伊達忠一参議院議長不信任決議案に対する賛成討論 
2018年7月19日 参議院本会議

 2018年7月19日、参議院本会議で山下芳生参院議員が行なった「伊達忠一参議院議長不信任決議案に対する賛成討論」は、以下の通りです。


 日本共産党を代表して、伊達忠一議長不信任決議案に対する賛成の討論を行います。

 議長にとって最も重要な役割は、選挙によって選ばれた全国民の代表者によって構成される参議院を、公平かつ円満に運営することです。 続きを読む

公職選挙法(参院選挙制度)改定案(自民党案)に対する反対討論 
2018年7月11日 参議院倫理選挙特別委員会

 

本日の参院倫理選挙特別委員会に、自民党が突然提出し強行可決した「討論封殺」動議によって、「幻の討論」となった私の討論予定原稿を、満身の怒りと抗議の意を込めて紹介します。 続きを読む

NHK記者過労死/労働時間把握せず/参院総務委で追及 
2017年12月7日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 NHKの「プロフェッショナル」という番組があります。11月20日は過労死事件と向き合ってきた弁護士を取り上げ、娘や息子が過労死した御遺族の声が幾つも紹介されました。

 大手広告会社勤務の娘24歳を過労自殺で失った母。私は娘を助けられなかった、守れなかったという自責の念でずっと来た。彼女が弱かったから自殺したんじゃないかと思われるのは不本意。彼女の尊厳を守りたいと弁護士を頼った。娘の尊厳を守ることができ、私が今生きていられる。

 システムエンジニアの息子27歳を失った母。なぜこんなことになってしまったのか合点がいかなかった、一生懸命育ててきた子ですから。息子は、おかん、俺のことあれからどうなったときっと聞くと思って、あの子に説明してやれることをきちんと持ってからあの子に会いに行こうと。こんなことは私だけで十分、繰り返されてはならない。

 胸が潰れる思いで聞きました。共通しているのは、なぜ我が子は死ぬほどまでに働いていたのか、なぜそのようなことになったのか原因を知りたい、そして、二度とこのようなことはあってほしくないという思いであります。

 野田大臣、こうした御遺族の声を踏まえるなら、私は労働者が働き過ぎが原因で死んでしまうことなど絶対にあってはならないと思いますが、大臣の認識、いかがでしょうか。

野田聖子総務大臣 委員のおっしゃるとおりです。私も母親の一人として、子供が働き過ぎで亡くなるということは絶対あってはならないことだと思います。

山下よしき 番組では、冒頭、NHKで起きた過労死を取り上げました。2013年7月、首都圏放送センターに配属されていた31歳の佐戸未和さんが、都議会議員選挙、参議院選挙の取材など連日の過酷な労働の中、参院選の投票日の2日後に寝室で携帯を持ったまま鬱血性心不全で亡くなり、翌年5月に過労死認定されました。

 上田会長、NHKの職場でこのようなことが起こったことについてどう受け止めていますか。

上田良一NHK会長 お答えいたします。
 若く未来のある記者が亡くなったことは痛恨の極みです。我が子を失った御両親の思いは察するに余りあるものがあります。

 過労死の労災認定を受けたことは大変重く受け止めています。公共放送を共に支える大切な仲間を失うようなことは二度とあってはならず、命と健康を守ることを最優先として、長時間労働の是正などの働き方改革に不断に取り組んでまいります。

山下よしき 番組では御両親の声も紹介されていました。佐戸未和記者の母、恵美子さん。毎日毎日、娘の遺骨を抱きながら娘の後を追って死ぬことばかり考えていました。本当に宝物だったんですね。それが本当に志半ばで、本人が一番無念だったと思います。私も主人も無念だけど、何より本人が無念だったと思います。父、守さん。未和の過労死の事実を踏まえて、その原因なりを含めて働き方改革を進めていただいて、二度と未和のような過労死が発生しないようにしていただきたいと。重い言葉だと思います。

 ジャーナリストの先輩として学生時代の佐戸未和さんを指導した下村健一さんは、あんなにエネルギッシュで、ヒマワリの花のような笑顔を振りまいていたみわっちが突然いなくなった、こんな理不尽な人生の打ち切られ方があっていいのか、NHKがどんなに前途有望な若き報道人を死なせたか知っていただきたいと、追悼記事を書いておられます。

 佐戸未和記者はどのような働き方をしていたのか。2005年に入局後、鹿児島放送局で勤務し、2010年から首都圏放送センターに勤務となり、主に東京都政の担当となりました。

 お母さんは、4回ほど鹿児島に行ったけど一度も会えなかったこと、都庁担当となった頃、1回だけ実家に泊まりに来たが、夕食をまるで飲み込むように平らげ、ささっとカラスの行水、ヨガを済ませるとすぐお布団へ、余りのスピードぶりにぽかんとしたこと、都庁近くのホテルで昼食をごちそうしてくれたときも、ばたばたっと来て、さあっと職場に戻っていったことなどを記者会見で紹介されています。

 表彰を2回ほど受けるなど、仕事はしっかりとしていた。責任感も力もある人でした。

 その佐戸記者が、2013年6月の都議選、7月の参院選の取材に当たる中、遺族と弁護士の調査によると、時間外労働が6月は188時間、7月は209時間にも上り、鬱血性心不全で亡くなりました。6、7月で休みは僅か3日、日付をまたいで25時、27時まで働く日も何日も続き、徹夜状態でほぼ24時間働いていたこともありました。

 上田会長にお聞きします。なぜこのような長時間、休日なしの労働を止められなかったのか、若い優秀な記者の死をなぜ防ぐことができなかったんでしょうか。

上田会長 当時、記者には事業場外みなし労働時間制を適用していましたけれども、勤務時間はタイムレコーダーの記録や記者自身がシステムに入力、勤務の始まりと終わり時間を上司が承認する形で把握いたしておりました。

 制度上、時間外労働時間という概念はありませんでしたけれども、労働基準監督署が労災認定のために算出した直近一か月の時間外労働時間はおよそ159時間と聞いております。休みについては、当時の勤務記録では、6月が3日、7月が22日まで1日だけだと把握しております。佐戸さんが亡くなり、労働基準監督署から過労死と認定されたことは痛恨の極みで、重く受け止めています。

 当時の記者の勤務制度であります事業場外みなし労働時間制は、勤務状況に応じた十分な健康確保措置がとることができませんでした。その後、記者については、働き方プロジェクトを立ち上げまして長時間労働の改善などに取り組んできたほか、今年4月からは勤務制度を抜本的に見直して、専門業務型裁量労働制を導入し、休日をきちんと確保するとともに、勤務状況に応じて段階的に健康確保措置を講じています。

 NHK会長として、佐戸未和さんの過労死を重く受け止め、今後二度と過労死を出さないよう、不断に働き方改革に取り組んでまいります。

山下よしき 今会長からあったように、佐戸記者が亡くなった当時、NHKでは記者に対し事業場外労働に関するみなし労働時間制を適用していました。事業場外みなし労働時間制というのは、事業場の外での業務のために労働時間の把握ができないということで、例えば八時間なら八時間働いたとみなすという制度であります。

 確認しますけれども、2014年5月、渋谷労働基準監督署がNHKに指導文書を発出しております。内容はNHKから聞きましたけれども、記者に係る事業場外のみなし労働時間制の適用について、記者の業務に通常必要となる時間を調査検討し、必要に応じて見直しを図ること、また記者の働き方にふさわしい労働時間制度について必要に応じて見直しを図ること、こういう指導だったこと、間違いありませんね。イエスかノーかで。

上田会長 受けております。

山下よしき 要するに、事業場外みなし労働時間制が記者にふさわしい制度だったのかということを指摘されたということであります。

 しかし、じゃ、事業場外みなし労働時間制度を導入すれば、実際の労働時間、時間外労働が100時間あるいは200時間でも問題ないのかというと、そんなことありません。労基法1条、労働条件は労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすべきものでなければならない。労安法3条、事業者は労働者の安全と健康を確保するようにしなくてはならないとあります。

 厚労省に確認しますが、たとえどのような働き方であっても、仮に事業場外みなし労働時間制であっても、使用者は労働時間を適正に把握すべきであり、必要な健康確保措置を講ずるべきではありませんか。

土屋喜久(厚生労働大臣官房審議官) お答え申し上げます。
 労働基準法におきましては、労働時間、休日、深夜業などにつきまして規定を設けておりますことから、使用者は労働時間を適正に把握するなど、労働時間を適切に管理する責務を有しております。事業場外みなし労働時間制などが適用される労働者につきましても、健康確保を図る必要から使用者は適正な労働時間管理を行う責務があるということでございます。

 また、労働安全衛生法におきましては、事業場外みなし労働時間制などが適用される労働者を含めまして、全ての労働者を対象に、時間外・休日労働時間数が百時間を超える労働者から申出があった場合には事業者が医師による面接指導を行うということを義務付けております。

山下よしき 上田会長、そういうことなんですよ。先ほど上田会長は事業場外みなし労働時間制だったら労働時間を把握なかなかできないとさらっとおっしゃいましたけど、違うんです。事業場外みなし労働時間制であっても、労働時間を把握し、適切な健康管理措置をしなければならないんです。また、望ましいと、そういうふうに指導されているんですね。ところが、NHKはそれをやっていなかったんですよ。

 先ほどありましたが、私、先日、NHK職員の方に何人か直接聞きました。当時、記者は、さっきおっしゃったように、タイムカードを打刻しているんですね、確かに。しかし、それは事業場外ですから、当日じゃなくて後刻ですね、後日、本局に本人が行ったときに出勤時刻と退勤時刻を自己申告で打刻することになっていた。自己申告する場合は、本人が自分の手帳などに記録しているメモに基づいて打刻する。その頻度は1月に1回程度のこともあったというんですよ。これでは、幾ら健康管理をしようと思っても上司はできないですね。だって、適切なタイミングで正確な時刻、時間を把握できないんですから。

 ここに問題があったと、本来はやらなければならぬことをできていなかったと、そう受け止めなければならないんじゃないですか、上田会長。

上田会長 お答えいたします。
 当時、今御指摘ありましたように、記者は事業場外みなし労働時間制を適用していましたが、勤務時間はタイムレコーダーの記録や記者自身がシステムに入力して勤務の始まりと終わりの時間を上司が承認する形で把握していました。

 事業場外みなし労働時間制は、事業場の外にいるので労働時間の算定が困難という前提の下、労働時間をみなす制度でありますけれども、当時、この制度では勤務状況に応じた十分な健康確保措置をとることができていませんでした。その後、記者につきましては、働き方プロジェクトを立ち上げまして、長時間労働の改善などに取り組んできたほか、今年の4月からは勤務制度を抜本的に見直して、専門業務型裁量労働制を導入し、休日をきちんと確保するとともに、勤務状況に応じて段階的に健康確保措置を講じております。

山下よしき もっと亡くなったことに対して胸の痛みを感じる必要が僕はあると思いますよ。みなし制度だから仕方がなかったという認識じゃ駄目なんですよ。

 大体、佐戸未和さんは、亡くなる二か月前、選挙の報道の取材でしたよね。だったら、都庁クラブに詰めていたというんですよ、情勢分析するんだったら一人でやるはずないんですよ、チームで集団でやっていたはずなんです。気付かない、人がいない、いなかった、止める人がいなかったということが私は重大な問題だと思います。

 一つ紹介したいと思いますが、佐戸記者の御両親は、NHKの職員から、記者は裁量労働制で個人事業主のようなものだとか、お母さんが娘は家族のエースだったと言ったことに対して、要領が悪く時間管理できずに亡くなる人はエースではないと言われたということです。亡くなった御遺族にこんなことを言うこと自体が信じられないんですが、そういうことを言われたそうですよ。事業場外みなし労働制の下で職場の認識がこんな状態、とりわけ直属の上司がこんな認識だったら、これだと忙しい時期に真面目な使命感、責任感の強い労働者は働き過ぎになりますよね。

 私は、上田会長、自己責任じゃないと思います。労働時間を把握し、健康管理を確保しなければならない使用者、経営陣、あるいは上司に当たる人たちがこういう認識でいたから佐戸記者を守ることができなかった、ここはしっかり受け止めるべきじゃありませんか。制度があったから、そういう制度だったから仕方がないではないんじゃありませんか。

上田会長 今の御指摘は、会長として私の方でしっかりと受け止めたいと思います。

山下よしき 野田大臣に伺います。
 NHKでの記者の過労死は、これは二度とあってはならないと思います。今回明らかになったNHKの事例は、放送あるいは新聞などメディア業界に共通する労働環境がもたらしたものとも言えると思います。放送の現場では一般的に、時間を掛ければ掛けるほど良い番組制作や取材につながるという経験論も根強くあると聞いております。しかし、それでいいのかと、過労死が起こるほど労働者が疲れ果てていて本当に良い仕事ができるのかという指摘もあります。

 過労死防止法では、国の責務として、過労死事案についてその原因などを調査、検証、分析しなくてはならないとされています。同様のことをメディア業界で二度と起こさないために、今回の事例を含め、国として調査、分析、検証して今後の教訓にすべきだと私は思いますが、野田大臣から厚生労働大臣にそういうことを進言すべきじゃないでしょうか。

野田総務相 過労死等防止対策推進法に基づく調査研究等については、今後、厚生労働省の中の過労死等防止対策推進協議会での議論を経て決められるというふうに聞いているところです。

 いずれにしても、今御指摘のように、NHKのみならず、各放送事業者においても、過労死等防止対策推進法の趣旨をしっかり踏まえて、是非とも過労死の防止に全力で取り組んでいただきたいと私は考えています。

山下よしき NHKで根絶するとともに、メディア業界全体で根絶しなければ過労死ゼロ社会は実現できません。大臣の役割は大きいということを申し上げたいと思います。

 上田会長、NHKは4月から専門業務型裁量労働制度を導入したということですが、これで佐戸記者のような事態は絶対にないと言い切れますか。

上田会長 お答えいたします。
 今御指摘ありましたように、今年4月に導入いたしました専門業務型裁量労働制は、労働状況を把握して健康確保措置を実施すること等が導入の条件になっております。記者に求められる自律的な働き方を担保しながら、法的裏付けのある措置を実施することにより、記者の健康確保を図ることとしています。

 この制度導入により、記者の働き方への意識改革が進み、勤務管理や健康確保の強化が図られたと考えていますが、会長として、ササキ未和さんの過労死の事実を重く受け止め、今後二度と過労死を出さないという思いを職員全員と共有するため、働き方改革に関する決意ともう一段の踏み込んだ取組を公表して徹底したいと考えています。その上で、私が先頭に立ち、NHKの業務に携わる全ての人の命と健康を守ることを最大の目標として、働き方改革を加速してまいります。

山下よしき 私、NHKさんから昨日、専門業務型裁量労働制適用者に対する健康確保措置というペーパーをいただきました。これによりますと、第一段階から第四段階まで健康管理時間に対応した健康確保措置を行うということが示されています。

 この健康管理時間とは何かといいますと、出勤時刻と退勤時刻の間の時間を暦月積算した時間(休憩等を含む)というふうにあります。この健康管理時間が何時間以上になったらこういう措置をとりますよということなんですが、この中身見て驚いたのは、労基署の認定した佐戸未和記者が亡くなる前一か月の総拘束労働時間、これは始業時刻から終業時刻までの時間の積算でありまして、NHKの言う健康管理時間と同じですが、実はこれ、佐戸記者が亡くなる前一か月は、この総拘束労働時間は349時間だったんです。このNHKさんの昨日いただいた基準に合わせますと、これ第一段階にとどまって、第二段階にも満たない基準になっていると。

 第一段階というのは何するかというと、出退勤画面での注意喚起メッセージの表示、労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリストによる自己診断及び産業医による面接指導の勧奨でありまして、メールで気を付けてくださいよということが伝わったり、自己チェックリストでチェックするだけなんですね。だから、第二段階になっても、まだ医師にちゃんと診てもらうということが強制されるわけじゃないんですよ、上司と共有するというだけでね。第四段階になって初めて産業医による面接指導の原則実施ということになるんです。

 これで実際に第一段階の時点で亡くなった未和さんの教訓が踏まえられていると言えますか。

根本佳則(NHK理事) お答えいたします。
 今先生御指摘のように、まだまだ記者の勤務の在り方につきましては改善をするべき点があると思いますので、見直しをできる点につきましては速やかに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

上田会長 委員長、済みません。

竹谷とし子総務委員長 上田会長。

上田会長 先ほど私の答弁で固有名詞を間違って申し上げまして、佐戸未和さんというのを間違って言ったようで、訂正させてください。

山下よしき もう一つ心配なことがあります。局内全体で未和さんの過労死のことが共有化されていないのではないかということです。

 御両親は、未和のことが知られていない、教訓化されていないのではないかということで会見開かれている。だからNHKに公表してくださいということを申し入れたんだと思いますが。

 上田会長、私は、二度と過労死を生まないためには、佐戸記者の過労死がなぜ起こってしまったのか、なぜ防げなかったのか、その認識の共有化と一体に進めてこそ可能になるんではないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。

上田会長 お答えいたします。
 御両親の思いを重く受け止めまして、また真摯に受け止めて、これから、御両親のお力添えも頂戴したい、頂戴しながら、再発防止と働き方改革ということに私を先頭にして取り組んでまいりたいと考えています。

山下よしき 時間参りましたので終わりますが、佐戸さんの死を経営陣とそれから全職員の皆さんが各々の胸に痛みとして刻まなければ、どんな制度をつくっても絵に描いた餅になるし、仏作って魂入れずになると思います。二度と起こさないということだったら、これまで十分周知されていなかったと聞きます、公表との関係もあったでしょう。しかし、もう公表されたんですから、未和さんの死はなぜ起こったのか、なぜ防げなかったのか、それを共有化してこそ制度に魂が入るんだということを申し上げて、質問を終わります。

国民の怒り突きつけ暴走ただす/再稼働は論外/原発ゼロ迫る/ 
2017年11月22日 参院本会議

 日本共産党を代表して安倍総理に質問します。

森友・加計疑惑―いつまでも逃げ続けることは許されない

 総理は、森友・加計疑惑について、「丁寧に説明する」と繰り返しながら、所信表明では一言も語りませんでした。しかし、総理夫妻の「お友達」のために、行政がゆがめられ、国政が私物化されたのではないかという重大な疑惑です。いつまでも逃げ続けることは許されません。

森友疑惑―行政側からの値引き提案の異常究明は行政トップの総理の責任

 国民の財産である国有地が8億円も値引きされ、タダ同然で森友学園に払い下げられたカラクリが、音声データの生々しいやりとりで明らかになりました。 まず森友疑惑について聞きます。

 近畿財務局の職員が「いくらなら買えるのか」と籠池理事長に尋ね、籠池氏が「1億6000万円」と応じ、財務局職員は「それに近いところまで努力しています」などと述べていた。深さ9・9メートルまでゴミが埋まっていたことにして土地を値引きするというストーリーがつくられ、それが財務省の側から提案されていたのです。

 総理、政府の側から値引きがもちかけられたことは異常だと思いませんか。総理の責任で、事実の究明を行うべきだと考えますがいかがですか。

 大幅値下げ実現の背景に、安倍昭恵氏の存在があったとの疑いはいよいよ強くなりました。総理は「妻はだまされた」と言っていますが、園児に教育勅語を暗唱させていた幼稚園を「素晴らしい」と絶賛し、小学校建設予定地を籠池氏と一緒に視察するなど、一連の過程に積極的にかかわっていたのが昭恵氏ではありませんか。

 籠池氏も昭恵氏の名誉校長就任で「神風」が吹き、大幅値下げが実現したと国会で証言しました。真相究明のためには、安倍昭恵氏に国会に来ていただき、真実を語ってもらう必要があると考えますが、総理の見解を求めます。

加計疑惑―獣医学部新設のデタラメ「認定」は国家戦略特区議長の総理に重大な責任 

 次に加計疑惑です。

 「獣医師の数は足りている」として52年間認められなかった獣医学部の新設が、加計学園に認められたのは、今年1月、その計画が、国家戦略特区に「認定」されたからであります。政府は、認定理由について、(1)「新分野での具体的な需要が明らか」などの「4条件を満たしている」、(2)競合する他の大学の計画よりも「熟度が高い」と説明してきました。

 ところが、この説明にはまったく根拠がなかったことが明らかになりました。今年5月、文部科学省の大学設置審議会は、加計学園の計画に対し、(1)新分野の具体的な需要が不明である、(2)教員が高齢層に偏り、実習を補助する助手もおらず、カリキュラムの実現可能性に疑義がある、などとして「警告」を発していたのです。

 「4条件」についてまともに検証されず、「熟度が高い」どころか設置基準の最低ラインさえ到達していない計画だった―要するに、1月の特区「認定」がデタラメだったということであります。認定したのは国家戦略特区諮問会議。その議長は安倍総理です。総理、あなたの責任は重大だと考えますが、いかがですか。

 大学設置審・専門委員会のある委員は、「しんぶん赤旗」の取材に対し、「4条件はアンタッチャブルだった」「設置審の審査は、答えを教えながら何回も試験するようなものだ。だから最終答申では『合格』に至った。忸怩(じくじ)たる思いだ」と証言しています。

 こんなずさんな計画がゴリ押しされたのはなぜか、加計学園の理事長が総理の「腹心の友」だったからではないか、とのあらたな疑問が起こっています。

 総理、加計学園の特区「認定」プロセスについて、しっかり検証すべきではありませんか。真相究明のためには、加計孝太郎氏も国会にきていただき、本当のことを話してもらう必要があると考えますが、いかがですか。

北朝鮮問題―対話拒否の異常な立場では解決できない

 次に、北朝鮮問題について、総理の認識、基本姿勢を伺います。

 北朝鮮の核・ミサイル開発は断じて許されません。同時に、破滅をもたらす戦争だけは絶対にひきおこしてはなりません。

 トランプ大統領の日本、韓国、中国歴訪の際、中国と韓国の首脳はいずれも、この問題について「対話による平和的解決」を表明しました。これに対し安倍総理は、「いまは対話の時でない」と北朝鮮との対話を拒否する姿勢を示すとともに、「すべての選択肢がテーブルの上にあるとのトランプ大統領の立場を一貫して支持する」と表明しました。この選択肢の中には軍事的オプションも当然含まれます。

 「対話による解決」を求める中国と韓国、さらに、同じ姿勢を示すドイツやフランスなどと比べ、安倍政権の立場は異常なものと言わねばなりません。

 いま、もっとも危険なことは、米朝両国の軍事的緊張が高まる下で、双方の意思に反して偶発的な衝突が発生し、それが戦争に発展してしまうことです。秋山昌廣元防衛事務次官は、米朝の対立が進めば「誤解や誤算による偶発的な軍事衝突の可能性が高まる。第二次朝鮮戦争に発展し、韓国のみならず日本にも悲惨な戦禍をもたらす」と警告しています。

 ところが総理は、トランプ氏との首脳会談後の会見で、「偶発的な軍事衝突をさけるためにどのような対応が必要か」と問われ、「誰も紛争など望んでいない」と答えるのみでした。そんなことは当然です。しかし、望んでなくても偶発的な衝突が発生する危険が高まっていると内外の専門家が共通して指摘しているんです。その点について、政府は対応策を持っていないのですか。危機を打開し戦争を回避するためには、米朝が直接対話することがどうしても必要だと考えますがいかがですか。

 国際社会が一致して経済的制裁の圧力を強めることは必要です。しかし、それだけでは問題を解決することはできません。制裁強化と一体に「対話による平和的解決」をはかることこそ唯一の解決策です。そのために日本政府が積極的な役割をはたすべきではありませんか。真剣に考えていただきたい。

 さらに、米国による先制的な軍事力行使への懸念もあります。それがどのような深刻な事態をもたらすか。米統合参謀本部は、北朝鮮の核兵器を完全に破壊する唯一の方法は陸上侵攻だとする文書を発表しました。これに対し、退役軍人である民主・共和両党の米上下両院議員16人が共同声明を発表し、「何十万、あるいは何百万人もの人命が、最初の数日の戦闘で失われることすら意味する」「北朝鮮問題で有効な軍事選択肢というものはない」と強調しています。

 韓国の大統領は先日の施政方針演説で、「いかなる場合にも朝鮮半島で武力衝突はあってはならない」と述べ、一方的な軍事行動には同意しない立場を改めて示しました。国民の生命と安全に責任を持つ為政者として当然の見識です。

 総理、「日本を守りぬく」というのなら、日本にも大きな被害をもたらすことになる、先制的な軍事力行使は絶対にやるべきではないと米国に提起すべきではありませんか。答弁を求めます。

原発問題―世論に背き被害者を愚弄する再稼働に未来はない

 東京電力・福島第1原発事故から6年8カ月。総理は、所信表明で、福島では「帰還困難区域を除き、ほぼ全ての避難指示が解除された」と述べました。また、今年3月、避難指示の解除を決めた際には「本格的な復興のステージを迎える」と述べました。

 しかし、福島の現実は、避難指示解除が「本格的な復興」に直結するような状況ではありません。医療・介護をはじめ、除染、住宅の整備、雇用など、まさに課題山積です。そもそも原発事故は収束していない。だからこそ、いまだに6万8千人の方が、故郷や元居た場所に「帰れない」あるいは「帰らない」という事になっているんではないでしょうか。総理にこの認識はありますか。

 しかも、安倍政権は、自主避難者への住宅提供を今年3月末で打ちきり、精神的苦痛への賠償は来年3月末で終了するとしています。絶対に許されません。「復興加速」の看板のもとに、被害者切り捨てをすすめる安倍政権こそ、復興の最大の障害だといわなければなりません。すべての被害者が生活と生業(なりわい)を再建できるまで、国と東京電力が責任をもつことは当たり前ではありませんか。総理の認識を伺います。

 政府の「長期エネルギー需給見通し」では、2030年度の電力に占める原発の割合を20~22%にするとしています。全国で約30基もの原発を再稼働することになります。

 しかし、これは国民の世論に真っ向から反するものです。どの世論調査でも、再稼働に「反対」が「賛成」の約2倍となっています。

 他方、財界は原発の再稼働を強く求め、原発事故を起こした東電の柏崎刈羽原発まで再稼働しようとしています。政府も「稼ぐことが福島事業への貢献」などとして、柏崎刈羽を再稼働させようとしていますが、福島を口実に再稼働を正当化するなど言語道断、被害者を愚弄(ぐろう)するものです。

 再稼働にひた走る道に未来はありません。原発事故後、約2年にわたって「稼働原発ゼロ」となり、日本社会が原発ゼロでやっていけることも証明されています。ただちに「原発ゼロ」の政治決断を行い、再稼働を中止し、再生可能エネルギーの本格的普及へと道を切り替えるべきではありませんか。

社会保障―選挙が終われば「全世代」の切り捨ては国民だまし討ち

 総理は、今回の解散・総選挙にあたり、2019年に消費税を10%に引き上げるとともに、「全世代型の社会保障」への改革を行うと宣言しました。ところが、選挙が終わるやいなや、政府が打ち出してきたのは、医療費の窓口負担の引き上げ、介護保険の在宅サービスの給付外し、子育て世帯の生活保護費削減など、「全世代」を対象にした社会保障の切り捨てです。国民をだまし討ちにするにも程があると言わねばなりません。

 これらがどんな影響を与えるか。たとえば、認知症の高齢者は462万人、軽度認知障害のある人も400万人いると推計されています。高齢者の3~4人に1人は認知症か軽度認知障害という状況です。ところが、現行の介護保険では利用できるサービスに限度があり、“認知症のお世話はもっぱら家族任せ”という高齢者が膨大な数にのぼっています。

 にもかかわらず、安倍政権は、「要支援1・2」に続き、「要介護1・2」の在宅介護サービスを保険給付から外すことを検討しています。こんな事をやれば、政府が提唱している「認知症の早期発見、早期対応」に逆行する事態を政府自らつくることになるではありませんか。介護を必要とする多くの人に影響する在宅介護サービスの保険給付外しは中止すべきです。

 「認知症の人と家族の会」のみなさんは、「認知症になったとしても、介護する側になったとしても、人としての尊厳が守られ日々の暮らしが安穏に続けられなければならない」という理念を掲げ奮闘されています。こうしたすばらしい理念に現実社会を近づけることこそ政治の役割だと考えますが、総理の認識はいかがですか。

 所得の低い人ほど負担が重くなる、社会保障財源として最もふさわしくない税金が消費税です。10%への増税はきっぱり中止し、応能負担の原則に立って、アベノミクスで大もうけした大企業と富裕層に応分の負担を求めるべきではありませんか。

「働き方改革」―無期雇用への転換を妨げる脱法行為を今すぐやめよ

 安倍政権は、「働き方改革」と称して、労働時間規制がかからない労働者をつくりだす「残業代ゼロ制度」を導入しようとしています。さらに、月80~100時間という過労死ラインの残業を合法化しようとしています。とんでもありません。これでは、長時間労働と過労死がいっそうはびこることは明らかです。

 総理も演説でふれた、電通で過労自死した高橋まつりさんの母、幸美さんは、「過労死遺族の一人として全く納得できません。政府は働く人の健康と命を守るために法律改正を行ってください」と訴えています。総理、この訴えにどう答えますか。

 働き方にかかわって喫緊の課題について質問します。

 政府は昨年、通算雇用期間が5年以上になる有期雇用労働者のうち、希望する労働者はすべて無期転換―すなわち期間の定めのない雇用にきりかえるとの目標を掲げました。

 ところが、改正労働契約法に基づく無期転換権が生ずる来年4月を前に、トヨタ自動車やホンダなど大手自動車メーカーは、雇用契約更新の際、6カ月の空白期間を設ける契約への変更をすすめています。無期雇用にしないためです。あきらかな脱法行為です。

 こんなことが許されたら無期転換権を行使できる労働者はだれもいなくなってしまうではありませんか。“5年たったら無期雇用”ではなく“5年以内で雇い止め”―これでは、雇用の安定化どころか、大量の失業者を生み出すことになります。多くの国立大学、独立行政法人でも同様の動きが顕在化しています。有期雇用労働者1500万人に関わる重大な問題です。

 政府は、自動車大手に対する調査を行っているといいますが、具体的にどのような手だてをとるつもりですか。このような脱法的なやり方はいますぐやめるべきではありませんか。しかとお答えください。

憲法9条改定―自衛隊明記なら日本社会の姿形を軍事優先に変える

 最後に、憲法について質問します。

 5月3日、総理は、憲法9条を変えると宣言しました。

 しかし、憲法9条は、日本国民310万人、アジアの人々2000万人もの犠牲をもたらした、日本が起こした戦争への深い反省から生まれたものです。「戦争はしない」「戦力は持たない」と決意した9条には、内外の犠牲者の無念、残された者の平和への願いが刻まれています。

 9条は、その後、国民のなかに広く定着し、日本社会の姿形を規定する根幹となりました。

 軍事では、自衛隊の海外派兵を制限する最大の「歯止め」となり、自衛隊員が海外で「殺し、殺される」ことのない状態をつくりました。

 経済では、軍事費を抑制することにより、民生分野を中心とする経済成長を促し、国民生活を向上させる力となりました。

 学術・文化では、戦前のような軍事優先と決別し、科学と文化が、わが国の平和的復興と人類の福祉増進のために貢献する基礎となりました。

 総理は、こうした憲法9条の生い立ちと働きについて、どのような認識をお持ちですか。しっかりお聞かせください。

 総理は、憲法に自衛隊を明記すると主張しています。

 仮にそれが実現すれば、「新法は旧法を改廃する」という法の原則によって、「戦力は持たない」とした9条2項が空文化し、「歯止め」のない海外派兵に道が開かれます。経済でも学術・文化でも軍事が優先され、いま述べた日本社会の姿形が大きく変わります。それが総理のねらいではありませんか。

 そのようなことを断じて認めるわけにはいきません。

 いま変えるべきは、憲法ではなく、憲法をないがしろにする政治であることを訴えて、質問を終わります。

議院運営委員長解任決議案への賛成討論 
2017年6月14日 参議院本会議

 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました議院運営委員長山本順三君解任決議案に賛成の討論を行います。

 そもそも、今日は、本会議散会後に、次回の日程を協議するために議院運営委員会理事会を開くことを朝の理事会で確認しておりました。にもかかわらず、山本議院運営委員長は、昼休みに突然、理事会を開いたのであります。なぜか。今日、昼前に突然、与党代表自民党国対委員長から野党代表民進党国対委員長に対し、共謀罪法案については中間報告を行いたい、その上で採決したいと、一方的な通告があったからであります。

 与党の諸君は恥を知りなさいと言わなければなりません。国会は何のためにあるのか。参議院は何のためにあるのか。政府の行うことを国民の立場からチェックする行政監視機能こそ、国会の最も重要な役割であり、衆議院の議論に加えて、異なる選挙制度、異なる時期に国民から選ばれた我々参議院がより深くより丁寧に議論を尽くすことこそ、二院制における参議院の役割ではないのでしょうか。それこそ、国民の期待する国会、参議院の使命ではないかと確信するものであります。

 共謀罪法案について、国民はどう見ているでしょうか。6月に入って実施された北海道新聞の世論調査で、共謀罪反対の声は一四ポイント増えて59%と、賛成34%を大きく上回りました。テロ対策のためなど政府寄りの設問であるNHKの世論調査でも、反対、どちらとも言えないが6割以上を占め続けているのであります。

 共謀罪法案は、審議すればするほど国民の中に不安が広がる法案であります。国会が仮にも国民の代表者であるなら、徹底審議して不安をなくすのが当たり前ではないでしょうか。不安がなくならないのなら廃案とするのが当然ではないでしょうか。それを中間報告で審議を打ち切り採決するとは、国会、参議院の自殺行為に等しいと言わなければなりません。

 だからこそ、参議院野党四会派は、中間報告の通告がなされた直後、小川敏夫民進党・新緑風会会長、福島みずほ希望の会会長、糸数慶子沖縄の風会長と私が伊達忠一議長の元を訪ね、先ほど述べた中間報告の問題点を丁寧にお伝えし、与党によって一方的に政党間協議が打ち切られた以上、ここは議長が賢明な御判断をと要請したのであります。

 私は、その場で、かつて自民党出身の河野謙三参議院議長は七三の構えを説かれ、与党に三、野党に七顔を向けてこそ議院の公正な運営ができると、このことを貫かれました、今こそこの役割が求められているのではないでしょうかと私は伊達議長に申し上げました。議長は、しっかり受け止めます、信頼が大事ですねとお答えになったのであります。

 にもかかわらず、山本委員長は、中間報告をやろうとする議院運営委員会理事会を開きました。開かれた議運理事会でどんな議論があったか、詳しく報告したいと思います。

 自民党の理事から、状況が変化した、中間報告の動議を出したい旨の発言がありました。我が党仁比理事から、朝、本散後に次回本会議の日程を協議すると言っていたではないか、状況が変わったとは一体何が変わったのか。昨日の法務委員会でも、自民党の理事、西田理事から、今日採決は考えていない旨の発言があり、法務委員長も、採決はまだだ、こういう認識を示されました。これから一体何が変わったのか、仁比理事が質問いたしました。自民党の議運理事は、……、答えられない状況があったわけであります。維新の理事から、仁比さんの言うとおりだ、こういう発言があり、激しい抗議とともに持ち帰るという発言がありました。仁比理事から、持ち帰る前に一つ確認したいことがある、中間報告にする一体理由はどこにあるのか、こう詰め寄りました。自民党の理事からは、動議は自民党会派として出す、お怒りはごもっとも、会期末なので、こういう理由しか示されなかったのであります。それを受けて仁比理事は、公明党は知らなかったのか、屈服するのか、こう問いましたが、公明党の理事は、……、答えがなかったのであります。仁比理事が改めて、会期末に本会議で強行採決するのか、こう詰め寄りましたら、またも自民党はうつむいたまま返事はありません。ここで休憩になり、山本議院運営委員長は、指摘は重く受け止めると、休憩に入ったのであります。

 にもかかわらず、山本議院運営委員長は、公正公平な議院の運営という自らの役割を投げ捨て、議会制民主主義を踏みにじる中間報告のための本会議を開催するための委員会を強行いたしました。解任は当然であります。

 共謀罪法案の参議院法務委員会における審議はまだ18時間弱、緒に就いたばかりです。時間だけの問題でもありません。審議すればするほど、矛盾と問題点が噴出しています。審議すべき問題点は山のようにあります。にもかかわらず、委員会での審議を打ち切って、数の力で召し上げて、強行採決で成立を図ろうなどということは、参議院と国会の存在を否定する行為だと言わなければなりません。

 与党に言われるがままにその暴挙を唯々諾々と受け入れようとする議院運営委員長は、そのことだけを取っても解任に値すると言わなければなりません。

 しかも、共謀罪で問われているのは、人権とプライバシーが脅かされることになるのではないかという重大問題です。一つ、内心に踏み込む捜査や処罰が行われるのではないか。二つ、一般人が捜査や処罰の対象となるのではないか。三つ、民主主義の根幹に重大な萎縮をもたらす監視社会になるのではないか。(発言する者あり)ないということが言えるんだったら、ちゃんと審議したらいいじゃないですか。

 参議院の参考人の3人のうち2人がこの懸念を出したわけであります。参考人に対して、審議を尽くすのが参議院の礼儀ではないでしょうか。

 こうした大問題は、国民の不安、専門家の指摘の焦点です。僅かな審議においても、新たな重大問題が次々と明らかになっています。こうした国民の懸念、批判に真摯に向き合い、問題を究明する徹底した審議こそ、参議院に求められている責務であります。

 そして、この徹底した審議を支える柱が委員会中心主義であります。戦前の本会議中心主義に対して、新憲法下の新しい国会は、その運営について委員会中心主義を採用いたしました。より突っ込んで、より充実した審議をすることを目的としているのが委員会中心主義であります。中間報告の濫用は、その新しい国会の柱を乱暴に破壊するものと言わなければなりません。

 今、安倍政権は、森友問題、加計問題に象徴されるように、行政を私物化し、政治をほしいままにしております。

 これに対し、多くの国民が厳しい批判、怒りの声を上げています。

 我が党は、こうした国民とともに、野党とも力を合わせて闘うことを表明し、議院運営委員長解任決議案への賛成討論といたします。

情報漏れ被害深刻に 
個人番号の用途拡大で  参議院総務委員会(議事録)

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 おさらいになりますけれども、インターネット等を利用した電子商取引が急速に拡大する中、契約に関わる電子文書の作成者が確かに本人であること、契約内容が送信中に改ざんされていないことを証明する制度が必要となり、2000年、電子署名法によって電子署名制度が構築されました。
 さらに、法人間の電子商取引において、社長から契約の締結を委任された社員が確かに社長から権限を委任されていることを証明する制度が必要となってきました。そこで、法人の代表者が作成する電子委任状を保管し、必要に応じて電子商取引の相手方に送信する業務を行う電子委任状取扱事業者を公的に認定しようというのが本法案であります。
 私は、この電子委任状制度の要は電子委任状取扱事業者の信頼性にあると思います。総務大臣が認定することになるこの事業者の信頼性、どう確保するんでしょうか。

谷脇康彦(総務省情報通信国際戦略局長) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、認定事業者の信頼性が確保されることは、電子委任状を活用した手続の電子化を進めるため不可欠の前提であると考えております。このため、本法案におきましては、認定事業者が満たすべきセキュリティーの水準などを定めた基本指針を策定し、認定事業者の業務がこの基本指針に適合しているということを認定時及び認定の更新時に主務大臣が審査する仕組みを採用しております。
 また、認定事業者につきましては、基本指針で定める認定要件の一つといたしまして、定期的に外部機関の監査を受けることを義務付けることを想定をしております。さらに、認定事業者につきまして何か問題があった場合には報告徴収や立入検査を行うことや、問題が是正されない場合には認定事業者の認定を取り消すことも可能となっており、これらの手段を段階的に用いることで認定事業者に対する信頼の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

山下よしき そこで、総務省としてどのぐらいの数の電子委任状取扱事業者を認定するつもりなのか、既に電子委任状取扱事業に関心を示している事業者はあるのか、あるとすればそれはどのような事業者か、お答えいただけますか。

谷脇局長 お答え申し上げます。
 現在、本法案の認定事業者になることに関心を持っておられる事業者といたしましては、電子署名法に基づく認定認証事業者、あるいは機密性の高い電子書類をセキュアに送受信するサービスを提供している事業者などが挙げられます。認定事業者の数といたしましては、当面でございますが、数社程度を見込んでいるところでございます。

山下よしき 電子委任状制度を信頼できるものとするためには、私は利用者の側の不正行為を防止することも重要となると思います。
 電子署名法では、認定認証事業者等に対し虚偽の申込みをして不実の証明をさせた者は3年以下の懲役又は200万円の罰金に処すると規定されております。しかし、本法案では、認定電子委任状取扱事業者に対し虚偽の申込みをした者に対する罰則規定がありません。大丈夫なのかと。
 そこで、想定される二つのケースの対応について聞きます。
 一つは、法人の代表者と偽った者が電子委任状取扱事業者に登録し、虚偽の電子委任状を保存させた場合の対応。例えば、有名会社の社長をかたって偽物の電子委任状を作成し、相手をだまそうとするケース。二つ目に、法人の正当な代表者が委任の事実がないにもかかわらず虚偽の電子委任状を保存させた場合の対応。例えば、社長から委任されたはずの社員と契約を交わしたのに、後から社長が委任した覚えはないなどとして契約無効を主張するケースなどがあると思われますが、それぞれどう対応されますでしょうか。

谷脇局長 お答え申し上げます。
 今委員から二つの事例についてお尋ねがございました。そのうち、法人の代表者と偽った者が認定電子委任状取扱事業者に虚偽の登録をし、虚偽の委任状を保存させた場合でございますけれども、事案の具体的な内容にもよりますけれども、基本的には刑法第161条の二に規定をいたします電磁的記録不正作出罪の適用があり得ると考えております。
 また、お尋ねの第二の事案でございますが、正当な代表者が委任の事実がないにもかかわらず虚偽の委任状を認定電子委任状取扱事業者に保存させた場合につきましては、これも事案の具体的な内容によりますけれども、民法第109条に定めます表見代理の規定の適用によりまして民事的に解決が図られる場合があると考えております。

山下よしき 次に、電子委任状制度が広く利用されるためには利用コストが重要となってくると思います。総務省としてどの程度の利用料金を想定しているでしょうか。

谷脇局長 お答え申し上げます。
 電子委任状を利用する場合、利用者の方は認定事業者に対し所定の利用料金を支払うこととなります。この認定事業者の利用料金につきましては、システムの運営に要する費用などを勘案し、それぞれの認定事業者が個別に設定することとなるため、一概には申し上げることはできないところでございます。
 また、実際に電子委任状の利用には電子署名のそのものの利用も必要となることから、電子委任状の利用者は電子署名に必要なコストも併せて負担をすることとなります。この電子署名の手段として民間認証事業者の電子証明書を用いる場合、おおむね利用者1人当たり年間1万数千円程度の料金が発生いたします。
 政府といたしましては、認証業務と電子委任状取扱業務、このいずれにつきましても複数の事業者を認定し、事業者間の競争を促すことを通じて料金水準の適正化を図ってまいりたいと考えております。

山下よしき 確定的なことは今言えないということだったんですが、私は、これ紙の委任状なら、たとえ遠隔地であっても郵送すれば委任状としての効力は発揮できるので、郵送料と紙代ぐらいで済むわけですね。ですから、それよりも低額な利用料でなければこの電子委任状制度というものがなかなか普及できないのではないかと思っております。
 電子委任状取扱事業に手を挙げている事業者に直接聞いてみました。既に実施している電子契約書保存サービスというサービスの利用料は、初期料金20万円、月額料金4万円だそうでして、この電子契約書保存サービスのオプションとして電子委任状サービスの導入が予定されているということでありました。つまり、電子契約書保存サービスの利用料、初期20万円、月額4万円の上に、新たに電子委任状サービスの利用料が掛かることが想定されます。
 となりますと、それなりの規模の企業なら利用メリットはあると思います。例えば大企業でしたら、年間数千から数万の契約を締結するでしょうし、この電子契約書保存サービスを利用することによって、紙の契約だと掛かってくる印紙税あるいは契約書保管コストなど、かなりの額を節約することができます。先ほどの利用料金を支払っても十分お釣りが来ると思われるんですが、しかし小規模事業者や個人にとっては、初期20万、月額4万プラスアルファの料金を払っても、それほどコスト的なメリットはないと思われます。
 そう考えると、私は、小規模事業者や個人は電子委任状制度を利用しなくてもいいと、今までどおり紙の委任状を郵送すればいいという制度設計なのかと思わざるを得ないんですが、いかがでしょうか。

谷脇局長 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、認定事業者の利用料金につきましては、システムの運営に要する費用などを勘案してそれぞれの事業者が設定することとなるわけでございます。
 現行、例えば電子商取引につきましてはまだ20数%の普及でございます。これが普及していくことによってシステムの共通的な経費の言わば割り勘をしていただく利用者の方が増えてまいりますので、私どもといたしましては、電子商取引の普及ということを通じてより裾野を拡大することによって電子委任状の利用の料金についても可能な限り引下げを図っていくという方針で臨みたいと思っております。

山下よしき それは推移を見ていきたいと思います。
 次に、電子委任状の利用には電子署名が必要となります。そのために、電子署名を格納しているマイナンバーカードの活用が促進されると思われます。そこで、マイナンバーカードに関わって質問します。
 アメリカでは、日本のマイナンバーに当たる社会保障番号、SSN、ソーシャルセキュリティーナンバーを、福祉の補助金や税金の納税申告及び還付などの行政手続、あるいは進学、就職、銀行口座の開設、クレジットカードの取得の際の身分証明としても使用してきました。現在、そのSSNの漏えいによる成り済まし被害が深刻になっております。2014年には、アメリカの16歳以上の人口の7%に当たる延べ1760万人がSSNに関する被害に遭いました。最も多いのは、他人に成り済ましてクレジットカードを発行し、買物をするケースであります。成り済ましによる銀行口座開設も起きているとのことであります。
 ここには、私はアメリカのSSN固有の問題にとどまらない重要な教訓があると思います。第一に、共通番号はその用途が拡大すればするほど被害も大きくなるということであります。SSNも、創立当初の福祉から、先ほど述べたように用途が次々と拡大されてきました。そのことが、漏えいしたときの被害を多方面に拡大することになっております。利便性の増大がリスクの増大を招いている。
 高市大臣、共通番号制度にとって私これは重要な教訓だと思いますが、大臣の御認識いかがでしょうか。大臣どうぞ。

高市早苗総務大臣 アメリカでは、従来、ソーシャルセキュリティー番号が利用制限なく、官民問わず幅広く利用されてきました。そして、厳格な本人確認がなされずソーシャルセキュリティー番号だけで事務処理が行われてきたということなどが、漏えいや成り済ましなど御指摘のような事例の発生に影響したんじゃないかと考えております。
 我が国のマイナンバー法では、アメリカなど諸外国の教訓も踏まえまして、マイナンバーの利用や提供の範囲を法律又は地方公共団体の条例に限定的に規定しています。そして、マイナンバーの取扱者には安全管理措置義務を課しています。本人からマイナンバーの提供を受けるに当たっては、マイナンバーカードなどで本人確認を行います。こういった情報漏えいや成り済まし被害の防止に必要な様々な措置を講じており、アメリカとは状況が異なると考えています。
 また、マイナンバーカードの利活用につきましては、マイナンバーそのものを利用するのではなくて、マイナンバーカードの電子証明機能などを本人確認、本人認証の手段として利用するものですから、むしろ厳格に本人確認が行われるようになるということで、それほど先生がおっしゃるような御懸念には当たらないと考えております。

山下よしき アメリカのSSNと日本のマイナンバーあるいはマイナンバーカードの違いはもちろん承知しております。ただ、そういうことを聞いているんじゃないんですね。一つの番号でその用途をどんどん広げていけば、落とすことだってあるわけですよ、その場合の被害はどんどんどんどん拡大する、盗まれたり紛失したりした場合ですね。ですから、共通番号の用途が拡大すればするほど被害も大きくなるということを、私はこれは他山の石として日本でも教訓としなければならないと思うわけですが。
 日本でもマイナンバーカードの普及促進のために、先ほどの質疑でもありましたロードマップでこれからいろいろな用途が拡大されようとしておりますので、そのリスクをしっかり考える必要があるんじゃないかということを、私はアメリカのこの今の事例からつかむ必要があるんじゃないかということを提起しているわけであります。
 それから、このアメリカのSSN、ソーシャルセキュリティーナンバーの漏えいでは、税金の還付金をだまし取る成り済まし犯罪が非常に目に余る形で広がっているようです。アラバマ州では、以前勤めていた雇用主のデータベースから多数の氏名とSSNを入手し、不正な納税申告書を提出し、税金の還付金をだまし取った事例があります。テネシー州の事例では、インターネットの地下ウエブサイトからSSNなどの身分確認情報を多人数分得て、多額の税の還付金を詐取する事件も起こりました。
 ここからが大事なんですけれども、こういうことが続発して、対応に苦慮したアメリカの内国歳入庁、IRSは、2011年、不正申告の被害者向けに別途、身元保護個人納税者番号を交付し、その利用に踏み切っております。それから、国防総省も、2012年、共通番号として長く使用してきたSSNの使用をやめて、新たに国防総省本人確認番号を使用することを決めました。アメリカでは共通番号をやめて分野別番号への転換が始まった、ここに私は第二の教訓があると考えますが、大臣の認識いかがでしょうか。

向井治紀(内閣官房内閣審官) お答えいたします。
 我が国のマイナンバー法では、マイナンバーは法律又は条例に規定する社会保障、税、災害対策の各分野の事務に利用を限定してございます。また、先ほど大臣から御答弁がありましたとおり、厳格な本人確認措置を実施するなど、すなわちマイナンバーそのものは本人確認としては使っていないということでございます。米国とは制度と運用が異なるといった状況でございます。
 我が国のマイナンバー制度は、より公平公正な社会保障制度や税制の基盤であり、また、情報社会のインフラとして国民の皆さんの利便性の向上、行政の効率化に資するものとして導入されたものでございます。
 政府といたしましては、この理念に沿って、制度の適切な運用と充実に努めてまいりたいと考えております。

山下よしき もう何回聞いても、日本のマイナンバーは大丈夫だ、カードも大丈夫だという答えしか返ってこないんですが、私、日本年金機構から125万人分の個人情報が流出した問題を内閣委員会で取り上げた際に、内外の個人情報大量流出事件から共通して酌み出すべき四つの教訓ということを提起させていただきました。
 一つは、個人情報の漏えいを100%防ぐシステムの構築は不可能だと。これ、どんなシステムをつくっても必ず破ってくる勢力があるということです。
 それから二つ目に、組織の内部に意図的に情報を盗み、売る人間が一人でもいれば、そこから大量の個人情報が流出する危険があるということ。
 そして第三に、一度漏れた情報は取り返しが付かない、流通し、売買されると。これは日本でも起こりました。教育関係の個人情報が大量に流出したことが教育関係のダイレクトメールなんかに利用された例があります。
 それから、四つ目に、情報は集まれば集まるほど利用価値が高くなって逆に攻撃されやすいということでありまして、この四点は菅官房長官も全部それは同意されました、そういうリスクはどんどんどんどん高まってくるであろうと。
 紹介したアメリカの例もこの四つの教訓に当てはまる部分がかなりあると思っております。そこで、アメリカは教訓を踏まえて共通番号から分野別番号へと転換を始めたわけです。
 高市大臣に伺いますが、私はマイナンバーとマイナンバーカードを所管する高市大臣には、こうした教訓を、今日挙げたアメリカの例だけではありません、もう世界中で個人情報の大量流出が起こっておりますから、やはりそういう教訓を踏まえた対応が求められると思いますが、いかがでしょうか。

高市総務相 まず、マイナンバーカードについての説明をしたいんですけれども、まず、個人情報が一元管理されるわけじゃございません。分散管理をしています。それから、マイナンバーを直接用いるというのではなくて、符号を用いた情報連携を実施するということになっています。また、アクセス制御でアクセスできる人の制限管理も実施します。それから、通信の暗号化も実施いたします。そして、カードそのものはもう相当工夫されており、偽造などができない、こういうカードになっております。それから、番号そのものだけが漏れたからといって芋づる式に個人情報が引き出されるということにはなっておりません。
 アメリカが分散的なものにしていくということですが、そもそものソーシャルセキュリティー番号で起きた様々な事象を捉えて、同じ轍を踏まぬように十分議論をして今のマイナンバー制度及びマイナンバーカードというものの制度設計をいたしております。

山下よしき 次々と起こっている個人情報の大量流出からしっかり教訓を酌み取る必要があるということを提起したわけで、今のマイナンバーカードそのものがアメリカのSSNと違うというのはもう承知した上で言っているわけですね。
 ですから、これは、これからどんどんどんどん利用拡大し、普及し、用途も拡大しようとしているときだけに、こういう問題が、リスクが高まる危険性ありますよということもしっかり受け止めなければならないということをあえて申し上げて、時間が参りましたので、終わります。

情報漏れ被害深刻に—個人番号の用途拡大で 
2017年6月8日 参院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 おさらいになりますけれども、インターネット等を利用した電子商取引が急速に拡大する中、契約に関わる電子文書の作成者が確かに本人であること、契約内容が送信中に改ざんされていないことを証明する制度が必要となり、2000年、電子署名法によって電子署名制度が構築されました。

 さらに、法人間の電子商取引において、社長から契約の締結を委任された社員が確かに社長から権限を委任されていることを証明する制度が必要となってきました。そこで、法人の代表者が作成する電子委任状を保管し、必要に応じて電子商取引の相手方に送信する業務を行う電子委任状取扱事業者を公的に認定しようというのが本法案であります。

 私は、この電子委任状制度の要は電子委任状取扱事業者の信頼性にあると思います。総務大臣が認定することになるこの事業者の信頼性、どう確保するんでしょうか。

谷脇康彦(総務省情報通信国際戦略局長) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、認定事業者の信頼性が確保されることは、電子委任状を活用した手続の電子化を進めるため不可欠の前提であると考えております。このため、本法案におきましては、認定事業者が満たすべきセキュリティーの水準などを定めた基本指針を策定し、認定事業者の業務がこの基本指針に適合しているということを認定時及び認定の更新時に主務大臣が審査する仕組みを採用しております。

 また、認定事業者につきましては、基本指針で定める認定要件の一つといたしまして、定期的に外部機関の監査を受けることを義務付けることを想定をしております。さらに、認定事業者につきまして何か問題があった場合には報告徴収や立入検査を行うことや、問題が是正されない場合には認定事業者の認定を取り消すことも可能となっており、これらの手段を段階的に用いることで認定事業者に対する信頼の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

山下よしき そこで、総務省としてどのぐらいの数の電子委任状取扱事業者を認定するつもりなのか、既に電子委任状取扱事業に関心を示している事業者はあるのか、あるとすればそれはどのような事業者か、お答えいただけますか。

谷脇局長 お答え申し上げます。
 現在、本法案の認定事業者になることに関心を持っておられる事業者といたしましては、電子署名法に基づく認定認証事業者、あるいは機密性の高い電子書類をセキュアに送受信するサービスを提供している事業者などが挙げられます。認定事業者の数といたしましては、当面でございますが、数社程度を見込んでいるところでございます。

山下よしき 電子委任状制度を信頼できるものとするためには、私は利用者の側の不正行為を防止することも重要となると思います。

 電子署名法では、認定認証事業者等に対し虚偽の申込みをして不実の証明をさせた者は3年以下の懲役又は200万円の罰金に処すると規定されております。しかし、本法案では、認定電子委任状取扱事業者に対し虚偽の申込みをした者に対する罰則規定がありません。大丈夫なのかと。

 そこで、想定される二つのケースの対応について聞きます。

 一つは、法人の代表者と偽った者が電子委任状取扱事業者に登録し、虚偽の電子委任状を保存させた場合の対応。例えば、有名会社の社長をかたって偽物の電子委任状を作成し、相手をだまそうとするケース。二つ目に、法人の正当な代表者が委任の事実がないにもかかわらず虚偽の電子委任状を保存させた場合の対応。例えば、社長から委任されたはずの社員と契約を交わしたのに、後から社長が委任した覚えはないなどとして契約無効を主張するケースなどがあると思われますが、それぞれどう対応されますでしょうか。

谷脇局長 お答え申し上げます。
 今委員から二つの事例についてお尋ねがございました。そのうち、法人の代表者と偽った者が認定電子委任状取扱事業者に虚偽の登録をし、虚偽の委任状を保存させた場合でございますけれども、事案の具体的な内容にもよりますけれども、基本的には刑法第161条の二に規定をいたします電磁的記録不正作出罪の適用があり得ると考えております。

 また、お尋ねの第二の事案でございますが、正当な代表者が委任の事実がないにもかかわらず虚偽の委任状を認定電子委任状取扱事業者に保存させた場合につきましては、これも事案の具体的な内容によりますけれども、民法第109条に定めます表見代理の規定の適用によりまして民事的に解決が図られる場合があると考えております。

山下よしき 次に、電子委任状制度が広く利用されるためには利用コストが重要となってくると思います。総務省としてどの程度の利用料金を想定しているでしょうか。

谷脇局長 お答え申し上げます。
 電子委任状を利用する場合、利用者の方は認定事業者に対し所定の利用料金を支払うこととなります。この認定事業者の利用料金につきましては、システムの運営に要する費用などを勘案し、それぞれの認定事業者が個別に設定することとなるため、一概には申し上げることはできないところでございます。

 また、実際に電子委任状の利用には電子署名のそのものの利用も必要となることから、電子委任状の利用者は電子署名に必要なコストも併せて負担をすることとなります。この電子署名の手段として民間認証事業者の電子証明書を用いる場合、おおむね利用者1人当たり年間1万数千円程度の料金が発生いたします。

 政府といたしましては、認証業務と電子委任状取扱業務、このいずれにつきましても複数の事業者を認定し、事業者間の競争を促すことを通じて料金水準の適正化を図ってまいりたいと考えております。

山下よしき 確定的なことは今言えないということだったんですが、私は、これ紙の委任状なら、たとえ遠隔地であっても郵送すれば委任状としての効力は発揮できるので、郵送料と紙代ぐらいで済むわけですね。ですから、それよりも低額な利用料でなければこの電子委任状制度というものがなかなか普及できないのではないかと思っております。

 電子委任状取扱事業に手を挙げている事業者に直接聞いてみました。既に実施している電子契約書保存サービスというサービスの利用料は、初期料金20万円、月額料金40,000円だそうでして、この電子契約書保存サービスのオプションとして電子委任状サービスの導入が予定されているということでありました。つまり、電子契約書保存サービスの利用料、初期20万円、月額4万円の上に、新たに電子委任状サービスの利用料が掛かることが想定されます。

 となりますと、それなりの規模の企業なら利用メリットはあると思います。例えば大企業でしたら、年間数千から数万の契約を締結するでしょうし、この電子契約書保存サービスを利用することによって、紙の契約だと掛かってくる印紙税あるいは契約書保管コストなど、かなりの額を節約することができます。先ほどの利用料金を支払っても十分お釣りが来ると思われるんですが、しかし小規模事業者や個人にとっては、初期20万、月額4万プラスアルファの料金を払っても、それほどコスト的なメリットはないと思われます。

 そう考えると、私は、小規模事業者や個人は電子委任状制度を利用しなくてもいいと、今までどおり紙の委任状を郵送すればいいという制度設計なのかと思わざるを得ないんですが、いかがでしょうか。

谷脇局長 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、認定事業者の利用料金につきましては、システムの運営に要する費用などを勘案してそれぞれの事業者が設定することとなるわけでございます。
 現行、例えば電子商取引につきましてはまだ20数%の普及でございます。これが普及していくことによってシステムの共通的な経費の言わば割り勘をしていただく利用者の方が増えてまいりますので、私どもといたしましては、電子商取引の普及ということを通じてより裾野を拡大することによって電子委任状の利用の料金についても可能な限り引下げを図っていくという方針で臨みたいと思っております。

山下よしき それは推移を見ていきたいと思います。

 次に、電子委任状の利用には電子署名が必要となります。そのために、電子署名を格納しているマイナンバーカードの活用が促進されると思われます。そこで、マイナンバーカードに関わって質問します。

 アメリカでは、日本のマイナンバーに当たる社会保障番号、SSN、ソーシャルセキュリティーナンバーを、福祉の補助金や税金の納税申告及び還付などの行政手続、あるいは進学、就職、銀行口座の開設、クレジットカードの取得の際の身分証明としても使用してきました。現在、そのSSNの漏えいによる成り済まし被害が深刻になっております。2014年には、アメリカの十六歳以上の人口の7%に当たる延べ1760万人がSSNに関する被害に遭いました。最も多いのは、他人に成り済ましてクレジットカードを発行し、買物をするケースであります。成り済ましによる銀行口座開設も起きているとのことであります。

 ここには、私はアメリカのSSN固有の問題にとどまらない重要な教訓があると思います。第一に、共通番号はその用途が拡大すればするほど被害も大きくなるということであります。SSNも、創立当初の福祉から、先ほど述べたように用途が次々と拡大されてきました。そのことが、漏えいしたときの被害を多方面に拡大することになっております。利便性の増大がリスクの増大を招いている。

 高市大臣、共通番号制度にとって私これは重要な教訓だと思いますが、大臣の御認識いかがでしょうか。大臣どうぞ。

高市早苗総務大臣 アメリカでは、従来、ソーシャルセキュリティー番号が利用制限なく、官民問わず幅広く利用されてきました。そして、厳格な本人確認がなされずソーシャルセキュリティー番号だけで事務処理が行われてきたということなどが、漏えいや成り済ましなど御指摘のような事例の発生に影響したんじゃないかと考えております。

 我が国のマイナンバー法では、アメリカなど諸外国の教訓も踏まえまして、マイナンバーの利用や提供の範囲を法律又は地方公共団体の条例に限定的に規定しています。そして、マイナンバーの取扱者には安全管理措置義務を課しています。本人からマイナンバーの提供を受けるに当たっては、マイナンバーカードなどで本人確認を行います。こういった情報漏えいや成り済まし被害の防止に必要な様々な措置を講じており、アメリカとは状況が異なると考えています。

 また、マイナンバーカードの利活用につきましては、マイナンバーそのものを利用するのではなくて、マイナンバーカードの電子証明機能などを本人確認、本人認証の手段として利用するものですから、むしろ厳格に本人確認が行われるようになるということで、それほど先生がおっしゃるような御懸念には当たらないと考えております。

山下よしき アメリカのSSNと日本のマイナンバーあるいはマイナンバーカードの違いはもちろん承知しております。ただ、そういうことを聞いているんじゃないんですね。一つの番号でその用途をどんどん広げていけば、落とすことだってあるわけですよ、その場合の被害はどんどんどんどん拡大する、盗まれたり紛失したりした場合ですね。ですから、共通番号の用途が拡大すればするほど被害も大きくなるということを、私はこれは他山の石として日本でも教訓としなければならないと思うわけですが。
 日本でもマイナンバーカードの普及促進のために、先ほどの質疑でもありましたロードマップでこれからいろいろな用途が拡大されようとしておりますので、そのリスクをしっかり考える必要があるんじゃないかということを、私はアメリカのこの今の事例からつかむ必要があるんじゃないかということを提起しているわけであります。

 それから、このアメリカのSSN、ソーシャルセキュリティーナンバーの漏えいでは、税金の還付金をだまし取る成り済まし犯罪が非常に目に余る形で広がっているようです。アラバマ州では、以前勤めていた雇用主のデータベースから多数の氏名とSSNを入手し、不正な納税申告書を提出し、税金の還付金をだまし取った事例があります。テネシー州の事例では、インターネットの地下ウエブサイトからSSNなどの身分確認情報を多人数分得て、多額の税の還付金を詐取する事件も起こりました。

 ここからが大事なんですけれども、こういうことが続発して、対応に苦慮したアメリカの内国歳入庁、IRSは、2011年、不正申告の被害者向けに別途、身元保護個人納税者番号を交付し、その利用に踏み切っております。それから、国防総省も、2012年、共通番号として長く使用してきたSSNの使用をやめて、新たに国防総省本人確認番号を使用することを決めました。アメリカでは共通番号をやめて分野別番号への転換が始まった、ここに私は第二の教訓があると考えますが、大臣の認識いかがでしょうか。

向井治紀(内閣官房内閣審議官) お答えいたします。
 我が国のマイナンバー法では、マイナンバーは法律又は条例に規定する社会保障、税、災害対策の各分野の事務に利用を限定してございます。また、先ほど大臣から御答弁がありましたとおり、厳格な本人確認措置を実施するなど、すなわちマイナンバーそのものは本人確認としては使っていないということでございます。米国とは制度と運用が異なるといった状況でございます。

 我が国のマイナンバー制度は、より公平公正な社会保障制度や税制の基盤であり、また、情報社会のインフラとして国民の皆さんの利便性の向上、行政の効率化に資するものとして導入されたものでございます。

 政府といたしましては、この理念に沿って、制度の適切な運用と充実に努めてまいりたいと考えております。

山下よしき もう何回聞いても、日本のマイナンバーは大丈夫だ、カードも大丈夫だという答えしか返ってこないんですが、私、日本年金機構から125万人分の個人情報が流出した問題を内閣委員会で取り上げた際に、内外の個人情報大量流出事件から共通して酌み出すべき四つの教訓ということを提起させていただきました。

 一つは、個人情報の漏えいを100%防ぐシステムの構築は不可能だと。これ、どんなシステムをつくっても必ず破ってくる勢力があるということです。それから二つ目に、組織の内部に意図的に情報を盗み、売る人間が1人でもいれば、そこから大量の個人情報が流出する危険があるということ。そして第三に、一度漏れた情報は取り返しが付かない、流通し、売買されると。これは日本でも起こりました。教育関係の個人情報が大量に流出したことが教育関係のダイレクトメールなんかに利用された例があります。それから、四つ目に、情報は集まれば集まるほど利用価値が高くなって逆に攻撃されやすいということでありまして、この四点は菅官房長官も全部それは同意されました、そういうリスクはどんどんどんどん高まってくるであろうと。

 紹介したアメリカの例もこの四つの教訓に当てはまる部分がかなりあると思っております。そこで、アメリカは教訓を踏まえて共通番号から分野別番号へと転換を始めたわけです。

 高市大臣に伺いますが、私はマイナンバーとマイナンバーカードを所管する高市大臣には、こうした教訓を、今日挙げたアメリカの例だけではありません、もう世界中で個人情報の大量流出が起こっておりますから、やはりそういう教訓を踏まえた対応が求められると思いますが、いかがでしょうか。

高市総務相 まず、マイナンバーカードについての説明をしたいんですけれども、まず、個人情報が一元管理されるわけじゃございません。分散管理をしています。それから、マイナンバーを直接用いるというのではなくて、符号を用いた情報連携を実施するということになっています。また、アクセス制御でアクセスできる人の制限管理も実施します。それから、通信の暗号化も実施いたします。そして、カードそのものはもう相当工夫されており、偽造などができない、こういうカードになっております。それから、番号そのものだけが漏れたからといって芋づる式に個人情報が引き出されるということにはなっておりません。

 アメリカが分散的なものにしていくということですが、そもそものソーシャルセキュリティー番号で起きた様々な事象を捉えて、同じ轍を踏まぬように十分議論をして今のマイナンバー制度及びマイナンバーカードというものの制度設計をいたしております。

山下よしき 次々と起こっている個人情報の大量流出からしっかり教訓を酌み取る必要があるということを提起したわけで、今のマイナンバーカードそのものがアメリカのSSNと違うというのはもう承知した上で言っているわけですね。
 ですから、これは、これからどんどんどんどん利用拡大し、普及し、用途も拡大しようとしているときだけに、こういう問題が、リスクが高まる危険性ありますよということもしっかり受け止めなければならないということをあえて申し上げて、時間が参りましたので、終わります。

小選挙区制が民意と懸け離れた政権の暴走を生み出す 
2017年6月7日 政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 本法案は、昨年成立した小選挙区制の維持を前提に定数を10削減する衆議院選挙制度関連法に基づいて6県の小選挙区と4ブロックの比例定数を削減し、政府の衆議院議員選挙区画定審議会勧告に沿った小選挙区の区割りを改定するものであります。
 まず、定数削減について聞きます。
 今回、東日本大震災で大きな被害を受けた東北ブロックが1減、小選挙区も青森県、岩手県が1減となります。岩手県では沿岸部の岩手三区が2分され、それぞれ隣の選挙区と統合され、選挙区が一つ減ります。三区に含まれる陸前高田市の戸羽太市長は、地元から議員が減れば国へのルートが閉ざされる、復興にマイナスになりかねないと述べ、仮設で暮らす住民の方も、被災地の事情を分かってくれる地元議員がいなくなれば復興は更に遅れてしまうと述べています。
 総務大臣、定数削減に対する被災地からのこうした声に、どう受け止められますか。

高市早苗総務大臣 今回の改正法案におきましては、小選挙区の定数において1減となる県の中に東日本大震災等の被災地が含まれていることは承知しております。被災地の支援につきましては、それぞれ選出選挙区に関わりなく全ての国会議員の皆様方、そして政府が被災地の皆様のお声にしっかりと耳を傾け、対策に取り組んでこられたと承知をしておりますので、このような取組を続けていくことは大切だと考えております。
 この衆議院小選挙区の定数削減及び六減県の決定方法につきましては、平成28年5月に議員立法によって成立した衆議院選挙制度改革関連法において規定されており、この法律に基づいて今回法律案を提出しているものでございます。
 各都道府県への小選挙区の定数配分の方法も含め、衆議院の選挙制度の在り方につきましては、議会政治の根幹に関わる重要な問題でございますので、各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えております。

山下よしき 定数削減によって切り捨てられるのは主権者、国民の声です。それはまた国民、国会の政府監視機能を低下させるという大きな弊害も生みます。今回、我が国の男子普通選挙制度始まって以来最少の定数に削減したことを、改めてこの場で厳しく批判をしておきたいと思います。
 次に、区割りの改定について聞きます。
 今回の区割りの改定は19の都道府県、97の選挙区に及び、これまでで最大となります。これによって様々な不合理が生じることになります。例えば、市区町村内で分割、分断される自治体が、これまでの88から105に増えます。区割り審の知事意見には、住民に戸惑いが生じており、選挙時にも候補者が分かりにくい、選挙への関心が持てないといった弊害が生じている、北海道。分断後初めて行われた選挙において投票率の低下や無効票の増加という傾向が見受けられた、長崎県などの指摘がありました。
 大臣、知事意見にも見られる有権者の戸惑い、投票率の低下、どう認識されているでしょうか。

高市総務相 衆議院選挙制度改革関連法においては、各選挙区の人口に関して、次回の見直しまでの5年間を通じて人口較差が2倍未満となるよう、平成27年国勢調査による日本国民の人口に加えまして、平成32年見込み人口においても較差を2倍未満とすることが求められました。この結果、相当数の選挙区の改定の必要が生じましたことから、今回の区割り改定案の勧告では19都道府県、97選挙区において改定を行うということとなりました。
 分割市区町の数ですが、9市町の分割が解消されました。その一方で、26市区が新たに分割され、17増加することとなりました。
 今後、政府としては、勧告に基づく区割り改定法案成立の暁には、区割り改定の趣旨や内容を十分御理解をいただくということはもとより、特に選挙区の変更について選挙人始め関係者に混乱が生じることのないよう、きめ細かく周知啓発を行ってまいります。

山下よしき 不合理なことのもう一つ、紹介したいと思いますが、今回の区割り改定によって、市区町村が丸ごと小選挙区間を移動するケースも生まれます。
 資料1枚目に配付しておりますけれども、大阪では一区、二区、四区が見直しの対象となります。人口較差を是正するために大阪市東成区が四区から一区へ移動します。その代わりに生野区が一区から二区へ移動することになります。行政区がまるで玉突きのように選挙区を移動すると。市議時代から生野区を地盤としていた自民党現職の衆議院議員の関係者の方は、えらいことだと、本人が選挙区を変わるわけにもいかないとショックを受けた様子と報じられておりますけれども、私は、この議員候補もショックでしょうけれども、それ以上に有権者にとってこれは納得できる話ではないと思います。行政区の住民が丸ごと人口較差を是正するための駒のように扱われるわけですから、これは先ほど大臣、理解をお願いしたいとおっしゃいましたけれども、こうしたケースについて、大臣、どう認識されていますか。また、理解を得られるとお思いでしょうか。

高市総務相 平成28年5月に議員立法で成立した衆議院選挙制度改革関連法においては、平成27年日本国民の人口だけではなく、平成32年見込み人口においても較差を2倍未満とすることとされていました。
 これを踏まえて、平成28年12月に衆議院選挙区画定審議会が決定した区割り改定案の作成方針におきましては、選挙区の改定に当たっては、市区町村の区域は分割しないことを原則とするとしており、一定の分割基準に該当する場合のみ市区町村を分割するということになっております。
 今回の区割り改定案の勧告は、いずれもこの作成方針によって、地勢、交通その他の自然的社会的条件を総合的に考慮して、衆議院議員選挙区画定審議会の判断に基づき作成されたものです。政府としましては、この衆議院選挙制度改革関連法の規定に基づいて、衆議院議員選挙区画定審議会の勧告の内容どおり、そのまま小選挙区を改定する法案を提出させていただきました。
 今後、区割り改定の趣旨や内容を十分理解していただくことはもとより、特に選挙区の変更については選挙人始め関係者の皆様に混乱が生じることのないよう、きめ細かく周知啓発を図ってまいります。

山下よしき なかなかかみ合わないんですけれども。今大臣から、地勢それから経済的、社会的エリアという趣旨のことをおっしゃいましたけど、全く関係ない選挙区にどんどんなっていっているというのが実態でありまして、私は、こういう不合理は小選挙区制が続く限りなくならないと言わなければなりません。
 2020年の国勢調査を踏まえて、定数配分にアダムズ方式が導入されることになります。ですから、5年後には更に大幅な区割りの変更が見込まれております。選挙のたびに、少なくない有権者が不自然な選挙区変更を強いられることになります。今回で3度目の区割りの変更ですけれども、何回変更してもこの人口較差の問題は続くと、これなくなりません。これは、小選挙区制が元々投票権の平等という憲法の原則とは矛盾する制度だということを示していると言わなければなりません。
 そのことを指摘しておいて、次に、憲法が求める投票価値の平等は、選挙区間の人口較差是正にとどまらないと思います。そもそも選挙制度というのは民主主義の根幹でありますので、その根本は国民の多様な民意を正確に議席に反映させることにあります。ところが、現行制度は民意の反映が著しくゆがめられる制度となっています。
 資料2枚目に、これまでの小選挙区選挙における第一党の得票率と議席占有率を示しました。直近4回の総選挙では、第一党が4割台の得票で7割から8割の議席を獲得しております。一方、約半数の投票がいわゆる死に票となっております。ここに私は小選挙区制の最大の問題があると思いますが、大臣、小選挙区制がもたらすこの民意と議席の乖離、放置できないんじゃないですか。

高市総務相 現行の衆議院の選挙制度であります小選挙区比例代表並立制は、選挙や政治活動を、個人中心の仕組みから政策本位、政党中心の仕組みに転換するということを目指して、長年にわたる政治改革の議論を経て、平成6年に導入されました。
 小選挙区制につきましては、第8次選挙制度審議会の答申などによりますと、長所としては、政権の選択についての国民の意思が明確な形で示される、政権交代の可能性が高い、そして短所としましては、選挙区ごとの票の動きが激しい、少数意見が選挙に反映されにくいなどが挙げられております。
 いずれにしましても、選挙制度の在り方につきましては、議会政治の根幹に関わる重要な問題でございますので、各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えております。

山下よしき 選挙をやるたびに短所の方が、弊害が顕著になってきていると言わなければなりません。
 小選挙区制がもたらす民意と議席の乖離が政治に何をもたらしているか。私は、民意と懸け離れた政権の暴走が起こっていると思います。
 資料3枚目に、安倍政権の主要政策に関する世論調査を幾つか並べました。秘密保護法、安保法制、原発再稼働、これいずれも国民の多数意見は反対でありました。それが、国会では数の力で強行されたわけです。その根底には、小選挙区制によって獲得した多数議席があると言わなければなりません。
 自民党について少し数字を紹介しますと、結党直後の1958年の総選挙で、有権者全体に対する自民党の得票割合、絶対得票率は44・17%でありました。それが、2014年の総選挙では16・99%になっております。自民党安倍政権は、有権者全体の17%の支持で獲得した多数議席の下で、国民の反対を押し切って安保法制などを強行していると。まさに小選挙区制の害悪を明白に示すものだと言わなければなりません。
 大臣に伺いますが、小選挙区制が民意と懸け離れた政権の暴走を生み出す基盤となっている、そういう自覚はおありですか。

高市総務相 先ほど来申し上げておりますとおり、確かに、小選挙区制であれ中選挙区制であれどのような選挙制度を選択したとしても、それぞれ弊害が指摘されてきたところでございます。一方で、メリットも指摘されてきたところでございます。
 国民の皆様は選挙の機会を通じて政権を選択し、そしてまた、争点というものはその時々の選挙に応じて有権者の方々がお決めになるものだと私は考えますけれども、そこで政権を選択する権利をお持ちであると思います。いずれの選挙制度であっても、これは議会政治の根幹に関わることですから、各党各会派で御議論をいただくべきことでございます。
 特に、国会は内閣をチェックしていただく重要な役割を担っておりますから、その国会議員の身分に関わること、国会の在り方に関わることにつきまして、総務省の方から案を提示するというよりは、国会において御議論を進めていただくべき事柄だと考えております。

山下よしき 資料4枚目に、直近2回の総選挙について、仮に総定数を各党の比例得票率で配分したらどうなるか、試算をいたしました。注目してほしいのは、民意が完全に反映されたこういう議席配分なら、秘密保護法も安保法制も原発再稼働も、賛成推進勢力が国会の過半数を占めることはできないということであります。
 先ほどから言っているように、小選挙区制による虚構の多数によって政権の暴走が生み出されているというのは、私はこういうことを基に言っているわけであります。先ほどから大臣は国会の内閣チェック機能ということが大事だとおっしゃいましたけれども、こういう中でどんどんどんどんチェック機能が人為的にゆがめられているという面を直視する必要があると思っております。
 我が党は、現行制度の提案当初から、小選挙区制が民意の公正な議席への反映をゆがめ、比較第一党が虚構の多数を得ることで強権政治を推し進めようとするものだと批判してまいりました。民意と議席に著しい乖離を生み出す小選挙区制は廃止し、民意を反映する選挙制度へ抜本的に改革することを強く主張して、質問を終わります。