参院総務委参考人質疑 
2017年5月30日 参院総務委員会

山下よしき 4人の参考人の先生方、ありがとうございました。
 共産党の山下芳生です。
 最初に、先ほど森参考人から、この議会の議決による債権放棄について、首長からもそれから議会からもそういう提案が出るとは思われないと、もしそんなことをすれば次の選挙で落ちるんだという御意見がありまして、なるほどそういう面はあるだろうなというふうに思ったんですが、その御発言中に阿部先生がうずうずされておりましたので、ちょっと阿部先生に聞きたいと思うんですが。
 住民訴訟の豊富な御経験をお持ちの阿部参考人からすると、先ほどの意見陳述の中で、このままでは市長側は違法行為をしても議会の多数を味方に付けている限り安心だと、そういうふうにおっしゃいました。そう断言できる背景などがありましたらお聞かせいただきたいと思います。

阿部泰隆(神戸大学名誉教授) いや、背景というか、責任負わされて何とか免れたいと思えば、何か方法はないかと考える。そして、元々地方公共団体の議会による権利放棄というのは考えられていなかったんですよ。だから、正確に覚えていませんが、平成10年頃からあちこちで始まって、それは物すごい知恵者がいたんですね。自治体の債権放棄というのは原則として禁止ですから、市民には資力がないなんという場合しか免除されませんから、普通はその債権放棄は考えていなかったんだけど、知恵者がいて、あっ、地方自治法の96条1項10号に議会の議決権があると考えてやり出したら、それが広がっちゃって。ウルトラCだったんですね。
 そういうふうに法の抜け穴みたいなものを見付けてくるというのが頭のいい人のやることで、だから、今回だって権利放棄議決について直接に禁止する規定を置かなければ、大抵の場合は、森市長さんの言われるように、俺の債務免除してくれなんということは言わないだろうけれども、中に知恵者がいて、やっぱりこれは規定ないんだからやってみようと、それで仮に裁判で負けたって5年後、10年後だと、その間ずっと住民訴訟の費用は税金持ちだと、その間俺が死んじゃったら多分勘弁してくれるしというので、とにかく引き延ばすということをやると。それで、うまくいったら勝つかもしれない、負けても何の損もしないということでやるわけです。
 住民訴訟は、平成14年の改正は、被告の市長が負けても弁護士費用は全部税金負担ということにしているので、最高裁まで勝つ可能性ゼロでも頑張るわけですよ。だから、あれはとんでもない改悪だというのは僕の方の言い分なんですが、取りあえずそれを前提にすれば、権利放棄議決、普通考えたらやらないだろうけれどもと思う善意の市長さんばかりじゃなくて、たまに仲間の議員さんと一緒になって何とか乗り切ろうと。
 じゃ、選挙で落ちるかといったら、選挙の争点ってたくさんありますから、何か一つぐらいまずいことがあったって選挙の争点になりません。そんなことで選挙は落ちるわけないですから、選挙できちんとやるからいいんだなんという議論ではなくて、違法行為は司法で判断する、違法行為でなければ選挙で判断すると、こういう仕分をしなきゃいけないんで、これ、違法行為だったら、やっぱり司法で判断されたらそれは責任を負っていただくと。
 だから、今回、余計なことの論争出ないように、権利放棄議決については正当な理由がある場合を除きできないという条文をちゃんと入れれば、そこの解釈問題になるけれども、ずっと論争が減りますと。なぜこの修正案に応じていただけないんですかと。これは法律を作るイロハのイ、常道なんですよ。ということです。

山下よしき 続いて、もう一問、阿部参考人にしたいんですけれども。
 先ほどの陳述の中で、その市長側は安心だということに続けて、住民側はどうせ権利放棄されると思うと住民訴訟を提起する意欲が減退しますと、これ非常に重要な御指摘だと思っておりますが、この辺りもう少しお聞かせいただければ有り難いです。

阿部名誉教授 住民訴訟を起こすのは物すごい負担です。役所は全部資料を持っています。住民側はいろいろ集めなきゃいけない。情報公開制度でかなりできるようになりましたが、情報公開で取れないのもありますし、とにかく無資力ですから大変苦労する。
 それでやって、それで弁護士もとにかくお金もらえぬ、手弁当でやって、しかも違法、過失、損害まで証明しなきゃいけない。違法を証明したら役立つはずなんだけれども、勝ちにはならない。それで、勝ったと思ったら権利放棄議決だなんて言われて、その次に、弁護士はそれでもただ働きでじゃ事務所は潰れます。それで、弁護士報酬はその次にもう1回訴訟やってやっと取れるんだけれども、そこでも役所は抵抗します。ところが、役所側の弁護士は最初から毎回毎回もらっています。そういうことだから、弁護士も引き受ける人は余りいない。住民だって、ただでずっと苦労している。そして、長く掛かると、もう最初の住民運動の熱意が消えちゃうものですから、もうやめたと言って住民が抜けていっちゃうんですね。で、最後まで続かない。だから、こういうもの早く片付けると。
 あと、問題が、政治問題も絡んでいるし、違法行為を早くやめないといけないですから、それを5年や10年掛かっちゃ駄目です。だから、さっと片付くような制度にしなきゃいけないから、論点はなるべくなくすと。
 違法行為はやめさせるという基本の基本から出発してくださいとお願いしているわけです。

山下よしき 中山参考人に質問したいと思います。
 先ほど、過大な人口減少予測、必要以上のコンパクト化、市民生活の破壊なんかと、そういうことが悪循環になるということを指摘されておりましたけれども、非常に新鮮な問題提起として聞かせていただきました。先生が悪循環だとお感じになっている具体例がもしありましたら、もう実名を、自治体名を言う必要はないと思うんですけれども、お聞かせいただきたいことと、そういう悪循環がもうどの程度広がっているというふうに御認識なのか、お聞かせいただければと思います。

中山徹(奈良女子大学研究院教授) 残念ながら、そういう事態、かなり広がっているんじゃないかなと思います。特に典型的なのは公共施設等総合管理計画ですけれども、公共施設の今見直しが進んでいまして、元々、公共施設等総合管理計画というのはインフラ長寿命化計画の自治体版でスタートしています。政府が元々考えていたのはインフラの長寿命化をどう図るかということだったんですけれども、実際、自治体レベルで取り組んでいるのは、公共施設の残念ながら統廃合計画になっているところが大半です。
 公共施設でも、その中で特に今大きなターゲットになっているのが子供に関する施設でして、具体的には、保育所とか幼稚園の統廃合、小学校の統廃合というのはかなり起こっています。それも、人口ビジョンできちっと考えればそんなに大幅に子供が減らないところでも、社人研の予測値を使いますと大幅に人口が減ってしまうということで、保育所や幼稚園、小学校の統合を進めるという傾向が出てきています。
 ところが、そういう社人研の予測値に基づいて統廃合を進めてしまいますと、かなりの学校や幼稚園が減ってしまう。で、我々町づくりやっている者から見ると、学校や幼稚園で重要なのはまず使いやすさなんですけれども、統廃合をすることによって地域から学校や幼稚園がなくなってしまうと、今度は非常に住みにくい地域に変わっていくと思います。ですから、必要以上の統廃合を進めることでその地域から学校や幼稚園がなくなると、今度その地域には住みにくくなる、そうしたら便利なところに引っ越そうかということで悪循環が起こり出すのではないかなと思います。
 ですから、今そういう公共施設の統廃合とかコンパクトでいいますと、むしろ周辺部、そういったところで過大なそういうコンパクト化や統廃合を進めることによってむしろ住みにくい地域が広がり、ますます周辺部の衰退に加速が掛かるという、残念ながらそういうことが想定できるのではないかなと思います。

山下よしき 続いて中山参考人に伺いますが、そういうやり方に対して、先生は最後のところで、地域資源を生かした地域経済の活性化が大事であって、その際、市民、事業者、行政など様々な主体の連携が重要となりますと、その要に座るのが行政なんだというふうにおっしゃいましたけれども、なぜ要が行政なのか。それから、その行政が要に座って地域の資源を生かした活性化が実現しているような好例がもしありましたら御紹介いただけますでしょうか。

中山教授 この間、政府でも地方創生でいろいろと事例を挙げていますけれども、その中でやっぱり大きくたくさん挙げられているところは、どちらかというと平成の大合併のときに余り合併せずに頑張ろうかと考えた自治体がかなり取り上げられているかと思います。特に中山間地域で事例として取り上げられているところは、大きな市町村に合併して周辺部になったところではなくて小さな自治体を維持しているところ、そういったところが事例としてはたくさん政府でも説明されているのではないかなと思います。
 そういった事例を見ていますと、全てとは申しませんけれども、大半のところは、村役場とか町役場が中心に座ってその地域の住民や事業者と一緒になって、地域の活性化をどう進めるか、それを真剣に考えているところが、やはりこの間、政府のいろんな先進的な事例でも取り上げられているのではないかなと思います。
 やはり、行政が存在している、行政があるということは、議員さんがおられるわけだし、首長もおられるわけなんですね。そこで一定の予算が当然入ってきて、それを地域のためにどう使うかというのを非常に小さい単位で考えられる。そこにやっぱり行政があるかないかというところが非常に大きなポイントでして、この間、中山間地域で地方創生に頑張っている自治体というのは、小さいけれども頑張っている、その中心に行政が座っている。やっぱり行政が座ることで市民や事業者のいろんな連携が広がっていく。やっぱりそういうところをきっちり見ることが重要じゃないかなと、そのように考えています。

山下よしき 森参考人に伺います。
 先ほどのお話の中で、2キロ圏内に、歩いて行けるところに職員が4人いて、フェース・ツー・フェースで市民に対応されていると。非常にこれすばらしいなと思ったんですけれども、これは基本的ですけど、職員さんがそういう2キロ圏内にいるところがあるということですか。

森雅志(富山市長) 79か所ありまして、平均すると4人いるというところで、少ないところは1人のところもあれば2人のところもありますが、専ら定年になった後の職員の再雇用です。
 再雇用は、希望する再雇用は100%再雇用していますので、そういう形で経験値を生かしていくということはやっぱり市民にとっても大変プラスになりますし、安心感も生まれますし、独り暮らしの高齢者も、極端に言うと小学校の校区よりも狭いですね、2キロ圏内というのは、十分歩いて行ける距離ですので、これが安心につながっていくだろうというふうに思いますので、コンパクトシティー政策と言っていますけれども、腕力で住み方を凝集させようとしているのではなくて、これ以上の拡散を防ぐということが第一義的な目的です。
 それをしっかりやりながら、周辺部や縁周部にいる方のシビルミニマムはきちっと守っていかなきゃなりませんので、やっぱり市役所の出先、市立公民館、出先の図書館、さらに地域包括支援センター、そういったことをちゃんと配置していくことは大事だというふうに思って頑張っております。

山下よしき もう一問、森参考人に伺いますが、そのフェース・ツー・フェースというのが非常に大事だと思うんですが、先ほど中山参考人から、独立行政法人化を窓口業務でも可能にしようというのが今度の法改正の一つの趣旨なんですが、そうしますと、フェース・ツー・フェースで様々な要求が住民から寄せられる。それは単に定型的業務というふうに仕分していますけれども、それにとどまらない様々な、そこから先につなげていかなければならない要求があると思うんですね。それが遮断されるというのは非常にまずいんじゃないかと私は思うんですが、フェース・ツー・フェースが大事だという先ほどの御発言の中に、その点の御見解、いかがでしょうか。

森市長 私自身は、今申し上げたような基本的な考え方でこれからもやっていくことが大事だと思います。
 しかし、全国の、特に小さな町村の中には、現時点において既に国から要求されるデータですとかあるいは事務、どんどん増えていくことが対応できないと言っているところがたくさんあるわけです。したがって、そういうところなどにおいて、さっき言いましたように給与計算を共同でやるとか、できる業務はやっぱりあるんだろうと思いますので、その限りにおいてそういう法人に委託するということの意味はあるんだろうというふうに思います。ですから、自治体ごとに対応は異なっていくだろうと思います。
 それで、さっき言いましたが、私は、現業は一定程度民間委託や民営化ということをやっていますが、窓口は今言いましたような姿勢でこれからもやっていきたいというふうに思います。

山下よしき ありがとうございました。終わります。

マイナンバーカード顔写真、 警察に提供 「共謀罪」でも 
2016年5月16日 参議院総務委員会質疑

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本人も知らない間に監視?

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。

 今日は、個人情報保護と顔認証システムについて質問をいたします。それがマイナンバー制度やJ―LISとも関わってくるというふうに認識しているからであります。

 まず、個人情報保護委員会に聞きますが、顔認証システムとはどういうものか、分かりやすく説明してくれますか。

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日本郵政の巨大損失、責任は重大 
2017年5月11日 参院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 4月25日、日本郵政は、6200億円を投じて買収したオーストラリアの物流企業トール社の業績不振によって、2017年度3月期決算において約4000億円に上る巨額損失を計上すると発表いたしました。日本郵政の責任は重大だと言わなければなりません。
 そこで、日本郵政の長門社長に伺いたいと思います。買収後僅か2年で業績不振になって巨額の損失を出した。これは余りにも見通しが甘かったのではないでしょうか。

長門正貢(日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長) お答え申し上げます。
 2017年3月期のトール社の営業利益でございますけれども、買収前と比べまして8割ダウン、2割まで悪化いたしました。
 豪州国内物流事業の業績悪化の要因の一つとしては、資源価格の下落等による豪州経済の減速が挙げられます。豪州経済、都市部と鉱山地区の二極化が進んでおり、都市部の成長はプラスでございますけれども、都市部以外の鉱山地区は直近ではマイナス成長が続いております。トール社は、都市部のほか、鉱山地区を中心とした資源関連セクターに属する顧客及びそれらにサービスや部品等を供給している顧客に対して輸送サービス等を提供することによって収益を得ておりますが、その中でも鉱山地区の景気減速の影響を大きく受けているところでございます。
 資源価格の推移を見ますと、2014年頃から下落トレンドが始まっておりましたけれども、資源価格の下落がここまで深刻なものとなり、結果としてその後の豪州経済の小包や貨物の物流がここまで減少することまで見通すことはできませんでした。今から振り返ると当初の分析が甘く、結果として大きな損失を招くことになったことに対して重く、大変重く受け止めてございます。
 今回の処理はトール社に関わる負の遺産を一掃するという大きな意味もあるものと認識しており、損益好転に向けた転機となるよう、あわせて、株主、関係者の皆様からの信頼回復を果たせるよう、業績回復に努めてまいる所存でございます。

山下よしき 先ほどから、結果として見通しが甘かったと、そういうふうに聞こえるんですが、私それは違うと思うんですよ。トール社が業績悪化する懸念は日本郵政が買収を発表したときから既に指摘されておりました。
 当時、2015年2月18日、日本郵政の西室社長が買収を発表した会見でも記者の方からトール社の経営を心配する声が出されておりました。具体的にはこういう声です。折からの資源価格の市況悪化でトール社の資源関係の物流事業が弱含んでいる、オーストラリアの本業でのてこ入れが必要なのではないかなどなどであります。
 それに対して西室当時社長はこう答えております。いろいろやっている中で、資源物流は一つの大きなトール社のメリットと言ってきたが、ここのところ資源価格の低下で打撃を受けているのは明らかに御指摘のとおりですと。要するに、単に資源価格が低下しているということだけではなくて、それによって資源物流が打撃を受けているのは明らかだということをもう認識していたと。それに続けて、西室社長はこう述べております。これについて私ども、どういう対策をやっているのかという話も含めて突っ込んで聞いた、現経営陣がそこで損が出るようなことはやらないようきちんと手は打っていますと確認もしておりますと、こう当時記者会見で述べているんですね。
 要するに、資源物流が打撃を受けていることを認識していた、その対策をトール社に突っ込んで聞いた、そうしたらトール社は損が出ないようきちんと手を打っていると言っているということを確認した、ところが2年でこんなことになっちゃった、巨額の損失を計上しなければならなくなったということですから、私、これは当時、日本郵政がそういうことを懸念しながら突っ込んで聞いて大丈夫だというふうに判断したというわけですが、言葉は悪いですけど、日本郵政の目は節穴だったのかと言わざるを得ないんですが、この点の自覚、おありですか。

長門社長 当時でございますけれども、トールの時価総額が四千百億ぐらいございまして、仮に買収するとなりますと、いわゆるプレミアムを乗っけないと買えないと。プレミアム、通常のMアンドA業界で3割5分から6割ぐらいでございます。今回はたまたま5割弱でプレミアムを乗っけて6200億円という価格が決定いたしました。私ども、一人でこの判断をもちろんしたわけではございません。いろいろプロのコンサルタントを雇いまして、フィナンシャルアドバイザーも雇って、みんなで検討をして決断をした次第でございます。
 確かに、その当時、原油価格が落ちている等々、エネルギー価格の方につきましては下落傾向一部見えましたけれども、一体どこまで落ちてどのぐらい続くのかというところについては必ずしもコンセンサスはなかったというふうに理解してございます。アドバイザーの方々についても、特にこれは相当危険であるというようなアドバイスは実は1件もいただいておりません。結果論として、非常に長く続き大きく落ちてしまったので、大変に甘かったと言われれば、今となってはそうだなと思っております。
 トールの売上げの中で資源そのものに直に関わる部分というのは2割弱でございます。あとは、それに関わるいろんな物流が多くありまして、豪州全体の貢献度が売上げベース7割ぐらいになっておりますけれども、資源価格が落ちてどの程度物流業界全体にインパクトがあるのかということについて読み誤ったというふうに感じております。当初の分析は甘かったと言われればまさにそのとおりで、大変大きい経営責任があると感じてございます。

山下よしき 私は、結果としてとは言えないですね。ちゃんとそのことを見通すべきだったと言わざるを得ないと思います。
 それから、単にトール社だけではなくて、専門家、研究者からも、国際物流市場は既に当時で、DHL、UPS、フェデックスなどのドイツやアメリカの企業によって分割されておって、今更日本郵政の出る幕はないという指摘もされておりました。そのことも指摘しておきたいと思います。
 次に、長門社長にもう一点聞きます。買収費用の6200億円の原資は何なのかと。私はこれは国民の財産ではないかと思いますが、原資、説明してください。

長門社長 お答え申し上げます。
 トール社の買収に要した資金6200億円でございますけれども、これは日本郵便の手元キャッシュを使用して行ったものでございます。

山下よしき 私の聞いた説明とちょっと違うんですね。
 2015年12月の株式上場に向けて日本郵政グループの中で資本再分配をやった、資本増強を行ったわけですね。日本郵政が100%保有するゆうちょ銀行の株式の自社買いをやったと、そこで得た1兆3000億円のうち6000億円を日本郵便の資本増強に充てたと、そこからこの6200億円が充てられたということは否めませんという私は日本郵政から説明聞いております。それ、否定するんですか。

長門社長 6000億円でございますけれども、14年9月に増資をいたしまして日本郵便に6000億入ってまいりましたけれども、この資金は、日本郵便の経営基盤を強化するとともに、郵便・物流ネットワーク再編あるいは次世代郵便情報システムの開発等の成長のための投資を実施するために日本郵政株式会社を引受先として行ったものでございまして、トール社の買収を前提としたものではございません。

山下よしき 前提としたものではなくても、お金に色は付いていませんから、それ自身が買収にも充てられたというのは日本郵政から私説明聞いたんですよ、執行役の方から。それで、いずれにしても、このゆうちょ銀行の自社株買いによって日本郵政が得た資金も増資という形で今度の買収には回されていると。つまりは、公社時代の3事業によってつくられた国民の財産によって買収を行われたということになるわけですね。
 長門社長、トール社の買収原資は国民が築き上げてきた財産だった、元々日本郵便だって国民の財産ですから。国民の財産が買収の原資だったという認識、ありますか。

長門社長 日本郵政、民営化がナショナルプロジェクトでございまして、国家のプロジェクトでございました。このままとどまっているわけにはいかず、成長していかなければいけないと。純資産15兆円強ございまして、これをいかに有効に使って成長をしていって、株主の方々、市場、国民のお客様にお返しをするのかということで、効率的な投資方法を考えてございます。
 その中の一つとして、日本郵便の方でほかの資金需要がございましたので増資をして六千億手にしたわけですけれども、たまたまそのときに、今から思えばちょっと金額が高かったかもしれません、ちょっとというか、金額が高かったかもしれませんけれども、これが将来の成長につながる一石であると経営判断をして実行した次第でございます。
 結果的に日本郵政は今度減損になりまして、大変に申し訳ないと思っておりますけれども、成長のために有効に使おうと思った経営判断であったと認識してございます。

山下よしき 買収発表当時、西室社長は、国家の基本的に私どもがお預かりした財産を毀損しない、それを元に成長していける、そういう基盤をつくるのが私どもの一番大事な部分というふうにおっしゃっていました。甘い見通しによって国民からお預かりした財産を毀損した、これ、私は一般の株式会社のM&Aの失敗とはこれは重みが違うと思います。株主の自己責任だというわけにはいかない、国民の財産が基盤だという重みがあるわけですね。
 長門社長、もう一度、日本郵政の責任は極めて重大だと思いますが、その自覚、問いたいと思います。

長門社長 私どもまだ上場して、一昨年11月4日上場いたしまして、まだ2割弱しかマーケットに株が出ておりません。お国が8割以上持っている会社でございますので、その点十分に留意して今後も経営戦略を練っていきたいと思っております。
 今般の減損でございますけれども、大変申し訳ないと思っておりますけれども、18年間、これからのれんの償却期間、毎年200億円強の償却をしていく方がいいのか、今一気に減損させていただいて、日本郵便の体を少し軽くさせていただいて、時間を買わせていただいて、これからの18年間でこの四千億をむしろ返すと、その方がトータルな経済性が良くなるというような可能性もあると思っております。今、この機会をいただいて、18年間の時間をいただいたと考えております。是非とも、本来やるべき経営戦略をきちっとやって、そのコストをお返ししたいというふうに考えてございます。

山下よしき 今の後半は、4000億円の穴を空けてしまったけれども穴をどう埋めるかという決意であって、穴を空けたこと自体の私は責任が重大だと言わなければなりません。
 今回の巨額損失計上によって、郵政で働く労働者にも負担が押し付けられるのではないかとの不安が職場で広がっております。利用者からお叱りを受けるとか、JPエクスプレスが破綻したときのようにまたボーナスがカットされるのではないかなどの声を聞きました。
 今回の巨額損失の責任はひとえに経営陣にあります。決して労働者にしわ寄せしてはならないと考えますが、社長の認識、いかがでしょうか。

長門社長 そのように考えております。
 今回の狙いは、日本のみならず、これから将来の成長を、グローバルな成長を取り込むというために一石、石を打ったというのがトール買収の目的でございました。その方向感については引き続き重要な方向感であると思っておりますし、引き続きトールを使って海外展開を進めてまいりたいと思っておりますが、最初の価格が高かったためにこのような減損になった次第です。ここについて、これはしかし、いっときで終わる措置でございまして、今後引きずるものはございません。それから、キャッシュフローが今回出ていくわけでもございません。利益剰余金、資本勘定も非常に厚くまだございます。
 したがいまして、委員おっしゃったとおり、経営、そこのジャッジメントをしたという経営責任が経営層にあるのであって、従業員の方にはないと思っておりますので、従業員の方に対してそういうような種類の負担を求めるということはしないつもりでございます。

山下よしき 次に、今回の巨額損失計上と郵政民営化の関係について問いたいと思います。
 長門社長、そもそもなぜ日本郵便会社が国際物流事業に乗り出す必要があったんでしょうか。

長門社長 日本郵便、御案内のとおり、郵便がどんどんどんどん、僅か2%程度ではありますけれども、毎年落ちていくと、インターネット等々の商界もあってですね。で、日本全体の経済も、御案内のとおり人口も落ちていくということでございますので、日本だけにとどまっていたのではあしたはない、あしたはないというか、厳しいあしたになってしまうのではないかというふうに考えまして、これから海外の成長も取り込まなければ、むしろユニバーサルサービス等の我々に課された国内での義務すらきちんとできないこともあり得ると、業務の多角化、収益の多様化、そういうものも図って成長しなければいけないと思っておりまして、海外展開を考えた次第でございます。この方向感については間違っていないと思っております。
 一つの例でございますけれども、海外の物流業界、いろいろございますけれども、一つ成功していると思われているものにドイツ・ポスト、ございます。彼ら、2000年から10年掛けて100以上のM&Aを2・5兆円掛けてやりました。その中にたまたま、委員おっしゃいましたDHLが入っていたこともあって、現状は少なくとも最もバランスのいい物流業界として業界ではリスペクトされてございます。
 私ども、言葉で言うほど簡単だとは思っておりませんけれども、日本は日本できっちりとやってまいりますけれども、海外の成長についても取り込むチャンスをフォローしていきたい、チャレンジしていきたいと思っております。

山下よしき 私、本業を忘れちゃ駄目だと思うんですよ。郵便のユニバーサルサービス、これを国民にあまねく提供するというのが日本郵便の一番の事業なんですね。別に国際的に物流に手を出してくれと国民は思っていないんですよ、それは。
 そこで、もう時間がなくなってきたので。西室社長も買収発表当時、こういうやり取りしているんですね。記者さんから、ユニバーサルサービスを続けていくためにもこういう新しい試みで収益を出していく必要があるということですか、ええ、そう思うと。
 これはちょっと先ほど長門社長がおっしゃったこととかぶるんですけれども、ユニバーサルサービスを維持していくためにも新たな試みで収益を上げる必要があるということなんですが、要するに、いろんなことをやらなければならないと、多角経営しなければならないということだと思うんですけど、しかし私、多角経営と言うんだったら、公社以前の郵便、貯金、保険、この三事業一体経営こそ最も合理的な多角経営だったのではないかと、こう思うわけですね。1円の税金の投入もなく、三事業のユニバーサルサービスを提供しておりました。職員の給与もその中から賄っておりました。黒字経営をしておりました。さらに、その上、郵政公社時代には合わせて9000億円もの国庫納付金まで納めていたわけです。
 私は、ユニークですけれども世界で最も優れたビジネスモデルだと、改正郵政民営化法のときに自見当時郵政大臣に申し上げたことがありますが、その三事業一体経営をあえてばらばらにしたために日本郵便が独自に郵便のユニバーサル事業を維持しなければならなくなった、長門社長、ここに日本郵便が全く未経験の国際物流事業など新たな試みで収益を出す必要が生じた根本要因があるのではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。

長門社長 企業、組織でございますので、ユニバーサルサービスはきちんとやらなければいけない、そういう義務があります。大事な大事な仕事でございますので、もちろんきちんとやらせていただきますけれども、あらゆる組織は、現状に安寧するのではなくて、機会があれば成長の機会をフォローしていく、チャレンジしていくというのは当然だと思います。
 国内だけでとどまっていて明るいあしたが保証されるのであれば、もちろんそれはそれでいいんですけれども、それも矛盾しない範囲で海外の機会を取り込むチャンスがあるのであれば果敢に目指すべきと思っております。一般論で言っても、日本だけにいればいいんだという形には経営層の意思決定としてはならないと考えてございます。

山下よしき これ、郵政公社時代までは国際物流に手を出すことはできませんでした。そういうことになっておりました、できないようにですね。それが、この郵政民営化によって国際物流に手を出すことができるようになった。また、出さなければユニバーサルサービスが維持できないという要因もあったでしょう。
 高市大臣に伺いますが、日本郵政、日本郵便が国際物流に乗り出す際の2015年度の事業計画は、これ、総務大臣が認可しております。先ほど郵政行政部長は、事業計画認可は個々の事業を取り出して認可するものではないと。私は驚きましたよ。だったら何のための認可なんだと、認可はするけど責任は持たないのかというふうに感じたんですが、もうこれ時間ないので問いません。
 私が総務大臣に聞きたいのは、三事業一体だった郵政事業をあえてばらばらにした、背景には、もう言うまでもなく、日米金融資本が300兆円に上るゆうちょ、かんぽの国民資産を明け渡せと迫ってきたということが背景にあるわけですが、この三事業一体をばらばらにしたために日本郵便が、これはユニバーサルサービスの義務付けは新しい民営化法でも日本郵便、日本郵政に義務付けられているわけですね。しかし、ゆうちょ、かんぽは切り離された。したがって、ユニバーサルサービスを維持するための選択肢がぐっと狭められた。そこに私は、国際物流にあえて、経験もないのにリスクを冒して、しかも危ないんじゃないかという指摘もあるのに乗り出していかざるを得なかった根本原因があると、こう考えるべきだと思いますが、総務大臣、いかがですか。

高市早苗総務大臣 郵政民営化法におきましては、郵政民営化は、経営の自主性、創造性及び効率性を高めるとともに公正かつ自由な競争を促進し、多様で良質なサービスの提供を通じた国民の利便の向上を図るということを基本理念としております。ですから、こうした理念を踏まえて、今回のトール社の買収と減損損失処理の判断についても日本郵政グループが適切に経営判断されたものだと思っております。ユニバーサルサービスの提供につきましても、現時点で日本郵政及び日本郵便からユニバーサルサービスの提供に影響はないと聞いております。
 私は、これ、郵政民営化が原因で例えば今回のトール社の減損処理という事態に至ったとは思っておりません。今回、長門社長の思い切った決断によりまして減損処理されたことによって、やはり当初の目的、トール社を買収するということを判断された当初の目的をしっかりと達成していただきたいと、徹底的な経営改革をして、また収益につなげていただきたいなと、こう希望いたしております。

山下よしき そういう認識でいいのかと率直に思いました。
 長門社長、先ほど、負のレガシーを打ち切り、攻めの経営のスタートラインに立つんだと、会見でもこう述べておられますが、率直に言いまして、そんな保証どこにあるんだろうと。
 西室社長が買収発表当時の会見で、私ども日本郵便というのは、配送については長年の経験からノウハウがあるが、サードパーティーロジスティクス、要するに物流や運送の業務請負ですね、この分野については日本市場においても知識も経験も少ないというのが現状です。ましていわんや、グローバル市場におけるサードパーティーロジスティクス、国際物流業務についてはほとんど経験もないんだと。だから、今回、トール社を買収してそのノウハウを学ぶんだと言って買収したんですよ。
 ところが、学ぶどころか、逆にこんな、2年で巨額損失を出すようになっちゃった、尻拭いしなければならなくなっちゃったわけですよ。それを、攻めの経営に転換するんだ、これから収益上げていくんだと言ったって、国際物流のノウハウはないんですから、日本郵政には。これ、どうやって乗り出すんですか。全く保証ないじゃないですか。

長門社長 何回も申し上げておりますんですが、最初の計算が大変甘かったということについては本当に深く重く受け止めてございますけれども、私ども、成長を目指すときに、例えばですけれども、車産業の車を買うとか電機産業の子会社を買うとかいうのではなくて、郵便事業、物流事業をやっておりますので、これに近いところを当然ながら目指したつもりでございます。全く関係ない産業のところに初めて行ったというような未経験なところではございません。ある自分たちのテリトリーに似たところで、たまたまぴったり自分のノウハウと一致しないからといって、経験がないからやらないと言っていたのでは新しい経営はできないと感じております。近いところで、しかもチャンスがあると思ったのであれば、是非チャレンジする可能性は経営として考えたいと思ってございます。
 何回も申し上げますけれども、当初の価格の読みが非常に甘かったことについては大変重く受け止めてございます。

山下よしき もう時間も参りましたので締めますけれども、24000の郵便局のネットワークを最も生かせる多角経営は私は貯金と保険だと思いますよ、郵便局のネットワークを生かしてね。それをばらばらにして、ユニバーサルサービスに今からチャレンジするんだ、世界に乗り出すんだといったって、失敗しているわけですからね。それよりも三事業一体でしっかりユニバーサルサービスを提供できる基盤を維持する方が大事だと、そのことを改めて見直すべきだということを申し上げて、またやりましょう。
 終わります。

電波法及び電気通信事業法の一部改正案に対する反対討論 
2017年4月25日 参院総務委員会

 私は、日本共産党を代表して、電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 航空機の無線設備等の検査制度に創設される総務大臣による認定制度は、航空機に搭載される無線機レーダー、衝突防止レーダー、電波高度計等の安全性チェックを航空会社に任せ、国による検査、合否判定を省略する規制緩和です。航空会社に技術的にチェックする能力があったとしても、自社の航空機搭載無線設備に対して厳正なチェックができるかは疑問です。航空機運航の安心、安全に対する国の責任の後退であり、反対です。
 そもそも、今回の検査制度の見直しは、年1回の定期検査の省略や費用負担の軽減を求める航空事業者の規制緩和要望が出発点です。しかし、専門家らの検討過程において、過去10年間で100件を超えるトラブル、重大事故につながりかねない多くの不具合事象が発生していることが明らかになりました。
 今、国、総務省がやるべきことは、航空会社任せの括弧付改善の取組や定期検査を省略する新たなスキームの導入ではなく、現在報告されている不具合事象について、国が主導して原因を分析、究明し、可能な対策を直ちに打つことです。安全性と競争力はバランスを取るものではなく、安全性確保は何よりも優先されなくてはなりません。
 国民の願いは航空機の安全運航の確保です。総務省の姿勢は、航空会社の要望ありきで国民の願いに逆行するものであることを指摘して、討論を終わります。

日本郵政巨額損失、航空機の無線設備に関する検査制度の見直しについて 
2017年4月25日 参院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 法案に先立って、日本郵政の巨額損失問題について質問をいたします。
 日本郵政が6200億円もの巨額を投じて買収したオーストラリアの物流企業トール社の業績不振で、数千億円に上る巨額の損失を計上すると報道されております。日本郵政は、本日夕方、記者会見を行うと聞いておりますが、日本郵政がトール社を買収したのは2015年であります。当時の総務大臣は高市大臣でありました。
 大臣、当時この買収についてお認めになったんですか。

高市早苗総務大臣 買収につきましては私が認可するものではございません。

山下よしき 日本郵政の経営判断だということだと思うんですが、しかし、日本郵政の監督官庁は総務省であります。加えて、民営化、当時もされていたとはいえ、100%政府が株式を保有しておりました。監督官庁としても100%株主としても、政府そして総務大臣には重い責任があると思います。
 今回の件について、高市大臣、責任お感じになりませんか。

高市総務相 平成27年、私の記者会見の記録もございますけれども、私も発表になるまで十分承知はいたしておりませんでしたが、しっかりとした対応を期待したいと、それから、うまくいかなかったらこれは大変なことであると、しっかりと日本郵政グループのグローバル化と収益力の多角化、強化、そして、当然、法定されておりますユニバーサルサービスの確保、これを両立させていただきたいと考えています、このように記者会見で、これは日本郵便から発表があった数日後の記者会見でお答えしたところでございます。
 今、山下委員がおっしゃいましたトール社に係るのれんの扱いについては、今日現在、今の時点では日本郵政から現在検討中とのコメントが出されているのみでございます。さらにまた、日本郵政の経営判断によることですから、今の時点で総務省としてコメントをすることは差し控えたいと存じます。
 平成29年度事業計画の認可においては、私から日本郵便に対しては、国際物流業務の状況等に留意しつつ、引き続き、収益力の多角化、強化、経営の効率化の更なる推進、ガバナンスの強化などを着実に進めることということを要請いたしております。しっかりと取り組んでいただきたいと存じます。

山下よしき 今、会見のことが紹介されましたので、私もその会見を議事録を読みました。2015年の2月18日に日本郵政がトール社の買収を発表しているんですね。買収は、その後数か月掛けてトール社の全株式を取得する予定でありました。この2月18日の発表された2日後に高市総務大臣は記者会見で野心的な挑戦だというふうに評価をされていたわけで、事実上これはこのトール社の買収について追認されたと言っていい状況だったと思います。ですから、知らなかった、日本郵政がやったことだということでは私は済まない。
 ユニバーサルサービスの維持ができるのか、郵政で真面目に働く人たちへの影響はないのかが懸念されておりますので、委員長に提案したいと思いますが、この件について、買収当時の社長だった西室泰三氏、現社長の長門正貢氏ら関係者に参考人として出席していただいて、集中審議を行うことを提案したいと思います。

横山信一総務委員長 ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。

山下よしき それでは、法案の質疑に入ります。
 法案の航空機の無線設備に関する検査制度の見直しについて聞きます。
 航空機にはたくさんの無線設備が搭載されておりますが、まず、どのようなものがあるのか、紹介してください。

富永昌彦(総務省総合通信基盤局長) 航空機に搭載される無線設備には、管制所と交信するための航空機用無線電話、質問信号を受信すると自機の識別信号を送信するATCトランスポンダー、前方の雨などの気象情報を表示させる気象レーダー、航空機の対地高度を測定する電波高度計、不時着時に救命信号を発信する航空機用救命無線機、質問信号を送信して周辺のATCトランスポンダーの情報を収集する衝突防止装置などがございます。

山下よしき いずれも航空機の安全運航にとって不可欠な機器でありまして、こういう機器が正常に機能しなければ大変なことになります。
 人命にも関わることになると思いますが、実際に航空機の無線設備の不具合が原因で乗員乗客が死亡した事故はありますか。

富永局長 お答え申し上げます。
 平成24年8月の航空機に搭載する無線局の検査の在り方に関する研究会の開催に当たり調査いたしましたところ、平成21年に電波高度計の異常に関係する死亡事故が海外で1件発生しております。これは、搭載されている二台の電波高度計のうち一台が原因不明のトラブルで異常な値を示し、警報が鳴ったにもかかわらず、そのまま降下を続けた結果墜落し、乗員乗客9名が死亡したものでございます。
 本件は、警報が鳴ったにもかかわらずそのまま降下を続けたという航空機の運航上の問題と、トラブルを起こした電波高度計が事故発生前の25時間以内に同じトラブルを二度発生させており、かつ以前より100回以上のトラブルが発生していたことにもかかわらず取り外し等の措置をとらなかった整備体制の問題と捉えられております。
 こうしたことも勘案しまして、今回、日常的な点検体制、点検方法について総務大臣の認定を受けることができる制度を導入することとしたものでございます。

山下よしき 電波高度計の不具合が理由で墜落事故で死んじゃったということでありますが、じゃ、日本は大丈夫かということなんですが、資料一に、お配りしてありますけれども、これは総務省の航空機に搭載する無線局の検査の在り方に関する検討会が無線設備の不具合により発生したトラブルの例を国土交通省に聞き取って作ったものであります。
 ここに紹介してあるのは2011年中に発生したもののみの抜粋ですが、それを見ても、例えば気象レーダーとか電波高度計とか航空無線電話などで不具合が発生し、飛行中目的地を変更したとか、離陸直後引き返したなどのトラブルとなっております。いずれも日本の航空会社であります。下のピンク色の箱の中に、国土交通省に報告されている案件だけでも過去10年間に100件超の無線設備不具合によるトラブルが発生している模様だとされております。
 資料二に、そこで、この検討会を受け継いだ総務省の航空機局の定期検査等に関する評価会が、今度は各航空会社に対して、トラブルに至らないまでも不具合がどれだけあったのかということを調査しております。無線機器の定期検査及び通常運航時の不具合データ調査です。要するに、引き返すとか目的変更まで至らなかったけれども不具合が見付かったものはどれだけあるかを調査したんですが、結果、現状は無視できないほどの不具合があることが明確になったと結論付けられております。
 A社からJ社まで個別の航空会社の結果が載っておりますけれども、一番大きいと思われる下のJ社、これは無線機器の保有台数が4090台です。定期検査のときに不具合が見付かった件数が、レベルワン、レベルワンというのは下のちっちゃい字ですけれども、通信不能や他の通信に影響を及ぼす事象に直接つながった不具合でして、これが26件。レベルツー、継続して使用するとレベルワンの事象になる可能性のある不具合、これが17件。レベルスリー、そこまではいかないけれども電波法の技術基準を満たさない不具合、これが591件あったと。その他の航空会社でもかなりの件数報告されております。日本の航空会社でもこういう無線機器の不具合、それを原因とするトラブルは結構起こっているということであります。
 ところが、今回総務省が導入しようとしている航空機の無線設備の新たな検査制度というのは、これまで年1回、国の検査官が直接合格、不合格の合否判定してきたのをやめて、航空会社自身に点検も検査も任せてしまう規制緩和であります。これは、航空機運航の安全、安心に対する国の責任を後退させるものではありませんか。

あかま二郎総務副大臣 お答えいたします。
 航空機に搭載される無線設備に係る電波の質の維持は、航空機の安全運航の確保の観点から極めて重要と考えております。
 今回の認定制度でございますけれども、まず、点検の手法及びその間隔並びにその体制について規程を定めさせた上、総務省の認定を受ける。そして、点検その他保守に係る報告を義務付けることにより、これまでの年1回の定期検査と同等以上の電波の質を維持させようとするものでございます。認定の基準の策定及び個々の認定でございますけれども、電波監理審議会への諮問、答申を経て行うこととしております。
 また、毎年義務付けている免許人からの保守点検実施状況の報告内容に疑義がある場合や、免許人の業務の不適切な実施に関する疑い、又は外部からの情報があった場合には、その事実関係を確認するために立入検査を実施し、必要に応じて認定を取り消して、国が直接検査をすることとしております。
 こうしたことにより、日常の点検、整備が適切かつ確実に実施されるよう、国の責任を果たしてまいりたいと考えております。

山下よしき 私、説明受けたんですが、航空会社の自主点検、整備にPDCAサイクルを取り入れるんだということなんですが、その新たなスキームで本当にトラブルや不具合を減らすことができるのか。これからその具体的な基準を決めるということなんで、じゃ、その検査の方法とか、検査の頻度とか体制とか、どういうふうにするんですか。

富永局長 お答え申し上げます。
 今回の制度における保守規程につきましては、その認定の基準として、保守を行う体制、能力の観点から、電波の質を維持するために十分な点検、整備能力を有していること、点検、整備に携わる組織、人員、資格の要件が定められていること、それから二つ目といたしましては、点検手法の観点から、無線設備の点検、整備手順が明確であること、無線設備に関する品質、信頼性、技術管理の方法が定められていること、それから三つ目は、そのほか、無線局の基準適合性を確保するために必要な事項が定められていること、こういったことを定めることとしております。
 今後、法律の施行までの間に専門家の御意見なども聴取しながら、具体的な認定の要件をまとめていく予定としております。
 無線局の基準適合性の確認の頻度につきましては、現在の定期検査の頻度、それから航空法に定められる整備間隔などを勘案いたしまして、電波の質が維持されるように具体的な頻度を検討してまいります。
 以上でございます。

山下よしき だから、これから検討なんですよね。
 具体的に聞きますけれども、年1回の定期検査、これどうなるんですか、やめるんですか。

富永局長 年1回の定期検査を選択される場合と、それから今回の認定制度を選択される場合ということで、二つのコースを今回設定させていただいております。
 それから、認定制度におきましても、毎年報告を受けて、私どもがしっかりそれを見るということにしております。
 以上でございます。

山下よしき ベンチチェックというのはどうなりますか。ベンチチェックというのは、積んで飛んでいるとき、フライトチェックじゃなくて、航空機が着陸して機器を降ろしてチェックする検査ですが、これ定期検査のときにはこれまで全部やっていましたけれども、このベンチチェックどうなるんですか、やめるんですか。

富永局長 ベンチチェックにつきましては、どういった形で実際に点検をしていただくかということを含めまして、これからの検討課題とさせていただいております。
 以上でございます。

山下よしき 結局、これから決めるということなんですよ。どうなるか分からない。定期検査が年1回やられていたときよりも良くなるのか悪くなるのか、私は今の段階で判断できない、白紙だと言わなければなりません。何も決まっていないんですからね。これではトラブルや不具合を減らせるのかどうかは分からないと思います。
 そこで、そもそも論聞きたいんですけれども、航空機の無線設備で、先ほど紹介したように、これだけの日本の国内でもトラブルがあったり不具合があったということが分かったわけです。しかも、これは2013年、2014年にこの検討会や評価会が国交省や各航空会社に問合せをして初めてこれだけたくさんあるんだということが分かった。専門家の先生方もたくさんあるじゃないかと驚いておられたわけですが、だとすればですよ、まずは国が主導して、緊急に事故や不具合発生の原因を分析、究明して、今すぐ可能な取れる対策を打つことが当然だと思うんですが、それやらないで、なぜ航空会社のPDCAサイクルに委ねるようなことをするんですか。なぜまず国が主導して、直ちにやれることをやらないんですか。

富永局長 航空機局の定期検査等に関する評価会におきましては、航空機局に搭載される無線設備につきまして、過去数年にわたる不具合の技術的データを分析した結果、定期検査時だけではなく通常運航時、この通常運航時と申しますのは、航行中に限らず運航前点検中ですとか整備期間中という期間も含みます、こういった運航時にも不具合が一定程度発生していること、それから、不具合を予防するための系統的な信頼性管理は行われていないことが判明いたしまして、不具合を減少させる方策につきまして検討を進めるとの中間的な取りまとめが平成27年6月に行われました。
 この取りまとめを受けまして、不具合の原因分析及び信頼性向上のための具体的な方策について検討を進めた結果、PDCAサイクルなど予防的な整備管理体制を構築し、恒常的に無線機器の基準適合性、適合性確認を行うスキームを導入するとの方向性が平成28年3月に示されたところでございます。今回の制度改正はこれを踏まえて行うものでございます。
 以上でございます。

山下よしき 予防的整備、PDCAサイクルというんですが、私、それがうまく回ることを前提に今お答えになっていると思いますけれども、必ずしもそういくとは限らないということを指摘しなければなりません。
 2004年の日本航空のMD87型機、これが、義務付けられた左主脚部の点検をしないで41回離着陸を繰り返していた事件があります。しかも、この未検査が発覚した後の検査も、必要な二つの検査のうち一つを行わずに手抜き検査のままだったと。それで12回、また後、離着陸を行ったということがありました。このとき報道では、検査を担当した整備士は、翌日のフライトに影響を与えることが気になった、早く検査を終えたかったこともあると、こう答えているわけでありまして、2011年、航空機を製造する三菱重工でも部品の手抜き検査があって、89年から2011年までの間、46万個の航空部品で規程の検査手順を守らなかったということもありました。
 何が言いたいかといいますと、民間会社では、こうして運航に支障を来すなどの理由で検査、点検が正常に行われないことがあり得ると、こういうところにPDCAを委ねても正常に機能しないことが起こり得ると。違いますか。

富永局長 今回の制度整備は、専門家にお集まりいただきました評価会等の検討を受けて、やはりPDCAサイクルを実際に点検等を行う会社がやることを前提に制度整備ということでつくらさせていただきたいということでございます。
 私どもとしては、この制度創設を契機にいたしまして、しっかりと民間事業者におきまして、点検整備、PDCAサイクルを回すようなことをやっていただくようにしっかりと周知啓発を図っていきたいと思っておりますし、実際にこの認定制度を運用していく段階で報告を求めることになっております。その報告の中で、しっかりしたものがやられていない場合は立入検査もいたしますし、また、必要によっては認定を取り消す、あるいは、更に申しますと無線局の免許を取り消すといったことも可能でございますので、しっかりと総務省として対応していきたいと考えております。

山下よしき 事故が起こってからでは遅いんですね、命に関わるわけですから。ですから、さっき言ったような民間会社における手抜きがなぜ起こるのかといいますと、やはり背景に利益至上主義があると思います。今回の航空機の無線機器の検査制度の見直しの出発点も、航空機会社、とりわけ格安航空会社と言われるところから2012年に年1回の定期検査の免除を求める規制緩和要求が出された、費用も手間も掛かる定期検査を3年に1回にしてくれとか、検査項目を減らしてくれとか、ベンチチェックを見直してくれとかいうことが出たことがきっかけですから。
 私は、そういう規制緩和、検査のコスト削減と安全というものをてんびんに掛けるわけには絶対にいかないと、航空機の安全というのは絶対優先されなければならないと思いますが、まだそういうPDCAサイクルに委ねるのは私は時期尚早だと。まず国が、これだけのトラブル、不具合があることが分かったんですから、やるべきことをまずやらせるということをやるのが先決だと思っております。
 国の責任を後退させることはまかりならないということを申し上げて、終わります。

地方公務員法及び地方自治法の一部改正案に対する反対討論 
2017年4月13日 参院総務委員会

 私は、日本共産党を代表して、地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。
 本法案は、地方自治体における特別職非常勤及び臨時的任用の実態が地方公務員法の規定と乖離しているとして、臨時、非常勤の任用要件を厳格化し、増大した臨時・非常勤職員の受皿として新たに有期雇用契約である会計年度任用職員制度を新設し、期末手当の支給を可能とするとされているものであります。
 反対理由の第一は、臨時、非常勤を急増させた国と地方自治体の責任への反省がなく、臨時、非常勤の正規化、正規職員の定員拡大などの根本的な改善策が示されていないことです。
 三位一体改革や集中改革プランなどによって国から正規職員の定数削減を迫られる中、行政需要の増大に対応した結果、地方自治体の臨時・非常勤職員が急増しました。今や、公立保育所の保育士の半数近くが臨時、非常勤となっています。学童保育については総務省の実態調査すらされていません。学校では、定数内でさえ臨時、非常勤の教員、講師が配置されています。未来をつくる子供たちの命と安全、発達を保障する業務の担い手が、不安定で低賃金、生活保障さえできない処遇で本当に良いのでしょうか。
 民間の非正規雇用労働者に認められた解雇法理の適用による無期転換の対象外とされ、司法の場でも歯止めが掛からなかったことで、不安定、低賃金な臨時・非常勤職員が自治体職場で一貫して増え続けてきたのであります。本来なら、基幹的、恒常的業務については定数枠を広げて常勤化すべきです。ところが、本法案には常勤化への道を積極的に開く内容は一切ありません。
 反対理由の第二は、導入される会計年度任用職員制度が入口規制のない有期任用の職となっており、会計年度ごとの任用と雇い止めを地方自治体の判断で進めることを可能としており、合法的な人員の調整弁となる可能性を否定できず、地方公務員法の恒常の職の無期限任用の原則を掘り崩すおそれがあることです。
 反対理由の第三は、会計年度任用職員への給付について、フルタイムの場合は給料及び各種手当の支給対象となるのに、数分でも短くパートタイマーとされた者は期末手当のみとされ、通勤費などは従来どおり費用弁償の対象とするとしつつも、フルとパートで待遇格差を温存することは認めるわけにはいきません。
 さらに、再度任用されても、条件付採用期間があることなどで、不当に雇い止めに遭った場合にも任用継続への期待権が認められにくくなるのではないかとの指摘を否定できる根拠はどこにあるというのでしょうか。
 また、特別職非常勤を会計年度任用職員へ移行させることにより労働基本権の制限が掛かることとなりますが、組合解散や一般労組からの脱退により労働条件の不利益変更などが生じるおそれも指摘されています。
 自治体における常勤、非常勤格差は今や民間以上となっており、臨時・非常勤職員の7割が女性です。まさに公務がワーキングプアの製造場所となって、日本全体の格差拡大を進める結果となっていることを直視すべきです。
 仕事の中身が同じなら権利もお金も皆同じ、人間の平等からして当然の状態を公務職場でこそ実現することが強く求められていることを指摘して、討論を終わります。

恒常的な仕事については正規職員が担うのが原則 学校職場・自治体職場の非正規職員の現状を聞く 
2017年4月13日 参院総務委員会 参考人質疑

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 今回の地方公務員法改定案の審査に当たっては、当事者である地方自治体で働く臨時・非常勤職員の皆さんの声を是非とも聞く必要があると考えまして、理事会で提案したところ、委員長、各会派の御理解を得て、本日、日本自治体労働組合総連合、自治労連の非正規公共評議会幹事である小川裕子さんに参考人として出席していただくことになりました。
 小川さん、ありがとうございます。早速ですが、私から小川さんに二点お聞きします。
 まず、地方自治体の臨時・非常勤職員はどのような仕事をどのような思いで担っているのか、また賃金などの待遇や生活はどうなっているのか、お話しください。

小川裕子(日本自治体労働組合総連合、自治労連の非正規公共評議会幹事) 本日は、このような機会をお与えいただきましてありがとうございます。私は、自治労連非正規公共評議会幹事の小川裕子と申します。埼玉県内で学童保育の指導員として働いております。また、自治労連埼玉県本部非正規公共協議会の事務局長として、県内自治体で働く臨時・非常勤職員と、自治体業務を委託や指定管理などを受けている施設などで働く労働者の雇用を守り、賃金、労働条件を改善させ、住民サービスを守る活動を行っております。
 自治体に直接雇用されて働く学童保育の指導員は、子ども・子育て支援新制度で、その役割は育成支援だと位置付けられました。子供の育ちを保障し保護者の子育てを支援するという、成長期の子供たちの命と育ちを守る重要な仕事をしていると自負しております。また、近年は、障害児や育児放棄を含めた虐待対応など、より高い知識と技術が求められております。しかし、現場には正規職員は配置されず、臨時や非常勤でありながらも、その責務を果たすため、一生懸命働いております。
 総務省調査結果でお分かりのように、全国の保育士の四割以上が臨時・非常勤職員として任用されております。埼玉の非正規公共協議会に集まる仲間には、常勤職員同様フルタイム又はフルタイムにごくごく近い、そういう勤務時間で働く保育士がたくさんおります。臨時、非常勤など非正規であっても正規保育士と同じように担任を持ち、子供たちや保護者と日々向き合って仕事をしております。
 しかし、その賃金は正規の半分か3分の1、20年以上働いても手取りは20万円にもならない、退職金もなく老後の生活は心配、病気休暇がないので熱があっても無理をして働いている、育児休業もないので子供ができたら仕事を辞めざるを得ないなど、仕事には誇りとやりがいを持ちながらも、労働者としては不安や不満を抱いて働いております。
 そして、一番大きな不安は、来年も働き続けることができるかという雇用不安です。非正規で働く若い保育士の中には、将来に期待や希望を持てず、賃金は変わらないけれども、一時金や退職金、休暇制度がある民間保育園に正規として転職していくという現状もあります。保育士不足は深刻で、このままでは公的保育の質が守られません。
 保育士以外にも、正規と同じように専門性や資格が問われ、基幹的、恒常的に働く看護師や保健師、図書館司書などなどの非正規がおりますが、1日の勤務時間を15分や30分短くされ、また週の勤務日を4日とされ、また空白期間が置かれ、常勤ではないと、正規との待遇格差が温存されてきました。自治体業務の多様化のニーズに対応するため、そして正規職員削減の調整弁として、自治体の使い勝手の良い、またいつでも雇い止めできる安上がりな職員として非正規が活用されてきましたが、私たちも正規と同じ常勤職員になりたいと強く願っております。
 自治体では、こうした実態を改善するために労使間で待遇改善の努力が図られていますが、抜本解決のためには、法改正を始め、基幹的、恒常的な業務に従事している非正規職員の正規化の道を政府の責任で示すことが必要だと考えております。
 以上です。

山下よしき 次に、今回の地方公務員法改定案について、臨時・非常勤職員の立場からどのような問題点があると小川さんお考えでしょうか。

小川幹事 総務省調査結果や研究会での問題点把握、働き方改革実現会議で公務を一体に取り上げることを求める発言が出されるなど、自治体の臨時・非常勤問題にもスポットが当てられ、政府として法改正に踏み込んだ検討がなされていると思います。しかし、今回の法改正は、制度の趣旨に合わない任用の適正化のために行うと説明されておりますが、臨時・非常勤職員の勤務実態を踏まえたものとなっていないということが最大の問題ではないでしょうか。
 今回厳格化するという特別職非常勤職員や臨時的任用職員には一定の任用要件が規定されておりますが、会計年度任用職員では一会計年度を超えない範囲内で置かれる非常勤の職としかありません。そして、総務省の説明では再度の任用が可能だというふうにされていますが、これでは任用根拠を変えただけで、基幹的、恒常的業務にも使い勝手の良い安上がりな労働力が自治体職場に拡大、固定化されてきた現状を何ら変えることにはつながりません。むしろ、いつまでも非正規雇用、いつでも雇い止めできる仕組みづくりだと考えております。
 民間であれば、有期雇用の拡大を防止し、その労働者の保護を図るため、労働契約法などが改正されてきました。民間で働く有期雇用の保育士であれば、5年以上同じ職場で働けば無期転換の権利が発生します。しかし、臨時、非常勤の保育士は、公務員だからといって雇い止めの不安を抱えながら働き続けることになります。同じ有期雇用の保育士で、公務と民間でどんな違いがあるのでしょうか。さらに、任用根拠の見直しで、労働委員会の活用など、権利の保護、救済の仕組みが制約されることになります。
 二つ目に、会計年度任用職員の処遇をフルタイムと短時間で差を設けたことによる問題です。
 先ほど紹介しましたように、正規職員との違いを設けるために、勤務時間、勤務日数をわざと短くしている実態がございます。そのことによって、手当支給や共済、公務災害の制度適用の要件を満たさない状態がつくられています。今回の期末手当支給の制度化でさえ、地方自治体からは財政負担の増加への不安が出されています。そうした下で、フルタイム勤務が必要な職であっても短時間に設定していく流れをつくるものではないでしょうか。
 私たちはこれまで、仕事の専門性や継続性を訴え、年休の繰越しや加算、昇給の仕組み、退職慰労金など、賃金、労働条件の改善を実現させてきました。しかし、それさえもなくなってしまうのではないかという懸念があります。
 今回の法改正によって、今働いている臨時・非常勤職員の雇い止めや労働条件の引下げはあってはならないことです。これまで紹介しましたように、臨時・非常勤職員は、住民、子供と向き合って、その生活、命、発達を支えています。そうした仕事には専門性や継続性が必要なことはもちろん、その職務に合った労働条件が確保されなければならないと考えます。
 適正な任用等を確保し、それに対する給付を規定する、そう言うなら、国の財源保障が絶対に必要です。財源保障のない状況では絵に描いた餅であり、以上の点から私はこの法案に反対せざるを得ず、大幅な修正を求めます。
 以上です。

山下よしき 小川さん、ありがとうございました。地方自治体で働く臨時・非常勤職員の皆さんの実態と思い、そして皆さんの御覧になった法案の問題点、よく分かりました。法案審議に生かしていきたいと思います。
 それでは、法案について政府に質問をいたします。
 会計年度任用職員という新たな制度ですが、臨時・非常勤職員として働いている当事者の皆さんからの評判がすこぶる悪いです。保育、学童保育あるいは教育、医療、文化など、自分たちが担っている仕事は一会計年度で終わるものではないという声が噴き出しております。私たちのことをその程度にしか見ていないのかという怒りも直接聞きました。前回指摘したように、こうした基幹的、恒常的業務は、本来任期の定めのない常勤職員によって担われるべきだと思います。
 今、小川さんから紹介された、私たちも正規と同じ常勤職員になりたい、これが当事者のもう痛切な願いであります。それを、会計年度任用などという実態から一層懸け離れる制度に有無を言わせず移行するとなりますと、これは新たな矛盾が生まれざるを得ないと思います。
 そこで聞きますけれども、勤務時間も業務内容も常勤職員と同様なのに、これ引き続き非常勤の会計年度任用職員にしなければならないのか、それぞれの自治体が実態に合わせて判断をすればいいのではないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。

高原剛(総務省自治行政局公務員部長) 御答弁申し上げます。
 個々具体の職の設定に当たりましては、就けようとする職務の内容、勤務形態等に応じ、任期の定めのない常勤職員、任期付職員、臨時・非常勤職員のいずれが適当かを検討し、基本的には各地方公共団体において適切に判断されるべきものでございます。
 今回の任用根拠の適正化に当たりましては、各地方公共団体において臨時、非常勤の職の全てについて個別に検証を行い、それぞれ適切な任用根拠を選択することとなろうかと思いますが、その際、常勤職員と同様の業務を行う職が存在することが明らかになった場合には、会計年度任用職員制度ではなくて常勤職員や任期付職員の活用について検討することが必要になるものと考えております。
 以上でございます。

山下よしき 常勤職員としても可能だと、各自治体の判断だということであります。
 次に、法案では会計年度任用職員をフルタイムとパートタイムに分けることとしております。パートタイムには期末手当は支給できるが退職手当など他の手当は支給できないと説明を受けました。これは非常に大きな差です。
 そこで聞きますけれども、常勤職員の勤務時間より一分でも短いとパートタイムになるということでしょうか。そうなりますと、合理性もなく、勤務時間をあえて数分間短くすることで安上がりにしようという動機が働くのではないでしょうか。こうしたやり方は許されるんですか。

高原部長 御答弁申し上げます。
 会計年度任用職員として任用するに当たりましては、各地方公共団体において職務の内容や標準的な職務量に応じた適切な勤務時間を設定していただく必要がございます。このため、勤務条件の確保に伴う財政上の制約を理由として合理的な理由がなく短い勤務期間を設定しパートタイムの会計年度任用職員として任用することは、臨時・非常勤職員の適正な任用、勤務条件の確保を目的とする改正法案の趣旨に沿わないものと考えております。
 一方、今回創設される会計年度任用職員については、フルタイムでの任用は可能であることを法律上明確化したところであり、こうした任用は人事管理や勤務条件の確保の面でメリットがあることを考慮し、職務の内容などに応じて各地方公共団体において積極的な活用を検討するよう促進を図る考えでございます。
 総務省といたしましては、会計年度任用職員について適正な任用、勤務条件が確保されますように、このような趣旨について各地方公共団体に対してマニュアル等により丁寧に助言を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。

山下よしき 具体的に聞きます。
 ある自治体では、臨時・非常勤職員の勤務時間を常勤職員よりも15分間短くしております。朝15分遅く出勤する、あるいは夕方15分早く退出するということになっております。当事者の方に聞きましたけれども、職場で後ろめたい気分になるのでほかの職員と同じ時間にしてほしい、報酬は変えなくていいからと、こう当局に申し出ても、当局は正規職員との違いがなくなるから駄目だと言って却下するということがあるそうです。
 ですから、こういう方々は、法改正された後、このままだとこれはパートタイムの会計年度任用職員となるんです、15分短いですから。待遇が切り下げられる心配があります。これ、いいんでしょうか。こんなことを許していいんですか。

高原部長 今まで地方公共団体の人事当局におきましては、地方公務員法上の明文の規定がないということでフルタイムでの任用をちゅうちょしておったというような事情もあったのではないかと思います。既に国家公務員ではフルタイム型の期間業務職員制度が導入されておりますし、今回地方公務員法でフルタイム型を明記したということでございますので、そのような形の勤務時間の設定がなされないように私どもとしてはしっかり助言をしてまいりたいと、こう思っております。
 以上でございます。

山下よしき まあ助言で直ったらいいんですけどね。私、この15分の短縮には全く合理性ないと思いますよ。単に正規職員と差別するために15分あえて短くしているだけですから。このままだとこれは大変な待遇改悪になるおそれがあるということを指摘しておきたいと思います。
 それから、会計年度任用職員については再度の任用も排除されない、できるとの説明でした。
 そこで、高市大臣に聞きます。
 年度をまたぐ産前産後休暇、年度をまたぐ育児休業、同じく年度をまたぐ介護休暇などをどう扱うつもりでしょうか。私は再度任用の可能性があるなら当然年度をまたいで取得できるようにすべきだと思いますが、いかがですか。

高市早苗総務大臣 産前産後休暇、育児休業、介護休暇につきましては、その取得要件を満たしている場合、会計年度任用職員の任期の末日まで取得することができます。翌年度に再度の任用がされたときには、改めて取得することによって、年度をまたいでその休暇、休業を継続することができます。また、会計年度任用職員の任期が更新された場合、再度、条件付採用期間を経ることとなりますけれども、条件付採用期間中であることをもってそれらの休暇、休業取得が妨げられるというものではございません。

山下よしき 丁寧に御答弁あったんですけれども、再度任用されたら、その最初の1月は条件付採用ということになります。採用されるたびにお試し期間が付くんですね。非常にこれも評判が悪いです。だって、10年、20年と同じ仕事に繰り返し継続して任用されている臨時、非常勤の職員の方に何でお試し期間が一々毎回毎回必要なのかということになるわけで、ベテランの臨時・非常勤職員の皆さんは、もう正規職員にその業務のノウハウを教えているという場合も少なくありません。ばかにしないでという声も出ているということも、これはもう大臣に紹介だけしておきたいと思います。
 次に、会計年度任用職員制度の創設で最も心配されているのが雇い止めの問題であります。
 5年、10年と繰り返し任用されてきた臨時・非常勤職員の皆さんから、会計年度任用イコール1年で雇い止めの響きがあるという声も聞きました。
 高市大臣、これまで繰り返し再度の任用をされてきた職員が新たな制度で雇い止めされるのではないかという不安の声を上げています。どう答えますか。

高市総務相 会計年度任用職員は、条例定数の対象とせず、毎年度の各地方公共団体の予算で職の設置の要否が決定されるということを想定していますので、その任期は採用日の属する会計年度末までとし、その名称を会計年度任用職員としてございます。
 平成28年12月に取りまとめられました総務省研究会報告書においては、当該非常勤の職が次年度も引き続き設置される場合、平等取扱いの原則や成績主義の下、客観的な能力の実証を経て再度任用されることはあり得るということ、再度の任用の取扱いについては、今回の制度改正などに伴ってこれまでの取扱いが変わるものではないということが明示されております。
 現在御審議いただいております改正法案はこのような報告書の考え方を基にしておりますので、今回の制度改正に伴って再度の任用に関する取扱いに変更はないものと認識をしております。
 改正法案を成立させていただきました暁には、総務省としてはこのような趣旨について今年の夏をめどに作成するマニュアルなどにも記載をして、各地方団体に助言を行ってまいります。

山下よしき 今回の制度改正によって変わるものではないという御答弁でしたが、ということですので、提案一つしたいと思うんですが、民間の有期労働契約については、厚生労働省が示した基準でこうあります。契約締結時に使用者が労働者に対し契約を更新しない場合の判断の基準を明示しなければならない、こうしてあるんですね。例えば、当該業務がなくなった場合は契約更新しませんなどの条件を明示して契約を締結しなさいというのが厚労省のこれは基準なんです。雇用の安定のためには、せめてそのぐらいはしなさいよということです。
 だったら、地方自治体の会計年度任用職員についても、募集時に、再度任用があること、さらには再度任用しない場合の基準を明示しておくこと、このぐらいやるべきじゃありませんか。

高原部長 御答弁申し上げます。
 公募の時点におきまして臨時・非常勤職員が従事することとなる業務自体の廃止がもう明らかであるような場合には、公募に当たってそうした趣旨を明確にすることが望ましいものと考えられます。また、複数回にわたって同一の者の任用が繰り返された後に業務自体の廃止その他の合理的な理由により再度の任用が行われないこととするような場合においては、事前に十分な説明を行うことが望ましいと考えられます。
 一方、再度の任用の取扱いといたしましては、私どもは、募集に当たって任用の回数や年数が一定数に達していることのみを捉えて一律に応募要件に制限を設けることは、平等取扱いの原則や成績主義の観点から避けるべきであるというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

山下よしき ちゃんと答弁なかったですね。再度任用しない場合の条件について明示しておくべきだと、民間ではそうやっているからやるべきだと言ったんですが、はっきりした答えはありません。私は、そのぐらいやらないと、この評判の悪い会計年度任用職員で募集しても、これはなかなか人は来ないと思いますよ。そのことを忠告しておきたいと思います。
 次に、給料額の変更、昇給について質問します。
 2年、3年と続けて働けば、経験によって仕事に幅や深みが出てくるのは当然だと思います。私は会計年度任用職員についてもそれはちゃんと評価されるべきだと考えます。
 在り方研究会の報告書では、臨時、非常勤の保育士がクラス担任になった場合、給料額を変更することはあり得る、すなわち昇給もあり得ると明示しております。たとえ肩書が付かなくても、経験を積むことによってより責任ある仕事が担えるようになったら、それに見合った昇給がなされるべきではないかと考えますが、いかがですか。

高原部長 御答弁申し上げます。
 総務省の有識者研究会報告書では、任期終了後に再度任用される場合の給与について、同一人が同一の職種に再度任用される場合であっても、職務内容や責任の度合い等が変更される場合には、異なる職への任用であることから、給料額を変更することはあり得るとされております。
 具体的には、一定の勤務経験や実績などのある会計年度任用職員の保育士さんにつきまして、クラス担任など、より責任の度合いが高い職に新たに任用する場合には、当該職員の勤務経験などにより一層向上した能力を踏まえた職務を行うことを考慮して給与の額を設定することなどが考えられるところであります。
 なお、その際、必ずしも職名の変更が伴う場合に限られるものではないというふうに考えております。
 以上でございます。

山下よしき 肩書にはとらわれないということでした。
 例えば、1年目の保育士さんにはなかなか任せられないことであっても、2年目、3年目の経験を積んだ方だったら任せられるということはクラス担任以外にもたくさんあるんですよね。そういうことをちゃんと評価して昇給することは自治体の判断によって可能だということだと思います。
 高市大臣に伺いますが、私、もう繰り返し言いますけど、会計年度任用職員という名称は余りにもセンスが悪過ぎると思います。変えた方がいいと思います。こんな名称では募集してもいい人材が集まらないと考えますけれども、大臣、この名称を公募や広報の際に必ず使わないといけないのでしょうか。これまでも自治体はいろんな言い方をそれぞれしてきました。それでいいんじゃないですか。

高原部長 御答弁申し上げます。
 地方公務員の任用、勤務条件については、任用根拠に基づいて法令等で定められております。このため、適正な人事管理を行うためには適切な任用根拠を選択することが重要でございます。これに対し、地方公務員の臨時・非常勤職員については、現状において一般職非常勤職員制度が不明確であり、地方公共団体によっては本来の趣旨に沿わない任用根拠の選択が見られるところでございます。
 このため、改正法案では一般職の会計年度任用職員制度を設け、その定義、採用方法、任期等を定めることとしております。任用根拠によって任用、勤務条件が定められるため、公募や任用に当たっては法律上の任用根拠及びその位置付け、すなわち会計年度任用職員としての任用であることは明示すべきものと考えておりますが、実際の公募に際し、地方公共団体が個々の職に対して具体的にどのような呼称を用いるかについては、各地方公共団体で適切に判断すべきものと考えております。
 以上でございます。

山下よしき ということであります。
 ある市の対応、ちょっと紹介します。この市は早々と、全ての臨時・非常勤職員を、法改定後、会計年度任用職員にすると、もう全部会計年度任用にするとしております。しかも、期末手当の支給が可能になるが、総支給ベースで検討するとされております。要するに、月々の報酬を引き下げて、その分を期末手当に回そうということです。さらに、休暇制度も見直しの対象とすると、引下げの意向が示されております。これでは法改定によって臨時・非常勤職員の処遇は改善されません。それどころか後退することにもなります。こういうことを認めるんでしょうか。

高原部長 御答弁申し上げます。
 今般の改正法案の趣旨は、臨時・非常勤職員の適正な任用や勤務条件の確保を図るものでございます。各地方公共団体においてはこうした趣旨に沿った対応をしていただくことが求められるものでございまして、総務省といたしましては、本改正法案を成立させていただいた暁には、今夏をめどに発出する予定のマニュアルなどにその旨を盛り込み、地方公共団体に対してしっかりと助言を行ってまいります。
 いずれにいたしましても、従前、臨時・非常勤職員として任用していた者を新たに会計年度任用職員として任用するに当たりましては、各地方公共団体において十分に議論した上で丁寧に対応していただくことが重要であると考えております。
 以上でございます。

山下よしき 高市大臣、幾ら手当をオンしようと思っても、財政措置がなければできない。なければこういうふうに同じ枠の中であちこちやり取りするだけに終わってしまう危険性もありますので、法改定に伴う財政措置、どうしても必要じゃないですか。

高市総務相 本日、何度か答弁をさせていただきましたとおり、地方公共団体の実態なども踏まえながら、地方財政措置についてもしっかりと検討してまいります。

山下よしき 最後に、学校教員における非正規雇用問題について文部科学省に聞きます。
 全国の地方自治体に65万人いる臨時・非常勤職員のうち、9万3000人ほどが教員、臨時的任用の教師の方あるいは非常勤講師の方となっております。小学校1年は35人、2年生以上は40人など、クラス編制に応じて配置される教員については国庫負担金が出されておりまして、さらに自治体独自に少人数学級としているところもあります。
 配付した資料に、国の負担金が出ている公立小中学校の教員定数の標準に占める正規教員の割合を示しております。これを見ますと、定数中、正規教員の占める割合は全国で93%にとどまっておりまして、都道府県別に見るとかなりばらつきがあります。国庫負担金が出る定数内なのに、正規の職員ではなく非常勤講師、臨時的教員など非正規雇用が一割以上を占める県がたくさんある。樋口文部科学政務官、これは問題ではありませんか。

樋口尚也文部科学大臣政務官 この教員の任用につきましては、任命権者であります都道府県の教育委員会等の権限に属するところでございますが、任用の際には、法令の趣旨等踏まえて、就けようとする職務の内容や勤務形態等に応じて適切な任用根拠を選択していただくことが必要であります。
 いわゆる非正規雇用の非正規教員につきましては、様々な教育課題などへの対応など重要な役割を担っている一方で、勤務時間や任用期間の都合により、児童生徒への継続的な指導や教職員間、地域や保護者との連携に制約が生じるといったような懸念や、雇用が安定せずに正規教員と同じ処遇が保障されていないなどの課題も指摘をされているところであります。このため、教育の機会均等や教育水準の維持向上等を図る観点から、仮に非正規教員の配置により教育に支障が生ずるという場合には、可能な限り正規教員が配置されることが望ましいというふうに考えております。

山下よしき 学校職場であれ自治体職場であれ、やはり恒常的な仕事については正規職員が担うようにすべきだ、これが原則であるということを申し上げて、時間が参りましたので質問を終わります。

非常勤の正規化早く 地方自治体の実態告発 総務相は消極的 
2017年4月11日 参院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 自治体で働く非正規雇用の職員、臨時・非常勤職員が急増し、10年ほど前から官製ワーキングプアとして社会問題になっております。総務省も在り方研究会で対応を検討し、この度、法改定を予定されております。
 そこで、今日は、自治体で働く臨時・非常勤職員の実態について、総務大臣の認識を伺いたいと思います。
 まず、総務省に伺いますが、地方自治体の臨時・非常勤職員数の推移を報告してください。

高原剛(総務省自治行政局公務員部長) 御答弁申し上げます。
 地方公務員の臨時・非常勤職員に関する調査によりますと、臨時・非常勤職員数は、平成17年4月1日時点において45万5840人でございましたが、平成28年4月1日時点では64万3131人となっております。平成17年4月と比べまして、18万7291人、率では41・1%の増加となっているところでございます。
 以上でございます。

山下よしき 今あったように、自治体で働く非正規雇用の職員の皆さんは10年余りで約20万人近く増えたわけであります。
 では、正規職員はどうか。総務省、地方自治体の常勤職員数の推移、報告してください。

高原部長 御答弁申し上げます。
 地方公共団体定員管理調査による全地方公共団体の職員数の総数については、ピーク時の平成6年が328万2492人でございましたが、平成17年は304万2122人、平成28年は273万7263人となってございます。したがいまして、平成28年を平成6年と比べますと54万5229人の減少となっているところでございます。
 以上でございます。

山下よしき 今あったように、正規職員は20年余りで50万人以上減りました。うち30万人はこの10年余りに減っております。要するに、この10年で自治体で働く正規職員が30万人減って、代わりに非正規雇用の職員が20万人増えたということになるわけです。
 地方自治体の臨時・非常勤職員は実に多様な業務を担っております。先週、私、大阪で臨時・非常勤職員の皆さんから直接話を伺いました。一部紹介いたします。
 ある自治体では、公立病院の滅菌業務を嘱託職員の方が担っています。滅菌業務というのは手術に使う器具を洗う業務でありまして、二重窓の高圧室で消毒や殺菌よりもより高度な無菌状態にすると。器具ごとに様々な洗い方があって、ヨーロッパではこれは専門職とされております。滅菌ができなければ手術はできません。それを嘱託職員の方が今担っておりました。
 また、ある自治体では郷土資料室の調査研究業務を嘱託職員の方が担っております。仕事は、郷土の古文書を解読し、市民講座で市民に伝えることや市の歴史に対する問合せに対応することでありまして、大学院で日本史や近世史の博士課程を修了した方が嘱託職員としてこの業務を担っておりました。
 高市総務大臣に伺いますが、住民の命や文化に関わる大事な仕事の多くを臨時・非常勤職員が担っていることについてどう認識されているでしょうか。

高市総務相 今委員がおっしゃいましたような文化に関わるお仕事、また命に関わるお仕事を担っていただいている臨時・非常勤職員の方々もいらっしゃると思います。
 現在、地方公共団体においては多様化する行政ニーズに対応するため、それから働く側からも多様な働き方が求められているということから、任期の定めのない常勤職員を中心とする公務の運営を原則としながらも、臨時・非常勤職員など多様な任用、勤務形態が活用されてきたと認識をしています。
 総務省では、地方公務員の臨時・非常勤職員の方々については総数も増加しています、また事務補助職員のほか教員、講師、保育士、給食調理員、図書館職員などといった行政の様々な分野で御活躍をいただいているということから、現状において地方行政の重要な担い手になっていただいていると考えております。

山下よしき 地方行政の重要な担い手という御答弁でした。
 もう少し実態を紹介したいんですが、この公立病院の滅菌業務はかつて正規職員がやっていた業務であります。今正規職員はゼロで、滅菌業務に18年当たってきた嘱託職員の方がアルバイトの職員を指導しながらやっております。それから、郷土資料室の調査研究業務もかつては正規職員がやっていた仕事でありますが、今嘱託職員2人だけでやっているそうでありまして、私が話を聞いた嘱託の方は20年この仕事を続けているということでありました。
 先ほど述べたように、正規職員が減らされる中で、かつて正規職員が担っていた基幹的、恒常的業務の多くを臨時・非常勤職員が担っている。高市大臣、今や自治体の臨時・非常勤職員が担っている仕事の多くは補助的、臨時的業務ではなくて基幹的、恒常的業務になっている、その認識はありますか。

高市早苗総務大臣 今般、今後御議論をいただきます地方公務員法の改正案でございますけれども、やはり任用、服務などの適正化を図るということと併せまして、会計年度任用職員に対して期末手当の支給を可能とするというように、やはりこの処遇の改善ということを目指していくものでございます。
 様々な分野で今、臨時・非常勤職員の方々に活躍していただいていると承知をしていますが、一般職非常勤職員制度がやっぱり不明確であったということが課題だったと思います。ですから、制度の趣旨に沿わない任用も見られます。一般職であれば課される守秘義務などの服務規律が課されない場合もありますし、先ほど申し上げましたように、期末手当が支給できないといった勤務条件上の課題もございます。こういったことについてやはり改善をしていく必要があると、そういう思いで今後御審議をいただく地方公務員法等の改正法案を提出させていただきました。

山下よしき 質問に答えておられないんです。
 もう1回聞きます。紹介したように、事実認識を問うているんですけれども、今や、自治体の臨時・非常勤職員が担っている仕事の多くが補助的、臨時的業務ではなくて基幹的、恒常的業務になっていると。かつて正規職員がやっていた業務が今多くの臨時・非常勤職員によってそのまま担われていると、この事実認識、おありですか。

高市総務相 これまで総務省が行ってきた調査ですけれども、臨時・非常勤職員の増加数を上回って正規職員が減少していて、全体の数字から見て臨時・非常勤職員が正規職員の代替となっているのではないかという指摘があるのは事実だと思います。
 地方団体においては、多様化する行政ニーズに対応するため、また働く側からも多様な働き方が求められているということから、先ほど申し上げましたように、任期の定めのない常勤職員を中心とする公務の運営を原則としつつ、事務の種類や性質に応じて、臨時・非常勤職員など多様な任用、勤務形態が活用されてきたと認識をしています。
 この職員の任用については、就けようとする職の職務の内容、勤務形態などに応じて、任期の定めのない常勤職員、任期付職員、臨時・非常勤職員のいずれが適当か、基本的には各地方公共団体において適切に判断されるべきものだと考えます。

山下よしき 聞いたことに端的にお答えいただきたいと思うんですが、今や臨時・非常勤職員が補助的、臨時的業務ではなくて基幹的、恒常的業務を多くの方が担っていると、その指摘は事実だということはお認めになりました。私、この事実認識がなければ自治体の臨時・非常勤問題の解決、正しい解決できないと思っております。
 臨時・非常勤職員がどのような思いで仕事をしているか。
 公立病院で滅菌業務を担っている嘱託職員の方は、個人で講習を受け、民間の資格認定を取得、更新するなど技術の向上に励んでおられました。やりがいがあります、二百床余りある病院でここでしか滅菌ができない、見えない力持ちだと自分では思っていますと話してくれました。
 また、郷土資料室の調査研究を担っている嘱託職員の方は、市内の旧家にある古文書を集めて整理し、大学に分析を依頼し、その成果を市民に返す地道な活動をこつこつとやっておられます。市民から電話や手紙でお礼をいただくととてもうれしいと語ってくれました。
 また、ある自治体の学童保育支援員は、全員が非正規雇用ですが、全員が保育士、幼稚園教諭、教師、社会福祉士、いずれかの資格を持っております。専門的知識と経験に基づいて、アレルギーや障害を持つなど様々な子供の成長と発達に関わり、保護者の子育て相談にも適切に対応しております。私が話を聞いた方は、子供が好きだしやりがいがあると目を輝かせて答えてくれました。
 今や、臨時・非常勤職員の多くが誇りと責任感を持って仕事に当たっておられます。私は、この方々は、身分は非正規ではあるけれども志はプロフェッショナルだと、そう感じましたけれども、高市大臣の御認識、伺いたいと思います。

高市総務相 今、山下委員のお話を伺う範囲でしか分かりませんが、それは公務員として誇りと責任感を持って公務に当たっていただいていると存じます。

山下よしき ところが、この非正規の雇用の職員の賃金、待遇は、正規職員と比べて大きな格差があります。
 これは、先ほど御答弁がありましたので、大体時間給で1,000円前後ですね。時給1,000円だとフルタイムで働いても年収200万円以下のワーキングプアであります。学童保育支援員の方は、やりがいはあるがこの賃金では一人で生活はできない、ダブルワークしている人もと言っておりました。
 実は、民間労働者の正社員と非正社員の賃金格差は、フルタイムの場合、6割台であります。民間で働く非正社員の1時間当たりの賃金は正社員の六割台。ところが、この民間も低いと思いますけれども、地方公務員の正規と臨時職員の賃金格差は、同じくフルタイムの場合、僅か3割台となっております。民間労働者よりも地方公務員の方が正規、非正規間の賃金格差がはるかに大きい。
 高市大臣、公務の職場でこのような格差、差別があっていいんでしょうか。

高市総務相 だからこそ、任用、服務の適正化とともに期末手当の支給を可能とするなど、改正法案を提出いたしました。今後御審議をいただくわけでございます。
 勤務条件面での取扱いというのは、これまで期末手当の支給が認められていなかったということを踏まえますと、昨年末に示されました民間部門に係る同一労働同一賃金ガイドライン案における、いわゆる賞与についての正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消という方向性にも合致していると考えております。
 各地方公共団体における定着状況、民間の動向、国家公務員に係る制度運用の状況なども踏まえて、また厳しい地方財政の状況にも留意しながら、これから御審議いただく法律案になりますけれども、成立しました暁には、会計年度任用職員制度について、その適正な任用、それから勤務条件の確保に向けて必要な取組を行っていくということが重要だと考えております。

山下よしき 処遇の是正とおっしゃったんですが、私は格差、差別があっていいのかということをもう率直に問うているんですが。正規職員と全く同じ仕事をしている非正規職員もおります。それは保育の職場だと思います。
 先ほど、全国の公立保育所で働く非正規保育士の割合が43%という御答弁がありました。今日、資料にそれぞれの自治体ごとの、都道府県別の状況を配付しました。十七県で臨時・非常勤保育士が五割を超えております。六割を超える県もあります。保育士の半数以上が非正規という自治体も、ですから珍しくないわけですね。こういうところでは、非正規の保育士もクラス担任を持って、保育日誌を作成して、保護者からの相談に応じるなど、正規と全く区別のない仕事をしております。しかし、賃金は正規の3分の1の水準で年収200万円を切ると。
 高市大臣、正規職員と同じ資格を持ち、同じ職場で同じ仕事をしている人が差別されている。自治体職場、公務職場でこんな事態、許していいんでしょうか。

高市総務相 差別されているというおっしゃり方が適切かどうか、個別の事例を私が、山下委員がお尋ねになられたところ、お話しになられたところで承知をしているわけではございませんが、基本的に、今民間事業者においても同一労働同一賃金ということでより公平な処遇をしていこうという世の中の流れになっております。国家公務員においても、そのような検討をしていかなきゃいけない。
 地方公務員においても、今後、民間の取組、また国家公務員の取組などを踏まえてしっかりと改善できるところは改善していかなきゃいけない、そういう思いで今後先生方に御審議をいただく地方公務員法の改正法案を提出させていただいたわけでございます。

山下よしき もう少し、じゃ保育の実態を紹介したいと思いますが、公立保育所の臨時・非常勤保育士は繰り返し継続して任用されている場合が多いです。
 総務省に伺いますが、10年以上同1人を繰り返し任用している事例のある団体、何割ありますか。

高原部長 地方公務員の臨時・非常勤職員に関する調査によりますと、平成28年4月現在で、臨時・非常勤職員の公立保育所保育士を任用する地方公共団体は1325団体ございます。このうち、同一任命権者において10年以上同1人を繰り返し任用する事例のある団体は544団体であり、臨時・非常勤職員の公立保育所保育士を任用する団体に占める割合は41・1%となっております。
 以上でございます。

山下よしき 実に四割以上の自治体が10年以上同じ人を非正規保育士として雇っているということなんですよ。要するに、これは正規保育士がいなくなる中で、もうずっと非正規の保育士に頼らざるを得ないと。だから、担任もするし、保育日誌も作るし、保護者対応もするんですね。
 もう一度聞きますけど、同じ仕事を同じ資格を持って同じ職場でやっている人が、しかしながら賃金は半分とか3分の1になっていると。これ、差別という表現がいいかどうか、大臣、そこに引っかかっておられるようですけど、同じ資格を持つ同じ仕事をしている人が、格差がもう固定化され、ずっと恒常的になっていると。これ、公務の職場で放置していい、良くないと思いませんか。

高原部長 事実関係だけ御答弁させていただきますが、昨年末に示されました民間部門に係る同一労働同一賃金ガイドライン案におきましても、フルタイム労働者が、ある意味キャリアコースの一環としてパートタイム労働者と同様の定型的な仕事に従事している場合、パートタイム労働者よりも高額な基本給を支給していても問題とならないというような考え方も示されておるところでございます。
 このガイドライン案は地方公務員に適用されるものではございませんが、やはり職務内容のみならず、キャリアコースを含めて総合的に勘案する必要が公務においてもあるのではなかろうかというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

山下よしき あるんじゃなかろうかって、そんな無責任なことを言っちゃ駄目ですよ。自治体ではそんなことになっていないということを私、今、実際保育の現場の紹介をして示しているわけですね。
 それから、自治体で働く非正規雇用職員の74%は女性ですから、自治体で非正規、正規の格差を容認することは、そのままこれは女性差別を容認することになりますから、この点も大臣に指摘しておきたいと思います。
 私は、正規職員が減らされる中で、補助的でも臨時的でもない本来正規職員が担うべき基幹的、恒常的業務の多くが非正規雇用の職員によって担われている、ここにこそ自治体の非正規雇用問題の一番の核心があると考えます。この核心を直視しないでこの問題の真っ当な解決はありません。
 根本的な解決の道はもう一つだと思います。基幹的、恒常的な業務を担っている常勤的非常勤職員を正規化することです。大臣、実態直視して、今こそ常勤的非常勤の正規化、真剣に検討すべきではありませんか。

高市総務相 地方公共団体の正規職員につきましては、国家公務員と同様、競争試験による採用が原則とされております。厳格な成績主義が求められております。これは、長期継続任用を前提とした人材の育成確保の観点と、人事の公正を確保し情実人事を排する観点から必要とされております。
 地方公共団体の臨時・非常勤職員が正規職員に転換する場合には、競争試験などにより正規職員としての能力実証を改めて行う必要がございます。一定期間勤務を継続したことのみをもって正規職員に転換することは困難だと思っております。
 ただ、地方公共団体においては、実態として、教員などの資格職を始めとして、過去に臨時・非常勤職員の勤務経験がある者について、競争試験等により厳格に能力実証を行った上で正規職員として採用しておられる例もあるというふうに聞いております。

山下よしき 終わりますが、仕事の中身が同じなら権利もお金もみんな同じでなければならない、これは人間の平等からいって当たり前のことだと思いますが、それが残念ながらずっと放置されている。今度の法改正がそれに資するのかどうか、次回ただしたいと思います。
 終わります。