業の経営を苦しめています。その上、消費税増税が強行されました。その結果どうなったか。4―6月期のGDPは年率マイナス7.1%も落ち込みました。これは東日本大震災による落ち込みを上回っています。とりわけ、家計消費はマイナス19.5%と、1973年のオイルショック直後に匹敵する落ち込みとなりました。
 総理は、多くの企業で賃金がアップしたと繰り返しますが、それではなぜ消費がこんなに落ち込んだのですか。アベノミクスによる物価上昇とそれに続く消費税増税が賃上げ分を奪い取り、給料を目減りさせたからではありませんか。実際、働く人の実質賃金は14か月連続で前年比マイナスとなっています。
 総理は、こうした実質賃金の低下が家計消費の落ち込みの根本にあることを認めないのですか。この上、消費税を10%に引き上げたらどうなるか。更なる実質所得の減少、消費の底割れで、日本経済の土台を崩壊させることになるのは明らかではありませんか。
 そもそも、消費税増税には一かけらの道理もありません。社会保障のためといって増税しながら、医療では病床数を大幅に削減して患者を病院から追い出す、介護でも要支援者を介護保険から締め出すなど、社会保障が次々切り捨てられています。財政健全化のためと言いながら、大企業減税と公共事業に巨額のお金をばらまこうとしています。
 総理、暮らしと経済に大打撃を与え、増税の根拠も総崩れとなっている消費税10%への増税はきっぱり中止すべきではありませんか。
 日本共産党は、既に消費税の増税なしに社会保障を立て直す道を提案しています。
 第一は、税金は負担能力に応じてという応能負担の原則に立った税制改革を行い、社会保障の財源を確保することです。富裕層と大企業への優遇税制を改めて、応分の負担を求めます。
 第二は、大企業に眠っている内部留保285兆円の一部を活用して大幅賃上げと安定した雇用を実現し、景気を回復させて税収を増やすことです。
 日本共産党は、消費税増税に頼らない別の道を示しながら、国民とともに消費税増税にストップを掛けるために奮闘するものであります。
 国民の暮らしと地域経済を支える重要な役割を担っている雇用、中小企業、農業について質問します。
 まず、雇用の問題です。
 総理は有効求人倍率がバブル崩壊後最高になったと言いますが、増えているのは非正規雇用の求人だけです。第2次安倍内閣成立後の1年半で雇用者数は94万人増えましたが、内訳を見ると、非正規雇用が125万人増え、正社員は逆に31万人も減っています。
 にもかかわらず、総理は労働者派遣法の大改悪案を今国会に再提出しました。これは、派遣期間は最大3年という枠をなくし、生涯派遣を強いるものです。正社員から非正規雇用への置き換えもますます加速するでしょう。
 今でも若者の多くは非正規雇用で、低賃金と不安定な暮らしに苦しんでいます。結婚することができない、子供を産み育てることができない、親の老後を支えられないという事態が広がっています。総理は所信表明で、若者が将来に夢や希望を持てる地方の創生と述べながら、なぜ若者から夢と希望を奪う非正規雇用を増やそうとするのですか。派遣法の大改悪は中止すべきであります。
 一方で、正社員には、残業代ゼロで働かせるホワイトカラーエグゼンプションの導入や裁量労働制の拡大が検討されています。過労死を生み出している異常な長時間労働を更にはびこらせるつもりですか。
 今必要なのは、労働者の命と健康を脅かし、まともな家庭生活の障害にもなっている長時間労働を是正することです。日本共産党は、さきの通常国会で継続審議となったブラック企業規制法案を成立させるために力を尽くします。
 次に、中小企業の問題です。
 日本の中小企業は、企業数の99%を占め、勤労者の7割を雇用しています。地域経済や物づくり技術の重要な担い手となっています。しかし、多くの中小企業は赤字です。また、円安による原材料費の値上がり、消費税増税に多くの中小企業が苦しんでいます。一方、大企業は史上空前の利益を上げています。トヨタ自動車の4―6月期の営業利益は、リーマン・ショック前を上回り、過去最高を更新しています。
 にもかかわらず、大企業に法人税の減税を行うために、その財源として、赤字の中小企業にも負担を強いる外形標準課税の拡大が検討されています。黒字の大企業の減税のために赤字の中小企業に新たな課税を行う。総理、全くの逆立ちではありませんか。
 今求められているのは、中小企業の経営の安定と、そこで働く労働者の賃上げのための支援です。
 アメリカでは、最低賃金を引き上げるために、2007年から5年間で880億円規模の中小企業支援を行いました。その結果、消費の底上げに成功し、その後も最低賃金引上げに力を入れています。一方、日本では、最低賃金を引き上げるための中小企業支援は年間僅か30億円程度です。抜本的に増額すべきではありませんか。
 次に、農業の問題です。
 収穫の秋に米価の大暴落が全国の農家を襲っています。生産者が受け取る米価の目安となる概算金は前年より60キロ当たり3,000円前後下落し、史上最低の8,000円ないし7,000円台の銘柄が続出しています。全国平均の米の生産費16,000円の半分以下という異常事態です。米作って飯食えねえと悲痛な叫びが上がっています。
 価格は市場に任せるという姿勢を転換し、暴落の要因となっている過剰な2013年産米を政府が買い上げるなど、緊急の価格安定策を取るよう強く求めます。
 昨年まで米農家に10アール当たり15,000円出ていた米直接支払交付金を安倍政権が半減させ、4年後に廃止すると決めたことで、大規模稲作農家の方が先の見通しが立たないと悩み、自殺するという痛ましい事態が起きています。半減措置を撤回し、農家の経営安定策を取るべきではありませんか。
 4月7日に基本合意した日豪経済連携協定、EPAは、オーストラリア産牛肉の関税を、締結後2年間で、冷凍は10%、冷蔵は7%引き下げるものとなっています。乳製品でも、例えばナチュラルチーズの輸入を20年間で4,000トンから20,000トンに増やすものとなっています。これは日本の国内の生産量に匹敵する量です。EPAは日本の畜産や酪農に大打撃になると、総理、考えないのですか。
 日豪EPAの合意は、重要農産物を関税撤廃、削減の対象から除外するとした2006年の国会決議に違反しています。皆さん、日本の農業を守るために国会の責任を果たそうではありませんか。また、日豪EPA以上に農業と地域を破壊する環太平洋連携協定、TPPからの撤退を強く求めます。
 最後に、原発問題について質問します。
 東京電力福島第一原発事故による避難中に自死に追い込まれた女性への賠償命令を下した8月の福島地裁判決が確定しました。判決は、被告東京電力は、原子力発電所が仮に事故を起こせば、核燃料物質等が広範囲に飛散し、当該地域の居住者が避難を余儀なくされる可能性を予見することが可能であった、そして、避難者が様々なストレスを受け、その中には、うつ病を始めとする精神障害を発病する者、さらには自死に至る者が出現するであろうことについても予見することが可能であったと述べています。東京電力はこの判決を受け入れました。総理は東京電力と同じ立場に立つのですか、お答えください。
 加えて、今年の夏は、商業用原発が電力供給を開始した1966年以来、初めて稼働原発ゼロの夏となりました。それでも電力が足りなくなることはありませんでした。総理、原発再稼働・推進路線を中止し、今こそ原発ゼロへの政治決断をすべきではありませんか。
 集団的自衛権、米軍基地、暮らしと経済、原発、安倍政権の政治は、どの分野でも国民多数の願いに逆行しています。しかも、異なる意見を切り捨てる強権政治です。
 安倍政権打倒の国民的大運動を起こし、国民が主人公の新しい政治を開くために奮闘する決意を述べて、質問を終わります。(拍手)


《安倍晋三総理の答弁》

○安倍総理 山下芳生議員にお答えをいたします。
 御嶽山の噴火への対応についてお尋ねがありました。
 御嶽山の現場では、噴火活動が続く中、警察、消防、自衛隊による懸命の捜索・救出活動が行われています。
 政府としては、二次災害に留意しつつ、引き続き、関係機関が一体となって捜索・救出活動に全力を尽くしてまいります。今後の噴火活動に最大限の警戒を行い、国民生活の影響にも万全の対策を講じてまいります。
 豪雨や土砂災害の対応や被災者生活再建支援制度の拡充についてのお尋ねがありました。
 今夏、各地で相次いだ豪雨や土砂災害については、引き続き、土砂や瓦れきの撤去、当面の住宅の確保など、1日も早い被災者の生活再建に向け、関係機関が一体となって取り組んでまいります。
 被災者生活再建支援制度の拡充については、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して、慎重に検討すべきものと考えます。
 7月1日の閣議決定と戦闘地域における活動についてお尋ねがありました。
 先般の閣議決定においては、今後、我が国が行う支援活動については、現に戦闘行為を行っている現場では実施しないこととしております。したがって、戦闘地域とされた場所であっても支援活動ができるとされたとの御指摘は全く当たりません。また、いかなる場所で活動する場合であっても、これまでと同様、自衛隊の安全を確保しつつ行うことは言うまでもないと考えています。
 なお、アフガニスタンにおけるISAFに参加している各国の活動は、閣議決定で述べている支援活動、すなわち、物資の輸送、給油、医療活動といった、いわゆる後方支援と言われる支援活動とは全く異なるものであると考えています。
 集団的自衛権に関する閣議決定についてのお尋ねがありました。
 先般の閣議決定については、衆参両院の予算委員会における閉会中の集中審議を始め、国会審議や記者会見などで累次にわたって丁寧に説明し、国民の皆様の御理解を得るよう努めてまいりました。閣議決定を実施に移すためには、今後、国会に法案を提出し御審議いただくことが必要となりますが、野党の皆様との真摯な議論を通じ、分かりやすく説明し、国民の一層の御理解を得られるよう努めてまいります。
 集団的自衛権に関する世論調査についてのお尋ねがありました。
 平和国家としての日本の歩みはこれからも決して変わらず、紛争を平和的に解決するため最大限の外交努力を尽くすことは当然であります。専ら軍事のみで構えているとの批判は的外れであります。
 先般の閣議決定において、憲法第9条の下で許容されるのは、あくまで我が国の存立を全うし、国民の平和な暮らしを守るため、すなわち我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置としての武力行使のみです。海外派兵は一般に許されないという従来からの原則も全く変わりません。また、他国の防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使を認めるものでもありません。徴兵制は憲法違反であり、徴兵制につながるのではないかといった批判は全く的外れであります。
 引き続き、国民の皆様に、より一層の御理解を得られるよう、丁寧に説明しながら法整備を進めてまいります。
 東南アジア友好協力条約及び北東アジアの平和と安定に関する共産党の構想についてお尋ねがありました。
 東南アジア友好協力条約は、ASEANが軸となって地域の平和と安定の促進に向けた協力の原則を定めたものであり、有意義なものと考えています。北東アジアの平和と安定については、日本は必要な防衛力、抑止力を維持すべきと考えますが、専ら軍事で構えているという批判は当たっていません。
 この地域の平和と安定のためには、まず法の支配を遵守し、問題があれば話合いを通じて平和的に解決していくことが必要です。近隣諸国同士がお互いに意思疎通を図り、関係改善に向けて努力を重ねていくことも地域の平和と安定にとって有益です。そして、大局的な観点から未来志向の関係を築いていくことが重要と考えます。
 普天間飛行場の代替施設についてお尋ねがありました。
 普天間飛行場の移設は、現在の施設を単純に辺野古に移設するものではなく、沖縄の負担軽減に十分資するものと考えています。この際、具体的に分かりやすく説明をさせていただきたいと思います。
 現在の普天間飛行場は、まず第一にオスプレイなどの運用機能、そして次に空中給油機の運用機能、3番目に緊急時に外部から多数の航空機を受け入れる基地機能という3つの機能を有しています。これに対し、辺野古に移る機能はオスプレイなどの運用機能のみであり、他の2つの機能は本土に移転されます。また、辺野古において埋め立てる面積は、全面返還される普天間飛行場の面積と比べて3分の1以下であり、大幅に縮小されます。
 さらに、訓練等で日常的に使用する飛行経路については、現在は市街地の上空です。これが、移設後は周辺の集落から数百メートル離れた海上へと変更されます。このため、騒音も大幅に軽減されます。現在は、住宅防音が必要となる地域に1万数1千世帯の方々が居住しているのに対し、移設後はこのような世帯はゼロとなり、騒音の値は居住専用地域に適用される環境基準を満たすこととなります。これに加え、万が一航空機に不測の事態が生じた場合は、海上へと回避することで地上の安全性が確保されます。
 最も大切なことは、住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないということです。これが大前提であり、かつ政府と地元の皆様の共通の認識であると思います。
 1日も早い普天間の返還を実現するため、沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、目に見える形で負担軽減を図ることができるよう、政府を挙げて全力で取り組んでまいります。
 家計消費と賃金についてのお尋ねがありました。
 1人当たり名目賃金に雇用者数を乗じた国民全体の所得、賃金である雇用者所得は、昨年4月以降、上昇基調にあります。しかしながら、今般の物価上昇により、まだ賃金の上昇を実感しづらい状況であることも事実です。
 また、消費税率の引上げに伴う駆け込み需要の反動の継続や天候不順といったことを要因として、家計消費は確かに足踏みが見られます。このため、物価上昇や天候不順などによる景気への影響にも慎重に目配りしつつ、成長戦略の確実な実行等により、景気回復の実感を全国津々浦々にまで届けてまいりたいと考えています。
 消費税率の10%への引上げの中止についてお尋ねがありました。
 足下の経済状況については先ほど申し上げたとおりですが、今般の消費税率の引上げは、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡し、子育て支援を充実していくためのものであり、その増収分は全額社会保障の充実、安定化に充てられ、国民に還元されます。
 他方、引上げにより景気が悪化して税収も増加しないという事態に陥ることは絶対に避けなければなりません。経済再生と財政健全化の両立、この道しかありません。消費税率の10%への引上げについては、経済状況等を総合的に勘案しながら本年中に適切に判断してまいります。
 なお、法人税改革については、経済の好循環を通じて国民生活の向上につながっていくものであり、また、公共事業については、防災・減災対策などに重点化していることから、ばらまきを行っているとの御指摘は当たらないと考えます。
 労働者派遣法改正案及び労働時間制度の見直しについてお尋ねがありました。
 労働者派遣法改正案は、キャリアコンサルティングや計画的な教育訓練等の実施を派遣会社に義務付けるなど、派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップを支援するものであります。非正規雇用を増やそうとするものではなく、労働者派遣法の大改悪というレッテル貼りは不適当と考えます。
 新たな労働時間制度の創設や裁量労働制の見直しに当たっては、当然、長時間労働を強いられることがあってはならないと考えており、企業等に対する監督指導など、働き過ぎ防止のための取組の強化を図ることとしています。この新たな労働時間制度は、ホワイトカラーの方々を広く対象とする、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションとは異なるものであり、その導入は考えておりません。
 以上のように、安倍内閣としては、全ての人々が生きがいを持って働くことができ、何度でもチャンスを与えられる環境をつくっていくことが重要と考えており、頑張る人たちの雇用の安定や処遇の改善に力を尽くしてまいります。
 法人税改革と法人事業税の外形標準課税の対象拡大についてのお尋ねがありました。
 法人税改革については、日本の競争力を高める観点から、法人税を成長志向型に変革していくことで、経済の好循環を通じ、国民生活の向上につながっていくものと考えています。
 また、外形標準課税の在り方については、地方経済を支える中小企業・小規模事業者への配慮の観点も含め検討していくこととしており、大企業に減税し、中小企業に増税するとの指摘は当たりません。
 中小企業支援についてのお尋ねがありました。
 ふるさと名物の販路開拓支援など、あらゆる施策を総動員して中小・小規模事業者の支援に0全を期してまいります。
 また、事業場内の最低賃金を引き上げた中小企業等への助成など、最低賃金を引き上げる環境整備に必要な対策を講じていきます。
 さらに、中小・小規模事業者がいたずらに不利な環境に陥ることのないよう、独占禁止法や下請法の厳正な執行、金融機関による円滑な資金供給の促進など、実効ある取組を進めてまいります。
 米価の下落と農業経営対策についてお尋ねがありました。
 昨年取りまとめた農政改革の中では、米の直接支払交付金について、全ての販売農家を対象にし、担い手への農地集積のペースを遅らす面があったことなどから、意欲と能力ある担い手に集中した経営所得安定対策に見直したところであります。
 その上で、安倍内閣においては、農業の成長産業化を図るため、農地集積バンクによる農地集積、輸出促進、六次産業化の推進などを精力的に図り、さらに、米の生産調整を見直し、農業者がマーケットを見ながら自らの経営判断で作物を作れるようにするなどの改革を進めています。
 なお、米の価格は、需給動向などを反映して民間取引の中で決定されますが、急激に価格が変動した場合には、生産者の収入減少の影響を緩和する対策など、セーフティーネット措置を講じているところであります。
 いずれにせよ、こうした改革を進め、農業を若者に魅力ある成長産業としていくことが重要だと考えております。
 日豪EPA及びTPPについてお尋ねがありました。
 日豪EPAについては、国内産業の存立及び健全な発展を図っていける内容で合意したと考えており、国益にかない、全体として我が国にとって利益になる協定を実現する成果を得たいと考えています。
 TPP交渉については、交渉が最終段階を迎えている中、交渉からの脱退について言及することは不適切と考えます。
 いずれにせよ、守るべきは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求していく考えです。
 原子力発電についてのお尋ねがありました。
 この夏の電力の需給については、電力不足は何とか回避できたものの、これは国民各層や企業の皆様の節電への御協力や老朽火力をフル稼働させている結果であり、予断を許さない状態にあったと認識しています。
 他方、原発が全て止まった結果、海外の化石燃料への依存度が石油ショックの頃よりも高くなるとともに、エネルギー価格の高騰は、中小・小規模事業者の皆様を始め、国民生活に深刻な影響を与えています。また、我が国の電力分野の温室効果ガスの排出量は大幅に増加しています。
 このため、いかなる事情よりも安全性を最優先させる前提の下、独立した原子力規制委員会により、世界で最も厳しいレベルの規制基準に適合すると認められた原発については、その科学的、技術的な判断を尊重し、再稼働を進めていく方針です。
 国が当事者でない個別の裁判事案についてコメントすることは差し控えますが、東京電力には、引き続き、被害者の方に寄り添った公平かつ適切な賠償を行うよう指導してまいります。(拍手)

幹部職の任免に政治をもちこむな 
【議事録】参議院本会議質問

○山下よしき 私は、日本共産党を代表して、国家公務員法改正案について質問します。
 まず、国家公務員制度改革の基本問題について質問します。
 本法案は、2008年に制定された国家公務員制度改革基本法に基づくものとされています。我が党を除く与野党の修正合意で成立したこの基本法を始め、この間、国家公務員制度改革と称して進められてきたのは、第一に内閣一元管理という名の官邸の人事権の強化であり、第二に天下りの全面的な容認でありました。その一方で、公務員制度の根幹問題である労働基本権の回復は一切先送りされてきたのであります。こうした改革が何をもたらしたのか、今厳しく問われなければなりません。
 第一に、内閣一元管理という官邸の人事権強化の問題です。
 今回の法案に盛り込まれた幹部人事の一元管理は、議院内閣制の下、国家公務員がその役割を適切に果たすことを基本理念の第一に掲げる基本法に従ったものであり、内閣としての一体性を確保などを理由に、官邸の人事権の強化を目指すものであります。
 ところが、今まさに問題となっているのが、この間の一連の安倍内閣の人事にほかなりません。安倍総理肝煎りで任命されたNHK経営委員とそこで選ばれた会長が、公共放送のトップとしての資格に欠ける言動を繰り返し、国民の強い批判を招いているのはその一例であります。その役職に求められる能力や識見ではなく、政権との近さを基準とした人事が何をもたらすかは明らかであります。
 菅官房長官は、1年前の4月1日、内閣府の新入職員入府式で、国家全体の奉仕者として頑張ってほしいと言い、昨年9月の幹部職員セミナーでは、この政権の方向性を常に念頭に置いて取り組んでもらいたいと述べました。驚くべき発言です。安倍政権が求めているのは、国民に奉仕する公務員ではなく、政権に服従する公務員なのですか、お答えください。
 法案が導入する幹部人事の一元管理は、政府の幹部公務員候補を官房長官が審査し、その任免にも官邸が関わるものとなっています。こうした制度の下で、幹部になるために必要な能力は、その専門能力や国民目線ではなく、政権への近さ、果ては政権へのおもねりになっていくのではありませんか。これこそ猟官主義ではありませんか。
 言うまでもなく、日本国憲法は、戦前の天皇の官吏から全体の奉仕者へと公務員制度の理念を百八十度転換しました。公務員は、憲法の国民主権の下、全体の奉仕者として、法律に基づき、職務遂行の中立公平が求められることとなったのです。
 ところが、歴代自民党政権の下でこの理念はねじ曲げられ、大企業奉仕、日米同盟最優先の政治を担う官僚集団とされ、業界との癒着構造が形成されてきました。内閣一元制度の導入は、それを一層悪化させるものであります。求められているのは、現憲法の精神に沿った公務員制度の民主的改革であります。
 第二に、天下り禁止の問題です。
 公務員制度への国民の信頼を壊してきた最大の悪弊は、歴代自民党政権の下で繰り返されてきた官民の癒着、高級官僚の天下り、わたりであります。この悪弊を絶ち切るためには、天下り禁止を厳格に実施することです。
 ところが、第一次安倍内閣は、2007年、天下りのあっせんを禁止するだけで、それまであった天下りそのものの原則禁止規定を国家公務員法から削除してしまいました。
 その結果、何が起きたでしょうか。2011年には、前資源エネルギー庁長官が東京電力に直接天下るという前代未聞の事態が起こりました。監督省庁から監督企業への最悪の天下りであります。3.11原発事故と国民からの強い批判の中で、前長官は東電顧問を辞職し、経産省は幹部公務員の電力業界への天下りを自粛せざるを得なくなりました。数々の官製談合を繰り返してきた防衛省においても、関連企業への天下り自粛を継続しています。
 官民の癒着を断ち切るためには、こうした自粛措置にとどまるのではなく、改めて天下りそのものを厳格に禁止することこそ必要なのではありませんか。
 加えて、国土交通省の前事務次官自ら、所管する業界への天下りあっせん、口利きを行っていたことが大問題となりました。ところが、このトップ官僚による重大な国公法違反に対し、安倍内閣は何の処分も行っていないのではありませんか。こうした姿勢が公務員制度に対する国民の信頼を失っているとは思いませんか。
 第三に、公務員の労働基本権回復の問題です。
 日本国憲法は、そもそも、公務員を含む全ての労働者に基本的人権として労働基本権を保障しています。ところが、憲法制定の直後、1,948年に、公務員の争議行為の禁止を日本政府に押し付けたマッカーサー指令によってこの基本権が公務員から剥奪され、以来、その回復が我が国公務員制度の根本的な課題となってきたのであります。
 公務員は、国民の権利を尊重する立場で仕事をすることが求められます。そのためには、自らの人権が保障されていることが不可欠です。にもかかわらず、基本法には、「自律的労使関係制度を措置するものとする。」という不十分な規定が置かれただけでありました。労働基本権の回復こそ、公務員制度改革の根本に据えるべきではありませんか。
 公務員の労働基本権の保障は世界的なスタンダードであります。ILOは、2002年、日本政府に対し、公務員の労働基本権に対する現行の制約を維持するとの考えを再考すべきであると求め、以後、一貫して公務員への労働基本権の付与を勧告してきました。
 稲田大臣は、衆議院の法案審査において、これらILO勧告について、公務員制度改革について関係者と十分話し合うことと、改革の進展について情報提供を続けることの二つを要請しているとの認識を述べられていますが、これは一貫して労働基本権の付与を求めてきたILO勧告の核心からあえて目をそらすものではありませんか。
 最後に、法案について具体的に二点質問します。
 まず、人事の中立性、公正性の問題です。
 法案は、幹部職員人事の一元化として、官房長官による適格性審査と幹部候補者名簿の作成を規定しています。政治家である官房長官による審査で中立公正な審査ができるのですか。
 法案は、幹部職員の降任の条件として、当該幹部職員が他の幹部職員に比して勤務実績が劣っていることを要件にしていますが、稲田大臣は、衆議院の審議において、「能力が劣っていなくても、ほかにいい人を登用したいがために、一つポストを下げる、そういう特例の降任制度」と答弁されました。一体、ポストを下げる客観的な基準はあるのですか。幹部職員の登用においても降任においても、政権の意のままということですか、お答えください。
 次に、人事院の代償機能の問題です。
 設置される内閣人事局には、総務省及び人事院から人事に関する事務が移管されますが、その中には級別定数の事務も含まれています。勤務条件そのものである級別定数を、第三者機関である人事院から移管し、使用者中の使用者である内閣人事局が決定するということになれば、人事院の代償機能を後退させることになるのではありませんか。
 以上、法案の徹底審議を求めて、質問を終わります。


 

稲田大臣の答弁

○稲田朋美国務大臣 幹部人事の一元管理についてのお尋ねがありました。
 今回の公務員制度改革において導入を予定している適格性審査、任免協議等の幹部人事の一元管理プロセスは、能力・実績主義の下、いずれも各大臣の任命権を前提とする仕組みとしております。
 その上で、適格性審査においては、人事評価結果等の客観的な資料により、審査対象者が必要な標準職務遂行能力を有しているかどうかという客観的な基準により確認することといたしております。
 また、幹部職の個別の人事に係る任免協議においては、任命権者である各大臣が作成した人事案について内閣総理大臣及び内閣官房長官との協議が行われるものであり、複数の視点によるチェックが行われ、公正性が担保される仕組みとしているところです。したがって、幹部職員になるために必要な要素が政権への近さや政権へのおもねりになっていくとの御指摘は当たらないものと考えます。
 また、猟官主義とは、縁故や個人的なつながり等に基づいて任用を行う制度と承知しておりますが、幹部人事の一元管理は、能力・実績主義に基づいて適材適所の人事配置を行うものであり、猟官主義との御指摘は当たらないものと考えております。
 天下りについてのお尋ねがありました。
 国家公務員の再就職に関して、問題なのは、公務員OBの口利き、予算、権限を背景とした再就職の押し付け等の不適切な行為であります。平成19年の国家公務員法改正により、こうした行為を直接的に禁止するとともに、規制違反行為に関する監視体制として再就職等監視委員会を整備したところであります。今後とも、再就職等監視委員会による監視の下、再就職規制の厳格な運用を通じて、国民の疑念を招く天下りを根絶し、再就職に関する国民の疑念を払拭してまいります。
 公務員の労働基本権についてお尋ねがありました。
 憲法第28条に定める労働基本権は、勤労者に保障された権利ですが、公務員については、その地位の特殊性と職務の公共性から必要最小限度の制限が許容されていると解されております。
 また、自律的労使関係制度の措置は、国家公務員制度改革基本法第12条に基づき、公務員制度改革において政府に課せられた責務の一つではありますが、これまでの経緯を踏まえれば、多岐にわたる課題があり、引き続き慎重に検討する必要があると考えております。
 なお、御指摘の争議権を含めた労働基本権の回復が公務員制度改革の根本的な問題との御指摘は当たらないと考えております。
 労働基本権に係るILO勧告についてお尋ねがありました。
 ILOからは、我が国の公務員の労働基本権の制限に関して勧告されていますが、勧告は、基本的に、公務員制度改革について関係者と十分話し合うこと、改革の進展について情報提供を続けることの二つを要請したものと認識をしております。
 自律的労使関係制度については、民主党政権下の平成23年6月に国会に提出された国家公務員制度改革関連四法案が廃案になったことなど、これまでの経緯を踏まえれば、引き続き慎重に検討する必要があると考えております。
 適格性審査及び幹部候補者名簿の作成について、中立公正の観点からお尋ねがありました。
 適格性審査においては、人事評価結果等の客観的な資料により、審査対象者が必要な標準職務遂行能力を有しているかどうかという客観的な基準により確認することとしております。また、幹部候補者名簿については、適格性審査の結果、標準職務遂行能力を確認された者を幹部候補者として記載する仕組みであります。
 このような適格性審査、幹部候補者名簿の作成は、客観的な判断材料、客観的な判断基準に基づいて行われる能力・実績主義の下での仕組みであるため、公正中立性は確保されており、御懸念は当たらないものと考えております。
 特例降任制度について、職員を降任させる場合の客観的な基準についてお尋ねがありました。
 現行国家公務員法においても、成績不良の場合であれば降任は可能でありますが、今回の法案においては、適材適所の幹部人事を実現するため、成績不良の場合でなくても、一定の要件の下に降任を可能とする新たな制度として特例降任制度を設けております。
 具体的には、特例降任においては、同じ組織で同じクラスの他の幹部職員と比較して勤務実績が相対的に劣っていること、その人に代えて、そのポストに任命すべき適当な者がほかにいる場合であること、他のポストに転任させることができない等、降任以外に方法がないこととの三つの要件を満たした場合に降任を可能とする仕組みとしております。また、より詳細な基準については、人事院規則において定めることといたしております。
 幹部職員の登用及び降任についてのお尋ねがありました。
 今般導入する適格性審査や任免協議等の幹部人事の一元管理プロセスは、各大臣の任命権を前提として、能力・実績主義に基づく客観的な人事評価の結果と、幹部職に係る標準職務遂行能力の有無や、それぞれの官職ごとに求められる専門的な知識や経験等の有無を考慮した適性に基づき判断を行うこととしております。
 また、同じく新たに導入する特例降任制度は、能力・実績主義の下、弾力的な人事配置の実現のために、成績不良の場合でなくとも一定の要件の下に降任を可能とする制度であり、その要件は本法案において客観的に定められているものであります。
 このように、幹部人事の一元管理プロセスや特例降任制度は、能力・実績主義に基づいて幹部職員の適材適所の人材配置を実現するためのものであり、総理大臣等の意向で誰でも登用したり降任させたりできるものではないため、御指摘は当たらないものと思います。
 級別定数に関する機能を内閣人事局が担うことについてお尋ねがありました。
 級別定数は、職責によるポストの格付を踏まえ、職員の勤務条件の確保の必要性を考慮して設定、改定されるものですが、今回の法案の検討過程で、この職員の勤務条件の確保の重要性について各方面から指摘をいただいたことを踏まえ、法案では、内閣総理大臣が人事院からの意見を十分尊重してその設定、改定を行うこととしております。
 このような仕組みにより、今回の法案による改正後も、人事院が、労働基本権制約の代償機能を担う第三者機関として、職員の適正な勤務条件を確保するため、引き続き重要な役割を果たしていくことといたしております。
 以上でございます。


 

菅官房長官の答弁

○菅義偉内閣官房長官 公務員のあるべき姿についてお尋ねがありました。
 現在、我が国が直面する様々な課題を解決していくためには、内閣の重要政策に対応した戦略的人材配置を実現をして、縦割り行政の弊害を排し各府省一体となって行政運営を確保するとともに、政府としての総合的人材戦略を確立をし、職員一人一人が責任と誇りを持って職務を遂行できるようにするための公務員制度改革が急務であります。
 このような観点から、幹部職員人事の一元管理を行うことによって、政官の接点にある各府省の幹部職員について戦略的人材配置を実現するとともに、職員一人一人が省益ではなくて国益を考え、自らやる気を持って国民のために職務を遂行することが可能になるものと考えております。
 天下り禁止の問題について発言がありました。
 御指摘の事案については、再就職等監視委員会による違反認定時には対象者が退職後であったために懲戒処分は行われておりませんが、同委員会において談話を発表し、各府省に対して再就職等規制の周知徹底を依頼したものと承知をいたしております。
 今後とも、同委員会による監視の下、こうした不適切な行為を厳格に規制していくことで天下りを根絶をし、再就職に関する国民の疑念を払拭をしてまいります。

「海外で戦争する国」断念迫る 
【議事録】参議院本会議代表質問

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 私は、日本共産党を代表して、総理に質問します。

 今国会は、これまでにない状況の下で幕を開けました。秘密保護法廃止を求める人波と声で国会が包囲されたのです。昨年暮れの秘密保護法強行に反対した国民の声は、収まるどころか、日がたつにつれ広がっています。 続きを読む

何年働いても非正規雇用、正社員への道がますます遠くされようとしていることは重大 
【議事録】2013年12月7日 参議院本会議での国会戦略特区法案に対する反対討論

 私は、日本共産党を代表して、国家戦略特区法案に反対の討論を行います。
 法案の内容に入る前に、法案審議の民主的ルールを真っ向から否定した与党による本院と内閣委員会の運営について一言申し上げたい。
 国家戦略特区法案は、安倍内閣の重要法案とされているにもかかわらず、公正で円満な運営を進めようとしていた前内閣委員長を数を頼んで解任した上に、委員長職権で委員会を開催し、参考人質疑も行わず、委員の十分な審議も保障しないまま、委員会に続いて本会議で採決を強行しようとしていることに対し、まず強く抗議をいたします。
 内閣委員会における本法案の審議時間は、衆議院の3分の1にも満たない僅か7時間でしかありません。そのような状態で会期末を迎えた以上、会期制の原則にのっとるなら、本法案は、本来、審議未了、廃案とすべきものであります。
 以下、国家戦略特区法案に反対する理由を具体的に述べます。
 第一の理由は、本法案が、弱肉強食の市場原理主義に基づく規制緩和を、特区地域の指定も含め、国家の意思として上から一方的に押し付け、やがて全国に拡大するものであり、そのために総理大臣の下に新たな規制緩和メニューを次々と加えることができるシステムを創設するものだからであります。
 初めに規制緩和ありきで、規制緩和によって安心、安全が脅かされる側の声は事前に聞かれることなく、規制緩和後の悪影響も検証される仕組みがない本法案は、国民の中に一層の貧困と格差をもたらすものとならざるを得ません。
 反対理由の第二は、特区地域の指定、特区計画の認定、雇用ガイドラインの検討などを担うこととなる要の組織、国家戦略特区諮問会議に、総理、官房長官などとともに、解雇特区や雇用の規制緩和を強力に主張している竹中平蔵氏、今や派遣会社会長でもある同氏を始め、財界人が民間議員として起用されようとしているからであります。
 私の本会議質問でも、菅官房長官は竹中氏の起用について否定せず、仮に議員が直接の利害関係を有すると考えられる議題が上がる場合には、当該議員が審議に参加しないようにできる仕組みとしたいと、根拠も担保もなく答弁されましたが、法人税の優遇や労働法制の規制緩和などが議題となるたびに外すことなどできるはずがありません。
 人間社会は、使用者と労働者が対等の立場にない雇用関係において、労働者保護のための労働法の必要性を自覚し、長年の努力によって契約自由の社会を修正してきました。それが近代社会の到達点であります。事もあろうに、労働者の搾取が自由にまかり通っていた時代に逆戻りすることを望むかのような、むき出しの規制緩和論者を諮問会議のメンバーに据えるなど到底許されるものではありません。
 反対理由の第三は、今や若者の、そして女性の二人に一人が正社員になれず、不安定雇用と低賃金に苦しんでいる中、求められているのは、安心して働ける雇用のルールの確立、正社員化と均等待遇、中小企業への支援と併せての最低賃金の大幅引上げなどであるにもかかわらず、この法案はそれと逆行する労働規制の緩和の道筋を付け、一層非正規化を進め、格差社会を広げるものだからであります。
 この間、国家戦略特区ワーキンググループでは、労使の契約でいつでも解雇できるようにすること、労働時間の上限規制の緩和をすることなど、解雇特区、過労死特区ともいうべきものが検討されてきました。こうした企ては国民の批判を前にトーンダウンしたものの、新たに有期労働の無期転換申込みを現行五年から十年に延長することが狙われており、何年働いても非正規雇用、正社員への道がますます遠くされようとしていることは重大です。
 これだけにとどまらず、法案では、医療、農業、教育など、様々な分野で、国民の命と安全、暮らしや営業にかかわる規制緩和が首相のトップダウンで次々と持ち込まれようとしております。日米の財界の要求を優先し、国民の命や暮らし、雇用や中小企業を守るルールを壊すことなどあってはなりません。
 以上、本法案に反対する理由を述べました。
 最後に、この法案にかかわらず、国会の中の多数で悪法を強行することはできても、国民の中に息づく民主主義の力まで押しとどめることはできません。国民は必ず政治の横暴を自ら乗り越え、新しい時代を切り開くことになることは間違いない。その確信を述べて、討論を終わります。

内閣委員長水岡俊一君解任決議案に断固反対する討論 
2013年12月5日 参議院本会議

 私は、日本共産党を代表して、内閣委員長水岡俊一君解任決議案に断固反対する討論を行います。
 反対理由の第一は、政府の提出した法律案を始め、付託された案件を慎重に審議することは委員会の最も重要な使命であり、その点で水岡委員長には一点の瑕疵もないからであります。
 提案者が問題にする国家戦略特区法案は、衆議院では、三日間の質疑と参考人質疑、総理出席の審議など二十二時間以上を充てているのに対し、参議院の内閣委員会では、まだたった一回、五時間程度しか審議できておりません。
 審議が十分にできていない最大の原因は何か。そもそも、五十三日間しかない今臨時国会であるにもかかわらず、政府が内閣委員会に関連する重要法案を多数提出したことにあります。
 こうした中でも、各会派の代表が充実した審議のためによく協議するように頻繁に促すなど、民主的ルールにのっとった委員会運営を進めていた水岡委員長を解任することは、国民生活に重大な影響を及ぼす政府提出法案を多数の横暴で成立させようとするものであり、断じて認めることはできません。
 この間、政府・与党は、国家戦略特区法案を重要法案と位置付けながら、一方で、本来内閣委員会で審議すべきが筋である国家安全保障会議設置法案と特定秘密保護法案を強行するために特別委員会を設置し、内閣委員会と並行して特別委員会の開会をごり押ししてきました。衆参のNSC特別委員会の開催を理由として、与党は、特区担当大臣の新藤大臣の特別委員会への出席を優先しようとしたり、あるいは、内閣委員会の所管大臣である森まさこ大臣、菅官房長官などの内閣委員会への出席を拒むなどしてきました。
 加えて、安全保障会議設置法案の採決強行や、秘密保護法案の衆議院での強行採決、参議院での審議入りと、与党による乱暴極まる運営の中、内閣委員会での十分な審議を確保するための理事間の協議を調えることが困難になったのであり、その責任を水岡委員長に一方的に課すことは余りにも理不尽と言わなければなりません。むしろ、強引な運営を進めてきた政府・与党、自民党国対の内閣委員会軽視にこそその責任が問われているのであります。
 反対理由の第二は、戦略特区法案が国民にとって極めて重大な影響を与える内容であり、反対の立場の会派だけでなく、賛成の会派にとっても慎重な検討が不可欠であるにもかかわらず、委員長解任でその委員会の任務を放棄し、多数の横暴で押し通そうとしているからであります。
 戦略特区法案は、戦略特区での様々な分野における規制緩和を、国家の意思として、地域指定も含めて上から一方的に国民に押し付け、全国区に広げるものであり、規制緩和のメニューを次々と加えていくためのシステムを創設するものです。まず規制緩和ありきで、国民の中に一層の格差と貧困を進めるものにほかなりません。
 とりわけ、戦略特区計画を議論する戦略特区諮問会議について、総理、官房長官などとともに民間有識者を起用するとしていますが、その民間有識者として、小渕、小泉両内閣の主要閣僚を歴任し、雇用の規制緩和を推進し、非正規雇用労働者を急増させた上に、政治家、大臣を引いた後は、その雇用の規制緩和で大もうけした人材派遣会社最大手パソナ会長に収まっている竹中平蔵氏を起用しようとしていることは到底認めることはできません。
 私は、竹中平蔵氏の諮問会議への起用について、十一月二十二日の本会議質問で、利害関係者を入れるべきではないと厳しく追及しました。自民党の皆さんを含めて大きな拍手が返ってきたことを覚えております。
 ところが、甘利経済再生担当大臣は、翌十一月二十三日、慶応大学での講演会で、戦略特区諮問会議に竹中平蔵氏を起用することを公言したのであります。参議院での法案審議が始まったばかりであり、特区諮問会議も設置されていないにもかかわらず、また担当大臣でないにもかかわらず、この発言は国会と国民を余りにも軽視したものであります。
 十一月二十六日の内閣委員会で、当然のことながら、この甘利発言をめぐって激論となり、自民党理事の対応能力不足により理事会が混乱したところを水岡委員長が交通整理を行い、委員会を予定どおりに開催することができ、委員会の中で甘利大臣より陳謝の発言を行うことになりました。しかし、甘利大臣は、竹中氏起用を発言した事実は認めた上で、誤解を与えたことを陳謝するとしたもので、そもそも、人材派遣会社会長の肩書を持ち、解雇特区を提唱してきた使用者側代表、この国に貧困と格差を拡大させた張本人を再び経済政策の重要会議のメンバーとすることの問題点を根本的に認めるものではありませんでした。
 このような看過できない問題を持つ法案を政府・与党の都合で不十分な審議のまま強行することは断じて許されません。
 先ほど、提案者は、民主党以外の全ての会派が共同して提出した委員会開会要求書と説明しましたが、それは事実と異なります。理事の一人である私にも、自民党筆頭理事より共同提案のお誘いを受けましたが、委員会を開催しようにも、その条件である理事協議が先ほど述べた政府・与党の横暴によって調わない下で、いたずらに委員長に開会要求書を提出しても事態を打開することはできないのではないですかと、理を尽くしてお断りをした次第であります。事実に基づく討論、とりわけ院の役員の解任を要求するような重大な討論については、なおさら正確な討論がなされなければなりません。
 党利党略ではなく、数の横暴で進めるのではなく、徹底した審議のルールを貫くことこそ参議院の存在意義であります。そのルールを踏みにじり、自分の意のままにならない委員長は多数を頼みに首にする、そんなノンルールの参議院にすることなどあってはなりません。
 以上をもって、内閣委員長水岡俊一君解任決議案に対する反対討論といたします。