待機児童の解消は保育の質が保たれ、保育士の待遇を改善することこそ国が責任を果たす本来のあるべき姿 
2016年5月26日 参議院内閣委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 まず、石破大臣に一問質問をしたいと思いますが、大臣は本法案の審議の中で、繰り返して安全の規制、社会的規制の緩和には慎重であるべきだ、むしろ強化すべきだということを述べておられます。非常に重要な御認識だと思いましたが、なぜそう考えるのか、お聞かせいただきたいと思います。
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研究者の雇用を守れ 産総研の雇い止め追及 
2016年5月10日 参議院内閣委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 私は、科学技術イノベーションに重要なのは、何よりも研究者の自由な発想と知的好奇心に基づいた基礎研究を充実させること、そして萌芽的研究成果、いわゆるシーズをたくさん生み出す環境を整えることだと考えますが、島尻大臣の認識を伺いたいと思います。

島尻安伊子内閣府科学技術担当大臣 今委員御指摘のとおりだというふうに私も思っておりまして、研究者の自由な発想と知的好奇心に基づく基礎研究は、人類の新たな知の資産を創出するとともに、世界共通の課題を克服する鍵であって、その推進は科学技術イノベーションの基盤となるものと認識をしております。このため、この4月からスタートいたしました第5期の科学技術基本計画におきましても、研究者が腰を据えて研究に取り組める環境を整備すること、あるいは長期的な観点で成果の創出を見守るということが重要であるということに留意した上で基礎研究の推進を図ることとしております。
 今後とも、中長期的な視点から知の基盤の強化を図るために、優れた基礎研究の推進にも努めていきたいというふうに考えております。

山下よしき 認識は一緒なんですが、そこで大臣に専門家集団からの2つの警告を紹介したいと思います。
 一つは、文部科学省の科学技術・学術審議会学術分科会が昨年1月にまとめた学術研究に関する総合的な推進方策についての最終報告書であります。そこでは、最近ではイノベーションによる経済的価値の創造の側面が非常に強調されている、いわゆる出口指向の研究に焦点が当たりがちであるが、そのような出口は有限であり、学術的価値の創造基盤を欠けば早晩枯渇してしまう、基盤となる学術研究を維持強化することが必要であると。
 もう一つは、日本学術会議が昨年2月に発表した提言であります。政府は、第4期科学技術基本計画によって競争的資金の一層の充実を図ってきた、しかし、運営費交付金や科研費を削り、基礎研究が担保されない状態で大型プロジェクトの競争的資金を偏重するのは、成功する見込みのある研究に研究者が拘泥し、萌芽的研究の芽を摘むことにつながる危険があると。
 この2つ、非常に重要な指摘だと思いますが、大臣、この2つの警告、どう受け止めますか。

島尻大臣 いわゆる基礎研究というのは、いつブレークスルーするか分からないという中で、先ほども申し上げましたように、やはり見守るということも必要だと思いますし、研究者が腰を据えてきちっと研究を進められる、そういう環境をつくっていくことは極めて重要だというふうに思っております。
 他方、いわゆる時間的に、あるいは早く社会実装として世の中に出して、経済的なものの礎として早くいわゆるフィードバックといいますか、それを求められるということも実は科学技術には十分あるものだと私も認識をしておりまして、そのバランスといいますか、特に基礎研究をやっていらっしゃる方々からすると、ややもすると御自分たちのその研究の先行きが不安だというふうなお訴えになっていくということも十分認識をしておりまして、私としては、先ほども御答弁申し上げましたとおり、やはり基礎研究も大事ですし、あるいは早く社会実装して我々社会のいろいろ取り組まなければならない課題のソリュージョンとして実行するということも大事だというふうに思っておりますので、バランスということはしっかりと取っていきたいというふうに考えています。

山下よしき バランスが崩れているんじゃないかという指摘なんですね。
 それで、学術会議のこの提言の中には、日本はこれまでアジア地域では突出した数のノーベル賞受賞者を輩出し、国際社会において独創的で質の高い研究成果の創造により存在感と尊敬を確立してきたと、これそのとおりだと思いますね。重要なことは、基礎研究に従事する研究者が対象への強い知的好奇心を原動力として最善を尽くせる環境であるというふうに述べておられます。そのとおりだと思います。
 思い出しますが、あの緑色に光るクラゲを海に出かけて家族ぐるみで採取する、そして、そのことによって、なぜ緑色に光るのか、その物質は何なのかということに、知的好奇心ですよね、別にそれが何になるかということから始まったんじゃないんです、その知的好奇心で研究したことが、この物質を突き止めて、それが医学の発展に非常に貢献したということでノーベル化学賞を受賞された、そういうことだと思います。
 政府はこの間、研究機関が人件費や基礎研究活動を賄っていくための運営費交付金などの基礎的経費を、毎年機械的に、毎年1%あるいは毎年3%減らし続けてきました。これでは、基礎的研究に従事する研究者が最善を尽くす環境をじわりじわりと干上がらせていると言わざるを得ません。これをやめて基礎的経費を回復させなければ日本の科学技術を発展させる基盤が駄目になると、もう答弁求めませんけれども、警告しておきたいと思います。
 今日は、別の角度から、ノーベル賞受賞者の山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長も問題提起している研究補助者、研究技術者の問題について質問したいと思います。
 いわゆる研究支援者の役割の重要性、その人材育成の重要性について、島尻大臣の認識を伺いたいと思います。

島尻大臣 科学技術イノベーションを推進するに当たっては、これらを担う多様な人材の育成と活躍促進が求められておりまして、研究者はもとより、研究補助者やそれから研究施設整備等を支える技術支援者など、研究者の活動を支える人材の役割は極めて重要であるというふうに認識をしております。
 しかしながら、大学と産業界などの間における人材の質的あるいは量的ミスマッチが生じているということもございまして、こうした職に就く人材は不足をしております。また、各人の持つ能力というものが社会の急速な変化に必ずしも対応できていないというふうに承知をしております。このため、第5期の科学技術基本計画におきましては、こうした人材育成の重要性を踏まえまして、各人の持つ高度な専門性を生かしつつ、適材適所で能力を発揮できる環境をつくり出すということを掲げております。
 今後とも、我が国の科学技術イノベーション力を、持続的にこれを確保していくために、研究補助者や技術支援者など多様な人材の育成と活躍の促進に向けまして、関係省庁と連携してしっかり取り組んでいきたいと考えています。

山下よしき 元々日本では、研究者に対してこの研究支援者の数が非常に少ないということが言われております。山中教授も、iPS細胞の樹立というのは一人でできたわけではないということを繰り返しおっしゃっています。山中教授の研究ビジョンの下に、大学院生や技術者が一生懸命実験を繰り返してくれた。それから、技術員がネズミの世話もしてくれて、そしてiPS細胞を作る上で欠かせなかった様々な材料も作ってくれた、そうやって研究活動を支えてくれたと。山中教授は、何10年も掛かるかもしれない、僕が研究している間にはできないんじゃないかと思っていたところ、みんなの頑張りでできてしまったのがiPS細胞です、私だけでなくこの人たちのおかげでiPS細胞ができたというふうに述べておられます。そのとおりだと思います。
 また、山中教授は、研究所所長として一番重視しているのは、研究支援者の雇用をどうやって少しでも安定させるか。400人を超える教職員がいますが、大学の正規職員など安定した雇用の方は一割に満たず、9割以上が有期雇用と派遣職員で、これがなかなか変えられていない。このことの改善が国にお願いしたいことの一番なんだということを山中教授は繰り返しメッセージを発しておられます。
 島尻大臣、この山中教授のお願い、どう受け止めますか。

島尻大臣 御指摘のとおりだと思っております。
 なので、基礎研究をやはりしっかりと研究者が進めていっていただく、腰を据えた研究を進めていっていただく環境づくりという中には、やはりそういった支援者、支援研究員とか、いろいろな本当に多くの方の支援があって一つの成功事例が出ていくんだろうというふうに私も考えておりますので、そういう意味で、その基礎研究あるいは研究者が腰を据えて研究できる環境をつくる中にそういったことはしっかりと今後も考えていきたいというふうに思います。

山下よしき そこで、今回の法案で、世界最高水準の研究開発成果の創出が期待される法人とされている産業技術総合研究所、いわゆる産総研での研究支援者がどういう実態にあるかについて質問したいと思います。
 まず経産省に聞きますが、産総研での研究者の数、それから研究支援者の数、そして研究支援者の雇用の形態とその比率、どうなっていますか。

星野岳穂経済産業大臣官房審議官 お答え申し上げます。
 産業技術総合研究所におきます研究者の数でございますが、平成28年、本年の1月1日現在で2631名。そのうち、常勤の職員が2258名、ポスドクや招聘研究員であります、いわゆる非常勤職員、契約職員でございますが、が373名となっております。
 一方、御指摘の研究支援者でありますテクニカルスタッフとしての人員は1573名でございまして、その全ては非常勤職員、契約職員となってございます。

山下よしき 今答弁あったとおり、産総研の研究支援者、産総研ではテクニカルスタッフと呼ばれているそうですが、1573人全て非常勤の有期契約職員であります。
 産総研の研究職員から伺った話ですが、このテクニカルスタッフやそれから事務職員が有期雇用やあるいは派遣会社からの派遣で経験が蓄積されず、したがって十分な仕事を任せられず、書類申請や物品購入手続なども研究者自らが行うことが必要になって、その結果、研究員の多忙化、研究時間の減少を引き起こしているということを聞きました。島尻大臣、これゆゆしき事態だと思いませんか。

島尻大臣 今のこの数についてはこのとおりなんだろうというふうに思っておりますが、先ほども申し上げましたとおり、やはり様々な方々の支援というか、研究補助者あるいは技術支援者など様々な人材の役割は重要であるというふうに改めて感じております。

山下よしき 残念ながらそうなっていないんですね、産総研では。
 さらに重大なのは、この産総研ではテクニカルスタッフを契約期限が来たら必ず雇い止めにして再雇用を禁止しております。仕事があっても、プロジェクト研究が継続しても、契約期限が来たら雇い止めにするルールを作っております。
 資料2枚目に、産総研の平成27年度以降の契約職員の雇用に係る説明会での配付資料を添付しております。ここにある第2号職員というのは研究支援者、テクニカルスタッフのことで、第3号職員というのは事務職のアシスタントのことであります。いずれも有期の契約職員です。
 既に改定された労働契約法及び研究開発力強化法が施行されておりまして、有期労働契約で働く労働者の雇い止めの濫用を防ぎ、雇用の安定を図るために、無期労働契約への転換ルールというものが設けられました。
 厚労省に伺いますが、研究支援者の有期雇用契約に関する労働契約法、研究開発力強化法の無期転換ルールの部分について簡潔に説明してください。

山越敬一厚生労働省労働基準局長 労働契約法第16条の無期転換ルールでございますが、これは、有期労働契約の濫用的な利用を抑制し、雇用の安定を図ることを目的としているものでございまして、同一の使用者との間で有期労働契約が通算で5年、研究開発法人等の研究者等につきましては研究開発強化法の特例により10年を超えて繰り返し更新された場合には、労働者の申込みによりまして無期労働契約に転換するというものでございます。

山下よしき そういうルールがあるんです、雇用の安定のために。
 ところが、支援研究者を含む研究者に対する、その10年を超えると無期労働契約に転換できることになったルールを無視するかのように、この資料2枚目の下の方の赤い波線、同一者の再雇用の原則禁止、平成27年度以降に産総研との契約が終了した者について再雇用できない、わざわざ書いてあります。要するに、産総研では27年度以降、最長10年の有期雇用契約が終了したら、無期転換の権利が生じないように、その前に再雇用を禁止して雇い止めにするという運用を行っているわけであります。
 資料3枚目にも更に使われた資料を、QアンドAを添付しておりますが、左側の①、②の矢印のところを見ていただきたいんですが、クーリングというのがあるんですが、質問に、一つのプロジェクト期間で契約職員を雇用していた場合、当該プロジェクト終了後に新たなプロジェクトが開始したとしても、同一者を雇用することはできないのかと。回答、不可である、クーリング期間を挟んで再雇用するという手段はあるにはあると。
 このクーリング期間というのは、これはもう脱法的な手法なんですが、6か月間の雇用期間の空白のことをいうんですが、この6か月の空白がありますと無期転換への通算期間がリセットされると。これ設ければもう10年たっていても10年じゃないとみなされるということでして、この②のところ、例えばユニットAで5年雇われていた2号職員、研究支援者、テクニカルスタッフのことですが、ユニットBの公募へ応募した場合、ユニットBはその者を雇用できないのかと。回答、雇用することはできない、雇う場合はクーリング期間を設ける必要があると。あくまでも無期雇用への転換ルールを適用されない形にして、だったらいいですよというふうにしているんですね。これは雇用の安定を図るという法の趣旨をゆがめていると言わざるを得ません。
 こんなことを、経産省、許していいんですか。

星野剛士産業経済大臣政務官 お答えいたします。
 研究者が優れた研究を行うためには、高い技能を有する熟練の研究支援人材の確保、育成は重要だというふうに考えております。
 産総研では、平成27年度から、第4期中長期目標期間の開始に際しまして、第3期から働いているテクニカルスタッフとも改めて契約を締結をし直しております。このうち約1000名は本人が希望すれば無期雇用職員への転換が可能でありまして、産総研におけるテクニカルスタッフ業務の中で経験が必要とされる業務を担う者として期待をされております。
 他方、研究所においては外部資金等の活用などによります期間や目的が限りがある研究開発も存在をいたしまして、第4期から新たに雇う契約社員につきましては、今後、こうした期間や目的が限られた業務等を中心に担ってもらうことを想定して、有期雇用としております。
 再雇用を認めない方針としておりますけれども、組織全体で見ますと、熟練した技能を持っている、任期制約のない数多くのテクニカルスタッフを確保できるよう努めてまいっております。限られた予算という制約がある中で、無期労働契約に転換する契約社員が過度に増大することは望ましくないものの、産総研にとって真に必要なテクニカルスタッフが産総研から離れることも同様に望ましくないと考えております。
 テクニカルスタッフの雇用の在り方につきましては、産総研にとって重要な検討課題であると考えておりまして、経済産業省としても今後産総研としっかりと意見交換をしてまいりたいと、このように考えております。

山下よしき もう産総研の研究者からも、このやり方は研究支援者の使い捨てだという声が上がっております。実際に、産総研のテクニカルスタッフAさん、昨年、平成27年度いっぱいで雇用更新の上限期間が来るので、他の部署で働こうと希望したところ、断られて雇い止めにされております。産総研では、せっかく法定化された無期転換権が発生しないようにこういうルールを作っていると。
 私は、今いろいろおっしゃいましたけど、新たにこれは、技術を支える、研究を支えるテクニカルスタッフの方で、ずっと続けてほしい、また続けていただきたい、能力がある方であっても、これから雇う方についてはもうこの道が閉ざされるということになるわけで、これは先ほど大臣がおっしゃった、島尻さんがおっしゃった趣旨にも反するやり方ですから。
 大臣、これ是非経産省と相談して、こういうやり方はもうやめさせていただきたいんですが、いかがでしょうか。

島尻大臣 今経産省から御答弁あったとおり、頑張っていただくということでもございますし、各機関における個別の運用については、法改正の趣旨等を踏まえまして、まずは当該機関やその所管官庁で適切に対応いただくということが重要だと考えています。

山下よしき 研究支援者の雇用の安定をという山中教授を始め現場からの切実な声に逆行するような産総研のやり方を放置しておいて、私は、世界最高水準の研究開発成果の創出を期待するなどというのは政府として恥ずかしいと言わなければなりません。
 最後、もう時間が参りましたが一つだけ、科学技術の軍事利用について伺いたいと思います。
 資料に入る前に防衛省に聞きますが、安全保障技術研究推進制度、それから防衛省が行っている大学や国立研究開発法人との技術協力の目的について、それぞれ説明してください。

野間俊人防衛装備庁技術戦略部長 お答えいたします。
 近年、科学技術の著しい発展を背景にいたしまして、防衛技術と民生技術のボーダーレス化が進展しております。こうした防衛技術を取り巻く環境を踏まえれば、防衛装備品の効果的、効率的な研究開発を行う上では、防衛にも応用可能な先進的な民生技術、いわゆるデュアルユース技術を積極的に活用することが重要であると考えております。
 このため、大学、独立行政法人の研究機関や企業等における独創的な研究を発掘し、将来有望な研究を育成することを目的に、防衛省が外部の研究機関等に対して広く研究課題の提案を募り研究を委託する安全保障技術研究推進制度を平成27年度に創設いたしました。防衛省としては、本制度を通じて外部の優れた先進技術を効果的、効率的に取り込み、将来の防衛省における装備品の研究開発に活用したいと考えております。
 なお、本制度は、将来の防衛省の研究開発に資することを期待しているものでございますが、基礎的な技術分野における研究を対象としておりまして、装備品そのものの研究を委託するものではございません。
 なお、先ほど申し上げましたように、防衛装備品の効果的、効率的な研究開発を行う上で、防衛にも応用可能ないわゆるデュアルユース技術を積極的に活用することが重要であると考えておりまして、そのため防衛省としては、防衛用途にも応用可能な技術分野を対象として、優れた技術を有する国立研究開発法人や大学といった研究機関との研究協力を実施しております。なお、こうした研究協力は、お互いに研究機能を補完する意義を認識した上で、お互いの技術研究に対するスタンスを理解、尊重しつつ自発的な意思に基づいて行われているものであり、今後ともこうした考えの下に研究協力を行う所存でございます。

山下よしき 資料5枚目に、今の防衛省の安全保障技術研究推進制度の平成27年度新規採択課題一覧を載せておきました。これ見ていただきますと、理化学研究所、宇宙航空研究開発機構、それから海洋研究開発機構など国立研究開発法人も入っているんですね。それから、その次のページに研究協力の一覧、ここにも国立研究開発機構が組み込まれております。こういう形で、基礎研究を、運営費交付金がどんどん削られる中で、基盤が脆弱にされる一方で、こういうやり方で防衛研究、軍事利用に科学技術が動員されつつあるということは、非常にこれは警告を発しなければならないと思っております。
 もう時間が参りましたのでこれはもう今日はやめますけれども、戦後、科学者たちが、科学技術は軍事には転用しない、利用させない、平和目的のために私たちは研究をするんだということを繰り返し決議されておりますが、それと違う方向が、こういう実態が広がっているということについて警鐘を発して、質問を終わります。

特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法案への反対討論 
2016年5月10日

 私は、日本共産党を代表して、特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法案に反対の討論を行います。
 本法案は、安倍政権による産業競争力強化のための科学技術振興策の一環として特定国立研究開発法人制度を創設し、我が国の研究資源を集中させて、経済成長に資する研究開発の重点化を図るものです。
 この間、大学や研究現場から、引用論文数の減少、研究者の多忙化、研究時間の減少、若手研究者の減少など、我が国の研究開発力の低下が指摘され、特に革新的研究成果を生み出す土壌となる基礎研究基盤の弱体化が懸念されてきました。
 こうした問題の原因は、安倍政権の科学技術政策によって運営費交付金など大学や公的研究機関の基盤的経費を削減する一方で、特定の分野やプロジェクト研究への配分を重点化するなど研究予算の選択と集中が強められ、研究現場を疲弊させてきたことにあります。
 科学技術イノベーションの創出には、萌芽的研究成果を生み出す基礎研究の充実が必要です。削られた基盤的経費を元に戻し、研究者の自由な発想と知的好奇心に基づく研究の充実と研究支援者の処遇改善を強く求めます。
 法案では、特定国立研究開発法人の目標や評価などに財界、大企業の代表が直接参加する総合科学技術・イノベーション会議の関与を強めるとしていますが、目先の研究開発成果を優先する産業界本位の研究開発が重点化されれば、日本の研究開発力の総合的発展を一層ゆがめるおそれがあります。
 法案第4条、世界最高水準の研究開発成果の創出が見込まれない場合は、主務大臣は法人の長を解任することができるとする措置も、研究開発法人の自主性、自立性を奪い、研究者の自由な発想を生み出す環境を損ねます。
 最後に、基礎研究を支える運営費交付金が毎年毎年削減されるその裏で科学技術の軍事利用が着々と広がっていることは、かつて科学技術が戦争のために利用、動員された痛苦の教訓からも、また研究者の自由な発想と知的好奇心に基づいた基礎研究の充実というあるべき姿からも極めて憂慮すべき事態であることを指摘し、討論を終わります。

最低基準を引き上げ、保育士の専門性を磨き、子どもの命と発達を保障することこそ政治の責任 
2016年4月28日 参議院内閣委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 3月、4月と、東京、大阪の認可外保育施設で死亡事故が連続いたしました。厚労省、それぞれの事故の概要を簡潔に説明してください。

吉本明子厚労大臣官房審議官 東京都と大阪市の保育施設におきまして死亡事故が起こったことは誠に残念だというふうに考えております。
 この2件は、認可外保育施設におきまして、いずれも午睡中に起きたというふうに報告を受けているところでございます。東京都の死亡事故につきましては、発見時、顔は横向きでうつ伏せ寝の状態であったと、また、大阪市の死亡事故につきましては、発見時の状況は不明だというふうに報告を受けているところでございます。

山下よしき 4月12日、NHKが、うつ伏せ寝の一歳児、企業設置の保育施設で死亡と、東京の死亡事故を詳しく報道いたしました。
 亡くなった男の子の母親は、育児休業を終え、仕事に復帰する今年3月に向けて自宅近くにある六か所の認可保育所に申し込みましたけれども、全て入れませんでした。仕方なく、勤務先の会社が契約する東京都中央区の認可外保育施設キッズスクウェア日本橋室町に子どもを預けることを決めたといいます。七つの企業が共同で従業員のために設けた事業所内保育施設、これがキッズスクウェア日本橋室町であります。母親はただ一人の子どもを失い、毎日遺影に向かって話しかけているそうで、骨つぼを抱くと本当に小さくて軽くて、いなくなったんだと感じますが、まだとても受け止められませんと話しておられました。
 加藤大臣、安心して子どもを託したはずの保育施設で子どもが亡くなる、こんなことはあってはならないと思いますが、大臣の認識を伺いたいと思います。

加藤勝信内閣府大臣 こうした事故で子どもさんを亡くされた方がた、特に御両親の心痛を思うと言葉もないということでございます。
 教育・保育施設等は、まず第一に子どもたちが安心して過ごすことができる、あるいは保育所でいえば安心して預けていただける、そういう環境でなければならない、事故で子どもの命が奪われることはあってはならない、こういうふうに考えておりまして、そうした事故が二度と起きないようにしっかりと対処していくというのは当然の責務だというふうに思います。

山下よしき 厚生労働省に伺いますが、東京の事案はうつ伏せ寝の状態だったということがはっきりしております。うつ伏せ寝について国としてどのような指導を行ってきましたか。

吉本審議官 うつ伏せ寝につきましては、保育所における保育の内容等について厚生労働省が定めました保育所保育指針、この解説におきまして、うつ伏せ寝にして放置することは避けなくてはならないこと、また、うつ伏せにする際には子どものそばを離れないようにし、離れる場合にはあおむけにするか他の保育士等が見守るようにすることとしているところでございます。あわせまして、認可外の保育施設指導監督基準におきましても、乳児を寝かせる場合にはあおむけに寝かせることとされており、うつ伏せ寝に関しては注意喚起をしているところでございます。
 また、さらに、本年の3月に重大事故の予防、事故発生時の対応に関するガイドラインを作成したところでございまして、その中におきましては、医学的な理由で医師からうつ伏せ寝が勧められている場合以外は、乳児の顔が見えるあおむけに寝かせることが重要であること、何よりも一人にしないこと、寝かせ方に配慮を行うこと、安全な睡眠環境を整えることは、窒息や誤飲、けがなどの事故を未然に防ぐことにつながることについて定めて、施設、事業者等に対して周知を行っているところでございます。

山下よしき 周知を行っているということでしたが、残念ながらそうなっていないんですね。
 東京の事故について、私たちは母親から直接話を伺いました。母親は、東京以外の首都圏から子どもと一緒に電車に乗って都心のキッズスクウェアに子どもを預けていました。2月中旬から慣らし保育を始めたわけですが、一か月もたたない3月11日午後二時過ぎにお迎えに行ったところ、息子の状態が良くないと言われて駆け寄ると、顔の形や色も変わり、目はうつろだったと言います。誰も救命救急の蘇生措置をしておらず、母親本人自身が人工呼吸をしましたが、その後、救急車で運ばれた病院で死亡が確認されたということであります。
 母親がキッズスクウェアの職員にその日の子どもの様子を聞いたところ、10時45分に昼食を食べた後、11時25分頃からうつ伏せで寝かし付けが行われ、11時45分には眠ったとされています。寝付きが良くないということで、ほかの子どもが寝ている午睡室とは別の部屋で一人で寝かされていたと言います。寝かし付けた職員は保育士の資格を持たない非常勤の職員で、1月に1日程度しかこの施設には来ない、たまたま事故の当日と前日に臨時的に来ていた方であります。園長からうつ伏せで背中をさするようにとこの非常勤の1か月に1、2回しか来ない人が指示されて、こういうことになった。また、この方は、寝かし付けた後、子どもが一人で寝ている部屋の窓の掃除などをしたそうですが、掃除中は子どもが寝ている方向とは別の方向に向いて作業していて子どもを見てはいなかった。掃除が終了した後、別の作業をするために子どものいる部屋を離れた。作業中は子どもが見えない場所で作業が行われていたということであります。
 異変に気付くまでの2時間半近くの間、ほかの職員も含め、顔や呼吸を確認する等はされておりません。そして、14時過ぎに、起きてこないので見に行った職員が名前を呼んだけれども反応がなく、手は冷たくなっていたと。人工呼吸などの蘇生努力をしたのは、たまたま早めにお迎えに来た母親だったということであります。これが母親から直接私どもが聞いた事実関係であります。
 その上で三点、厚労省に聞きます。
 一つは、国の保育指針では、乳幼児のうつ伏せ寝は窒息などの突然死の危険性があるとして避けなければならないと明記されております。事情があってうつ伏せ寝にする場合は、職員がそばに付いて呼吸の確認をするよう求められています。それから、うつ伏せ寝でなくても睡眠中は小まめにチェックすることになっておりますし、東京都は睡眠中十分ごとに状況をチェックして、それを表に記入することとしております。ところが、こうしたことがキッズスクウェアでは全く守られていなかった、これはなぜか。これが一点です。それから二つ目、無資格者が1人で寝かし付けに当たり、他に有資格者はいないということは許されるのか。それから三点目、職員がいない部屋で子どもが1人で寝かされるということは許されるのか。
 以上、お答えください。

吉本審議官 お答え申し上げます。
 まず、一点目でございますけれども、今ほども御説明ございましたように、指針等におきましては、一定の期間、乳児の観察をきめ細かくするといったことを定めているところでございまして、今回の事案につきましては、その一定の時間における乳児の観察がきちんとなされていなかったといった報告を受けているところでございます。そういう意味では、私どもが示している基準を踏まえた適切な対応がなされていなかったのではないかというふうに考えられるところでございます。
 また、寝かし付けを行うことにつきましてですが、これは保育士資格を有するかそうでないかを問わず、今ほど申し上げましたその保育指針等を踏まえて適切に行われるべきだというふうに考えているところでございます。
 そしてまた、子どものそばを離れる場合につきましては、きちんと他の保育士等がきめ細かくチェックをするといったことについてもガイドラインで記載しているところでございまして、そうしたことがきめ細かくなされていなかったというふうに考えられるところでございます。

山下よしき なぜそんなことになったのかということはお答えがありませんでした、守られていなかったんだろうということでありましたが。
 キッズスクウェアの運営主体は株式会社アルファコーポレーション。都内に、認可保育所、認証保育所、認可外保育施設合わせて12か所運営しています。驚いたのは、代表の坂本秀美氏が内閣府の子ども・子育て会議のメンバーでもあるということであります。
 加藤大臣に伺いますが、こうした企業が経営する保育施設で、国や都の基準や指針が守られず子どもの命が失われたことをどうお考えでしょうか。

加藤大臣 坂本秀美さんは、平成27年4月9日より子ども・子育て会議の専門委員に御就任をいただいているところでございます。
 先ほど申し上げましたように、こうした保育所でのこうした事故、特に死亡事故というのは、預けた親御さんにとっても本当に思い、余るところがあるというふうに思います。
 現在、子ども・子育て会議の委員を選定するに当たりましては、全国保育サービス協会から御推薦をいただくという形でこの方にお願いをしたという経緯がございますので、現在、全国保育サービス協会において対応を御検討いただいているというのが今の状況でございます。

山下よしき どこであれ、あってはならないんですがね。ましてや、この子ども・子育て会議のメンバーだった方の企業で起こっちゃったということですよね。重く受け止める必要があります。
 アルファコーポレーションのホームページを見ますと、キッズスクウェアは、保育所、託児所のコーナーで紹介されております。この日本橋室町のキッズスクウェアの園長と言われている人はまだ若く、26、7歳だったと思いますが、通信教育で資格を取っておられて、本人も、入社まで保育経験ゼロで教科書の知識しかなかったとホームページで自己紹介されています。その方が入社後1年3か月で園長となられたわけです。預かっている子どもの数は、ゼロ歳児4人、一歳児11人、二歳児4人、三歳児2人、四歳児1人の合計22人。それに対して、このマネジメントもしているこの園長さんと、それから保育士の有資格者がほかに3人いらっしゃいますが、この3人の保育経験は4年、1年、1年であります。極めて短いわけですね。あとは資格を持たない方が非常勤で2人。そのうちの1人は、先ほど言ったように、月に1回来るか来ないかという方であります。
 これでも認可外の指導基準は満たしていると、一応、ということになっているんです。なっているんですけれども、私はこの事例を見ると、子どもの発達を保障するために必要とされている専門的知識を持つ有資格者、それと保育現場での経験、これが圧倒的に不足している、その中で今回の死亡事故が発生していると。これはやはり因果関係、認めざるを得ないんではないかなと感じました。
 加藤大臣、こうした認可外保育施設の実態、放置していいんでしょうか、改善の必要を感じませんか。

加藤大臣 認可外保育所の指導監督基準の御議論だというふうに思いますけれども、認可外保育施設における保育をしっかり確保するという観点から様々な議論、検討を経て今の基準というものが定められているというふうに承知をしております。
 ただ、いずれにしても子どもを預かる施設であります。保育士の資格があろうとなかろうと安全確保に最優先で取り組んでいただく、そして保育の質をしっかりと確保するように努めていただくということは当然のことだというふうに思いますし、また、そうした形で運営が行われていくように我々としてもしっかりと対応させていただきたいと思います。

山下よしき 今、加藤大臣、保育士の資格があろうとなかろうと安全にはしっかり取り組む必要があるとお答えになりましたが、果たしてその認識でいいのかということであります。
 資料に、厚労省がこの間の保育施設での死亡事故件数をまとめたものを配付いたしました。平成16年から平成27年まで毎年十数人、保育施設で子どもが亡くなっております。これは一人でもあってはならないことですが、起こり続けております。認可と認可外を比べますと、預かっている子どもの数は圧倒的に認可の方が多いです。240万人です、認可は。認可外は約20万人です。にもかかわらず、死亡事故件数は認可外の方が多いということが分かります。平成27年で見ますと、認可が2件、認可外が10件であります。
 先日、当委員会の参考人質疑で京都華頂大学の藤井伸生教授が、認可外と認可で死亡事故の比率は子ども一人当たりに直すと認可外が60倍高いと告発をされ、その大きな違いは、保育士の有資格者の比率が認可外は認可の3分の1でよいとされていることがあると指摘をされました。ここはやはり無視できないんじゃないか。
 有資格者であれ無資格者であれ安全に配慮しなければならないと大臣おっしゃいますが、やはり有資格者は、子どもの成長、発達、危険性、リスクについてもしっかり専門的知識を、もう2年間保育専門学院で訓練受けて、教育受けて、実習もして身に付けておられます。そういう方がやはり3分の1でいいんだというふうになっている認可外でこういうことが起こっているのではないかというのが、これは藤井教授の御指摘ですが、加藤大臣、この御指摘、これは真剣に受け止める必要があるのではないでしょうか。

加藤大臣 当該保育園でこの3分の1に対して幾らだったか、済みません、ちょっと私は承知していないのであれですけれども、いずれにしろ、3分の1は上回っているんだろうというふうに思います。
 したがって、何といいますか、3分の1云々という議論ではなくて、やはり、むしろ先ほど申し上げた保育士の方であろうとなかろうと、そうした仕事に従事をされるということであれば、やはりしっかりとしたそうした点における配慮がなされるように対応していくということがまず一番に大事なんではないかと。そして、そういうことによって、こうした痛ましい事故が二度と起きないように対応していく必要があるんだろうと思います。

山下よしき 極めて残念な御答弁ですよ。いいんでしょうか。
 今、私、具体的に子どもが亡くなったことの経過と事例をお話ししました。保育の経験が資格者であっても4年とか、あるいは1年数か月で園長になった方で担われていた。そして、その園長がうつ伏せ寝で寝かしなさいという指示をして、全く月に1、2回しか来ない非常勤の方がそのとおりやって、目を離して亡くなったんですよ。この教訓を生かしてこそ政治じゃないですか。この教訓を生かすのが国会じゃないですか。私は、今の答弁、極めて残念だということを申し上げたいと思います。
 保育士は子守役じゃありません。子どもの成長と発達を保障する専門性が求められる仕事であります。保育士の配置基準、この資格を逆に緩めようとしているのが先ほど御質問があった今の政府の緊急対策ですから、あるいはまた、この4月からも、朝と夕方は最低2人の保育士のうち1人は資格外でもいいというふうにまたこれも緩められておりますから、これは逆行だということを指摘しておきたいと思います。
 それから、認可施設でも死亡事故はゼロではありません。先ほどの表を見ていただいたら分かるように、毎年数件起こっております。これもゆゆしき問題だと言わなければなりません。
 私は最近、株式会社が運営している認可保育所で働いていた保育士の皆さんから話を伺いました。ちょっと生の声、紹介したいと思います。
 Aさん。ある株式会社経営の認可保育所、この保育所は、ゼロ歳児から五歳児まで約70人見ている保育所ですが、Aさんは二歳児8名を2人で見ていました。2人ですから、1人当たり3人の基準は満たしているんですが、この子どもさんのうち1人はダウン症で歩けない。ですから、加配がされずに実質このダウン症の子どもさんを1人が掛かり切りで見ることになって、7人の二歳児を1人で見ることになっていたということであります。
 2時間残業が初めからシフトに組まれていると。要するに人が足らないと。毎日本部から手伝いにヘルパー、アシストが来ると。子どもたちは、ですから落ち着かないと。保護者からも苦情が毎日のように来て、保育士が足らないのではないかと親から見ても分かると。
 ですから、4月、5月でもうせっかく入った職員が辞めていくと。この方も辞めたそうですが、同期のうち6人辞めちゃって、残っているのは1人、2人しかいないと。職員会議もできない、引継ぎもできない、持ち上がりの先生もいない。要するに、担任だった先生がみんな辞めちゃうので、その担任の子どもたちがどんな状況だったのかを次に担任する人が聞くことができないということが起こっている。あるいは、一歳と二歳の子どもを合同にしないと職員が不足して保育できないということで狭い部屋で一緒にやっているけれども、やっぱり発達段階が違うので大変危ないということでありました。
 この方は、ここで仕事をしても自分のためにならないということで辞められたそうですが、この企業が毎年都内で2園から3園、新しい保育所をどんどん増やしているということでありました。
 それから、別のBさん。別の株式会社経営で122名の子どもを預かっているマンモス認可園ですが、4月1日の最初から十時間労働で、初日から残業してくれということになって驚いたそうですけれども、職員の入れ替わりがここでも激しくて、園長が大変怖い方だそうで、プラス激務で精神的に参って突然次の日から来なくなる保育士が相次ぐと。信頼できる主任さんと思っていた人も突然来なくなったということで、辞める職員が多いとその分しわ寄せが当然残っている方に来ます。しかし、月の残業は5時間までとしか認められない。もう行事、生活発表とか運動会とかありますし、見た目を気にする園長さんだったようで非常に飾り付けに凝られたようで、これも残業の要因になっていたそうですが、五時間で切るなんというのは労働基準法違反だと言わなければなりません。職員が入れ替わって子どもが落ち着かずに、怒ってばかり自分もいるので、そういう毎日の自分に嫌になってきたと。
 この方は三歳児を持っていたそうですけれども、三歳児の中にお1人障害を持った子がいて、遠足に連れていってあげたいなと思っていたんだけれども、上の方とおっしゃっていましたけれども、本部の方から連れていくなと、もし何かあったら困るからということで、連れていくことができなかった。しかし、その上の方、本部の人というのはその子どもの実態を見ているわけじゃない。保育士の専門的な目で見て、ちゃんとサポートすれば遠足にだって行けるはずだと思っていたのに、それが認められずに、それを親に言うときのつらさ、親はそれを聞かされたときに泣いていたということで、この方もこのままだと子どもが嫌いになるということで辞められたということであります。
 私も聞きながら、これ全部認可園ですから基準満たしているわけですが、しかしこういうことが起こっている。大臣、こういう株式会社経営の認可園における実態、どう感想をお持ちでしょうか。

加藤大臣 今の御指摘のあった園においては、今のお話を聞くと、特に残業もしっかり払われていないというのは、これはもう論外だろうというふうに思いますし、また、そうした状況が、かえって残っておられる保育士の方がたに更に過重な労働になり、ストレスになり、まさに悪い循環になってしまっていると。そのことは、働く方のみならず、そこに預けられておられる子どもさんにとっても決してプラスにはなっていないんだろうなと、こういうふうには受け止めさせていただきました。
 ただ、株式会社がやっている保育園が全部がそうだというのは、必ずしもそうも言い難いんだろうと思います。それぞれの園で、誰が主体でやっていようが、今のような事態がないようにしていかなければならない。
 また、制度としてどうしても保育士の方の定着という問題がいろいろ御議論されるわけでありますけれども、今御議論させていただいた処遇改善に加えて、やはり様々な形で安心して働き得る環境、これをしっかりつくっていくということは我々としては取り組んでいかなければならないと、こう思っております。

山下よしき 今大事なことを大臣おっしゃったと思います。要するに、保育士の待遇が悪くなることは子どもにしわ寄せになっていくという問題であります。こういう保育施設が私は急増しているというふうに話を伺って感じました。
 株式会社が経営する認可保育施設は、平成19年、108でした。それが平成27年、928へ800増えております。同じ時期に社会福祉法人だとか公立保育所だとか、全部合わせた保育施設が2万2848から2万3537へ700増えていますから、同じ時期に八百、株式会社の経営する認可保育所が増えているというのはかなりの増え方というか、物すごい増え方なんですね。東京都の認証保育所がそれとは別にありますが、670のうち460、7割が株式会社経営になっている。ですから、株式会社の保育施設がどんどん増えているということだと思います。
 私も、株式会社経営の保育施設が全て悪いとは思いません。しかし、利益第一主義で、子どもの安全、成長と発達や保育士の働きがいは二の次、三の次にされている施設が増えていることはゆゆしき問題だと思います。
 そこで一つ提案がありますが、事業所に対して保育士の定着率を公表させるということが大事ではないかと。これは、赤ちゃんの急死を考える会の活動を支えている寺町東子さん、弁護士、社会福祉士の方ですが、4月3日に提案された安全を切り捨てない待機児解消策の中にこの提案をされております。保育士の定着率を向上させる工夫を各事業者に競わせることを誘引する目的で、法人ごと、園ごとの保育士定着率を、全体、1―2年目、3―5年目、6―10年目、10年目超などの区分で公表させてくださいということであります。
 私は、これはなるほどなと思いました。私も話伺っていて、大体もう子どもにしわ寄せが行っているような株式会社方式の保育園で共通しているのは、保育士がどんどん辞めていって定着しないということであります。ですから、全部株式会社が悪いとは言いません。しかし、保育士が何年ぐらい勤めている人が何人ぐらいいるんだろうかということを公表することによって、社会的に、こういう定着がなく子どもにしわ寄せが行っているもうけ第一主義に走っているような保育所は社会から監視され、子どもが預けられにくくなるということで淘汰されていくということをやってはどうかというのがずっと子どもの急死を一緒に考えてきた弁護士さんからの提案ですが、これ検討の余地あると思うんですが、大臣、いかがですか。

加藤大臣 保育所について保護者がまず適切に選択できるというその状況をつくっていく、また保育所の努力が保護者から適切に評価されているようにしていく、これ大変重要だというふうに思います。
 子ども・子育て支援法においても、保育所等が提供する保育に関する情報を都道府県知事に報告をする。その情報の中には、施設等において、保育、教育に従事する従業者に関する事項として、従業者の勤務形態、労働時間、従業者1人当たりの小学校就学前子どもの数等、あるいは、従業者の教育、保育の業務に従事した経験年数などが含まれておりまして、報告を受けた都道府県知事は当該情報を公表するという仕組みになっております。先ほど定着率というお話がありましたが、今、経験年数というのはそういった形で公表事項の一つになっております。
 ただ、残念ながら、全ての本来は都道府県で公表することになっているんですが、制度がスタートしたのが昨年度からということで、まだ十分にそうした入力が行われていないということもありましてまだ一部にとどまっておりますけれども、まずは全ての都道府県においてこれは公表しなきゃならないと書いてありますから、しっかり公表が行われるように取り組んでいきたい。そういったことを通じて、やはり外からしっかりとその実態が見えるようにしていくということは、保育所においてしっかりとした経営が行われていくための一つの手段だろうと、こういうふうに思います。

山下よしき 経験年数も大事なんですけれども、幾ら経験がある人が来ても定着しないというのは問題なんです。その点の公表をという御提案ですが、検討する必要はありませんか。

加藤大臣 今は、これまでの様々な議論を通じてそういった内容について今申し上げたようなことについて公表させていただき、それをまず公表していこうという仕組みをまず動かしていくという状況であります。それをまずしっかりやる中で、その上でどういった情報が更に必要なのかどうかも含めて議論をしていかなければいけないと思います。

山下よしき 極めて消極的だなと言わざるを得ません。もう命が奪われている。現場に寄り添った方がたからの専門的な御提案なんですね。これ真剣に受け止めるべきだと私は思いました。
 死亡事故の検証を国がしっかり責任を持って直接行うことだということもありますが、もうそれは時間がありませんので割愛したいと思います。
 最後に、やはりこの亡くなった子どものお母さんから、昨日、遺族の気持ちをお伝えさせていただきますということでメールいただきましたので、紹介して終わりたいと思います。
 企業主導型保育は、営利事業である性質上、利益を出してこそ成り立つのであり、利益を出すために必要となる効率性は保育の質の担保と正反対だと思います。子育てをする母親に余裕がないと子どもに対して寛容に愛情を注ぐことができないように、まして複数の子どもを一手に見なければいけない保育士たちは、余裕がなければ、愛情を注ぐことは言うに及ばず、最低限のこと、すなわち、けがを予防したり、窒息しないように食事をさせたり、安全に昼寝をさせることすらできません。幾ら規則や指針を作り安全を掲げても、子どもは泣き、動き回り、触れ合いを求めるもので、現場の保育士たちが余裕を持って保育に当たれなければ実効性に乏しく、実効性の乏しいものを保育士たちに課すのは酷です。そして、犠牲になるのは、しゃべれない、自由に動けない子どもたちです。どうか子どもを犠牲にしないでくださいと、こう述べられていました。
 最低基準の緩和による詰め込みではなくて、私は、むしろ最低基準を引き上げる、そして保育士の専門性を磨き、子どもの命と発達を保障することこそ政治の責任だということを申し上げて、質問を終わります。

保育士のみなさんが、もっとその能力を生かし意欲を生かすためには 
2016年4月21日 参議院内閣委員会 参考人質疑

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 3人の参考人の皆様、ありがとうございました。
 大日向先生が保育専門学院の先生をされていた頃から、夢を持って保育士を希望しながらなかなかそれが続かないという実態、今も余り変わらないということで、大変残念なという御意見が出されまして、私も自分の子どもは3人とも保育所でお世話になりました、育休明けあるいは産休明けからつながって、当然共働き家庭にとって非常に仕事をする上でなくてはならないのが保育所であると同時に、子どもの成長、発達にとっても非常に大きな関わりをしていただいたと思っております。
 生活発表会というのが年に1回ありますけれども、やはりそこに行きますと、自分の子どもだけ見るんじゃなくて、ゼロ歳児から五歳児までずっと連続して演技や発表を見ることができることによって、自分の子どもが幼い頃は、例えばゼロ、一歳のときにはカスタネットをたたくぐらいだった子どもが、もっと大きなお兄ちゃんになったらすばらしい演技をして、「島ひきおに」で大人を泣かせたり、そういうすばらしい子どもというのは能力、発達する力を持っているんだなと思いましたし、運動会も、やっぱりゼロ、一歳、年少と年長、こんなにも運動能力が発達するのかということを親として非常に感動的に学ぶ場でもありました。
 それから、先ほど大日向参考人が、障害を持つ子どもさんたち、ハンディキャップを持っている子どもさんたちへの関わりということもちょっと触れられましたけれども、やはり保育所というのは、そういう子どもさんがいるときに、その動きを見ながらそういう心配があるんじゃないかということを早期に発見して親御さんに適切に伝えて、早期のそういう環境をつくればいろいろまた発達が保障されていくということなんかを見出し、アシストする場所でもあるというふうに感じていました。また、そういう子どもさんがいることが他の健常な子どもさんと親にとってもむしろプラスになるんだという環境をつくっていってくださっていたと思っています。そういう点でいうと、保育士の皆さんは、単に子どもを預かっているというんじゃなくて、子どもの成長と発達に非常に積極的に関わり、成長と発達を保障してくれる専門家集団というふうに私は思っております。
 ところが、その人たちが長く働くことができない、非常に評価が低い。先ほど大日向参考人は賃金だけではないんだというふうにおっしゃっていましたけれども、どうすればそういうせっかくの専門家である保育士のみなさんがもっとその能力を生かし意欲を生かすことができるのか、お感じのことがあれば、大日向参考人、それから同じく藤井参考人にも、同じような関わり方をされていると思いますので、伺いたいと思います。

大日向雅美さん(恵泉女学園大学学長、NPO法人あい・ぽーとステーション代表理事) 御質問ありがとうございます。
 今先生のお話伺って、従来、保育に欠けると用語で使っていたことがどんなに間違っていたかということを感じました。子どもは親が働いているから保育に欠けて、それで保育園で暮らすのではなくて、子どもは集団でいろんな方の目に触れ、手に守られて育つ権利があるんだということでございますよね。そういうことをサポートする保育者の方が長く働いていただける環境の整備は、先ほども申しましたように、いろんな面からサポートしていくことが必要だと思っています。
 一つは、もちろん給与の改善です。それからもう一つは、研修あるいはその職場の中で若い方ばかりではなくいろんな年齢構成の方がいらしてお互いに切磋琢磨できるようなこと、そしてもう一つ、私はNPO活動をしておりますので特にそう思うんですが、保育所は保育士だけで構成されるのではなく、そこに地域の方もどんどん入っていけるような仕組みが必要かと思います。
 私がしておりますのは子育てひろばで、保育園ではないんですが、一時預かりもやっております。そこに中高年の子育て家族支援者さんがたくさん入ってくださって、2年前からは団塊世代の男性も入ってくださって、もう雰囲気ががらっと変わってきて、もう親も子も生き生きとするし、何より保育を担当しているスタッフがいろんな方に学ばせていただいて保育に携わる喜びもまた経験できるということですから、多重にいろんな観点からこの問題は取り組んでいただきたいと思います。
 一つ本当に感謝なんですが、30年以上、それ以前は保母と言われて、保育は、子育ては、介護もそうだと思いますが、女性がやるものだから低くていいんだ、専門職でなくていいんだみたいな考え方があったんですが、今回、残念なことではあります、待機児対策がなかなか厳しい、でも、それをきっかけに保育の専門性、あるいは今申し上げたような地域の方々がみんなで関わる大切さを改めて考える機会になったことは大変有り難いことでございます。

藤井伸生(京都華頂大学現代家政学部教授) 保育士ができるだけ長く勤めていけるような条件をということですけれども、かなりこれは課題が大きいなといいますか、難しいなということも思っていまして、例えば特に短大を卒業する学生なんかはもう結婚まででいいとか腰掛けでいいという感覚が物すごく広がってしまっています、残念ながら。多分そういうふうに扱われてきたからそうなっているんだろうと思うんですけれども、そこを変えて、キャリアを積んでより質の高い保育をしていくんだというふうに切り替えていくのには、本当に大きな抜本的な対策を打たないと変わらないんじゃないかなということを強く思っています。
 具体的に、賃金の話も出ておりますけれども、やはりこの賃金も大きいと思います。例えば京都市では、公民格差是正ということで、公務員に匹敵するような待遇ができるように京都市単独で40億のお金を出して民間の保育園の職員の待遇をしております。このことがある一定成果も上がり、京都市では、ちょっと今日データを持ち合わせていませんけれども、民間園でありながらも長年勤務されている方はいらっしゃっています。
 こういうことから見ても待遇はとても大きいと思いますし、それから、先ほども述べましたけれども、保育所の保育時間が非常に長くなっているんですね。朝七時から夜7時、八時まで、12時間、13時間、それを8時間で働いていくわけですけれども、30分刻みのシフト勤務です。早出があったり遅出があったり、労働者ってやはり決まった時間に働く方が非常にリズムはいいわけですよね。それが早出、遅出があるというのはとても厳しい。そして、御存じのように、保育所というのは360、まあそこまで言いませんけれども、日祝以外のところは開いているわけですから、そういうところでも勤務があります。
 そしてさらに、先ほど私は保育士の配置基準のことを言いましたけれども、やはりそこで子どもにしっかり向き合えない、理想的な保育ができない、丁寧に向き合いたいけれどもできない、こういうことも含めて様々な矛盾が保育所にもう山積してしまった。ここを一つひとつ剥がしていくということをやっていかなければいけないという、非常にこの20数年間、20数年というか、児童福祉法ができて以来の50年にわたる長年の積み残しが今の問題をつくっており、そこを抜本的に変えるという作業は本当に真剣になってやらないとそう簡単には変わらない、そんな思いもしておりますし、是非そこに問題意識を持っていただいて、一つでも二つでもより良い方向にし、やはり保育という仕事というものに、やはり保育の仕事の良さというのは子どもの成長に寄り添えるということが保育士さんとても充実感感じるわけですけれども、それが体を壊さずにやれるようにしていけたらということを願っております。
 以上です。

山下よしき ありがとうございました。
 実は私の妻も保育士をしておりまして、保育専門学院を卒業して保育の現場に入って、本当にやりがいと生きがいを持って関わってきて、民間の保育園に入っていたわけですが、結婚したらみんな辞めていくと。私の妻は初めて、結婚して辞めずに、子どもができたらみんな辞めていく、子どもがすぐできて辞めずに、労働組合をつくって頑張れるようになったんですが、やっぱり多くの民間の保育所の経営者の皆さんは、経済的、財政的な問題から、できればもう継続年数の短い保育士さんをたくさん使った方が経営的に楽になるという面もあるのでしょう。しかし、それが社会でそれでいいのかということをやはり政治が考えて、子どもにとってそれが非常にマイナス、もったいないことになっているということも受け止めなければならないなと今思いながら聞いておりました。ありがとうございました。
 それから、大日向参考人と藤井参考人にもう一問聞きたいと思うんですが、保育所をつくる必要があると同時に、即効性に疑問があるので、大日向参考人は、既存の施設を活用する、幼稚園の認定こども園化が大事ではないかということをおっしゃいました。緊急対策として私それはあると思うんですが、そのことをそれでずっとこの今の待機児童問題を解決する根本対策にする点で問題はないんだろうかということを少しお聞かせいただきたいんです。
 例えば、保育所に子どもを預けている親はやはり朝から夕方あるいは夜まで、幼稚園の場合は例えば午前中だけとか、子どもの施設にいる時間が違うわけで、その子どもたちが同じ施設でいることによって子どもにどんな影響があるんだろうか、保育者にとってどういう影響があるんだろうか、その辺りは少し今問題あるのではないかと思うんですが、両参考人からお聞かせいただきたいと思います。

大日向参考人 ありがとうございます。
 私は、幼稚園の認定こども園化を待機児対策の対症療法、一時的な対症療法とはむしろ考えておりません。むしろ根本的にそれは理想的なことだというふうに考えております。
 先ほども申しましたとおり、新システムのときに、全ての保育園が3年以内、幼稚園もできるだけ早く幼保一体型の施設になってほしいということを提案いたしました。そこには、子どもの発達を考えるときに、学校教育法で位置付けられた幼児教育と保育を一体で受ける権利が子どもにあるわけです。ですから、親が働いていらっしゃるいないにかかわらず、コアタイムは幼児教育と保育を一体で受けられる時間帯にする、一方、朝早い時間あるいは夕方の時間はこれは保育の時間というふうにすることで全ての親が一つの施設に関わることもできます。今の現状ですと、働いていると保育所、専業主婦の方は幼稚園と、地域の中でも分断されてしまっているという問題があります。
 それから、もう一つ先生がお尋ねくださいました、子どもにどう影響を与えるかと。既に幼保一体の認定こども園をやっていらっしゃる施設を幾つか私も見学をさせていただきました。余り問題はないということですね。子どもはコアタイムは一緒に楽しく遊ぶ、そして朝と夕方の時間帯はそれはそれで、自分のお母さんお父さんは働いているんだからということで、また別の楽しい保育を心掛けるということで子どもは順応しているというような報告もいただいております。

藤井参考人 認定こども園化の問題ですけれども、私自身も幼稚園と保育園を一体化することが絶対駄目だとまでは思っていないんですけれども、非常に疑問に思いますことは、新制度におきまして、認定こども園、これ2006年からできている制度ですけれども、児童福祉法におきまして、児童福祉法の24条2項に位置付いて認定こども園ができているわけですね。で、保育所は24条1項です。この違いが何か。24条1項というのは、市町村の保育実施義務というのが24条1項です。この市町村の保育実施義務というところに位置付けて認定こども園があるならばまだよいんですけれども、24条2項に位置付けられていると。24条2項というのは、一般的に言うと、利用者と園との直接契約の仕組み、市町村の責任で実施しない仕組みということになっているんですね。この法的な根拠が非常に甚だ疑問に思うところです。
 やはり市町村責任が曖昧になっていくということは、そもそもの認定こども園の整備が果たして今後できるんであろうか。今幼稚園が空いてきているから取りあえずそこを認定こども園化するぐらいであって、認定こども園というものを通して必要な保育に、担っていく責務が国や自治体にこの法律上から構成されているのだろうかということも非常に疑問に思っています。そういう意味で、24条1項の国や市町村の責任の下、認定こども園化するということであればまだとても理解しやすいと思うんですけれども、そこが分かれているというこの紛れもない事実、ここはやはり大きな問題を持っていると思います。
 そして、認定こども園のコア時間のところで、うまくいっているというお話もございましたけれども、やはり国が示すところですと、幼稚園の利用者的なお子さんたちは四時間程度、保育園関係は八時間ないし11時間そこで過ごすということになっていまして、この仕組みをどうやってするかということの苦労は現場にたくさんあると思います。午前中、保育園であれば散歩を重視していたものがそれが十分できないとか、昼寝のことをどういうふうにリズムをつくっていくのかとか様々あって、やはりこれほどの大きな時間の差は問題、やはりもっとこの時間を、差を縮めていくようなことをしていくなどの努力をしているところもあるみたいですけれども、そういうものもとても大事じゃないかなと思っております。
 済みません、ちょっと十分にしゃべり切れませんが、以上です。

山下よしき ありがとうございました。

離島の産業振興と交通・輸送費の低廉化について 
2016年4月19日 参議院内閣委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 初めに、私からも九州地方の地震で犠牲となった方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
 さて、本法案は、離島の中でも自然的、社会的条件の厳しい外海離島の振興を主眼とし、離島住民、離島自治体の強い要望でもある離島航路の整備強化に資するものとして賛成をいたします。
 先週末、私の事務所のスタッフが九州の西にある長崎県五島列島南西部の自治体、五島市を訪ねまして、地域振興の取組、国への要望などを伺ってきました。
 五島市は、長崎港から約100キロ、フェリーで約3時間、高速船でも約1時間半掛かる福江島を中心に、11の有人島と52の無人島で構成されている離島自治体であります。2004年に1市5町が合併して五島市となり、現在、約2万世帯、4万人が暮らしておられます。島には美しいツバキが自生し、古くは遣唐使が往来するなど大陸文化との交流拠点でもありました。また、遠洋漁業や捕鯨の一大拠点として栄えた時期もありました。
 現在は、人口減少、高齢化が進む中で、五島市は雇用を生む島づくりを掲げ、地場産業の育成、五島ブランド、特産品の振興に取り組んでおられます。ツバキ油、あるいはマグロ養殖、タカナやブロッコリーなどの野菜、五島牛などに力を入れておられました。また、古くからのキリスト教の潜伏信者たちが建てた教会群遺跡で世界遺産の登録を目指すなど、観光の振興、交流人口の拡大にも取り組んでおられます。
 しかし、離島ですから、やはり本土にはない困難が伴います。長崎と福江島を結ぶフェリーは往復約5000円、高速船だと往復1万円、長崎から飛行機で五島空港まで行きますと往復2万円かかると聞きました。その福江島から更に11の離島に行くには、また船を乗り継いで行かなければなりません。
 提案者に伺いますが、離島住民から出されている離島航路あるいは離島航空路の維持や運賃の低廉化の要望についてどうお考えになるのか、また、どの程度の運賃の低廉化が必要とお考えなのか、お答えください。

鷲尾英一郎衆議院議員 お答え申し上げます。
 昨年の6月、全国離島振興協議会におきまして、離島航路・航空路支援の抜本拡充を求める特別決議がされたと承知しております。提出者といたしましても、離島航路、航空路の維持及び運賃等の低廉化について極めて重要な問題であると認識いたしております。
 委員御承知のとおり、離島が他の地域に比べまして大変厳しい状況にある大きな要因の一つが、海で隔絶をされているということで交通に要する費用が大きくなるということと考えており、離島、とりわけ国境離島の地域社会を維持するためには離島航路、航空路の運賃等の低廉化が極めて重要な施策であると認識をいたしております。
 そこで、本法案の第12条におきまして国内一般旅客定期航路事業等に係る運賃等の低廉化について、第13条におきまして国内定期航空運送事業に係る運賃の低廉化について、それぞれ特別の配慮をするものとし、重点的に実施すべきこととしております。
 提出者といたしましては、航路、航空路の運賃等の負担につきまして可能な限り低廉化することを期待をいたしているところでございますけれども、施策の詳細な中身及び制度設計につきましては、今後、内閣総理大臣が基本方針を定めた上で、政府及び都道府県において本法案の趣旨を踏まえて適切に検討されるものと考えております。
 以上です。

山下よしき 重要性の御認識はよく分かりました。どの程度かというのは今後政府が基本方針を定めるなどということですが、私、一つだけちょっと議論しておきたいのは、離島自治体や離島の議会の関係者からは、フェリーや高速船はせめてJR料金並みにしてほしい、それから飛行機はせめて新幹線並みの料金にしてほしいという要望が出されております。この声、私はそれ聞いて、新幹線並みの料金だってまだ高いじゃないのと思いましたけれども、今はそれ以上飛行機に乗れば掛かるということですね。
 せめてこのぐらいにしてほしいという声について、提案者の皆さん、どうお考えでしょうか。

鷲尾衆院議員 私も選挙区内に離島を抱えておりまして、そのような声が強いということはもう本当に承知をいたしておりまして、これはもう予算が確保されればされるほどその住民の皆さんの御要望に近づくのかなというふうに思ってございますが、何分これは財政の制約もこれあり、今後政府で検討されることをひとえにお願いする次第でありまして、提出者としても、先生のお気持ち重々承知しております。住民の皆さんの御要望に沿った形で制度が運用されることを期待をしたいと思います。

山下よしき もう離島では、人の往来、物資の運搬コストが高い、どうしても食品始め生活必需品、あるいは様々な商売のための仕入れや販売、これ費用が割高になってまいりますので、私のスタッフが聞いたところ、農業、漁業、建設、製造、観光、あらゆる分野で移動、運搬のコストが大きなハンディになっていると。島に暮らし続ける、島で営みを続ける限りせめて本土と同じ土俵にしてもらえればという声が痛切に出ておりますので、国交省中心になるんでしょうか、しっかり受け止めていただきたいと思っております。
 さて、五島市内の島々の人口は、1955年、昭和30年に比べて約56%も減ったと聞いております。毎年、高校卒業生約300人のうち九割以上が進学や就職のために島を出てしまう、人口減と高齢化が急速に進んでおり、現在、高齢化率は33%と聞きました。
 特に深刻とされているのが漁業従事者の急激な減少であります。五島市の就業者数は現在1万7千人で、2000年と比べて約16%減少しておりますが、とりわけ漁業従事者は37.5%減少し、4割近く減っちゃったということですね。じゃ、一次産業全部そうかといいますと、農業従事者を見ますと7.3%の減少にとどまっておりますから、漁業の従事者の減少というのは大変深刻な問題になっております。
 提案者に伺いますが、離島において若者の雇用の場を確保することは非常に重要な課題、特に一次産業、とりわけ漁業の就業者を増やす取組の意義についてどうお考えでしょうか。

中野洋昌衆議院議員 お答え申し上げます。
 漁業への就業者を増やす取組の意義ということでお尋ねがございました。特定有人国境離島地域に係る地域社会が維持をされるためには、有人国境離島地域の住民の雇用の機会が確保され、経済的に自立をした生活が可能でなければならない。そのためには、雇用を創出する事業の存在というものが不可欠でございます。
 そこで、本法案の第15条におきまして、雇用機会の拡充を図るため、事業の事業規模若しくは事業活動の拡大又は事業の開始に要する費用の負担の軽減をする、また職業訓練の実施を講ずる、このようにされておりまして、こうした施策を通じて御指摘のございました漁業を含めた就業者の増加というものが期待をされる、このように考えております。
 漁業は、特定有人国境離島地域における重要な産業であります。また、我が国の領海、排他的経済水域等の保全等に重要な役割を果たしていると言えます。このような重要性を有する漁業に若い就業者を始め離島住民の雇用の場を確保することは、漁業従事者の多い特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持、ひいては有人国境離島地域が有する我が国の領海、排他的経済水域等の保全等に関する活動の拠点の機能の維持にとっても極めて重要な意義を有している、このように考えております。

山下よしき そこで農水省に伺いますが、農水省の支援事業に農業への新規就業者支援があります。農業研修時に最大2年間、その後、認定新規就農者給付金が最長5年間、合わせて7年間、年間150万円までの給付金制度があります。
 しかし、漁業の方を見ますと、新規就業支援に漁業学校等に通うなどの就業準備支援が最大2年間、その後、就業・定着支援として雇用型、幹部養成型、独立型とあるんですが、それぞれ期間が1年か3年なんですね。農業に比べて短いんです。
 島の一次産業の後継者は地域の宝、提案者からも先ほどそういうお話がありましたけれども、農業と同様に漁業も支援期間をもう少し延長する必要があると思うんですが、水産庁、いかがですか。

水田正和(水産庁漁政部長) お答えいたします。
 漁業が将来にわたって持続的な発展を図っていくためには、若い世代を中心とした意欲のある新規就業者を確保していくことが重要であるというふうに考えております。このため、漁業への就業希望者が経験ゼロからでも円滑に就業できるよう、新規漁業就業者総合支援事業として就業の段階に応じた支援というものを実施をしているところでございます。
 具体的に申し上げますと、漁業への就業に向けて漁業学校などで学ぶ若者に対する就業準備資金の給付でございますが、これは年間150万円、最長2年間ということでございます。それから、新規漁業就業者の漁業現場での実地による長期研修ということで最長3年間ということでございまして、合わせまして最長5年間の支援というものを実施をしているところでございます。
 先生御指摘のとおり、農業との支援期間の差異はあるわけでございますけれども、漁業の場合には、安全な操業のために、例えば十分な船の操縦技術とか、こういったものを実地で習得していく必要があるというふうに考えておりまして、こういった農業との違いを踏まえまして、限られた財源の中で研修に重点化した支援というものを行っているところでございます。
 この研修を受けた後に独立して安定的な漁業を営むことが可能となるように十分な研修を行ってまいりたいというふうに考えているところでございまして、今後とも、こうした対策を継続的に実施し、新規就業者の確保、定着に努めてまいりたいと考えております。

山下よしき 要望がありましたし、それから漁業の就業者が激減しているという実態を踏まえての提案ですので、より真剣な検討を求めておきたいと思います。
 島で生産された特産品を島の外に販売する取組が様々な産業で努力されておりますが、先ほど言ったように、輸送コストが高いことが大きなハードルになっているわけですが、そこで国交省に伺いますが、離島輸送コスト支援事業、戦略産品の移出に係る輸送費支援というものがありますが、簡潔に説明いただけますか。

舘逸志(国交大臣官房審議官) お答え申し上げます。
 ただいま御質問のございました輸送費支援でございますけれども、離島活性化交付金がございまして、現行の改正離島振興法の施行に合わせまして平成25年度に創設されたものでございまして、これは定住促進、それから交流促進、安全安心向上の三つの事業が柱となっております。このうち、定住促進事業として島の特産品を戦略産品として位置付け、その移出及び原材料の移入のための海上輸送費の支援を行っているところでございます。
 離島活性化交付金の活用は離島と本土との格差是正等に資するものであり、今後とも適切な運用に努めてまいりたいと考えております。

山下よしき というものがあるんですが、その戦略産品の輸送コスト支援の品目が4品目に限られていると聞きました。なぜ4品目に限っているんですか。

舘審議官 御質問のございました輸送支援の対象品目でございますが、これは元々、平成25年度、制度創設時、交付金の予算規模もございまして、それに鑑みまして、地元の御要望を伺いながら、対象品目が当初は3品目でございました。その後、地元から対象品目の拡充について強い御要望をいただきまして、関係省庁と協議した結果、平成25年度補正予算により四品目へと拡充したところでございます。さらに、平成26年度補正予算より、戦略産品一品目につき原材料費等一品の移入に係る輸送海上費の支援の対象としております。そういうことで、制度の充実には意を用いておるところでございます。
 このように、離島の海上輸送費支援についてはこれまでも最大限努力しておるところでございまして、今後とも地元からの御意見、御要望を十分伺いながら、更なる拡充に取り組んでまいりたいと考えております。

山下よしき 更なる拡充ということがありましたが、五島市の商工業者の方は、なぜ4品目に限定するのかとやはり強い声が出ているんですね。輸送コスト支援の拡充を求める要望書が出されております。
 こういう一生懸命取り組んでおられる方に聞きますと、何社かが集まっていろいろ取組されているんですけれども、メンバーの本土企業向けの出荷額が2年前のデータで約20億3500万円あったと、非常に大きな産業になっているわけですが、合わせれば。で、島の雇用も生み出されているわけですね。
 縫製工場を経営するある社長さんの話を伺いました。技術力があっても価格競争で仕事が取れないんだと。運送費、経費の高いところになぜ発注するのかということに、どうしても本土の企業から言われてしまうと。この社長さんは、ショーツやインナー製品、下着を有名メーカーに納めているわけですが、身に着けるものですから高い縫製技術、品質管理が求められております。少ないロットの注文や全国からこういうものは作れるかという特注の問合せも少なくないんですが、こういうことにしっかりと応えることによってこの会社を維持してきたわけですね。ただ、離島がゆえに仕入れに、あるいは出荷に係る割高のコストが足かせになっておりまして、本土なら一箱当たり7、800円の運送費も、島では1200円というふうに聞きました。
 この社長さんは、我が社には34人の従業員がいる、去年、高校卒業生も雇い入れた、島に働く場所がなければみんな島を出ていってしまう、人が減ればどんどん島に住めなくなる、国の支援で輸送コスト支援があるのなら、雇用創出のためにも対象を広げてほしい、本土の企業と同じ土俵で勝負させてくれるだけでいいと訴えられました。これはもう時間もありませんから、聞いておいていただいたらいいんですけれども。
 五島市の場合、今言われたような方々は全部品目から外れているわけですね。輸送コストの支援対象となる戦略産品として五島市は、野菜、芋類、二つ目に牛、豚の運送費、三番目に鮮魚類、四番目に家畜、養殖用飼料などを指定しておられますが、非常に有名な五島うどん、ツバキ油が練り込まれた風味のある五島うどん、これはいろんな新聞なんかでも全国紙に載っていますよね、これは残念ながらその支援対象になっておりません。あるいは、かんころ餅、これも有名ですけれども、なっておりません。
 せっかく特産品があって、全国にもニーズがあるのに、4品目に限られているがゆえにこの輸送コスト支援が受けられないということになっているわけですね。これやはり早急に離島の振興というのであれば拡充すべきではないかと思いますが、もう一度どうぞ。

舘官房審議官 先生御指摘のように、戦略産品の輸送コスト支援は大変重要なものと考えております。
 今、長崎県、御指摘のございました五島市で魚介類を中心にこの4品目、いっぱいいっぱい使っていただいております。その現状をよく踏まえまして、地元の御要望も踏まえまして取り組んでまいりたいと考えております。

山下よしき 高校生のアンケート、昨年、市内高校生、五島市ですけれども、930人、40%が高校卒業後は島外に住むと答える一方で、52%の高校生が将来的には五島市に戻りたいと回答されております。五島に良い仕事があれば戻りたい、結婚や出産のときに戻りたい、定年後あるいは親の介護が必要になったら戻りたいなど、地元への意識はやはり高いと言わなければならない。そういう点では、雇用の場、それを維持するための輸送コストの低減策の拡充、しっかりと進めていただきたいと思います。
 もう時間が来ましたので、最後にTPPに関して、平成25年の3月、長崎県五島市議会でTPP交渉参加表明に強く抗議し撤回を求める意見書が可決されております。五島市長が議会で答弁いたしました。TPPによる影響額、農業では、平成18年の農業生産額、出荷額56億6千万円のうち、米、牛肉、豚肉、大麦、小麦、茶等で28億7400万円が減少する試算結果が出たと。漁業では、特にアジ、サバ、イワシ、イカ、カツオ・マグロ類、五島などでは影響が大きく、43億円影響があるんではないかと言われております。
 もう答えは要りませんが、離島の振興というんであれば、それを根本から打撃を与えるような、産業に打撃を与えるようなTPPの承認、急ぐべきではないということを申し上げて、質問を終わります。

アメリカと一緒になってサイバー空間における先制攻撃までやるような軍事優先のやり方は極めて危険–サイバーセキュリティ法案審議 
2016年4月14日 参議院内閣委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 サイバーセキュリティ基本法に基づいて、サイバーセキュリティ本部が国家安全保障会議の意見を聴いて昨年9月公表、作成したサイバーセキュリティ戦略、ここには外国政府機関との情報共有を含む情報収集、情報分析機能の強化を図るとあります。その必要性について、サイバー攻撃とそれに対する抑止の特徴との関係で説明をしていただけますか。

遠藤利明国務大臣 サイバー空間を取り巻くリスクが深刻化する中で、国境を越えた自由な情報の流通を可能とするサイバー空間の便益を享受するとともに、国家の安全保障、危機管理上の課題でもあるサイバー攻撃に迅速かつ的確に対応するためには、諸外国等と効果的に連携することが必要と認識をしております。
 政府としましては、管理や規制を過度に行うことなく、開放性や相互運用性を確保することにより、情報の自由な流通が確保された安全で信頼できるサイバー空間を構築することを基本方針として関係国との国際連携に取り組んでおります。こうした認識の下で、昨年9月にも閣議決定されましたサイバーセキュリティ戦略においても、多様な主体との国際的な連携により、サイバーセキュリティーの確保及びサイバー空間におけるグローバル規模の情報の自由な流通の確保に向け取り組むこととしております。
 今後とも、サイバーセキュリティ戦略に基づき、関係各国との連携を積極的に深めるとともに、多国間の議論にも積極的に貢献してまいりたいと考えております。

山下よしき 今基本的な認識、遠藤大臣に述べていただきましたけれども、ここでは遠藤大臣とそもそもサイバー空間の特徴について少し議論したいと思うんですが、一つはアクターの多様性ということが言われます。どの相手が攻撃してくるか分からない。非国家主体も高度な能力を保有している。軍事力を持つ必要はないんですね。高い能力を持つ個人でもサイバー攻撃はできる。
 それから二つ目に、隠匿性、ボーダーレス性ということが言われております。攻撃者の特定が極めて困難です。国家の関与もなかなか決着が付きません。米中韓でもこれはもう論争になっております。アメリカへの攻撃は中国から発信されているじゃないかとアメリカが言っても、いや、それは経由しているだけであって中国も被害者なんだとか、いやいや、確実に中国から攻撃が発信されているじゃないかと、こう指摘しても、それは政府とは無関係だと、こういうふうに言われるわけですね。
 このアクターの多様性、隠匿性、ボーダーレス性、これが特徴だということについて、大臣の御見解、どうでしょうか。

遠藤大臣 今委員御指摘のように、その発信がどこからなされたか、この追及はなかなか難しいと認識をしております。それだけに、なおさら国際間の協調が必要だと思っております。

山下よしき それからもう一つ、サイバー空間に関する規範はいまだ形成途上であるということも大事だと思っております。サイバー攻撃に対して自衛権を行使することの合法性、あるいは自国内のアクターによるサイバー活動に対する国家責任等について、コンセンサスは今存在しておりません。その国の中のある個人がサイバー攻撃を行ったとしても、政府の責任とは言い切れないという現状にあります。
 要するに、サイバー空間における規範、まだ確立されていない、途上である、この点いかがでしょうか。

遠藤大臣 今御指摘のように、規範についてまだ正確にこれだということになっていないと思いますが、そうしたことを国際間においていろいろ議論をしている最中だと認識をしております。

山下よしき そうなんです、途上なんですね。
 さらにもう一つ、サイバー攻撃に対する防御について、報復の信憑性ということも言われております。
 どういうことかといいますと、どこまで攻撃されればレッドラインとして反撃できるのか、この設定がなかなか難しい。報復能力の証明、つまり、これぐらい攻撃されたら報復する能力を有していますよということをどのように伝えるか、どの相手に伝えるか、これもなかなか難しい。それから、通常戦力による報復というのが許されるのか、非国家主体に対する報復などが一体できるのかどうか、困難ではないか。
 こういう報復の信憑性ということも問題になっておりますが、この点、大臣、いかがでしょうか。

遠藤大臣 委員御指摘のように、技術が進めば進むほど特定化は難しいと、それだけになおさら国際間の情報の共有、連携が必要だと思っております。

山下よしき そこで、じゃ、その国際間の連携なんですが、安倍政権が策定した国家安全保障戦略には米国とのサイバー防衛協力の推進がうたわれております。それから、昨年4月の新日米ガイドラインにはサイバー空間に関する協力という項目が初めて設けられました。
 遠藤大臣、なぜこの分野で米国との協力が必要なんでしょうか。

遠藤大臣 米国は日米安全保障体制を基軸にあらゆるレベルで緊密に連携する我が国の同盟国であり、サイバー分野においても様々なチャンネルにおける緊密な情報共有と連携を図る必要があります。
 これまで両政府間においては、平成25年5月、平成26年4月、平成27年の7月の3回にわたり日米サイバー対話を実施してきており、日米双方のサイバーセキュリティー関係省庁が参加する形で、双方の政策動向、情勢認識等につき協議を実施しております。

山下よしき もう既に日米サイバー対話というものが3回行われたということであります、今御報告があったとおりですが。
 では、米国のサイバー戦略とは一体どういうものかについて伺いたいと思います。
 2011年11月、国防省サイバー空間政策報告書は、拒否的抑止、これは何とか攻撃されないようにする抑止とともに、懲罰的抑止、報復型の抑止ですね、これについても言及しております。それから、通常兵力を用いた報復も選択肢とするというふうにあります。
 この懲罰的抑止、通常兵力を用いた報復とは一体どういうことでしょうか。

水嶋光一外務大臣官房審議官 お答え申し上げます。
 米国のサイバー戦略につきましては、米国はサイバーセキュリティーに対する脅威を、国家として直面する最も深刻な国家安全保障、公共の安全及び経済的課題の一つと認識しているものと承知をしてございます。
 その上で、今御指摘のございました国防省によります2011年11月のサイバー空間政策報告書でございますけれども、ここにおきましては、サイバー空間におけます抑止について、ほかの領域と同様に、攻撃者の目的達成を拒否するとともに、必要に応じて攻撃者にコストを課すとの考え方に基づくものであるというふうに述べられているものと承知をしてございます。
 また、加えまして、その報告書におきましては、サイバー空間での一定の活動、これは武力の行使を構成し得るものであり、また、合法的な自衛権を発動し得るものであるという旨述べているものだと承知をしてございます。

山下よしき サイバー攻撃に対して武力行使もやりますよということをアメリカはそういう戦略でもうはっきりうたっているわけですね。
 それから、2012年10月11日、パネッタ国防長官の演説で、サイバー攻撃による大規模な被害が差し迫っている場合にはサイバー空間で先制攻撃を行う可能性に言及しています。サイバー空間での先制攻撃を行うとはどういう意味でしょうか。

水嶋審議官 御指摘の、2012年11月、パネッタ国防長官の講演でございますが、この中では、国防省といたしましてはサイバー攻撃の抑止に取り組んでいると言った上で、米国が攻撃者を特定できて、また米国の強力な防御によって攻撃が失敗するというふうに承知していれば米国が攻撃される可能性は低くなるというふうに述べていると理解をしてございます。
 ただ、その中で、また仮に米国に重大かつ物理的な破壊をもたらして、又は米国市民を殺害するサイバー攻撃の切迫した脅威を察知した場合には、米国は、大統領が指示した際には、国家を守るために攻撃者に対して措置をとる選択肢を持たなければならないと、そういうふうに述べられていると承知してございます。

山下よしき 先制攻撃戦略、サイバー空間における戦略、取っているということですね。察知したら先制攻撃すると、相手を殺傷することも含めてですね。これは、イラクに対する、大量破壊兵器を持っていると察知したはずだったけれども、それは間違いだったということを想起させられるものであります。
 2012年、オバマ大統領は、大統領政策指令20、米国のサイバー作戦政策に署名をしていまして、そこでは重大な帰結(人命の喪失等を含む)をもたらす作戦ということが言われておりますが、こういうことも言われているわけですね。先ほど述べられたとおりです、殺傷ということも含めて、サイバー攻撃、先制攻撃も戦略として取られている。
 それから、ニューヨーク・タイムズが、2013年2月3日、オバマ政権が検討中とされるサイバー作戦に関する交戦規則の内容を報道しております。先制攻撃を命じる権限を大統領に付与、そういう中身の交戦規則があると言われておりますが、こういう交戦規則あるんですか。

水嶋審議官 今御質問にございました新聞報道、それから交戦規則でございますが、米国政府としましてはこれは対外的に明らかにしたものだとは我々承知しておりませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

山下よしき アメリカと緊密に協力する、サイバー攻撃に対する対処をと言いながら、アメリカのこの戦略の交戦規則について承知しない。余りにもこれは無責任だと言わなければなりません。
 遠藤大臣、安倍政権の下で、昨年の安保法制の審議の中でも安倍総理はサイバー攻撃に対する日米同盟の強化ということを答弁されています。それから、中谷防衛大臣もこう言っております。武力攻撃の一環として行われたサイバー攻撃に対して武力を行使して対応することも法理としては考えられる。
 遠藤大臣に伺いますが、政府はサイバー攻撃に対して武力を行使して対応するという立場ですか。

若宮健嗣防衛副大臣 今質疑をなされている中で、やはり様々な見解がもうお示しをされているかと思います。また、山下委員の御質問でも、また御自身の意見でも出されておられますけれども、現在、確かに高度化、巧妙化するサイバー攻撃の態様を実際踏まえますと、今後、サイバー攻撃によって極めて深刻な被害が発生する可能性というのはこれは否定できないのはもう委員も御承知のところだと思っております。
 このサイバー攻撃への対応というのは、我が国にとりましても安全保障に関わります重要な課題であるというふうに認識をしているところでございます。また、今日、弾道ミサイルや航空機等による武力攻撃が行われる場合には、もちろんその一環としてこれは同時にサイバー攻撃ということが行われる可能性というのも想定をしておかなければいけないのではないかなというふうにも考えているところでございます。
 その上で、私ども政府といたしましては、従来、サイバー攻撃が武力攻撃の一環として行われた場合、自衛権を発動して対処することが法理としては可能であるというふうには御説明申し上げているところではございますけれども、現在、これまでにはサイバー攻撃に対しまして自衛権が行使された事例というのはございませんでして、サイバー攻撃に対します自衛権行使の在り方につきましては、委員も御指摘でございましたが、国際的にも様々な議論が行われている段階でございます。このため、現実の問題といたしましては、サイバー攻撃に対します自衛権の行使の在り方につきましては、国際的な議論を見据えながら更に検討を進めてまいりたいと、このように考えているところでございます。

山下よしき 要するに、まだ決めていないけれども法理としてはあり得るという立場なんですね、ずっと。これは非常に、この方向でいいのかということを私は危惧するわけですね。
 実際に日米間では共同演習の中でサイバー攻撃に対する訓練も行われております。防衛省に伺いますが、これまで2013年から毎年やっていますけれども、どのような訓練が行われましたか、報告してください。

笠原俊彦防衛大臣官房審議官 お答えいたします。
 議員御指摘のとおり、2013年から2015年、日本で実施をされた日米共同方面隊指揮所演習というのがございますが、そちらにおきまして、各種事態における実効的な対処能力の向上を図る一環として、自衛隊と米軍に対してサイバー攻撃が行われたという状況を想定をいたしました対処要領及び連携要領について演練を行ったところでございます。

山下よしき もう漠としかお答えにならないんですが、具体的にどういう訓練をやったのかと聞いても、これは答えられないんですよ。──あっ、どうぞ。

笠原審議官 失礼いたしました。
 訓練の内容でございますけれども、不審メールを受信した際に受信者である情報システム使用者が行うべき対処要領や、原因究明、被害拡大防止のために情報システム担当部署が行う対処要領の確認などを実施しているところであります。また、サイバー攻撃による被害拡大を防止するためには日米の連携が重要でありますことから、その連携要領についても確認をしたところでございます。
 以上です。

山下よしき 要領が確認されたということであって、どういう具体的な話がされているのかということについては幾ら聞いても答えが返ってこないということで、国民からは見えないところで、サイバー攻撃に対する対処という下で訓練が日米間で毎年やられているということなんです。その米国は、サイバー攻撃に対して先制攻撃、通常兵力による攻撃、これもいとわないという戦略を持っているわけですから、それに対して、今防衛副大臣が答弁されたように、サイバー攻撃に対する武力の行使についてはしっかりと拒否するという立場ではないわけですね。そういう方向に行っていいのかということを私は本当に危惧します。
 これは、アメリカや日本がサイバー攻撃、確かにいろんなインフラ、電力だとか工場だとか、そういうものに対するサイバー攻撃は大変な被害を与えますから、それに対して防御すること、備えることは必要でしょう。しかし、備えることによって、先制攻撃する、通常兵器による攻撃まで検討する、また備えるということでやりますと、これはアメリカや日本がそういうふうに備えれば、恐らく他の国々あるいは勢力、個人かもしれません、そういう勢力もそういう方向に備えざるを得ないと思うんですよね。お互いにサイバー空間のリスクを高め合う方向で、サイバーセキュリティーといいながらリスクが高まるという心配が当然起こってくると思うんですが、その点、遠藤大臣、いかがですか。

遠藤大臣 備えあれば憂いなしという言葉がありますが、それぞれの国がそれぞれの対応をしておりますので、国としてしっかり取り組まなきゃならないと考えております。

山下よしき いや、私が聞いたのは、それぞれの国がしっかりやると相手の国もしっかりやる、そうすると非常に高いリスクが相互に高まり合うということになるんじゃないかと。要するに、米ソ間で核兵器がどんどんどんどん増えていくような、あるいはテロに対する報復としてテロが一層拡散するような、そういう悪循環になる危険がこの分野でももう生まれているんじゃないかということを私は危惧するわけですね。
 国連の情報セキュリティーに関する政策専門家会合、GGEがサイバー空間における信頼醸成措置、CBMについて検討していますが、どのように述べていますか。

水嶋審議官 今御指摘ございました国連のサイバー政府専門家会合、GGEと申しますが、これは2004年以来今まで4回の会期で開催をされてございます。
 こちらでは、責任ある国家の行動規範、また信頼醸成措置、それから国際協力、能力構築支援、それからICTの利用に関する国際法の適用などの国際安全保障の文脈におけます情報通信技術の進歩に関します幅広い議題について議論が行われてきております。最近では、2015年7月に最終的な報告書が公表されているところでございます。
 このうち今お尋ねございました信頼醸成措置につきましては、この信頼醸成措置が国際の平和及び安全を強化するんだという前提の下で、各政府におきましてコンタクトポイントを特定をするとか、あるいは二国間、多国間の協議メカニズムを構築するとか、あるいは透明性を向上する努力を続けるとか、あるいは学術研究機関の間での交流を促進する、あるいはICTを用いた犯罪・テロ対策協力を進める等についての提言が行われていると承知してございます。

山下よしき 非常に重要な指摘だと私は思いました。
 遠藤大臣、防御という名の下での先制攻撃まで一つのブロックが高めるという方向をお互いに各国がやり始めますとリスクが高まる。そうじゃなくて、信頼醸成をやる必要があるというこの国連の専門家会合の指摘、非常に重要だし、日本もその立場でどういうルールが必要なのか。今、世界の実態踏まえた積極的なこういう信頼醸成についての関与必要だと思いますが、いかがですか。

神本美恵子内閣委員長 遠藤大臣、時間ですので、簡潔にお願いします。

遠藤大臣 はい。
 信頼醸成は極めて大事だと認識をしております。

山下よしき そういう方向で努力せずに、アメリカと一緒になってサイバー空間における先制攻撃までやるような軍事優先のやり方は極めて危険だということを申し上げて、終わります。